日本の将来の電力エネルギーを担う役割となる『浮体式洋上風力発電』について、もう少し説明を続けてみよう。
2015年2月20日のブログにも書いておいたが、「浮体式洋上風力発電」の潜在能力は、613GW(6億1300万kW。俗に言う原発613基分)である。
設備利用率は、原発では6割くらい、洋上風力発電は3割前後であるから、発電量での目安は、原発300基相当に達する。
発電コストの2030年予測では、洋上風力発電コストは、8.6~23.1円/kWh.とされて、石油火力発電よりも安く、石炭火力発電を下回ることも可能だ。
この数値は、「三井物産戦略研究所」が2015年2月4日に公表したデータだ。
これに対して、経済産業省は今までの後向き姿勢で、「洋上風力発電の風況マップ」を全く作成していなかった。
風力発電の事業化には不可欠のデータを、急いで作成する必要に迫られて、5月16日に「洋上風況観測システム実証研究(風況マップ)」の事業として、事業者を公募し、「産業技術総合研究所、他」の実施者を採択した。
8月18日に公表された計画では、2016年度末に完成版が公開される。
事業予算は2.5億円で、原発関連の事業に比べれば、圧倒的に少ない。
洋上風力発電に関連するデータが、まったく不足している段階で、2015年4月に公表された【2030年時点の望ましい電源構成(ベストミックス)】では、原子力発電の比率が突出していた。
その一方で、再生可能電力は22~24%(水力8.8~9.2%含)で、風力発電の比率はわずか1.7%となっている。
これは、陸上風力の発電量しか考慮していないので、2030年時点では『洋上風力発電』の分は、一切、含まれないと見れる。
電源構成の公表時点では、基本データの「洋上風況マップ」が全くないから、「ゼロ想定」は妥当かもしれないが、経済産業省に実力はその程度なのである。
「洋上風況マップ」が2017年4月に公表されれば、民間事業者が積極的に『洋上風力発電ウインドファーム』の建設計画に着手できる段階になる。
その頃には、長崎県、福島県沖での「浮体式洋上風力発電の実証実験」の成果も、より一層の精度の高いデータが得られるだろう。
それらを、総合的に検討すれば、『洋上風力発電ファーム』の事業化構想が現実的に可能になる。
2030年の電源構成目標は、改訂すべき段階になるだろう。