日本の識者と言われる人たちは、「再生可能エネルギー」に関しては、全く不勉強の状態である。
特に、「風力発電」に対する、知識やイメージは、1990年代の海外製品の輸入時代の問題と悪評が染み付いていて、未だに世界の亜流技術と思い込んでいる。
今や、2015年では、世界の風力発電技術の進化はめざましく、風況が良い地域に立地した「風力発電の発電コスト」は、石油火力発電のコストよりも低い。
中国政府は、新規の石炭火力発電の建設はやめて、新規の発電設備は風力発電に重点を置いている。
現在では、中国が世界最大の「風力発電の設置量」の実績を持っている。
日本では、初期の時代の問題で、台風に弱い、雷の被害が多い、設置工事が大掛かり、などで、採算性の優れた事業ではなかった。
技術開発の遅れと評判の悪化が影響して、日本の風力発電設置量は世界の13位に甘んじている。
ここにきて、脱原発の勢いに押されて、風力発電技術に力を入れた企業が、着々と研究開発を重ねて、世界のトップレベルに達している。
次の情報は9月9日に公表されたが、マスメディアには、その価値がわからない記者や幹部だらけで、報道などには載っていないようである。
つまり日本人には、風力発電の将来性の高い能力が、知られていないのである。
日立製作所は、「低速風速域でも発電量の増加が可能な「定格出力5200KW級」の風力発電システムを開発したと発表した。
この新型機種は、年間平均風速7.5m/s未満の低風速地域でも、定格出力を実現できたので、大幅に発電コストを低減できる。
2016年10月に茨城県鹿島港の風力発電所で試運転を開始し、2017年度中には販売開始を目指している。
このシステムは、将来は洋上風力発電として、大量の風力発電機をまとめて、「ウインドファーム」の建設を想定している。
洋上風力発電は、風況が安定した海域に設置することで、設備の稼働率は35%から40%に達するので、さらに発電コストは低下する。
福島県沖では、「浮体式洋上風力発電ウインドファーム実証研究事業」が進められている。
これらの研究成果が反映されて、さらに「進化した風力発電システム」によって、低コストの発電を実現できる可能性はおおきくなっている。
この技術を支える基盤に、造船技術、重電機関連技術、送電線技術などの、最新の産業基盤が必要だが、日本には十分な技術のベースが蓄積されている。
あとは、国の長期的な意思として、洋上風力発電を「日本の主力電源」として、普及拡大を図る「確固とした意思」が必要な段階なのである。(続)