新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

マユミ:真弓(弓を作る木)

2005-11-15 06:48:34 | 植物観察1日1題
庭のマユミ:真弓(ニシキギ科ニシキギ属)についた僅かな実が色づいてきました。
日本各地の山野に普通にはえる小高木で、小枝は緑色ときに黄褐色をおび、老幹には深い裂け目がはいります。
雌雄異株で、当家のは雌株ですが、雄株が近所にないためか、毎年、実はつけるものの心細い数です。
それでも、熟した果は吊り下がって4個の稜があり、桃赤色の果皮が裂開した中から4個(通常)の紅赤色の種衣をかぶった種子を露出させて、秋空に美しくみえます。
和名は、昔この材で弓を作ったことに由来するそうです。

コマユミ:小真弓(翼を欠く錦木)

2005-11-14 06:20:32 | 植物観察1日1題
花や、実は昨日のニシキギと同じですが、枝に翼がないのがこのコマユミ:小真弓です。
花は5~6月に咲き、黄緑色で花弁は4枚、秋に小さい果実を1~2個吊り下げ、裂開すると赤い仮種皮に包まれた種子が出るところなど、すべてニシキギとおなじです。

ニシキギ:錦木(山を彩る錦の木)

2005-11-13 07:03:23 | 植物観察1日1題
この時期、山道を歩くと、赤い実を吊り下げた低い木をよくみかけます。
おおくは、ニシキギ科に属する木本で、特徴として、常緑または落葉の低木またはつる性で、花は葉腋からでる花序につき、よく発達した花盤を持ち、果実は多くは裂開し、赤い種子を露出します。
公園や庭によく植えられているニシキギ:錦木(ニシキギ科、ニシキギ属)は、秋の紅葉が美しいので錦にたとえられこの名がありますが、何といっても特徴は枝に硬いコルク状の翼を持つことです。
写真は高槻の奥の谷筋で見かけた木です。よくよくみると僅かですが枝に翼があったのでニシキギと見立てました。この翼は発達していませんが、ニシキギには変種が多いこと、園芸用には特徴を強調した改良がなされることが多いなどを考えてのことですが、確信がありません。
それにしても、低木ですが、ようやく色づき始めた秋の山辺に、ひときわ目立つ見事な紅葉でした。 

コウヤボウキ:高野箒(高野では竹箒の代用)

2005-11-12 05:46:29 | 植物観察1日1題
コウヤボウキ:高野箒(キク科コウヤボウキ属)は、山中の雑木林などの半日陰に普通にはえるやや木質の草本です。草本状の落葉小低木とする本もあります。
茎は細く硬くよく分枝して高さ60~70cmになり垂れ下がります。
卵形の葉は互生で3主脈が目立ち、短い1年枝の先に1個ずつつく頭花は、うすい紅色またはほとんど白色で、総苞の長さ13~14mmで短筒形、中には10数個の小筒状花があります。
弘法大師にまつわる話は草木、動物から土木にいたるまで数え切れないほどありますが、コウヤボウキの名の由来にも大師がでてきます。ひとつは、大師が美味しいので修行の妨げになると高野山に果物と竹を植えることを禁じたので竹箒の代わりにコウヤボウキで箒を作った、もうひとつは、高野に参詣するひとを食う大蛇がいたので大師が怒り竹箒の中に閉じ込めてしまった、それ以来高野では竹箒を使わない、といいうのですがあまりにもうそっぽく、ここはすなおに、高野山ではこの草を束ねて箒にしていたからこの名があるとしておきましょう。実際、高野山の麓に近い私の郷里ではコウヤボウキで箒を作っていました。

リンドウ:竜胆(空色の花弁に秋を映して)

2005-11-11 07:13:01 | 植物観察1日1題
リンドウ:竜胆(リンドウ科リンドウ属)は、本洲・四国・九州の山や丘陵地の草原、ときには林の中にでも見られる多年草です。この花が咲く頃は山野に秋が深まります。
リンドウの根は苦く健胃効果があります。中国から来た生薬のリンドウの根は龍胆(リュウタン)と呼ばれたのが、だんだんなまってリンドウになったといわれます。
リンドウの花は、花柄を持たず、数個ずつ束になってつき、空色で長さ5~6cm、裂片は5個あり、各裂片の間に副裂片があります。日を受けて咲き、陰ると凋みます。
子供のときどこででも見られたリンドウですが、いまでは人里近くでは見かけることも少なくなりました。
ここ高槻市の奥、二料地区の廃田の脇で、草を刈る農婦があちこちに咲くリンドウを一顧だにせず草刈機でなぎ倒していました。お願いして刈られたリンドウを一抱えほども頂いて帰りました。なにやら豊かな気持ちになりました。
持って帰ったリンドウを活けましたが、屋内でも昼間は開き、夜は凋んでいました。

