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べんりや日記

住まいのこと、情報発信!

土塗り壁の防火性能

2015-02-09 22:48:36 | 伝統構法について
土塗り壁は防火性能があります



平成12年に建築基準法の改正が行われ、外壁や屋根の耐火構造、防火構造が見直されました。
それまで、建築基準法第22条の指定された区域(法22条区域)の外壁に「土塗り壁」や「土蔵造」も使用可能でしたが、改正と共に細かい仕様が規定されています。



市街地でも土塗り壁の外壁が使用できます


 防火構造(30分間の火災に耐える)

30分の火災に耐える構造として、土塗り壁が使用可能です。

1.外側に土塗り壁(裏返し塗りがされたもの)

2.内側に次のうちどれか

 〇厚さ9.5ミリ以上の石膏ボードを貼る

 〇厚さ75ミリ以上のグラウウール若しくはロックウールを充填した上に
  4ミリ以上の合板を貼る

となっています。



土塗り壁による防火構造の仕様


 準防火性能を有する外壁(20分間の火災に耐える)

法22条地域内にある建築物の(延焼の恐れのある)外壁に用いることのできる土塗り壁の構造です。

1.外側に土塗り壁(裏返し塗り無でも可能)
   +下見板でも可能

2.内側に次のうちどれか

 〇厚さ9.5ミリ以上の石膏ボードを貼る

 〇厚さ75ミリ以上のグラウウール若しくはロックウールを充填した上に
  4ミリ以上の合板を貼る

となっています。



法22条地域での外壁の土塗り壁仕様


以上の構造を駆使すれば・・



町屋の外観をそのまま残したリフォームが可能となります











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土塗り壁の耐震性

2015-02-07 01:27:20 | 伝統構法について
新潟県中越地震で被災した土蔵です
構造が傾き、土壁は崩れ、再起不能の様な気もしますが・・・・


土塗り壁自体には耐震壁としての能力は意外に乏しいものです。(とは言え、ちゃんとした仕様だと壁倍率2.5まで行けます)
どちらかというと、「耐震」と言うよりは、壁自体が崩壊することで振動のエネルギーを吸収していく「吸震」構造となります。



壁が崩壊することで地震のエネルギーを吸収していきます


壁が崩れ、コマイがむき出しになりますが、
構造はちゃんと残っています



土壁を取り去り、屋根葺き材を降ろして構造を復旧します


練った壁土を再び塗り込んで使用します


壁が傷んだとしても、再度練り直して使うことが出来るので、何度地震が来ても再生できる体力壁なのです。現在の建築基準法では1回地震が来れば、次の地震での保障が難しく、構造や耐力壁を補修する必要があります。木造ならば構造が傷んでいなければ体力壁と金物を補強してやれば済みますが、コンクリート造や鉄骨造の場合は簡単に補修はできません。多大な費用と時間が必要となります。そういった面では、災害が起きても容易に復旧が可能なリーズナブルな構造と言えます。


土塗り壁へ・・








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呼吸している土塗り壁

2015-02-06 13:38:10 | 伝統構法について
天然素材で作られた土塗り壁は
様々な機能が備わっています


自然のサイクルに沿って天然の材料を用いた土塗り壁はリサイクルが利くエコな素材なだけではなく、室内環境を健全に整える機能も併せ持ちます。
大きく分けると次のような機能です。

1.調湿機能
2.空気中の埃や細菌を吸着する



調湿機能

空気中の湿気が多い時は、壁内に水分を取り込み
乾燥している時は、壁内の水分を放出して
室内空気の調湿を行います

壁材の構造

土塗り壁を拡大すると、その所々に細かい隙間があり、
ここに空気中の水分や浮遊物を取り込みます。


壁内部の細かい空隙に住み着いている微生物は空気中から取り込んだ水や埃を餌にして活動をします。この細菌が活性化すれば「発酵」の状態となり、腐敗菌や病原菌の活動を抑える効果があります。微生物の活動の場となる土塗り壁は、まさに「生きた材料」なのです。

強制的に土塗り壁を活性化したい場合は、土塗り壁の表面に有用な菌(酵母や乳酸菌類等)を希釈して混ぜた水を噴霧すれば良いと思います。市販の加湿器に有用な微生物を入れて空気中に放散させるのも一つの手段です。


土塗り壁へ・・






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リサイクルできる土壁

2015-02-05 22:02:17 | 伝統構法について
土壁の材料は何度も練り直してリサイクルされてきました




土塗り壁の材料は、
何世代も繰り返し使われています


土壁を解体して、
出た土を練り直し、
再び土壁の材料として使います


土壁を拡大してみると・・・



砂の周りに細かい粒子が集まり、それを粘性質が取り囲んで固まった構造です。
所々に空隙(隙間)があり、ここに空気中の水分や埃を取り込みます。
また、何度も繰り返して使う事で、善玉菌が繁殖し発酵してきます。

