1920年代末から30年にかけて、世界経済が大恐慌に陥った時に、政府が借金をしてでも需要不足を補って、経済の底支えをしなければならなかった。
これはイギリスの経済学者ケインズが提唱して、「総需要不足対策」のお手本として世界中に普及した政策手段である。
この借金政策は、景気低迷に陥った時にも政府が需要不足を補うことで、景気回復を果たした効果が各国で実証されて、日本でもしばしば実施されてきた。
このケインズ政策は、20世紀後半において「経済活性化策」の代表となり、政府が実施したい政策の「理論的な裏付けのある手段」として利用されてきた。
アメリカの「リーマンショック後の大危機」においても、アメリカ国債の大量発行に経済を下支えすることによって、何とか危機を乗り切った。
だがこの政策の欠点は、政治家が人気取りのために、大判振る舞いする【借金予算の隠れ蓑】に使われることにある。
現在の各国政府が借金漬けに陥っているのは、この[ケインズ政策]が不誠実な政治家に利用されてきたことによる。
ヨーロッパ諸国の借金体質の弱みを突かれて、ギリシャの財政危機、イタリア、スぺインの国債の暴落危機、など、どれも[ケインズ政策]の隠れ蓑によって、借金を膨らませた政治家の責任である。
しかし、ユーロ圏諸国の協調体制を何とか維持しようとして、各国が支援することで、乗り越える方向である。
それもやはり、「国が借金をして銀行に貸し付ける」コトで、救済する方法なので、「ケインズ政策の銀行版」という「新型の借金政策」の一種である。
日本の場合は、バブル崩壊後の経済停滞期に、自民党政権が景気浮揚策として、「ケインズ政策」に頼りきった借金のヤマを積み上げてしまった。
原発大事故後の経済危機においても、政府が借金を上乗せして、「東京電力に貸し付け」をした資金で、被害者への補償、除染経費、汚染水対策費、など、「ケインズ政策」の新型【電力事業救済】による景気下支え政策に邁進している。
これらの「借金による総需要不足対策」は、一時的な経済停滞の活性化に役立つことになる。
いつまで経っても、「1930年代のケインズ政策」の亜流しか能がないのは、経済学者も政治家も経済官僚も、モノマネしか出来ない様である。
弱点である【借金のヤマズミ】を解決する政策は誰も提唱していないのだ。