再生可能エネルギーの分野では、技術進化が著しく進んで、日本が得意としていた「太陽光発電関連の機器類」の産業化では、海外勢が進んでしまった。
この分野への新規参入や、研究開発投資、量産設備の画期的な大規模投資などで、国の経済活動の活性化に大きく貢献している。
その反面では、開発競争に敗退して赤字事業となる企業も続出している。
また、世界の主流は「風力発電産業」の拡大であり、今や新規建設の分野では、「火力発電を上回る規模で風力発電の新規建設」が進みだしている。
日本の安倍政権は、このような世界の潮流を理解できずに、いまだに、「原子力発電の維持政策」にこだわり続けている。
これは、新規産業としての「再生可能エネルギー分野への研究開発投資」を、政府が邪魔しているようなものである。
九州電力管内では、原発の再稼動を優先したために、新規の太陽光発電や風力発電の建設投資を中止する企業が続出した。
それは明らかに、経済活性化の足を引っ張り、将来への投資を抑制する効果しかない。
このような安倍政権の「旧時代電力産業」の保護が、新時代電力産業となる「太陽光発電事業にとって、大きなブレーキ役となっている実態がある。
2014年度までは、再生可能電力の固定価格買取制度(通称FIT)によって、大幅な成長を遂げてきた「太陽光発電関連の投資」が、大きな減速を強いられた。
最近に公表された「太陽光発電の発電モジュールの出荷額」は、2016年度第一四半期には、前年同期に比べて26%マイナスの実績となった。
この総額には、外国産も含まれるが、国内での太陽電池モジュール生産工場が大幅な減産を強いられている実情を伝えている。
なぜ、21世紀の成長産業と位置づけて、多くの補助金と、「電力消費者が負担する再生可能電力賦課金」でのお金で、支えた事業が頓挫するのか。
それは、安倍政権の「旧時代電力産業の保護政策」に原因がある。
送電線網の画期的な強化政策を放棄して、既存の電力会社の「弱体な送電線網に依存したまま」の体勢でいるからだ。
特に、九州電力管内では、原発の再稼動もあって、電力消費の最小限度の時期と時間帯には、太陽光発電の電力が過剰となる懸念で、送電線網への接続を拒否することに、契約変更が進んでしまった。
これでは、太陽光発電の設置事業者が、損害のリスクを負うことになるので、一気に新規設置事業が減少する事態になったのである。
この責任は安倍政権の後ろ向きの「再生可能電力政策」にあるが、批判する野党の民主党(現在は民進党)にも、大いに反省すべき【無為無策時代】があった。
2012年の政権末期から、政策検討を全く進めてこなかった無責任さである。(続)