日本の組織は、一度決めた方針を貫徹するのが美徳と勘違いしている「石頭の非合理判断」がまかりとうる。
歴史的には、日中戦争と太平洋戦争が、膨大な被害をもたらした典型だが、これも、時代の流れを無視して、強引に大東亜共栄圏を目指す方針にかじりついて、自己の力を妄信しすぎの末に、【一億総玉砕の精神論】に埋没した。
日本のエネルギー自立の立国を、「原子力の平和利用」の美名のもとに、電力業界が自分の力を過信して、利権を貪った結果が、福島原発の大事故の原因であった。
アメリカのスリーマイル島原発事故で、アメリカの原子力産業界は、大きな転機を迎えていたのを無視して突き進んだ。
そのあとのソ連のチェルノブイリ原発事故の時期にも、ソ連の原発操作の運転員が未熟であったとの、勝手な推測をして、日本の技術も操作員も、ソ連よりもレベルが上だから、「原発事故は日本ではあり得ない」との、思い込みが支配した。
原子力産業界は、自己都合に適した「原子力の保安院」のお墨付きがあるから、原発は安全だと国民に言い張ってきた。
【原子力保安院】は、原発を推進する側の「経済産業省(当時は通産省)の身内組織」であるから、本質的にチェック機能は弱体である。
この弱点は従来から専門家にも組織的な欠陥であると指摘されながら、無視してきたのが【自民党政権と原子力産業界】である。
このような体質の中で、原子力事業の中核であった「東芝」は、社内でも原子力部門の人間が権力をほしいままに振るって、企業全体の体質を劣化させた。
権力者に追従する人間が出世して、社会的な【倫理観などは糞食らえの体質】のガン細胞に犯されていった。
その悪影響が、利益を粉飾する不正会計の病気に陥って、本当の技術革新の魂を失った企業に転落していった。
そのような腐敗体質の経営者は、将来に発展するのは、「原発を100基建設した実績を誇るウエスチィングハウス社」は、宝の山に見えたのであろう。
完全に合理的な判断のできない経営陣は、身近な即効薬に手を出したのだ。
この投資判断の【愚かさにリスクも検討しないで輪をかけた】のが、福島原発事故の反省を全くしない安倍政権と経産省である。
世界中で「安全基準が厳しくなる」ことは、当然予想できるのに。日本の安全基準は世界最高の水準にしたから、原発は推進すべき電源だと言い張った。
それにもかかわらず、世界の原発事業の実態も見ないで、東芝な「ウスチィングハウス社」を完全子会社にすることを、【強く後押しした】のである。
東芝が倒産の危険に晒されると、今では安倍首相以下、すべての原発推進者は口を閉ざし、逃げることばかりを考えている。
卑怯者揃いの安倍政権が、東芝と傘下企業従業員を大不幸に突き落とした。(続)