これからの超大型台風の襲来に備えて、地方の中小河川の堤防を強化する必要があることは確かである。
それでも緊急の増水時には、堤防を乗り越える最高水位に到達する危険性も残っている。
そこで緊急の事態には、必要箇所で河川増水を乗り越えさせて遊水地に誘導して、一時的に貯溜をする治水設備が適切である。
これは、首都圏の超高額の遊水池ではなく、河川部沿岸の農地を緊急時に貯水施設にすることを、地域社会で同意することが前提だ。
もちろん、農地を提供した農業者には、応分以上の謝礼金を支払われる制度を作る必要がある。
その資金を貯蓄する目的で、遊水地エリアの土手を利用して、「太陽光発電の設備を建設」するのである。
この太陽光発電による売電収入は、設備の償却と同時に、緊急時の貯留水による水没で、農家の耕作物の損害に対する補償金にできる。
これらの技術と制度は、現在でも容易に実現することが可能だ。
遊水地の建設工事と、太陽光発電設置の補助金は、治水計画の一部に盛り込んで、地元の負担金はゼロにできるから、予算不足はない。
国土交通省の堤防建設計画だけに依存していては、いつまでたっても「安全になる治水設備レベル」は完成しない。
地域主導で活動できる、『自律的な治水設備の実現』を始めるのだ。(続)