宅配便最大手のヤマトは、違法な長時間労働が常態化する「宅配ドライバー」の待遇改善に、費用を当てるために「個人客向けの基本運賃を値上げ」する。
2017年9月から実施予定で、平均15%程度の値上りになる。
大口の法人客向けの不採算の取り扱いを減らしてでも、宅配ドライバーの給与の改善は、必須の課題である。
今後、1000社の法人取引作との交渉になるが、「労働ダンピングを強いる低価格運賃」を要求する法人企業とは、取引をやめる覚悟もしている。
取引先企業は、合理的な値上げ分は、潔く運賃値上げの了承をすべきだろう。
今までの経営は、働く人たちの労働の対価を減らしてでも、売上の維持や成長を狙って、労働強化する経営がまかり通る状態だった。
その結果が、【違法残業の蔓延と残業代不払い】を常態化させて、一流企業のモラルにも反する闇の違法が横行して、社会的な問題をひき起こす原因となった。
ヤマトは、違法残業の不払い分を過去にさかのぼって調査して、明らかになった分は、全て従業員に支払う。
このような事態を招いた会長、社長らに「責任を明確にする役員報酬減額」を実施して、今までの姿勢の転換を明確にすると発表している。
成長を最優先する経営と、滅私奉公をよしとする労働条件を転換する時期である。
宅配便の事業に限らず、今までは売上の増加が至上命令であり、その責務を経営陣に押し付ける「株主最優先経済」が、破綻する流れとなった。
デフレ下の経済では、値上げが問題視されたが、それを避けるために「従業員の給与を抑制して」、労働の強化を押し付ける経営が横行した。
これによって得た利益は、富裕層と海外の株主の配当となって、日本の国内にはほとんど還元しない。
それゆえに、国内での消費購買力が減少するばかりで、デフレを深刻化させてきたのだ。
まずはじめに改善すべきは、低次元の「違法労働の横行」を、確実に排除する断固たる処置をとる。
残業代不払いや、闇残業、サービス残業も排除する潮流をつくるべきだ。
有給休暇取得の徹底も、先進国並みに実現する法的処置も、実行すべきだろう。
少なくとも、一部上場企業の有給取得率を、100%目標にすべきだ。
それによって、人手が不足するならば、常時の正規社員の増員をすべきであり、
それが、正社員の給与増加への切替チャンスになる。
それでは経営が成り立たないと言う経営者には、退陣させるくらいの姿勢が必要であり、法規的な制裁処置を実現していくことが、労働条件を改善する。
日本の経済界は、国際競争力の維持を盾にとって、労働環境の悪化を招いても、責任を回避してきた結果が、悪質な労働条件を招いてしまったのだ。