日本の経済は大企業の成功なくしては成り立たない、と多くの国民は思っているので、経済の活性化を図るなら、大企業の要求を極力、優先的に取り入れることが必要である。
これは、グローバル化経済が進展するまでは、正しい認識であった。
ところが、資本の自由化が進み、金融業のグローバル化が世界を支配すると、大企業の成功による利潤は、その企業の国籍などは関係なしに、もっとも投資効率の良い国に移転してしまうのである。
これは現代の社会が「資本主義経済」を採用している限りは、宿命であると受け入れるしかない。
資本主義は非合理で悪い制度であるが、今のところ「これに勝る制度はない」からと、多くの国が採用するにいたった。
ところが、その弊害が目立って「社会不安を引き起こす制度」として、非難をされる時代に入ったのである。
特にアメリカ経済においては、「1%の超富裕層を生み、99%の貧困層が喘ぐ社会」を引き起こした。
これは極端な非難かもしれないが、このママ突き進んで行けば「世界中の資本主義国」は、格差が拡大する一方の経済不安定社会に落ち込むであろう。
日本は今、アベノミクスの経済政策によって、10%の富裕層を潤わせ、90%の国民が物価上昇と消費税アップによる生活困窮度が上がり続ける。
安倍政権は、この批判をかわす為に、「大企業に賃金ベアアップ」を要請しているが、ホンの一部の輸出関連企業しか、応じる気配はない。
その企業もいつかは円高傾向に転じる可能性が大きいので、内部留保に努めるか、海外への業務移転を経営方針の基本として堅持する。
有識者の代表の様なポーズを採るマスコミは、「政府が企業の賃金に介入するのは本来は避けるべきであるが」、企業が働く人への配分を増やす必要性がある。だから、政府の要請に応える必要がある、としたり顔で述べる。
この様に日本の【賃金デフレ】を招いた【共同責任を負うべきマスメディア関係者】は、20年前の常識を掲げて、優柔不断のきれいごとに終始する。
今の時代では、政府が民間企業の賃金上昇に働きかけ、最低賃金の増加の規制を強めるのは、『格差是正に向けての第一歩』であることは明らかである。
それを実行する時期はいつなのか、『今でしょ!』。