何かをすれば何かが変わる

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事故は、なぜ繰り返されるのか

2009-01-07 22:06:51 | Book Reviews
「事故は、なぜ繰り返されるのか ヒューマンファクターの分析 石橋明・著、中央労働災害防止協会、2006年1月20日

p.29 一般的に事故は単一の原因で起こることは少ないといわれている。いくつもの背後要因が鎖のようにつながっていてそれらを断ち切ることができなかったために、ついに事故に至るものと考えられている。これを事象の連鎖(チェーンオブイベント)と呼んでいる。したがって、一つの推定原因が浮かんだからといって、それだけを徹底的に改善すれば完璧な再発防止対策であるとするのは早計である。

p.30 高度な技術を導入したシステムを運転する分野では、緊張せよとか、指差し呼称せよという従来型の施策では対応しきれないのである。組織や一人一人の安全に関する価値観の問題であり、それを規範とする行動様式の問題なのではないだろうか。今、「組織の安全文化」が強く求められているのである。

p.36 わが国においては、被害者感情を理由に歴史的に過失者を責めてきた。故意なのか過失なのかではなく、被害の結果が重要視されてきたのである。その構図は、事故が発生すると、「悪いのは誰かを決め、処罰して一件落着」という、古典的パターンであった。しかし、この事故処理方法では、再発防止という点では何も解決せず、決して一件落着しないのである。

p.47 損害を伴い事故が発生した場合に、「注意義務」という手法で成り立っていた再発防止の概念は、高度な文明社会においてはすでに陳腐化してきているのである。複雑システムの中では、「当事者への注意喚起」では問題は解決しないのである。失敗の実態とその背後要因を正確に突き止めることによって、はじめてそこから対策を学ぶことが可能となる。

p.59 医療の分野では、古くからリスクマネジメントとは、医療事故に対する患者側のクレームないしは訴訟に対処するための管理手法と考えられてきた。しかし、近年では、医療の質を上げて、事故を未然に防ぐことが最も効果的なリスクマネジメントであると考えられるようになった。

p.70 表面化した事実だけでなくその背後に潜む背後要因を、主として人間の能力や限界、基本的特性などの視点から分析していく手法が、ヒューマンファクター分析なのである。

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