(前回からの続き)
こちらの記事などに書いたように、アメリカのFRBが量的緩和策を止めることは極めて困難であり、PIIGS諸国のソブリン危機再燃(国債価格低下・利回り上昇で、PIIGS諸国が債務不履行の危機に陥ること)を恐れる欧州中央銀行も緩和的な金融政策を続ける以外に手がないだろう、と予想しています。つまり、資産バブル処理の先送りということですね・・・。
もしこの見方が正しければ、低金利とマネーじゃぶじゃぶ状態はこれからもしばらくは続くため、「大きすぎてつぶせない(Too Big to Fail:TBTF)」欧米金融機関のなかには、武器とか麻薬の売買などが絡むほどのブラックな取引に手を出すところが現れるだろうと考えています。なぜならそれはノーリスク・ハイリターン―――たっぷり利ザヤが稼げるうえ、万が一貸し倒れとなっても、TBTFということで免罪・救済されてしまうという、リスクフリーに近い商売だから・・・。
そんなわけで、紛争とかドラッグなどと深い関係のあるアブナイ国々と一部の金融機関との癒着は今後も減りそうにないな、と嘆息しつつ、一方で今回の米司法当局の仏銀BNPパリバに対する罰則適用がこれらの増加に歯止めをかけることになるかもしれない、とちょっぴりだけ期待を抱いています。こうした取引に関与すると厳しい制裁が科せられるぞ!ということが警告となって、緩和マネーがこれらから遠ざかろうとするから・・・って甘いかな?
まあ当局のペナルティーも必要ですが、本当に求められているのは国際金融業界のモラルだと感じています。でもTBTFを錦の御旗に掲げる彼らに自浄作用なんて望めるのか・・・。
近い将来、高い確率で欧米諸国は資産バブルの最終清算ステージを迎えるでしょう。そのとき緩和マネーは欧米内外のリスク資産から一斉に逃げ出すことになります。おそらくは本稿で綴ってきたようなところからも・・・ということで、武器売買だとかマネーロンダリングなどといったアングラな分野への資金供給が真に断たれるきっかけとなるのは、当局の取り締まり強化とか(望み薄の?)金融界の自発的なモラル向上などではなく、このバブル崩壊なのではないだろうか、などと思っています。
(「要注目!米当局による仏銀制裁問題」おわり)
金融・投資(全般) ブログランキングへ