べんりや日記

住まいのこと、情報発信!

折板屋根 補修

2008-08-20 21:05:57 | リフォーム奮闘記


昨日は前線の通過に伴う局地的な豪雨が午前中続き、午後は曇ベース。
お盆前まで熱帯夜続きでしたが、最近は急に涼しくなっています。

もう、秋か?

と思わせる天候が続きます。
本当に、お盆前の暑さが嘘のようです。
中島町H邸の構造材塗り作業は、お盆休みまでずれ込み、休みは殆どとれない状態で、お盆明けに表具が終了。建具の取り付け、照明器具の取り付けと、ばたばたと進み、本日はお掃除やさんが入っています。
この24日に完成見学会を開催。その翌日に引越しの荷物を入れようというところまできました。
まさに、バタバタ・・

いつも「余裕」の文字が無いのがウチの会社の家作り・・

お盆の最中の深夜に「崖の上のポニョ」を観に行きましたが、宮崎アニメも最後の最後まで手をかけて、ぎりぎりに仕上がっていくということです。
そうやって、良い者を世に送り出そうという意気込みが感じられました。

最後の最後まで、柱磨きに没頭した暑い日々・・まさに「産みの苦しみ」でしたが、それなりに良いものに仕上がったと思います。

「カキシブを塗ると艶が出る」とか言われますが・・
実は、その前の
「研ぎ出し」の作業が左右する。

柱、梁に着色後、2度塗りの作業は少し薄い色を塗ります。
この時に、「研ぎ出し」をします。
乾くか乾かないかのうちに、雑巾や布切れで力を込めて拭く。
「お米を研ぐ」という、あんな感じの作業だと思っていただければいい。

これには、いくつかの目的があって、

①ベンガラ(朱色)の残った分を拭き取る。
②木目を浮き上がらせる
③艶を出す。

の要素があります。

そして、私の場合は、さらに

④気(魂)を入れる

という要素が入ります。
「家内安全」を願い、へそから力を込めて磨き上げる。(服霊を入れ込む?)
雑念や邪念があると、いいものが出来ない。
どちらかというと、無心のほうがいいのかも知れませんが、時には
「南無観世音菩薩・・救いたまえ、導きたまえ」
みたいな、宗教染みたことも・・

あ、宮崎アニメのシーンにありましたな・・
船で遭難しているときに、救われて、「南無阿弥陀仏・・」とか口にしてました。

海とか、山とか、自然のものは神聖なものとして、
また、一本一本の木は30年以上の、我々よりも長生の木の命を絶っているわけだから、やっぱり粗末にはできない。

そういう願いや念を入れてやるのが、私の最後の仕上げ。
かなり根気のいる作業で、35度を超える気温の中で、さすがに死ぬかと思いました。
カキシブはそれが乾いた後に塗ります。

カキシブの効果は、

①保護膜の形成
②撥水
③着色(焼け)
④下の色の定着

ですが、③に関しては、白木で無いのであまり効果は無いようです。
少し落ち着く感じになるか・・
④が一番期待している要素です。

カキシブ自体は、醗酵していて、かなり臭い。
建物の前を通った中学生が

「バナナの匂いがする」

と言っていましたが、丁度、バナナが腐りかけた感じの匂いか・・
元は、柿ですから・・

家に帰ると、臭いので、早く風呂に入らねばならないことになります。
塗ってる本人は、あまり気にならなくなるのですが、廻りは臭いらしい。

そして、もうひとつ
⑤醗酵による効酸化効果。

最後は微生物のお世話になるのですが、有用微生物による醗酵で、
「塑性型」
の方向へ持っていく。

世の中は、「プラスとマイナス」「塑性型と崩壊型」の相反する状態のどちらかになります。
人間にとっては、塑性の状態が健康に良いとされ、マイナスイオンが多い空間もこれに当たります。
「醗酵と腐敗」は善玉、悪玉の微生物がどちらが優勢かによって決まります。
食べ物は醗酵させれば保存も効き、長期間で食べられ、健康に良いのですが、腐敗したものを食べればたちまち腹を下してしまい、病気にもなる。

木材も、やはり同じで、醗酵すれば腐りずらくなる

という、善玉菌による醗酵の効果をねらえることも、カキシブを塗る要素の一つだと思います。
どちらにせよ、60坪もの建物の柱や梁を塗りつくすのは容易ではなく、
間に合わないので、夜な夜な(夜の12時くらいまで)作業をしていたこともあります。
(夜のほうが涼しいしね)



写真は、坂之上町にある物置の屋根です。
カキシブ塗りをして、他の仕事はほとんど手に付かず、細かい仕事が溜まっていたのですが、ようやく出来るようになってきた。

この屋根は、折版屋根が錆びてぼろぼろになっています。
穴が開いているところもあり、下に雨が漏っている状態。
貼りかえればいいのでしょうが、その予算もなく、とりあえず補修してもらいたいというところ。

シートだと、飛んだりやぶけたりするので、意味が無い。

防水屋さんにも塗装屋さんにもさじを投げられて、いよいよ最後の手段です。

「工夫してやってみる」

というのが、私の姿勢。
瓦の下葺き用のシートを細長く切って、折版に沿って敷いていき、防水テープで止める。
なんて一口で言っても、ここまでたどり着くのにどれだけ思案したことか・・
ホームセンターで素材を吟味したり、防水屋さんにも聞いてみたり・・
本当は屋上防水シートを使おうと思ったのですが、高価すぎるようで、最終的に瓦屋さんの素材となった。
それを30センチで切るのも大変な作業で、しかも裏に紙が貼ってあるので、それを剥さなければならない(これも大変。防水テープが利かないからね。)

そして、いざ、現場ですが、大穴が空いていて、これを一個一個ブチルテープと防水テープを使って補修。(これも大変。穴、大きいですから)
しかも、錆びててテープが利かないところもあり、掃除したりなんやらで、なかなか進まない。
下地から直してやらなければ、最後は水が漏ってしまう。
シートを頼るのではなく、やはり下地も重要。あるていど補修しなければ・・


そんなことまでして、どうなる?

みたいな感じになりますが、家に対する姿勢はいつでも同じ。
根性がなければ良いものはできない。

そんなことばっかりやってます。
たぶん、利益とか考えたら、しないのが当たり前。
何でも楽をしようとする。苦労しても仕方が無い。
そんな世の中なので、こういった作業は敬遠されてしまうのでしょうが、
誰かがやらなければならない。

それをするのが私。
コメント
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