日本の電力を再生可能エネルギーに依存する割合を増やすことには、国民のほぼ全数、政党で反対を唱えるところはどこにも見当たらない。
その中でも、「風力発電が大きな将来性」を持っていることにも異論はない。
しかし、世界は風力発電の普及に加速が起きているのに、日本だけは普及にブレーキがかかったままである。
風力発電の普及量で2010年の世界13位は、2013年には18位に後退した。
まさに風力発電の最後進国に転落してしまったのである。
この原因には、電力会社の風力発電嫌いによる妨害も大きいが、政治家、責任官庁の怠慢も大きな原因になっている。
風力発電の建設には1年もかからないのに、【環境アセスには3年以上かかる】現実には全く手がつけられずに、事業者に大きな負担を強いているのだ。
陸上風力の場合は「農地の転用」を伴うケースが多いが、その転用許可が「農水省の利権と非効率」でブレーキがかかったままである。
風力発電による電力の供給メリットと、農地減少によるデメリットの差し引きは、簡単な算術でも出せるのに、日本の国益の観念が全く農水省にはない。
これらの、政治家と行政に怠慢を助長するのが、先に書いた【エネルギーの似非専門家による偏見の批判】が、風力発電の将来性に水をかけ続けている。
この事態に加担してしまうのが、「再生可能エネルギーの信仰者」の発言がある。
これは太陽光発電の場合は顕著だが、発電能力と発電総量の間には、大きな違いがあるにも拘わらず、太陽光発電を誇大に持ち上げる情緒的推進論である。
火力発電の場合は、設備利用率が、60~90%程度に達するが、太陽光発電では日本の日照条件では、10~14%程度になる。
つまり、火力発電の6分の1の発電量になることを計算しないで、発言する。
風力発電設備も、陸上風力の場合は、20~30%の設備利用率で、火力発電の3分の1程度の発電量である。
この事実をわきまえないで、「太陽光、風力発電」の普及量の規模を過大に宣伝すると、批判者側はその点を目立つ様に「間違いを指摘して、鬼の首をとった様に信仰者の愚かさを断罪する」ことで、自分の正当性を浮き彫りにする。
これを見た一般の国民は、再生可能エネルギーの未熟さを懸念して、将来性に不安を持つので、政治家も行政も怠慢ぶりを、ホウカムリしても見過ごされる。
この様な状況で、再生可能エネルギー産業で、世界から大きく遅れたのだ。