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好きなことを好きなだけ楽しみたい欲張り人間の雑記帖

韓国時代劇ドラマ『海神』

2013年11月23日 | ドラマを愉しむ
やっと終わった、というのが最初の感想。観始めたのがいつか思い出せない。全部で51回からなるドラマを週2回ずつ観た訳だから、6ヶ月ほど観続けたことになります。


逆に言うと、それだけ面白かった。主人公役のチェ・スジョンは有名な俳優らしいが、チャン・ドンゴンの小型版という感じがしてならなかった。敵役は、韓国が不法領有している日本の領土竹島へ泳いで渡るという不埒なパフォーマンスをしたソン・イルグク。役的には、ソン・イルグクの方が美味しい役でしたね。そして、清楚なお嬢様役が似合うスエがこの二人から想われるお嬢様役をやっていたのだが、ソン・イルグクはスエへの想いが届かない可哀想な役柄だけに、同情してしまう。このドラマが当たって、その後に「朱蒙」の主役に抜擢されるようになったいうが、韓国視聴者も私と同じように彼への注目度が高かったのでしょう。

そして何といっても素晴らしいのがチェ・シラ。悪役の女商人を演じているのですが、憎いくらいの存在感。流し目でにらむところに凄みが出て、美人なだけに悪役がぴったりと嵌っていた。


そして、このチェ・シラ扮する夫人の傍に寄り添い"校尉"と呼ばれる男。シラの片腕であり、またボディーガードでもあるのでけれど、ほとんど感情を顔に表すこともなく、ドラマの中では中くらいの重要度の役柄なのですが、その分だけチェ・シラが戦いでチェ・スジョンに敗れて捕らわれの身になるシーンで見事に男を上げました。

「夫人に今までお仕えできたことは私の幸せでした」。そして、「夫人が道を間違えた時に、止められなかったことが残念でなりません」と言って、そのまま圧倒的な敵軍の中に突っ込んでいって最期を遂げる。それまでは重要な台詞があった訳ではないのに、イカツイ顔だな~ぁ、夫人の悪巧みを実行する忠実な部下だな~ぁ、と段々と印象度が尻上がりに上がってきたクライマックスに、こんな台詞を言って夫人のために死ぬと分かっていながら敵に立ち向かい命を落とすのですから、"こいつ、男として立派じゃないか"とそれまでの悪印象が180度転換してこのドラマの高感度No.1になってしまいました。それまでは戦いに負けて捕らわれの身になっても強がりを通していたチェ・シラ扮する夫人が、その姿を見て涙を流すのです。

私のとってこのドラマの盛り上がりはここまで。この後、皇位を狙う悪役と主人公のチェ・スジョンが対立する中、戦争を回避しようとするソン・イルグクにチェ・スジョンが殺されてしまうストーリーが続くのですが、付け足しですね。悪役、それもとっても強い個性がある悪役があってこそ、正義の味方の物語は面白い訳です。

しかも、イルグクは回避しようとした戦争で殺されてしまい、悪人が結局は天下を取ってしまうという筋書きはどうなのよ?勧善懲悪に慣れた私には消化不良の終わり方です。

主役二人から想いを寄せられるスエですが、"一人で良い子ぶるな!お前が態度をはっきりさせないから、二人の男が振り回されるんだ...善人ぶっているお前が一番悪い!!」と思ってしまう。多分に大物俳優のチェ・スジョンのために作られたドラマという趣も無くはないドラマです。

「海神」ホームページはこちら
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ミス・パイロット

2013年11月03日 | ドラマを愉しむ
前回に引き続いて掘北真希ネタです。

2013年10月クールのフジ系列、火9ドラマの「ミス・パイロット」を見ていて思うのですが、やはり堀北真希は美人だと思う。目鼻立ちが整っているだけではなく、美しさとともに凛とした気高さが表情に表れていて、この2つが両立しているところが私は好きです。画面の中にいるだけで絵になるタレントさんだと思います。



就職時期を迎えながら将来の希望も志望もなく、手当たりしだいに就職面接を受けながら片っ端から不合格。可能性を広げるためにANAのパイロットを受けたところ、何と合格。二次だか三次の試験の際に、フライトシュミュレーターを操作させられて空を飛ぶ模擬体験をしたところ、パイロットという職業の魅力に開眼して、やっと将来の夢が出来た。ここのシーンでの彼女の表情の変化は、このドラマ(と言ってもまだ2話しか見ていませんが)の中でとても印象的で良かった。模擬体験とはいえ初めて空を飛んだのですから、何がしかの感動を持つであろうことは想像できます。彼女はとっても感動してしまった。その感動を、目の表情だけで静か~に好演していました。とてつもない感動を彼女が感じていることが、見ている我々にもよ~く伝わってきて、思わず彼女に感情移入してしまったシーンでした。

彼女の最大の売りは「初々しさ」なんだと思う。だからこそ言いますが、堀北真希はこの手の青春ドラマにこそ向いているのであって、前回エントリーした「白夜行」のような複雑な過去を持つ心の奥底に何かを秘めて、誰にも立ち入らせない屈折した女性を演じるには幼すぎるのです。幼い女優を主演に持ってきたことによって、せっかくの良質なミステリー映画が学芸会のように見えてしまったことが残念でなりません。

