米中の貿易戦争の妥結策には、中国国内の内需拡大と、輸出量の数量制限であることは、誰にでも理解できる解決策である。
中国の国内市場は、まだ成長市場であるが、安かろう、悪かろうの品モノとサービスであり、日本の1960年代から1970年代の状況である。
この時期に日本が成功してきた内需拡大策を参考にすれば、中国は日本の10倍以上の人口を擁しているから、その成果を期待できる。
ところで、この国内需要の拡大は、日本政府が打つべき政策に、反面教師としての役立てる側面がある。
中国政府に対して日本の経験を移植すると同時に、日本が1990年代から実施してきた内需縮小政策の失敗を見直すことに、大いに利用する。
内需縮小の最大原因は、労働分配率の長期の低下状況を放置したことにあるのは、いまさら言うまでもない。
解決策は企業の大幅な賃上げと、最低保証賃金の画期的な引上げであり、中国政府に提言しておきながら、日本が実行しないのは理不尽だ。
そして、企業経営者側の都合ばかりを聞いて拡大してきた、「非正規雇用制度」の増殖路線を、縮小の方向に転じることである。
これらを実行に移して、抵抗する企業経営者を甘やかさずに、断固として、「生産性向上に邁進する経営方針」に転換させる。
それに抵抗して、従来のようなぬるま湯経営を継続する企業には、退出を迫ることが、日本の再活性化に不可欠の路線である。