安倍政権の改造内閣では、「地方創生」を目玉の政策に取り入れることにした。
超金融緩和による株価上昇の恩恵は、地方の経済にとってはほとんど恩恵がなく、大企業と富裕層と都市部の住民に一部を潤すばかりに留まる。
このブログで書いてきた様に、上層部の大企業や富裕層のおカネが入れば、「滴り落ちていく現象」は起きないのが現代の経済構造である。
都市部のおカネは、余剰が出来れば海外への消費に回って行く。
大企業の儲けが増えれば、内部留保か海外への事業展開への投資に向けられる。
大企業の社員には、一時金的配分を回すが、下請け企業にはまわらない。
野党時代の3年半と与党になっての1年半を、不勉強極まりない自民党の首脳陣は、やっと、地方の経済活性化と、国民の収入増が必要だと気がついた。
旧自民党の時代にも、中央集権体制の行き詰まりと、非効率に配慮して「地方分権」政策目標に入れたが、中央官僚の抵抗で中途で止まってしまった。
今度は「地方創生」の名のもとに、規制改革と地方への権限移譲を、本当に実行するのかが、問われる段階になっている。
民主党政権の「地域主権」の公約は、3年の間にまったく進まず、看板倒れであったが、安倍政権もその二の舞になると、危惧される状況である。
イギリスでは、スコットランドの独立問題が、世界のマスメディアを賑わした。
ロンドンの政府は、大慌てで引き留め策に出たのが功を奏して、どうにか、一時的には残留に収まった様だが、地域が主権を主張する流れは明らかである。
この動きに対して、マスメディアの論調は、他国ゴトの様に扱っているが、本来は「中央政府と地方自立の問題」が、根底に流れていることを伝えない。
日本では、明治政府以来の中央集権、官僚支配体制が日本に染みついているので、「地方創生」も中央政府が支配をするのが、当然と思っている。
しかし、自民党政権時代からも議論が積み重ねられてきた「地域主権型道州制」の、本格的な実施の議論が、停滞している原因を掘り下げるべきである。
具体策としては、日本を12の州に分立させて、それぞれに大幅な権限の移譲を段階的に実行する構想である。
各州の大きさは、「EUを構成する一国」の経済規模、人口規模であるから、時間をかけて人材の育成と新産業を支援すれば、各地域毎の特質と国土の資源を活かした『高付加価値の創出が可能な地域体制』が生み出される。
この長期的戦略こそが、「地方創生の要」の政策となるべき段階にきている。