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sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:マジカルガール

2016-04-15 | 映画


うまく説明できないんですけど、予想してたほどどぎつくはないのに、
でも予想以上の緊張感と闇の深さ、冷たさを感じました。
誰にでも勧める映画じゃないですけど、わたしは驚いたよ。すごさに。いやはや。
とにかく、噂には聞いてたけど、すごい映画でした。
なんというか、アルモドバルが絶賛したというものもむべなるかな。
どダークで、ど鋭利で、どヘビー。どひゃー。

長山洋子の歌う昭和歌謡みたいな歌で、ピンクのふりふりのコスプレの女の子、
のトレーラーやチラシを見て予想して行ったら、まったく違う話で驚くでしょう。
これが上映された長編映画としてはデビュー作というこの監督。
すごい才能だなぁ。これからが楽しみすぎる。

お話は、3章立てになってる感じで、最初の章「世界」は
病気で13歳まで生きられないかもしれない女の子と、その父親の話が中心。
娘は、日本のアニメが大好きで、その魔法少女のドレスが欲しいけど
失業中の父親にはとても買えない高価なデザイナーズオリジナルで・・・
2章目「悪魔」は、その父親がバルバラというどこか病んだ謎のある女性と関わり、
お金を手に入れるために、危ない方向へと。
3章目「肉」は、過去にバルバラの教師だったダミアンが関わることで、
少女と父親の運命は・・・。
(2章目と3章目の分かれ目はうろおぼえですが)

先が読めないとか、斜め上の展開とか言われてるけどそこだけじゃなくて、
全部ストーリーを知っていても、このすごさは変わらないと思う。
でもまあ、お話の展開にもびっくりするので今回はネタバレには注意して書こう。

全体のトーンですが、どこかリアリティの歪んだような、妙な雰囲気なんだけど、
とにかくずっと、緊張感があります。どこかこわい、ひやっと陰鬱な空気の。
それでいながら美しい画面で、ものすごく陰惨で残酷な内容は示唆されるものの、
映像としてはバイオレンス的な痛さはなく、端正でスタイリッシュ。
むしろそのすっぽりとした省略が、より暗く深くおそろしい。

最初の章は父と娘の、ちょっとハートウォーミングっぽい内容に見えるけど、
そういうシーンでさえ、どこかひんやり尖ってる。
父と娘の会話で、娘がタバコを吸ってみたいとか、お酒を飲んでみたいとか言うと、
父親は少し考えてから、娘に与えるのですが、最初に娘の病気のことを知らないと、
変な親子に見えますね。でも病気で余命わずかだということで、
父親が娘をとても愛していることがわかります。
ラジオも効果的に使われてて、娘のけなげさに泣かされるシーンがあります。
でも、そういうシーンでさえ何か不穏な感じが常にあるんです。どこか寒々として。

そこへバルバラの登場で、一気に緊張と先の見えなさがが高まります。
バルバラは美人でスタイルが良く、彼女の服のミニマルな着こなしは
わたしの好みなんだけど、どこか病んでいて、抑圧された感じや、
いびつなストイックさや底知れない闇があって、
やっぱり怖くて居心地悪い感じがするのです。
そして彼女とその裕福な夫、この二人の関係も、しっかり歪んでいる感満載。
関係だけでなくバルバラの夫自身も、ちょっと普通じゃないっぽいんですが、
そしてそれは彼女との生活の中でいろいろあったのだろうと想像させます。
そしてバルバラの行動からうっすらと見える彼女の謎の過去。
この辺の見せない、語らない、わからせない演出がすごく大きくて、
大きいのに過不足なくて、いやぁ計算されてるなぁ、そのうまさに舌をまきます。
思わせぶりに陥らず、観客を煙に巻きながら、観客の想像力を思うがままに操つる。
すっかり操られたわ~。

