世界の潮流は【新自由主義経済の理論】に沿った、国境の壁をなくす方向が正しい選択だと、世界の政治指導者が訴えてきた。
その最先端を進んでいた「欧州連合EU」の目標が怪しくなってきて、イギリスは【EU市場から撤退して旧来のイギリス連邦諸国との連携】する方針に転換した。
まずは移民の自由な入国を制限し、難民の受け入れ義務からも離脱した。
「人の移動の自由化」は、弊害が大きいと判断して、ドイツが主導する[EU
理念を否定」する方針に転換したのだ。
同じように移民の自由化制限まではしていないが「不法滞在越境者を締め出す」政策に、アメリカのトランプ新大統領は、明確に転換を命令した。
この政策転換に対して、世界の有識者や経済専門家は、時代を後退させる危険な判断だとの批判を、集中砲火のように浴びせているが、正しいのであろうか。
この10年間ほどは、「新自由主義経済」と、「自由化の流れによる格差拡大」の問題が表面化して、世界の停滞と混乱を引き起こしている。
この問題に、有効な対策を打ち出している政治家や経済専門家は少数派である。
この潮流に果敢に反旗を翻した「大統領候補のトランプ氏」が掲げていた【保護貿易主義】、【一国(アメリカ)優先主義】は、時代錯誤と嘲笑されていた。
しかし、【有効な対策を提案もできない「既得権層」】は見放されて」、アメリカは「アメリカ国民に主権を取り戻す」とした、トランプ主義を選択した。
まずは、国境を守ることを明確にして、人の移動の自由化には歯止めをかけた。
次には、物の移動の自由には、当時国の両者にとってメリットのある範囲の、「二国間貿易協定」に変更して、「物の移動を管理できる制度」に、転換する。
この方針に沿って、[TPP]では、いの一番に離脱した。
その次に、「北米自由貿易協定」の再交渉を持ち出したが、メキシコは再交渉を拒否する姿勢を強めている。
さらに、【お金の自由な移動に疑問点】をぶつけて、「二国間の貿易収支」のアンバランスを問題として、中国政府、日本、メキシコ政府をやり玉に挙げている。
「お金の移動の自由化」、「物の移動の自由化」を当然だ、としていた世界の有識者や政治家やからは、時代を引き戻す「暴挙、素人政治家の蒙昧」とされた。
しかし、世界経済の停滞と混乱を引き起こしているのは、「新自由主義経済」の理論的な破綻が原因である。
その破綻した経済を活性化して、一時期の模範的な国家である「アメリカ国民の豊かさ」を再生しようとする勇気を、暴挙と決めつけるのは早計だろう。
資本主義の究極は、経済停滞して「社会主義革命が発生する」との理論から、自由主義経済の行き着くところは、革命を引き起こすことになる。
トランプ氏は、その究極を迎えることに反発して、資本主義を一国優先主義に転換することで、繁栄を再生しようとする。
「蛮勇と言うべき信念」である。(続)