日本の経済活性化には、「大企業とお金持ちを儲けさせて、その恩恵を一般国民に広がる様にする」と言う説明が、安倍内閣の基本的な方針である。
しかし、この「トリクルダウン効果」は、今では怪しい理屈と判明している。
経済発展してきたアメリカ社会では、この30年くらいの間に、富裕層と雇われる人との所得格差は拡大する一方であった。
日本の企業はアメリカ型ではないから、従業員を大切にして給料を増やす筈だ、という期待は、この10年間の実績によって裏切られている。
この20年間の経済停滞の最大原因は、人件費の削減、労働分配率を引き下げる企業活動であることは、今や明確になっている。
安倍自民党政権も、アベノミクスの恩恵を受けた大企業に向けて、儲かった利益を従業員の給料アップに向ける様に、要請をしている。
だが、ホンの一部の企業しか、それには応じられないで、甘い期待に終わるだろうし、中規模以下の企業や輸出関連の少ない企業は、それこそ、給料削減をしたい過酷な環境になる。
アベノミクスの円安誘導は、人件費の削減促進と同じ影響を及ぼすのだ。
企業活動が何よりも利益の確保を最優先するのは、当たり前の行動である。
1990年代から、地球環境問題が社会的にクローズアップされて、環境に害する行動は、企業に一定の規制を課さなければならないとされた。
経団連を始めとして、企業は利益を減少させる規制に反対してきたが、先進国の責務として、政府は法的な規制を進めてきた。
これにより、不十分ではあるが、環境悪化の方向を転じる方向に進んでいる。
2000年代の最大問題は、デフレ経済化に向かって先進国の大半が進み、経済破壊の危険性が増している。
この対策にもっとも有効と考えられているのは、低所得者の給与を引きあげて、総需要の増加を引き出す政策が必要になっている。
企業は自由活動に任せると、際限なく「人件費を削減する」行動に走りだす。
正社員の比率を下げて、出来るだけ外注化し、パート従業員で賄える様に経営の合理化に進む。
その歯止めになるのは、「最低賃金制度」があるだけで、現在の先進国経済の転換には、この『最低賃金の引きあげ』が、まず一番に実施されるべきである。
ところが企業経営者は、開口一番に反対し、それでは経済が悪化すると言う。(続)