俳優たちも、すごくいい。
娘は治療のためか髪がベリーショートなんですが、
それはチャーミングでかわいいんだけど、
チラシとかにある、ひらひらドレスを着た姿で、こちらを睨みつける表情は、
ラストで非常に印象的に出てくるんですが、
このなんだか得体の知れない無垢さが素晴らしい。彼女も演出も。

一番普通の人っぽいのは父親だけど、やることはドンドン外れていくし、
スペイン映画に時々ある、出てくる人がみんな
ちょっと過剰だったり欠落を持ってたりいびつな感じ、
あれを遺憾なく発揮してる映画ですね。

初めてのコサージュ

2016-04-14 | 小さいもの
人生で初めてコサージュというものを買ってみた。
いいお店におデートに行くときにつけていきたい。
おデートないけど。笑

ブローチとかコサージュとか、服につけるものがよくわからなくて、
この年までほとんどつけたことがないんだけど、
先日近所えギャラリーをしている友達のイベントで、
偶然知ってる人に会ったので、その人の作ってるコサージュを買ったのでした。
これは本物の植物のドライでできてるので、
葉っぱとかすぐにぱりっと割れそうなんだけど、
作った人に、割れたり欠けたりの壊れた風情も楽しんで、と言われ、
なるほどなぁと。
すでに葉っぱが一つ裂けてるところがあるので、そおっとつけましょう。

雨の日と荷物の多い人酔っ払う日には、つけないほうがいいですね。

関係性マジック

2016-04-12 | Weblog
STAP細胞の小保方さんに対する「あんな可愛い子が悪いことするわけがない」
というセリフに対して考えてたんだけど、
「こんな美味しい愛情たっぷりの料理を作れる人が悪いことするわけがない」とか
「あんな優しい笑顔の人がひどいことできるわけがない」、
「こんなきれいな絵を描く人の心が汚れてるはずはない」、
「あんなに礼儀正しい子が悪いことするわけがない」とか、
どれも世の中でよく言われてそうなセリフだけど、どれも違うよなぁ、とこっそり思う。
人というのは見かけによらないし、能力によらないし、
一人の人の中にもいろんな幅があるし、
まあとにかくどんな一面にしろ、一面だけでは判断しにくいものですよね。

愛情たっぷりの料理って、そのお皿に、どこでも通用する愛情が載ってるわけではなく、
作り与える側と受け取る人との関係の中でそれを読み取り感じられるということで、
愛情なくても美味いものは美味いし、愛情たっぷりでもまずいものはまずい。
作った人を知らなくても、その背景に思いをめぐらすことのできる情報と
受け手側の感受性があれば、そういうマジックは起こるしね。
美味しいと思うのは関係性マジック。いいマジックですけど。

ヒトラーの崇拝者でも、素晴らしいコックはいただろうし、
優しい母親も、清廉な教師も、とても無垢な美しい容姿の人もいただろうけど、
だからって、間違いを犯さないわけでも、差別から無縁なわけでもないのよねぇ。

わたしもついつい、大嫌いな政治家の人相について何か言いたくなるけど
言いかけて、はっとして黙ることが多いです。

映画:リリーのすべて

2016-04-11 | 映画


「キャロル」並みに評判のいい美しいいい映画ですが、
もやもやしました、後半。なんだかなぁ。もやもや。
奥さんを立派だと観た人がみな言うので、
性同一性障害の夫が女性になるのに、妻も理解を示して、
愛し合い助け合った、って話だと思ってたけど、映画ではむしろ
夫婦の愛は消え、夫が夫で亡くなってしまう、消えてしまう話だったのです。
愛する人の性が変わるだけなら、柔軟な心と深い愛を持って受け入れることは、
大変ながらも、愛し合ってることにかわりなく、悲しい話ではないでしょう。
そういう話だと思ってたんだけど、違って、
愛する人の性が変わると共に、その人の内面も変わってしまい、
もう自分を愛さない人になってしまうのだとしたら、
それに協力して、支え助けるって、どれだけつらいことだろうかと。
妻だった時と同じような愛情を持ったまま、
もう自分を妻として愛してくれない人を支え助けるのです。つらっ!

