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次の日銀総裁にふさわしい方は・・・①

2013-02-09 00:03:27 | 日本

 先日、任期満了前の3月19日での退任を表明した白川方明日銀総裁の後任人事に注目が集まっています

 当然ですが、激動が予想される今後5年間のわが国の金融政策をリードする日銀トップを誰に託すか、については、政権党首や総理大臣が誰になるか、と同じくらい、あるいはそれ以上に重要な決定事項となるでしょう。

 ところで現在の白川総裁の金融政策に関しては、とくに民主党政権後期から現在の安倍政権に至る期間においては、欧米諸国の中央銀行に比べて穏やかな金融緩和姿勢などについて、どちらかといえば批判的な見方をされることが多かったように感じられます。だからこそ、日銀総裁の任期途中での解任についての条項を盛り込もう、などといった日銀法の改正議論が起こっているのでしょう。

 個人的には、これまでの白川日銀の舵取りを高く評価しています。この5年間には、2008年秋のリーマン・ショック、そして2011年3月の東日本大震災など、難しく厳しい局面がありましたが、日銀はそのつど適切な方向性を打ち出すとともに的確なオペレーションを展開し、中央銀行の目的である「物価の安定および金融システムの安定」(日銀HP)を達成してきたと思っています。

 実際、この間(2007~2012年)のわが国の通算インフレ率はマイナス1%程度(2007年を100とした場合)と、派手な量的緩和等の副作用でインフレが目立った世界各国と比べれば、物価の推移は非常に安定したもの(緩やかなデフレ傾向)となりました。そしてわが国の金融システムのほうも、リーマン・ショックなどによる世界的な市場の動揺や混乱があったにもかかわらず、主要金融機関の財務体質や格付けが改善傾向にあることや低い銀行間取引金利等に表れているように、これまたたいへん安定的にコントロールされてきたと思っています。

 昨年2月には、当時の大方の市場予想に反して、「インフレ率1%」を明確な目標に掲げた金融緩和策の実施を表明しました。これは実質ゼロ金利という、「物価の安定」という中銀の目的を維持するギリギリのラインでの金融政策であり、その意味で「日銀はやるべきことはやった・・・(あとは政治の側の政策次第)」というのが個人的な見方です。

 もっとも冒頭に記したように、そんな白川日銀に対しては「インフレを警戒するあまり金融緩和に及び腰で、結果として円高とデフレを招いた」といった趣旨のネガティブな評価が少なくありません。

 しかしこの間の円高は、欧米諸国をはじめとする世界金融市場の動揺でマネーが相対的に安全な円・日本国債に流れ込んだことや、各種バブル崩壊による借金負担を軽減することなどを目的に、欧米中銀が実質マイナス金利政策という、通貨価値を貶めるような「掟破り」(「物価の安定」に反するという意味)の異常な量的緩和策をとっていることの反映でしょう(このあたりは「インフレファイター」と呼ばれた旧ドイツ連銀出身者がECBの役員を相次いで辞任したことなどにも表れていると思います)。だからもし苦言を呈するとしたらその対象は通貨管理の規律を崩した欧米中銀のほうであって、日銀を責めるのはまったくの筋違いなのではないでしょうか。

 デフレについても、その原因は日銀の金融政策にあるのではなく政治の不作為にあると考えています。主要国で一番低い調達金利、輸入原材料の円高にともなう円建て価格の低下、経常黒字がもたらす国内の超過貯蓄などの好条件がそろっているにもかかわらず、この間の政府および政権党は、財政再建に神経質になり過ぎるあまり、財政出動(公共投資拡大等)を通じた内需振興策を取らず、結果として目下の最大の課題であるデフレギャップの解消に成功していないということです。

 といったように個人的には、白川日銀は中銀としての責務をしっかり果たしてきたと思うとともに、その間の政治面からの政策の不十分さに歯がゆさを感じているところです(だからこそ「アベノミクス」の財政政策「国土強靭化」には大いに期待しているわけですが・・・)。

(続く)

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