骨太の方針として掲げた「より早期に全国加重平均1000円の最低賃金」の実現は、掛け声倒れに終わった。
なにを骨太の方針というのか、無策で臨んだ賃金交渉の目安は、ただ3%以上を実現する、という、前年並みの実績しか実現できない。
実行力を売り物にしている安部内閣としては、野党に嗤われる。
このお粗末な結果は、中小企業が加盟する日本商工会議所の反対要望に屈したことが原因だ。
「雇用や事業の存続自体をも危うくする」との抵抗の理由である。
どこかで聞いたことがある、脅し文句に聞こえるが、最後の経営責任を負うのは経営者だから、必死に抵抗する姿勢はわかる。
それを、安部首相は、「無理やり最低賃金を引上げていくことで、失業率が増えることにもなる」と、参議院選の当日に白旗を上げた。
結局、前年並みの平均3%増額、そして、東京都と最低賃金の格差が拡大した鹿児島県、この悪弊の実情を変える力は皆無であった。
かっての貿易自由化の波に晒された産業界では、人件費の抑制に、解雇が自由な非正規社員の枠を増やし続けて、企業経営を優先した。
その結果は、【非正規雇用社員の比率が4割を超える格差社会が拡大】して、長期のデフレ経済の原因を積み重ねてしまった。
この時も、経団連が主導して、雇用や事業の存続には、【非正規雇用社員の拡大が不可欠】だと、声高に叫んだのである。
不幸の始まりだ。