ノブドウ:野葡萄(食べられずとも美しい実)

2005-11-10 07:01:46 | 植物観察1日1題
ノブドウ:野葡萄(ブドウ科ノブドウ属)は、日本各地、および朝鮮・中国の山野にはえるつる性で、基部がやや木質になる多年草です。茎は成長し数mにもなり、巻きひげは葉と対生し2又に分かれ各節につきます。野にある葡萄でノブドウという名ですが、秋、葉に対生し総状につく直径6~8mmの実は食べられません。でも、はじめうすい白緑色から、少し紫色を帯び、後に空色にかわり、同じ木、同じ房に異なった色の実が同時に見られて綺麗なものです。

リュウノウギク:竜脳菊(茎も葉も香る)

2005-11-09 06:54:09 | 植物観察1日1題
高槻市の奥、樫田地区の田んぼの脇にリュウノウギク:竜脳菊(キク科キク属)が咲いています。白くて大きめの花弁、3中裂する葉は、栽培種の原種となったといわれる仲間のノジギクとならんで“菊”らしい野菊のひとつです。本洲福島・新潟以西・四国・九州の日あたりのよい低山に生える多年草で、秋、3~4cmの花をつけ、舌状花は白、時に紅紫色を帯びます。
名の由来の竜脳は、重要な香料のひとつで、東南アジアに自生するフタバガキ科の竜脳樹からとれます。リュウノウギクの茎や葉を揉むとこの竜脳の香りがするのでこの名が付いています。
竜脳の香りは知りませんが、リュウノウギクの葉を嗅いだ限りでは、普通の菊の葉の香りでした。

コンギク:紺菊 (改良されても野草の風情)

2005-11-08 06:53:05 | 植物観察1日1題
いつの頃からか毎年秋になると、我が家の庭の片隅に咲く濃い紫色の野菊です。
ノコンギクから茎が丈夫で花が濃青紫色のものを選んで栽培化されたといわれる園芸品種のノコンギク:紺菊です。
花の色こそ変っていますが、改良された栽培種としては、全体として野草の風情をよく残している例といえます。手入れをしなくても、少しずつ場所を変えながら、毎年律儀に咲いてくれるのもうれしいことです。
昨日記事のノコンギクは、野にあるコンギクという意だとある本にありましたが、なぜノコンギクから改良されたコンギクの名前のほうが先にあったのか不思議なところです。

野菊(遠い郷愁)

2005-11-07 05:59:36 | 植物観察1日1題
“遠い山から吹いてくる こ寒い風にゆれながら、けだかく、きよくにおう花。
きれいな野菊、うすむらさきよ。“(文部省唱歌:作詞石森延男、作曲下総皖一)
小学校〈当時国民学校〉で習ったこの“野菊”という唱歌は、今でもよく覚えている好きな歌です。映画“野菊の如き君なりき”(昭和55年、木下恵介監督:原作、伊藤左千夫“野菊の墓“)もまたその叙情性で記憶にのこるものでした。
秋、山の辺に咲く野菊をみるとき、だれしも遠い昔の郷愁を呼び起こされます。
写真は高槻の奥、二料地区の廃田の畦で群生する、多分ノコンギク〈キク科、シオン属〉です。ノコンギクは、痩果に4~6mmの冠毛があることでヨメナと区別できます。春の若苗は食用にされます。
秋の草むらにひっそりと咲く風情が愛でられる野菊ですが、このように一面に咲き誇る野菊もまたよいものです。

ミヤマシキミ:深山樒(正月花にも・綾部君尾山にて⑦)

2005-11-06 06:45:11 | 植物観察1日1題
早春、消え残るはだら雪の中で蕾をつけていたミヤマシキミ:深山樒(ミカン科ミヤマシキミ属)(3月10日記事参照)が、10月末、場所は違いますが綾部君尾山で真っ赤な実をつけていました。
関東以西、四国、九州、台湾の山地に生える常緑の低木で、葉がシキミに似て山奥に生えるからこの名がありますが、シキミ科のシキミとはまったく別種で、こちらはミカン科に属します。雌雄異株で、花に香気があります。
液果は秋から翌春にかけて紅色に熟して美しいので正月のマンリョウの代用にされることもあるそうですが、仏様に供える樒を連想させる名前ですから、あまり一般的ではないと思うのですが。

アワブキ:泡吹(わかりやすい変な名前・綾部君尾山にて⑥)

