Eur-Asia

西洋と東洋の融合をテーマとした美術展「ユーラシア(Eur-Asia)」の開催を夢見る、キュレーター渡辺真也によるブログ。

レイキャビク美術大学

2006-11-28 12:55:25 | Weblog
今日月曜日は、アイスランド滞在の最終日。前回手巻き寿司パーティで仲良くなったビデオアーティストのハラルデュルがアイスランドの美大でメディアアートを教えていて、もしよかったら大学に遊びに来ないか、と招かれた。そんな訳で早速、彼が教えるレイキャビク美術大学に遊びに行ってきた。

レイキャビク美術大学は本当にこじんまりとした大学で、学生数も1000人程度だそう。しかし非常に国際的な大学で、学生の半数以上が学位取得中に海外に留学するという。ハラルデュル自身もデンマークとオランダで学位を取っているらしく、小さな国としてはこの留学が大変重要なリソースとなっている。

小さな大学なのだが、設備の充実さに驚いた。自由に使えるコンピューターラボや撮影室、暗室、彫刻やプリント機材などのほとんどが最新式で、そのレベルではアメリカや日本の大学を十分に上回っていると言えよう。これだけ機材や設備が充実していれば、少ない学生の中からも優秀なアーティストが生まれてくるのもうなづける。

その後、学生の作品を見たり、ハラルデュルのビデオ作品を見たりした。驚いたのは、ハラルデュルは伝説的なフリー・コンピューター・プログラムであるNATOの最初期ユーザーの一人で、ニュージーランド人のNATO担当スポークスウーマンとも親しかったそう。そんな話にここで出会うとは思いも寄らなかった。またハラルデュルはウッディ・ヴァスルカの妻でアーティストのスタイナ・ヴァスルカの弟子だったそう。いろいろプログラミングなど教えてもらったそうだ。

その後、大学にて学生や教授陣と話したりしていて思ったのだが、前回書いた様に、アイスランドは精霊信仰が非常に強く、精霊の存在を多くの人が日常的に意識している、という点が正直驚きであった。エルフを見たことがあるか、という会話は別に珍しいものではなく、日常的なものだそう。試しに学生や教授の人にそういう話をしてみると、みな日常的な会話の様に受け答えてくれる。ああ、私は旦那と一緒にドライブしている時に老人のエルフを見たとか、ハラルデュルも小さいときにゴーストを見たことがある、と話してくれた。

空港に向かうバスの途中、木一本生えていないアイスランドの大地を見ながら、つくづく凄い所だなぁ、と思ってしまった。岩以外何もない広大な大地の中、人間はそこら辺にある岩を積み上げて、なんだか彫刻とも何ともつかない建造物を作っている。しかも、そんな原始的な彫刻が、広大な台地の上に、かなり見受けられる。岩を積み上げて何かを作ってしまうというのは、人間の本能的な行為なのかもしれない。紀伊半島、枯木灘の近くをハッチハイクで旅行していた時、海に浮かぶ岩々に注連縄が巻かれているのを見て日本の原風景を見た気分になったが、アイスランドの原風景を見た気分だ。

また、アイスランドは完全に日本人向けの場所だと思う。温泉もいっぱいあるし、人もシャイな人が多くて、日本人に似ていると思う。一つ違う所を挙げるとすると、意外と時間にルーズな所だろうか。のんびりしていて、それが良いと言えば良いが。

あー、今回は本当に旅を満喫できた。ありがとう、アイスランド!

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