妻じゃなく、母親がほしいんでしょうよ、と思う男を見かけることがあるけど、
映画のなかで見たのはまさにそれのような・・・。
親友、母親、姉、なんでもいいけど、
妻や恋人を自分の都合で別の存在にしてしまうのって
なんだか残酷なことじゃないかな。
妻は妻として彼を愛してたし、まだ愛してるのに、
夫でなくなった女性を、恋愛感情だけ都合よく抜きさって、
でも同じだけ愛するって、そんな、難しいこと急に求められてもねぇ。
同じ顔同じ体(手術後は多少違うけど)同じ声なのに。
(まあ結婚して何十年も経てば自然にそうなるカップルも多いでしょうが。)

離婚したあと、またいつか(女性として男性と)結婚したいわ~みたいなことを
無邪気に、元妻に言うリリーの配慮のなさというか鈍感さに、がっかりしてしまった。
性同一性障害の当事者であるリリーの苦しみは苦しみとして、
だからといって自分のことだけを考えて、まだ自分を愛してくれている妻に
するっと妻ではなく親友の役を求めるなんて、
それならもういっそ離れて、去ってしまった方が楽なのではと思うほど、
妻の苦しさと寂しさを思い、もやもやしたのでした。

でも、わたしは今、自分の女性性を楽しんでいるけど、
もし今の自分のまま男の体に生まれてたらリリー程、その命を懸けるほど、
女になることに渇望したかな、と何度も考えたけど、どうだろうなあ。
自分の体が柔らかくなく滑らかでなくごっついものだったら
違和感はあるだろうし、柔らかいものが好きなので嫌だったとは思う。
そういうことを前にブログに書いたことがある→柔らかい生き物
でも命をかけて、死んでもいいという強い意志で、手術を受けるかなぁ。。。
映画の中と時代も違うから、なんともいえないかな。

ストーリーは、画家夫婦の夫が、妻の絵のモデル代わりに女装したことで、
自分の封印してた?性自認に気づき、女性として生きる決意をし、
この頃まだ危険だった(成功例がなかった)性転換手術を受けて・・・。
主人公とゲイ男性との友情と揺れる気持ち、妻の絵の人気の変化、
夫の幼なじみの男性と、子供の頃の思い出の記憶や、妻との関係など
うまくできている映画です。
俳優はみんな素晴らしいです。
女装のエディ・レッドメインくんはみんなが言うほどきれいとは思わないけど
女らしさや切なさはよく出ていました。
奥さん役のアリシア・ヴィキャンデルもとてもいい。
奔放で強く見える女性の内面の弱さ、苦しさがにじみ出ていましたね。

映画:マリーゴールドホテル幸せへの第2章

2016-04-10 | 映画


「マリーゴールドホテルで会いましょう」は大好きな映画でした。
年をとると、老人のお話が、ひとごとでなく興味深くなってくるし
素敵な年配者を見ると元気が出る。

リメイクほどじゃないけど、続編というのも、できのいいものは少ないようで
この映画も、映画好きの友達は、1作目がよかっただけに、と結構酷評してました。
そうなのかぁ、と諦め気分のまま見に行って、うーん、確かに前作に比べると・・・。
でもまあ、許せるレベルかな、わたしには。

前作と違って、魅力的な登場人物の人生をそれぞれ見ていくような感じではなく、
お話の中心になるのは、若いインド人カップルの関係。
前作はこのカップルよりむしろシニアな人々の人生が中心になってたので、
今回の若い子同士の恋愛のヤキモチやすれ違いなどは、
年季の入ったいろいろを背負ったシニアの人たちより薄っぺらくなるのは仕方ない。
他にも、なんだか軽くサスペンス風味の謎もあって、やっぱり前作とは違う感じ。
でも、おなじみの人たちが元気で演じているのを見るだけで、まいいかと。
ジュディ・デンチやマギー・スミスが生き生き演じてるだけで、まあいいよね。
もしさらに続編があっても、また出演できるのかどうかという
うんと年配の俳優さんたちだもんなぁ。

