何かをすれば何かが変わる

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そして行動を起こし、何かを生み出す。

「安全」のためのリスク学入門

2007-11-29 13:18:59 | Book Reviews
『「安全」のためのリスク学入門』 菅原努・著、昭和堂・発行、2005年8月10日。


p.10 私がこの本で皆さんにお伝えしたい「リスク」とは「どうしてもゼロにはならない〈危険の起こる確率〉を、多くの人が納得する形でゼロに近づけていく」ための考え方なのです。

p.177 安心したら安全は保てない、安全と安心は両立できない

 うーん、そうきたか・・・。これまで安全・安心が並列で記されることには違和感があり、安全があってこそ、安心につながるというように、安心は安全が確保されてこそ、と思ってきた。そうではなくて、安心してしまったら、安全が保てなくなるとは・・・、言われてみるとそうだ。

p.179 リスクアナリシスで適切な対応をしていけばいくほど、安全は高まります。しかし「世の中にゼロリスク」はあり得ない。」という前提で可能な限り低く、または許容できるレベルにリスクを抑えていこう。
 わずかとは言えリスクは常に存在する。だから安心せず、警戒を怠らないことで安全を保とう――ということなのです。

p.186 そもそも「安全に配慮したから安心」というのは、人のこころについて理解不足といえないでしょうか。少なくとも今は医療の現場においてこのような考え方は厳しく批判され、患者に対するインフォームド・コンセント(説明と納得)を十分果たした上で、初めて治療を始めるという考え方になっています。
 一方「安全と安心」では、施策やサービスを受ける存在としての一般市民や消費者が実は考慮されていません。ただ「こっちはこれだけ安全に尽力しているのだから、信用して安心しなさい」という一方的な主張があるだけで、判断材料を示し納得してもらうという姿勢がない。こんなことを放置していては「安心」にかこつけて安全のための監視や束縛など、人権を無視するような結果さえ招きかねないのではないでしょうか。

 しばしば「安全・安心」な医療と表現されていることが多いように思うが、安心かどうかは受け入れる側、医療サービスの提供を受ける側が思うことであって、安心を売り物のように言うのはおかしなことだ。安心を押し付けてはいけない。

p.187 「安心・安全」を混同し、並行して追及できるとする考え方は、明らかに科学的な思考とはいえないものであり、ましてやリスクの考え方とは全く相容れないものと言えます。

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