庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

日本の技術力は世界の一流だが、国際競争力は別次元の問題だ。

2010-12-05 | 国創り政治問題
国内のインフラ整備について、国土交通省が全国の空港整備と国内路線の認可権限で取り仕切った20年間は、失敗の連続であった。
赤字空港の乱立を引き起こし、空港利用料のレベルは世界最悪である。
それに引きずられて、半国営体質に染まった日本航空[JAL]は、大きな負債を抱えて倒産してしまった。

一方で、万年赤字の体質となってしまった国鉄を、分割民営化した「JR7社」は、経済活性化に貢献したと言えるであろう。
JR四国、北海道など人口の少ない地域での経営は難題だが、よく頑張っている。
JR東、JR西、JR東海の3社は、分割民営化後の技術革新と経営刷新によって、経営は黒字に転換し、民営化以後は運賃の値上げはしないで、利用者へのサービスは大幅に向上している。
この技術とシステムは、お互いの競争意欲もあって、世界の最先端レベルに達している。
これからの課題は幹線鉄道だけでなく、地域社会を結ぶ地方路線をいかにして、サービス向上と黒字化を果たしていくかで、この面でのよい意味での競争を期待したい。

ところで、日本の優れたインフラ技術を海外に展開する動きが活発になっている。
しかし、本日の朝日新聞(朝刊6面)には、価格面などで、国際競争には不利な状況がカベになっていると報道された。

インドの「デリー・ムンバイ産業大動脈構想」の推進に日本が協力し、その周辺の工業団地や道路、港などを整備する、総額7兆4千億円の事業で、日本のコンサル企業が入札したプランが、次々に敗北している、という。
日本の企業の技術はどこにも負けないが、総合すると、価格が高すぎる事が欠点に浮かび上がり、
事業の実施面でノウハウの立ち遅れが、不利となっている。

インド政府は民間資金を活用した【PPP】(公民連携)方式を採用する方針だが、日本では実施例が少なく、成功例がほとんどない。
この様に、土木工事産業は、長い間の中央集権体制と、地域自治体の弱体(3割自治といわれる)の体制に浸かりきって、談合体質と官民癒着によって、価格競争力と開発推進の効率化において、世界の水準から、大きく遅れてしまっている。

日本の政権はインフラ輸出に力を入れると言っているが、この様な実力では成功はおぼつかない。
それには、まず国内でのインフラ整備の効率性を、地域主権、道州制の導入と併せて、戦略的に向上していく事が先決である。

【PFI】(公設民営)方式、【PPP】と言っても、理解している市の職員、県レベルの職員はどれほどいるのか、はなはだ心もとない。

中央官僚が道州の職員に転換して、地域主権の中枢を握って運営することで経験を積みあげる。
その官僚と民間のインフラ事業者の間で、良い意味での協創関係をつくりだすことによって、日本のインフラ事業の国際競争力が大幅に向上するであろう。
「まずは地域主権から始めよ!」

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