今回はなんとリチャード・ギアがお年寄り枠のひとりとして出演。
前作は登場人物が全部インドとイギリス人の映画だったので、
超アメリカーンな感じの彼はどうも違和感があって、演技も浮いてて、
(ハリウッド臭があるのよねぇ)、
でもまあ男前だから違和感も悪くないか。笑

お話は
ホテル経営者の若い二人の結婚までのあれこれと
ホテルを大きくしたい経営者青年のやりすぎな奮闘が巻き起こすいろいろ。
そこに長期滞在中のイギリス人シニアたちそれぞれの仕事や恋、
ホテルの覆面調査員らしき客人、などが描かれていますが、まあどうでもいい。笑

あと、今回、最後の大団円的な結婚式のシーンで、
盛大なボリウッドダンスが繰り広げられて、みんなで踊るシーンは
ハッピーで楽しかったです。

映画:ロブスター

2016-04-09 | 映画


変な映画だというのはわかってる上でも賛否両論があって、
実際見てみると、それぞれの意見になるほどと思いつつも、
こんな捻くれた、こじれた監督のくすぐりに身を委ねるのは中々快感だと思いました。
ラストの突き放し具合も、この映画なら納得。
こじれた映画に慣れてない人にはお勧めできないけど。笑

映画だけじゃなく本でもなんでも、この手のフィクションを見るときに
「なんで?」を考えたらもやもやしますね。
ファンタジーは「なんで」をつじつまの合う虚構で埋めていく細やかさが
面白いしファンの心をくすぐると思うんだけど、
こういうナンセンス的な作品は、もやもやせずに「なんで?」を捨てて楽しむもの。

wikiには「ギリシャ・フランス・アイルランド・オランダ・イギリスの共同製作による
2015年のSF恋愛映画作品である。」と書かれてるけど
この5カ国の組み合わせがなんとなく腑に落ちる映画ではあるけど、
「SF恋愛映画」というのは、えー!そうだったの~!?って感じです。
そうなのか?ブラックコメディというのが一番近い気がするけど。笑

こんな変てこな映画なのにキャストは豪華。
ハリウッドからコリン・ファレルが主演で、ヒロインはレイチェル・ワイズ。
コリン・ファレルは悲しそうなやる気のなさそうな無表情で、
もっさりした、人柄のよくわからないおじさんを演じています。
出てくるのは変な世界の変な人たちばかりだけど、
わからなさ具合では彼が一番よくわからないキャラかな。
レイチェル・ワイズ、なんとなく鼻につく女優だったんだけど
いい感じになってきたなぁと思いました。
評価が高いのに、ずっと好きじゃなかったけどやっと少し好きになってきた。
「007」からはレア・セドゥとベン・ウィショー。
レア・セドゥは、いつ見ても、きれいだなぁ、でも大根だなぁと思うんだけど
世間的には演技も?評価が高いので、わたしの見る目がないのか。笑
「アデル、ブルーは熱い色」で、ものすごく印象的だった女優さんですね。
ボンドガールもしてたけど、変な映画の変な役も似合いそうです。、
そして、わたしの周りの女子たちに絶大な人気を誇るベン・ウィショー。
アンチ・マッチョ・ヒーローですかね。
でもこの映画の中ではへんてこな角刈りっぽい髪型で、目つき悪く
中途半端におどおどしたような役をやっています。
これがうますぎてえ?これってベン・ウィショー?って迷うくらいでした。笑

独身者が許されない世界。見つかったらとあるホテルに連行され
45日以内にパートナーを見つけないと動物に変えられてしまう。
私物は許されず全員同じ服を着て、研修を受け、出会いパーティみたいのもあって
森へ逃げ出すとそこには、反体制派の、独身しか許されないグループがいて
そこは逆に恋愛などするとおそろしい罰が待っている世界。
どっちも極端すぎて、笑えます。かなりブラックな笑いですが。