でもだ。このドラマはいかがなもんでしょうか?20代前半の未熟な若者たちが社会の荒波の中で、持ち前の純粋さを発揮すればすべての問題が解決されて、みんながハッピーになって、しかもこの世の中が良くなっていくだなんて安直な物語をいつまでフジテレビは作り続けていくのでしょうかね?「水戸黄門」に代表される勧善懲悪という分かり易い物語が一方にあるとすると、もう片方にあるドラマの筋書きは世の中の穢れに染まっていない純粋な若者たちが善意で一生懸命に努力すれば必ず良い結果を生まれてこの世がハッピーになるというものです。

この「ミス・パイロット」を見ながら考えてしまったのは、アメリカドラマの「グレイズ・アナトミー」でした。こちらも青春群像ドラマですが、医学部を卒業したばかりの若者たちが配属先の病院でインターンとして修行していく最中に、いろいろな出来事とぶつかり合う中で挫折したり絶望したり、時には若者らしい根性で成功を勝ち得ていく中で、人間として成長していく過程を描いたドラマです。子供は所詮子供、大人になる前の半人前の存在、という扱いの中で、彼らがいかにもがき苦しむ中で努力して成長していくかを描いているドラマです。そこには、かつて自分が体験した社会の理不尽や高邁な理想だけでは片付けられない現実が突きつけられているからこそ、主人公の若者たちに感情移入し彼らを応援したくなる物語があります。



「グレイズ・アナトミー」には、主人公のグレイの独白シーンが必ずあります。世の中が決して思い通りにならず、心が折れそうになる色々な出来事の中で自分が学んだことがグレイの言葉として番組始めか終わりに出てきます。かつて若者であった自分の姿と心の奥底に仕舞いこんでしまった色々な出来事を思い出させてくれ、過ぎた日々を投影できる独白があるからこそ、学芸会とは思うことなく自分よりも遥かに若くて未熟な若者たちの群像劇を見ることができるのだと思います。

これに比べて、この「ミス・パイロット」が相も変わらずに描き続けているのは、善意と純粋ささえあれば世の中はすべてが解決されて丸く収まる、という安直なドラマですよね。M1、F1は熱中して見るかもしれないが、社会の荒波に揉まれて成長した大人の私には背中が痒くなるだけだった。何で世の中の現実を直視しないのか!!F2、F3の女性が韓流ドラマに大挙して流れたのは、この種の若者に迎合した安直な物語に飽きられたためだとフジテレビはまだ分かっていないようです。

フジテレビは視聴率競争でダントツの3位に安住している中、ドラマに活路を見出したようです。人口動態を始めとして世の中が変わっているにも拘わらず、作られているドラマは相も変わらずに昔のまま。高年齢層もターゲットにすると言ってはいますが、F3狙いで作られたドラマが「抱きしめたい Forever」という局としての発想の貧困さを象徴する作品でしかなかったのは残念でなりません。

W浅野の過剰演技の合間に昔のシリーズの映像を埋め込んだだけの特番ドラマは、見ていて寒気がしました。あたかも、中学・高校時代に好きだった女の子に同窓会で会ったときのような幻滅感、イメージの中では昔の綺麗で可憐なままであった女の子が普通のおばさんに成り果てていた現実を見せられたと言うと分かりやすいでしょうか。W浅野にとっかえひっかえ衣装を変えさせ、彼女たちは今も昔と変わらないトレンドセッターなんだ、TVドラマはあんたたち視聴者より一歩も二歩も前を歩いているんだ、どうだ見てみろ、真似してみろ的は上から目線のゴーマンな姿が透けて見えてしまったのは私一人なのでしょうか? 昔ヒットしたドラマにあやかろうという安易な発想とプアなクリエイティブ、これでは何も変わらないし、かえって局としてのイメージを崩してしまいましたね。

ドリフターズの天下をひっくり返した「オレたちひょうきん族」や「笑っていいとも!」のように、前例に囚われることなくあっと驚くような新しく斬新なものを生み出して一時代を築いたTV局の雄としての気概が見られないことはとても悲しい。


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「結婚できない男」日韓の比較

2009年11月03日 | ドラマを愉しむ
阿部寛演じる日本版四十男は、"偏屈"という言葉がぴったりする身勝手男。それに比べて、チ・ジニ演じる韓国版四十男は、愛嬌があってかわいいオタク男。愛嬌がある分、軽い気分で観ることができるが、軽快なコメディーで終わってしまっている。決してつまらない訳ではない。毎回面白く視聴できたのだが、日本版に比べると、リアリティが薄く、所詮テレビの中のオハナシになっている。

一方日本版は、阿部寛の演技こそが話の中心で、あまりの身勝手さに当初は共感できないのだが、舞台が日本であることのリアリティさと、回を追うごとに身勝手男の心の変化が面白くなってきて、どんどんと話に嵌っていく。特に、隣人のペット犬を預かる回で、いなくなった犬を探して池の中を走る偏屈男の変わり様、そしてそれ以降犬を見る目つきと犬が阿倍を見る目つき。犬もなかなかの役者です。

