世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

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次の日銀総裁にふさわしい方は・・・③

2013-02-13 00:04:45 | 日本

(前回からの続き)

 つぎに「投資誘導」について。

 アベノミクス」には、実質マイナス金利状態にもっていくことで、豊富な資金を持っている日本企業の設備投資を促したいという狙いがあるのでしょう。しかし、そう都合よくいくのかどうか・・・。

 先日、欧米諸国の金融緩和に関連して、ここに次のように書きました―――。

(引用はじめ)----------
・・・現状の先行き不透明な欧米経済で、いくら金融緩和を行って市場に低利資金を供給しても、金融機関や大手企業の多くは企業融資や設備投資などの本業を進めることはせず、この資金を借り受けて少しでも利回りの良い債券や商品等に投資して利ざやを稼ぐという「キャリートレード」に走るばかりではないでしょうか。・・・
----------(引用おわり)

―――わが国もこれと同じようになってしまいそうな気がするのです。つまり企業は「設備投資」はそれほど行わず、余剰資金をキャリートレードのような「財テク投資」にまわすのではないか、ということ。なぜなら、欧米経済が本当に回復軌道に乗ったのかどうかはっきりしないうえ、わが国では内需振興のかぎを握る個人消費の回復が見込めそうにないからです。そしてその原因は、市民の給与収入がインフレ率ほどには増えそうにないこと・・・。

 安倍首相は「インフレ率2%を実現する!」と盛んにアピールしていますが、一方で「給与や賃金の上昇率2%を実現する!」とは決して言いません。もう少し正確には「言えません」といったところではないでしょうか。というのも、インフレに見合う分、市民の実質収入を引き上げよう!という意欲や具体策が安倍政権には不足しているように感じられるからです。

 たとえば安倍政権は先日、地方公務員の給与を2013年度中に国家公務員並みに引き下げるよう各自治体に要請しています(それはそれで仕方がない面はありますが・・・)。そして民間企業のほうも、今年の春闘に関連して経団連会長が「定期昇給凍結もありうる」と発言するなど、一部を除けば勤労者の給料がこの先増える気配はとても感じられません。一応、安倍政権は、従業員の賃上げを決定した企業を褒めてみたり、経済団体に賃上げを要請したりしていますが・・・。

 一方で2%も物価が上がれば、預貯金金利が極めて低い現状で、年金受給者を含む大多数の市民の実質所得は減って生活は苦しくなる一方(とほほ・・・)。そんな情勢では、わが国のGDPの60%を占める個人消費は盛り上がるはずもなく、企業も売り上げ増加が見込めないから設備投資を手控えてキャリートレードに手を染め、沸き立つのは緩和マネーが流入する金融マーケットだけ・・・。
 
 そうです。結局、行き着く先は「バブルではないでしょうか。実質マイナス金利のもとでは預貯金しても資産が目減りしてしまうから、企業も個人も少しでも高い利回りを求めて預貯金から株や商品などへマネーをシフトさせるでしょう。実需をともなわない「安倍バブル」の発生です。かくして日本経済も欧米諸国と同じくカジノ化していくのでしょうか。バブルはさまざまな意味で空虚で危険なことをわたしたちは知っているはずなのに・・・。

 以上、やや悲観的過ぎたかな、と思いつつ、「円高是正」と「投資誘導」の2つを目的に、インフレ率2%の実現を掲げて推進される「アベノミクス」金融政策がもたらしそうなリスクについて述べてみました。

 まあ正直に言うと、現状の日本経済および世界経済の情勢からみて、このインフレ率2%の到達は相当にハードルが高い目標だなとの印象を持っています。そしてこれを短い期間で達成しようとして無理をすれば、上記のような悪影響が日本経済と国民生活にダメージを与えるおそれが高いと思われます。

 したがって、まもなく選出される日銀の新総裁、そして日本政府には、決してあせることなく、末長~いスパンでの同目標達成を目指していただきたいものだと思っています。

(続き)

コメント
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