この映画のおもしろいところをチョコチョコ書くとものすごく長くなる。
全編、ヘンテコが普通のことのように描かれ、真面目な顔で話が進むんですが
それらがいちいちブラックでおかしいんですよ。
おかしいと言ってもなんかくすっと笑うのとも違うおかしさですけどね。
たとえば主人公の連れてる犬は彼の元お兄さんだったし(今もか?)、
なりたい動物は選べるんだけど管理側の人が「犬は大変人気があります。
そのため世界は人気のある動物であふれています。」みたいなことを言う。
主人公がロブスターになりたいというと「ロブスターは大変良い選択です」。
そういう感じでずっと進むので、実際に見てもらわないと伝わらないかな。
でも実際に見てもらっても、この気持ち悪いような変な世界を
面白がれるかどうかは、保証できないので、あんまり人には勧めない映画かな。
でも映像はきれいで上質感がある。そのきれいさまでもが奇妙でへんてこですけど。

独り者禁止の世界も、恋愛禁止の世界も、どちらも、人を好きになるのに、
相手と何か共通点があることが、ものすごく大事なこととして描かれています。
足を引きずっているとか、鼻血が出やすいとか、目が悪いとか、冷酷であるとか。
現実の世界でも、ちょっとした共通点から人に惹かれることはあるけど、
それがあたかも恋愛に不可欠な最重要事であるかのように、ここでは描かれている。
映画の後半は恋愛(純愛?)物語になっていくと書かれているものを見たけど
この映画の中の恋愛というもの自体が、
こういうバカバカしい奇妙な前提の上のものなので、
それを素直に後半は愛の物語になっていってると読むことはできないと思うんだけどな。
あくまでもふざけていてこじれていて、ブラックと思う。


ーここからちょっとだけネタバレー


だから、この映画のラストは春琴抄もどきを予想させて終わるんですけど、
わたしは彼は逃げ出したのだと考えたいんですよねぇ。
あくまでも恋愛なんてそんなもんという、
後味の悪い冷めたブラックさが最後まであってほしいのです。ここでは。

映画:写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと

2016-04-08 | 映画


写真家のドキュメンタリー映画はこの数年で何本か見ました。
ファッションや音楽の商業写真家や
スナップ写真家、全く無名だった写真家、いろいろです。
「アニー・リーボヴィッツ」
「アントン・コービン」
「ヴィヴィアン・マイヤーを探して」
「ビル・カニンガム&ニューヨーク」

さて、今回見たのは1940年代からファッション写真で
錚々たる有名雑誌の表紙を飾るまでのキャリアを築きながらも、
80年代に1度表舞台から姿を消し、
2006年に初めての写真集が出版されて再び注目を集めた写真家。
この映画に撮られた翌年の2013年に亡くなられたようです。

この映画の字幕を、翻訳家の柴田元幸さんがされてて、それも興味深かったです。
わたしはひねくれていて、こういう、おじいちゃんの語る人生訓的な
「~~の13のこと」みたいなタイトルがついてるだけで、いやになるのですが、
柴田さんが字幕やってるなら、タイトルは黙認しようと思って見に行きました。
(えらそう。笑)
柴田さんの訳した本も何冊か読んでるし、彼の文芸誌「MONKEY」の関係の
トーク
聞きに行ったこともあります。面白かった。
この映画のサイトに柴田さんのページがあるのですが、
彼の→手書きのコメントがいい味です。

映画は彼の半生をたどるというものではなく、
今の(撮影時点での)彼の言葉を聞くインタビューと言った方が近く、
映画の大半は彼の家の中でのインタビューというか、彼のぼそぼそした語りです。
だから映画自体はドキュメンタリートとして特によくできてるという感じじゃなく
どっちかというとシンプルで平板で退屈でさえあるかもしれない。
スリリングでもないし、何かが深く掘り起こされるわけでもないし、
ドラマチックでもないし、盛り上がりや感動もさほどないです。
是枝監督が「散歩のような映画」とコメントしてたけどそんな感じ。
ごちゃごちゃした家の中でいい加減なコーヒーを飲んで少し喋り
近所をぶらっと歩きながら少し喋り・・・
なんだかごく日常的な近所を散歩してきたような気がする映画です。
でも、この頑固そうな、多分照れ屋の普段着のおじいさんの語りと、
彼の撮ってきた素晴らしい写真だけで、
なんの変哲もない映画でも、まあいいのだと思います。

