庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

公共設備の無計画な投資はなぜ起こるのか?その元凶は。

2009-10-16 | 交通問題・自動車
来年度予算の話題がいよいよ本格化して、マスコミのトップページを賑わしている。
国民生活の基盤となる国政の動きで、生活が良くも悪くもなるから、多くの人が関心も持って見守り、おかしなことが在ったら、積極的に疑問や意見を投じることは良い傾向である。
今までの官僚主体の保守政権では、圧力団体以外の発言はどうせ役に立たないとして、発信をしない人が多かったが、これからは機会をとらえて発言する人が増えるであろう。

このブログでは交通問題を重点に採りあげてきているが、1980年代以降に行われた交通関係の無駄な投資が日本全体の国力を損なっていることが、大きな課題であると考えているからである。
その中で、道路と空港の話題を採りあげたが、利用者にとっては満足度が高いレベルとは言えない。
その割には多額の税金を投入して、空港や高規格道路(高速道路を含む)が大量に造られて、ほとんど利用されないで無駄に終わっている。
このような事態はなぜ起こるのか?
それをなくすにはどうするか?がこれからの重要な課題である。

前回、採りあげた地方の空港についてもう少し掘り下げてみよう。
マスコミでは空港の整備に使われる、国土交通省所管の空港整備特別会計の制度が問題であると言う。
これは、既存の空港を利用する航空会社と乗客から空港使用の費用を上乗せして徴収し、それを国全体でプールして、空港の整備、拡充や新設空港の開設費用に充てる制度である。
一時期までは、この制度で空港の新設と整備が進んだが、ある一定程度の段階からは、不採算が解っている新設空港にも、お金が投じられるようになった。

それは、日本の国の均衡ある発展を目指すという大義名分のもとに、各県に一つ以上の空港が必要だとなってしまった。
県のメンツにかけても新規空港を完成させることが、県知事として使命のような空気がつくられてしまったことによる。
新設空港の開港資金を県が負担することで、空港の特別会計のお金を引き出し、とにかく開設することが優先してしまう。
その後の利用者を開拓する政策もなく、借金した予算で背伸びして造ってしまうものだから、その後の利用者の要望などは、置き去りにされるので、ますます、利用者離れを招く。
県知事の方は4年で、交代してしまうので、その責任のとりようはなく、誰も後始末に力をいれない。

霞が関にいる国土交通省の官僚は、地域が強く要望し、お金も半分は出しているから、国の法律に従って特別会計から支出をしている。
誰も責任の取らない体制のままに20年以上も過ぎ去ってしまった。
これらを全体的に管理、運営する政権の座にいた自民党は、すでに、責任のない野党に転落しているので、その負の遺産のツケを払うものはいない。
さあどうするのがよいのか?

空港は海外と結ぶ重要なインフラであり、昔のように国の玄関口は数か所で良いという時代ではない。
地域の経済規模から考えれば、従来から提案されている州制度の考えにもとずいて、州政府単位で将来の航空利用の需要と計画を想定して、それに沿った重点整備空港に投資を集中する必要がある。
そのためには、県ごとの要求を受ける制度から離れて、州単位での将来の交通体系と計画構想を立案、提示した上で、重点的な投資の計画を決定すべきである。

民主党は地域主権を公約に掲げているのであるから、交通体系計画の立案責任を地域に移管することが必要である。
この交通計画こそ、地域主権の力を育成する足がかりに設定すべきであろう。

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