アメリカのFRB議長のバーナンキ氏は、超金融緩和の継続を徐々に緩めて来年の1月から市場からの債権の買い取り額を減らすと宣言した。
失業率の改善に目途がついて、超金融緩和の軟着陸体制を採る政策に転換した。
アメリカ経済は2008年のリーマンショック時に、恐慌寸前の危機に直面して、やむを得ずFRBは金融緩和政策のさらに上の【超金融緩和】に踏み切った。
従来は、禁じ手であった政府の国債を買い入れることで、金融市場にお金をあふれさせる処方箋を実行したのだ。
この大きな狙いには、危機的状況に近づいている【失業率の早期の改善】が必須として、金融バブル、不動産バブルの発生を承知の上で、とにかく「失業率の劇的な好転」を目的としたのである。
その他のあらゆる政策を動員して、「考えられるコトはすべて実施した」とバーナンキ議長が説明する様に、最後の非常手段としての「超金融緩和」であった。
5年間の粘り強い「超金融緩和」によって、失業率は10%以上から7%を割るところまで改善し、超金融緩和の金融資産買い取りを来年から減らしていく、「ソフトランディング」の体制に入ったのである。
ところが安倍政権は、デフレ脱却のために「超金融緩和政策」を採るとして、日銀に大量の国債買取りを強制する【麻薬的な処方箋】を書かせたのである。
目標は「物価上昇率2%」を目指して、それまでは、市場に潤沢なお金をあふれる様に供給を続ける。
その一方で、物価上昇率2%の目標達成後の、超金融緩和を引き締めて行く道筋は、説明を避けているばかりである。
経済成長率が好転して、物価が上がれば、国債の金利はそれに応じて上昇するのが理の当然で、3%以上になる。
つまり【国債の借り換え金利負担増】よりも、「経済成長率」の好転による政府の税収が上回ることが必須の、「綱渡りのデフレ脱却」の暴走政策なのだ。
物価上昇率が2%に達しても、税収増が不足ならば、日銀は国債の金利を低く抑える為に、「市場から国債を大量に買い続ける」必要に迫られる。
この弱点につけこまれて、「国際投機資金」から【国債の売り攻勢】を仕掛けられたら、円は暴落の危険にさらされる。
円安を喜んでいる状況からは、経済環境は大きく悪化する危険性を伏せて、安倍政権は行き詰った場合の強行着陸をどうするのか、一切、触れようとしない。