2005-11-05 05:44:25 | 植物観察1日1題
昨日のチドリノキに次いで今日はアワブキと来ても別に大酒飲みの話ではありません。
綾部君尾山のトチノキの巨木の傍らにこれも大きな葉を持つアワブキ:泡吹(アブキ科アワブキ属)が赤い実をつけていました。材を燃やすと切り口から泡を出すのでこの名がついているのです。
本洲、九州の山地に生える落葉小高木ですが少なく、高さは10mくらい、大きな葉は長楕円形で長さ20cm幅8cmほどあります。葉質は薄く秋になると黄葉し、日光に透けて見事です。
今はまだ葉は緑ですが直径5mmほどの球形の果実は赤く熟していました。中には種子が1つ入っています。

チドリノキ:千鳥の木(楓に似ない楓・綾部君尾山にて⑤)

2005-11-04 07:00:24 | 植物観察1日1題
カエデのようなプロペラ状の果序があるのに、葉っぱはカエデのような切れ込みがないチドリノキ:千鳥の木)は、カエデ科カエデ属のれっきとしたカエデです。
本洲、四国、九州の低山帯に生える高さ7mくらいの落葉高木で、クマシデ属に似た葉をつけますが対生であることや、中脈が隆起していることなどで区別できます。もちろんカエデ独特の翼のついた実を見ればすぐわかります。
雌雄異株で、花は春に咲き雄花には花弁がありません。花の頃若葉の付け根に赤いへら形の鱗片葉をつけるのも特徴です。カエデですが紅葉しないで枯葉を冬の間もつけています。
和名の千鳥の木は果実を千鳥に見立てたもので、別名として山で薪(柴)になる木ということからヤマシバカエデ(山柴楓)があります。

シロダモ:白だも(花も実も同時に・綾部君尾山にて④)

2005-11-03 06:18:46 | 植物観察1日1題
君尾山の道端にシロダモ:白だも(クスノキ科、シロダモ属)の群生があり、赤い実が目を引きました。近づいて見ると同じ枝に黄色い花も咲いています。花は晩秋に咲き、直径1.5cmほどの楕円形の赤い果実は翌年の秋に実るので、花と実とが同時に見られるというわけです。
シロダモは、葉の裏が白いダモ(タブ)の意で、本洲、琉球から、南朝鮮、中国の暖帯に生える雌雄異株の常緑高木で、葉は硬質で三行脈が目立ちます。香りもあってクスノキ科の特徴を示しています。
書物には、種から蝋や油をとるとありますが、材を含めて実際にはあまり有用性はなく、よく見かける割には名が知られていない木のひとつです。

ムラサキシキブ:紫式部 (本人です・綾部君尾山にて③)

2005-11-02 06:57:18 | 植物観察1日1題
綾部市の君尾山で、雨に濡れて色も鮮やかなムラサキシキブ:紫式部(クマツヅラ科、ムラサキシキブ属)に出会いました。
優美な紫色の実を紫式部の名を借りて美化したといわれるとおり、花はごく地味ですが、秋、葉の付け根に多数かたまってつく紫色の実は、葉が落ちたあとも枝に残りとても美しいものです。
ムラサキシキブは日本中どこの山ででも見られるですが、実付きは必ずしも良くなく、日照や気候条件地質などが関係するのか、ここ君尾山のようにたくさんの実を色も鮮やかにつけるのはむしろ珍しい感じです。
園芸店で売られ、庭によく植えられている“紫式部”といわれるものは、多くは正しくはコムラサキシキブ(小紫式部)別名コシキブ(小式部)で、枝、葉、実ともやや小ぶりのムラサキシキブとは別の種です。本物より形も実の付きもよいので、あまり目くじらを立てるのも大人気ないというところでしょうか。

イイギリ:飯桐(秋山に目立つ赤い房・綾部君尾山にて②)

2005-11-01 06:57:26 | 植物観察1日1題
雨の中、綾部までトチノキ木の古木を見に行ったのには(昨日の記事参照)、もうひとつのお目当てがあり、珍しい飯桐の群落が赤い実を付けているという、案内してくれた知人の情報によるものでした。
イイギリ:飯桐(イイギリ科イイギリ属)は、本洲、台湾、中国に分布し、山中にややまれに生え、時として庭木にもされる、高さ15mにもなる落葉高木です。互生する葉は長さも幅も20cmほどあり、昔この葉で飯を包んだのでこの名があるそうです。
この木が有名なのは、なんといっても秋につける直径1cmほどの赤い液果です。枝いっぱいに、ちょうど南天の赤い実のように総状に垂れ下がっている姿は遠くからでもよく目立ちます。
大型の活け花の花材にもなるというこの実は、落葉後も鳥に食べ残されて、どうかすると翌年の5月ごろまでついていることがあるそうです。