政治家の役割は、民間企業や個人の力が及ばない長期的な施策や、大きな金額が継続的に投入する必要のある政策を提示して実現する。
これを怠ってきた安部政権は、怠慢の誹りを受けるに値する。
経済を活性化させる大きな要因は、一人当たりの付加価値を増加させる「生産性の継続的向上」であることは、言うまでもない。
その上で、付加価値を生みにくくなった事業を、緩やかに退出させて、将来の主要な基幹産業の育成に必要な投資環境を最大にすることだ。
退出した事業や、生産性向上によって生み出された勤労者の活力を、新技術や新発想によって創造される新事業に振り向けていく。
これが、資本主義社会での「スクラップ$ビルド」の基本理念である。
ところが安部政権の実施したことは、超金融緩和でお金が潤沢に供給されれば、生産性向上もイノベーション育成もできると考えた。
これがおおきな間違いで、ゆとりのできたお金は、退出すべき事業、いわゆるゾンビ事業を延命させて、投資効率の悪い企業を増やした。イノベーションを生み出さない企業に、優良な人材の能力を縛り付けて、失敗の少ない仕事ばかりを優先させて過ごしてきた。
これでは、若い人も、やる気のある人も、生産性向上からは締め出され、従来どうりの慣習の中に埋没するだけだ。
これで、6年間は、ほとんど、守旧派産業のお守りに、費やされたのだ。