ソール・ライター氏は、かなりごちゃごちゃした家に住んでいます。
後ろの壁にかかっている絵がとても気になってたら、
これも彼の描いた作品なんですね。絵も描くのね。
ごちゃごちゃした家の中に、猫が似合っていました。

映画:人生は小説より奇なり

2016-04-07 | 映画


覚えられない系タイトル。原題は「ラブイズストレンジ」。
映画見た後で改めて思うけど、映画の内容に関係ないし意味のない邦題ですね・・・。

この日はねじれた技巧満載の「ロブスター」を見た後に続けて見たんだけど、
こちらは逆に、も少し技巧とかないの?という地味でよく言えば素直すぎる映画。
でもだからといって素直な良さがあるわけでもなく、物足りない感じでした。

40年近く一緒に暮らしてきたゲイカップルが、正式に結婚するところから始まります。
でも、幸せな結婚式やパーティのあと、
同性婚に反対する教会の意向で、学校の教師の仕事をなくし、住むところがなくなり、
しばらく別の家にお世話になることになって離れ離れに。
それぞれの家の人たちはいい人達なんだけど、やはり不自由で居心地悪く寂しいし、
人間関係で傷つくこともある・・・そしてふたりは・・・。というお話。

予告編では期待したんですよ。
同性婚で起こる問題・・・厳しい現実、人や制度の差別や偏見など。
そして何十年も連れ添ったパートナー同士の情愛。
そういうものが丁寧に描かれている映画だといいなぁと。
ところが、そういうの、ほとんど一瞬の素通りで、
後半に入るとええ?このまま、そうきて終わり?
まだこの映画の中に何も見てないよわたし?と思ってる間に終わっちゃった。

いまち回収してない伏線的なものや(そもそも伏線とかあんまりないけど)
描き切れてない人物や(いろんな断片を見せられる面白そうな人物いっぱいいるのに)
なんのふくらみもない物語が、残念だなぁ。
居候する家の夫婦や親子の関係も、その家の少年も、それぞれ問題があるのに、
すごく中途半端にしか描かれてなくて奥行きが全然なくて宙ぶらりん。
もう一軒の家のゲイの警官カップルの話も、いくらでも厚みの出せるところなのに、
ただ、はい、ゲイのカップルです、という以上のことが描かれていない。

ゲイのシニアの問題や切実さも描ききれず、二人の愛情もイマイチ訴えてこない。
このカップルがゲイである必然性が、結婚で仕事をクビになるという一点しかないのが、
ほんと残念。いくらでも掘り下げられるテーマなのにな。
小さな差別やそれへの戦いとそれで深まる絆的な物語が、
ありきたりでも、なにもないよりずっとよかったのに。
そして最も重要なこのカップルの関係さえ、
39年も連れ添ってきた愛し合うカップルの情愛が見えない。
仲の良い古い友達同士にしか見えないんですよねぇ。抱擁し合ってても。
かなりの力不足感・・・。
ラストも、大事なシーンのもったいぶった長回しがやりすぎで、
あまりにわかりやすい結末が見え過ぎてしまい。
その後も、ショパンの音楽の中、センチな光の中のシーンのロングショットが
余韻もなにもなくなるほどの短絡的安直やりすぎ演出これでもかと来て、興ざめ。