総合点では、日本版の方が愉しく観られたが、韓国版の軽いタッチのドラマとしては充分に愉しめる。それに女優陣は韓国の方がきれいだ。チ・ジニの相手役となる女医役のオム・ジョンファはとても綺麗。目周りは整形しているに違いないと思うのだが、それでも綺麗な大人の女。隣人のキム・ソウンも清楚なお嬢さんでとっても良い。

犬の違いも、ドラマの軽さ・重さを表している。日本版はブルドッグで韓国版はチワワ(だと思う)。可愛らしいがそれで終わっている韓国版に対して、パッと見は悪いがどんどん味を出してくるブルドッグ。ドラマの特徴がそのまま表れているキャスティング(?)だと思う。
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「みているだけでは夢ではない。それは星だ」

2009年01月18日 | ドラマを愉しむ
韓国ドラマを見出してから気付いたのですが、日本のドラマがやたら子供っぽく感じます。最初に感じたのは、「ホテリアー」をほぼ同時期に韓国オリジナル版と上戸彩主演の日本版を見比べたときでした。出演している俳優たちがやたらと幼く、学芸会の出し物のように感じました。

「冬ソナ」の頃と比べると、さすがにベタッとした恋愛ドラマな無くなり、私のようなシニア男性でも気恥ずかしくなく見られるドラマが多くなっています。時代劇よりもラブコメと呼ばれる軽い恋愛ドラマの方が好みですが、日本ドラマと違ってそれなりの大人でも楽しめるドラマが多いように思います。

「マイ・スウィート・ソウル」はその中でも秀逸で、これといった大きな物語がある訳でもなく、普通の31歳OLの日常の中で経験する出逢い、恋愛、別れ、が淡々と描かれ、淡々とした流れの中でも、しっかりと主演女性の生き方が描かれていて、このようなドラマが作れる韓国TV界は、いまや日本よりも上に行ったのではと思いましたね。

中には、ティーンエイジャー向けと思われるドラマもありますが、年配であろう日本の韓ドラ・ファンのことを考えて、各局はそれなりの大人が観られるドラマを選んでいるからであろうと思うのだが、それでも最近の日本ドラマに比べると、面白いモノが多い。(因みに、私が面白いと思った日本ドラマは「夢をかなえるゾウ」でした)

私が面白いと感じる韓国ドラマには必ず主人公の心の叫びといったような台詞があります。このような台詞は日本ドラマには見つかりません。

「ベートーベン・ウィルス」という音楽をテーマとしたドラマの中の台詞なのですが、有名な指揮者(という設定)が、若い主人公2人に言う台詞。ただ夢見るだけではダメで、実行しろ。失敗がなんだっていうんだ。失敗を経て人間に色が付いていくんだろう、そんな内容の台詞でした。

この「ベートーベン・ウィルス」はなかなかのドラマ。ノダメの二番煎じかと思って見始めたのですが、ドラマ内の人物たちがしっかりと描かれている。ダメ楽団の指揮者となった世界的に有名な(という設定)指揮者、カン・マエの偏屈な性格も、回を追っていくごとに、彼なりの複雑な生き方から自己防衛のために作ったガードであることが分かるし、主演の男女2人、それにその脇役であるボケが始まりかけた老人、すべてを犠牲にして家族に尽くしてきたのに理解されていない主婦、貧乏であるために自分の好きな音楽に打ち込めず、、逆にそれを世間のせいにしている貧乏学生等々、登場人物たちがイキイキしており、それぞれのキャラがよく分かるのです。日本のドラマは、人物の描き方が足りてないのが韓国ドラマを見ているうちに分かりましたね。韓国ドラマは決して一時のブームではない力があります。
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「どれが苦いラム入りか今では分かります」

2008年04月13日 | ドラマを愉しむ
スカパーで放送のLaLaTVでスタートした韓国ドラマ『私の名前はキム・サムスン』の主人公の台詞。このヒロインは腕の良いパティシエであるものの、決して美人でもなく、ちょっと太めで口が悪い。しかも30歳のクリスマスの夜に恋人に振られてしまう。

さすがに30代だけあって、人生経験から来る台詞、しかもパティシエという職業に絡めた台詞はグッと来るものがあります。しかも、決して美形でないことを考慮すると、それなりに説得力がありますね。もっとも、『フォレスト・ガンプ』に出てくる有名な台詞にも引っ掛けて、自分なりにアレンジしているところが大人の女の台詞といったところでしょうか。

ところで、これは韓国版『フリジット・ジョーンズの日記』なのだそうだ。TVドラマなので映画よりも時間を取られること以外は、私としてはこっちの方が気楽に愉しめるな。

「自分の箱だから自分で平らげなくちゃ。選択肢はいつどれを食べるかだけ。ですが昔と今とでは違います。子供の頃は考えずに食べていましたが、今ではためらいながらじっくり吟味しています。どれが苦いラム入りか今では分かります。
わたしの箱の中に、これ以上苦いラム入りが残っていなければ嬉しい。この30年で苦みは食べつくしたと思いたいです。」

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