庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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将来のエネルギー源を原子力発電に頼るのは明るい未来か。  

2010-03-24 | 核エネルギー・原子力問題
昨今のマスコミ紙面をにぎわす課題に、原子力発電の増設に向けて、大きなビジネスチャンスととらえる傾向の報道がみられる。
3月21日も、次の様な世界の流れを伝えて、取組の必要性を肯定する風潮を作り出している。

「化石燃料の価格高騰や地球温暖化への対応の必要性から、原発は世界的に建設が急増しそうだ。経済産業省によると、増加は中国やインドが中心で、世界全体では現在の約400基が2030年までに約800基となる見通し。
 成長が著しい新興国や発展途上国では建設ラッシュになるとみられる。アラブ首長国連邦(UAE)やベトナム、インドネシアなど、それぞれでは初となる建設計画を持っている国も多く、30年 までに23カ国が新規に導入する可能性があるという。」

これを背景にして、経済産業省は2030年までのエネルギー基本計画の骨子案を固めつつあるが、
その中身は、再生可能エネルギーの太陽光発電の普及拡大や、次世代自動車の普及加速を盛り込み、受け入れやすい対策と並べて、原子力発電の大幅な拡充を添えている。報道によると、

「・・・・原子力発電所は現在54基が稼働中だが、14基を新増設したうえで、稼働率を現在の60%台から世界最高水準の90%程度に引き上げることを目指す。原発の稼働率は最も高かった1998年度でも84.2%にとどまっている。・・・・・」

1997年の京都議定書の交渉後に、日本は1990年比で6%削減を公約した段階で、経済産業省のエネルギー基本政策は、原子力発電を主力電源にするということで、2010年までに10基以上の原子力発電所を増設するという内容であった。
これは、だれでも知っている様に、不祥事と事故続きで計画倒れであり、さらに、新潟沖地震の影響もあって、平均の稼働率は大幅に下がっている。

このような事態の反省もなく、国民に対するキチンとした説明もしないで、またまた、原子力発電をエネルギー政策の基本に据えようという魂胆は、いったいどうなっているのか。
民主党の電力族、原子力族をうまく取り込んできた、経済産業省の天下りを主力とする産業界に引きずられている鳩山政権と言えそうである。

そんな状況の中に、世界2番目の億万長者のビルゲイツ氏が、新型の原子力発電の技術開発で、東芝と提携して進めるということで、技術協力の交渉に入ったという情報である。
この技術の骨子のセールスポイントは、
・濃縮ウランの代わりに天然ウランや劣化ウランを使うので、燃料枯渇の懸念がない。
・ウラン濃縮技術は、核兵器の拡散の恐れがあるが、この技術であれば、途上国にも建設出来る。
・原子力発電の大きな弱みである放射性廃棄物の量が減らせる。
良いことばかりの様である。

しかし裏返して見れば、今の原子力発電の技術は、いかに未熟な未完成の技術であるかを示している様な事態である。
エネルギーの専門家たちは、どのように考えるのであろうか。(次回に)

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