善良な人ばかり出てくるハートウォーミングで、特に深みはないような映画でも
面白いものは面白いんですけどね。そこそこでいいんですけど。
たとえば「人生のなんとか」とか「しあわせのなんとか」みたいな
アホな邦題つけられた映画でも、それなりにこなれて面白いものは結構あります。
この前見た「リライフ」は役者と映画トリビアとディテールが面白かったし、
「ニューヨーク眺めのいい部屋売ります」はシニア夫婦の深い愛情を感じられたし、
「しあわせへのまわり道」はヒロインの人生も移民の人生もどちらもよく描かれていた。
個人的に、お年寄りカップルの映画が最近気になって見てるのですが、
コテコテすぎて言うのも恥ずかしいようなお涙ちょうだい系タイトルの韓国映画
「拝啓、愛しています」なんかの方が
何十倍も出来がいいなぁと思います。

主役の一人がピアノを弾くので、クラシック音楽がたくさん使われてるけど
なんとなくそぐわないシーンも多かったように思いました。
ミスマッチが、成功してない感じ。。。
でもマリサ・トメイは優しく愛情深く我慢強い公平な女性を演じててよかった。

結婚パーティとカピバラ

2016-04-06 | Weblog
友達が結婚したんです。
  
10年ほど付き合ってて、何年か一緒に住んでたそうなんですけど
結婚というような制度に興味がなさそうな人だったので
結婚すると聞いたときは軽く驚いたけど、
なんかウキウキとうれしそうなので、よいことだと思いました。

この友達はわたしと同じ年くらいの男性ですが、すごく若く見える。
そして、うーん、変わり者というか、
一緒に歩いていると人にジロジロ見られます。
撮影ですか?と声かけられたりします。
着物をよく着ているんですが、よくある着流しではなく
袴をつけた中世風の着物で、とにかく派手で目立つ。
よくしゃべる賑やかな人で、彼女といるときも
2時間あれば1時間50分くらいは自分がしゃべってるというくらい。
それで、彼女のことを初めて聞いたとき、どんな人?と聞いたら、
僕より10歳以上若いけどずっと大人で、聡明で、優しく誰からも好かれて、
頑張り屋で仕事もできて、とにかくあらゆる点で僕よりいいところしかない、
人間としてホント素晴らしい!ケンカしたことない。ケンカする予定もない!と。
付き合って10年経つ恋人を、こんな風に絶賛する日本人をあまり見たことない。
そして、
顔はね、カピバラに似てて、すごくかわいいんですよ~!と言う。
それ褒め言葉?と思いつつ、その後何度か彼女に会ったけど、確かに似てるかも。
かわいくて、穏やかな感じで落ち着いた気持ちのいい人です。

この友達とは落語をたまに一緒に聴きに行くのですが、寄席の後食事でもと
大阪の街中を歩いている時にふと見ると、ふたり何気なく手をつないで歩いてる。
とても自然に手をつないでて、なんかいいなぁと思う。


結婚パーティは、バーカウンターのある倉庫のような場所で手作りっぽい感じ。



いくつもライブが入って、どれも聴きごたえのある演奏で、すごくよかった。
ふたりはあつらえた伝統的な装束で、相変わらず目立っていましたが
本当に嬉しそうで、いいパーティだったなぁ。

チマチョゴリ

2016-04-05 | Weblog
友達の結婚パーティで、ドレスコードは晴れ着(勝負服)でと言われたのですが、
この友達(男性)は普段からものすごく目立つ着物を着てる派手な人なので
(道歩いてると、撮影ですか?とよく聞かれる)、何を着ようか考えてたら、
昔のチマチョゴリが出てきたのでそれ着て行こうかなと思って、
実家でその話をした。
淡いやさしいモーブ色のチマチョゴリはきっと目立つ。
大阪で地下鉄に乗って行く場所なので、危ないという結論になった。
何か言われるくらいならいいけど、もっとひどいことされたりしないように、
用心のため、行き帰りは普通の服で行ってどこかで着替えた方がいいよと。

