日本の方向性を決めているのは、霞が関に既得権を築いている中央官庁の省益で、方向性が決まっていく。
世界の潮流が動いていても、中央官庁の既得権にそぐわないものは、できるだけ従来の秩序を固めて、容易には改革しようとしない。
もちろん手遅れになると、省益に反するから方向転換をするが、大艦巨砲主義の体質で、方向転換は緩慢である。
例えば、過去の事例では、トラックの排気ガス規制を強化する方向が、先進国では加速し始めていたが、日本の運輸省は動かなかった。
トラック業界の利益を守ると称して、デイーゼルエンジンの大幅モデルチェンジを必要とする規制を先送りにしていた。
ところが、東京都が業を煮やして、都条例で、トラックの排気ガス規制の強化を、先行して実施を進めてしまった。
神奈川県、埼玉県、千葉県が追従して、条例で制定し、首都圏のトラックは排気ガス規制を実施した車両しか乗入れできなくなった。
これで中央官庁も世論に押されてしまい、排気ガス規制の強化策に転換して、ようやく世界の潮流に戻ることができた。
霞が関の独占的的な利権が横行すると、改革の方向に転換することができなくなって硬直化してしまった。
世界の流れに負けないようにするには、先進自治体が先行して、規制や制度を導入することが、日本の活力を活性化するのだ。(続)