再生可能エネルギーが「地球環境、CO2排出削減」に最適な事は、今や誰も異論を挟む余地はない。
10年前には、地球温暖化懐疑論がまだ力を発揮して、「化石燃料時代を引きずる」方針で、「再生可能エネルギーは主力になる必要はない」として退けていた。
特に電力業界は、天候に左右される不安定で厄介な電源」と、蔑んでいた。
これが、地球環境対策には「CO2排出ゼロ」の、原子力発電が最有力」との、原発業界の主張を後押しして、「長期低炭素社会」には、主力のエネルギー資源として、日本の産業と生活を支える、と豪語していた。
その悪影響で、日本は2000年代の後半から、「再生可能エネルギーへの研究開発投資」に力を入れないで、世界の先端からズルズルと後退をしてしまった。
産業界が冷遇した理由は、再生可能エネルギーは、日本の国土は狭くて、「自立できるほどの供給量は実現できない」との、思い込みである。
それと、当時の技術力では、化石燃料のコストに比較すると、大幅に割高で「産業競争力を弱める」と、決めつけていた。
導入量を増やすほど、経済活動にはマイナスの影響が大きくなるから、「導入量を最小のレベルに抑える」との方針が、政府と民間企業の合意であった。
しかし、その期間に、世界の技術進歩はめざましく、今や風力発電の普及量は、化石燃料発電の新規建設量を大きく上回る。
太陽光発電の設置量は、中国政府の国策もあって、短期間に年間設置量では最多のレベルに達した。
これだけ大量に普及する間に、関連企業の技術開発競争も激化して、量産効果も含めて「発電コストの削減」は画期的に進化してきた。
「風力発電コスト」は適地に建設すれば、「火力発電コスト」よりも廉価である。
だが、日本政府関係者と経団連関連の大企業では、未だに、再生可能電力はコストが高いから、【導入量を最小に抑える】との石頭が主流である。
たしかに、日本では国土の条件も災いして、建設コストが高くつくので、「再生可能電力の固定価格買取制度(FIT)」の制度がなければ、設置量は伸びないだろう。
この制度の維持費用は、「再生可能電力賦課金」として電気料金に追加される。
今期の利益しか頭にない雇われ経営者では、今が大事としか思えないのだ。
そのような折に、民間のシンクタンクである「WWFジャパン」が、2050年の長期目標として、「100%再生可能エネルギー」依存に転換する計画を公表した。
これによれば、化石燃料輸入をゼロにすることで、450兆円の節約になる。
再生可能エネルギー設備の導入費用は、40年間で175兆円、並行して「省エネルギー設備の導入」によって、191兆円の投資が必要になる。
これで、84兆円の黒字であるから、長期的な観点からは、経済性も有利である。
エネルギー資源の自立できて、経済性もある計画は、本気で見直すべきだろう。(続)