発酵した状態だと、腐敗菌の活動が抑えられます。


発酵の話へ・・

呼吸をしている土塗り壁へ・・


土塗り壁へ・・






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土塗り壁の工程

2015-02-04 21:30:14 | 伝統構法について
土塗り壁の塗り方です


昔から伝わる土塗り壁は、その地方ごとに材料や工法が微妙に異なりますが、大まかには次のような工程で作られています。

1.柱と柱の間に「通し貫(とおしぬき)」を設置する
2.通し貫に「コマイ」を編む
3.コマイに練った土を塗る

コマイに関しては、他地方では竹を用いるのが一般的の様ですが、新潟県ではアシを数本束ねた物が使われます。竹よりも水辺に生えるアシの方が豊富に採れたようで、これを利用していました。


コマイ壁下地の作り方


格子状に組まれたコマイに練り土を塗って行きます


土塗り壁の塗り方

表から塗って、裏に出た固まりをコテで仕上げます


練り土を塗った後、しばらく放置して完全に乾ききるのを待ちます。



乾くと表面にひびが入るので
ヒビを埋めながら練り土を薄く表面に重ね塗りをします。
中塗り:なかぬり

更に中塗り面が乾いてから
表面を仕上げます。
上塗り:うわぬり



この様に土壁を仕上げるのには何工程もかかるのです。

壁を塗る時期は土が乾く夏の間が良いとされています。また、壁の下地になるコマイは冬の間に左官屋さんが作り置きをしていたそうです。



夏場に壁を塗ってヒビを入れる


冬場にコマイの材料を用意しておきます


自然に逆らわないサイクルで季節に沿った作業をすることで、日本の風土に合った壁が作られていました。


関連記事

土塗り壁塗り替え工事

通し貫と土塗り壁


土塗り壁へ・・





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土塗り壁について

2015-02-04 12:17:01 | 伝統構法について
昔ながらの土塗り壁についてまとめました


 土塗り壁の基礎知識


土塗り壁とは??


土塗り壁の造り

土壁のリサイクル

呼吸をしている土塗り壁

土塗り壁の耐震性

土塗り壁の防火性能

土塗り壁の断熱性、気密性


 土塗り壁のリフォーム方法

土塗り壁を活かした断熱改修工事には大まかに2通りの方法があります。

 内貼り工法 (外観重視型)

 外貼り工法 (室内環境型)









伝統構法について

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既存住宅の耐震改修&断熱改修

2015-02-03 10:18:23 | リフォーム奮闘記
長岡市内で大規模な改修工事を行っています


昨年の暮れから進めていた住宅改修工事を進めています。
築50年の建物は、大きな地震を4度(長岡地震、新潟地震、中越地震、中越沖地震)も受け、大雪にも耐え抜いて土台が傾いてしまっています。また、断熱材も当時は殆ど入れていない土壁です。
外観も当時の鉄板貼りのままで見た目にも古しい感じがします。

それでも、この家を残したいというお客さんの強い要望に応えるべく、工事を行う事となりました。

改修内容としては、

1.土台の沈降の補修
2.耐震改修
3.断熱改修
4.耐久性の向上(維持)

となり、殆ど新築に近い工事です。
通常の工事だと、単に作業をこなすだけなのでしょうが、やはりこだわりを持ってしまう・・

付け加えて、

5.外観のデザインを改良
6.内観のデザインの改善

もやってみたい。
更に、3の断熱性能の向上に関してどれだけの成果があげられるか・・限りなく次世代省エネ住宅の仕様にもっていきたい。
限られた予算の中でどれだけの内容を盛り込めるか・・腕の見せ所です。


外観

高度経済成長期に建てられた感じの家ですが、意外に構造はしっかりしています

内部の解体

1階の床を全て解体します

解体後


地面の掘削

ベースと砕石の厚みを計算すると、30センチも掘って土を出さなければならない・・
重機は入れないので、全て手作業です

砕石の敷き込み

玄関から一輪車で運んで砕石を敷き込みます


配筋終了

砕石の上に、鉄筋を配置。
ここにコンクリートを打ちます

コンクリート打設

ポンプ車から玄関を回してコンクリートを打ち込んでいます。
新築と違って作業は大変です


延々とパイプを繋いでコンクリートを圧送・・・

コンクリート打設後

コンクリートが十分硬化してからジャッキアップを行います


工事期間が冬に入ってしまっている為、雪の時期はできるだけ内部工事を進めます。春を待って外部工事に取り掛かる準備にとりかかります。
その辺りは雪国の制約がかかってしまう・・



年末の大雪の時の作業でした・・・
やっぱり、長岡は雪国なんだな~

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