30年前の学生時代に、ポートピアホテルの今はなきアラン・シャペルへ
ディナーに行った時は、チマチョゴリ着たまま電車乗り換えて行けたのになぁ。

そんな世の中ですが、もしも、若くてきれいなままだったら、
今でも気を張ってチマチョゴリを着て地下鉄に乗ったかなぁとも思う。
今は年をとって、民族差別の上にオバハン扱いまでされるのが、
嫌だなぁと思って躊躇してしまう。
背筋伸ばしていればいいだけのことなんだけどね。

結局、チマチョゴリは持参して、あちらで着替えました。
パーティはバーカウンターのある倉庫のような会場で、
いくつものライブやフラのショーもあって、着替える人も多かったし、
まあ、長いドレスは汚すし転ぶから、それでよかったと思うけど・・・。


掃除機とか

2016-04-04 | Weblog
たまにしか掃除機をかけないので(あかん)、普段忘れているんだけど、
吸わない掃除機のストレスについてよく考えたら、
掃除機くらい気持ちよく使いたいし、
よく吸う賢い掃除機を買えば、掃除も好きになるかもしれないし、というか、
吸わない掃除機に腹が立ってキレた勢いで、ダイソンをポチっとしたのでした。

そして去年から、さんざん勧められてた布団乾燥機も勢いづいてポチッ。
ついでに何冊かの本と、肩こりグッズも。あー、お金使っちゃった~
普段、飲み食い映画以外に、ほとんどお金使わないし、
物欲がない、とぼやいた直後に、ポチりまくったことに気づきました。
でも物欲じゃないもんなぁ。
まともな掃除機は、人生に必要なものの一つだと気づいたのです。

家電で大事なのは冷蔵庫、洗濯機、うさぎがいるからエアコン。
洗濯機は、ないと、1日で手がボロボロになるよね。
時間も労力もものすごく食う。冬だと1日で指先ひび割れると思う。
今は一人だからいいけど、子供がいた時に洗濯機が壊れたら
なんでもいいから早く届く洗濯機を買ったと思う。洗濯機大事。

夏の冷蔵庫も壊れたら泣く。たくさんの食品を捨てて、
やっぱりできるだけ早く家に来る冷蔵庫を焦って買うと思う。
エアコンは、夏に壊れたら、ウサギが死にますから困る。

そういえば、うちにはアイロンもない。10年前に捨てちゃった。
でも困ってないです。女子力的にどうかという点以外は。
ハンカチもよく伸ばして干すだけ。
アイロンかけるとぺたんこになるけど、
アイロンなしだとふわっとしてるのが好き。

で、掃除機の重要度はすごく低かったのです、埃じゃ死なないと思ってたし。
でも、よく吸う掃除機は、本当に気持ちいい。
今までの掃除機とは比べものにならない吸引力で、
(どっちもサイクロン式の充電タイプ)さすがダイソンと感心。
掃除するのが楽しみ、まではいかないけど、苦痛は少し薄れました。

ああ、ものすごく文明人になった気分。笑

呪いの人形(笑)

2016-04-03 | Weblog
この前、初めてフライイングタイガーに京都で入ったんだけど、
外国のものですが、派手なオレンジやピンクの簡単な人の形のぬいぐるみ?に
呪いの言葉が書いてるものを友達が見つけて(元カレに贈る用だった気がする)、
中に「一生足が臭くなる呪い」みたいなのがあって、
なんて強力で極悪な呪いだ!とその時は震撼したけど、改めて考えると、
電車の中で鼻掃除してるおっさんとかにその呪いをかけたいと思っても、
そのおっさんの足が一生臭くて困るのは家族や周りの人なので、
それは気の毒だなぁと考え直した。

わたしの定番は、
夏の夜やっと落ち着いた飲み屋でぬるいビールが出てくる呪いや
新しい靴で犬のうんちを踏んづける呪いなんですけど、
もっと他に、もっと凶悪で血も涙もない呪いはないものかなぁ。笑

黄色いパッケージの紅茶

2016-04-02 | お弁当や食べ物
コーヒーが切れてて、ストロングなアッサム紅茶をがつんと飲みたいんだけど
家にないので、いただき物のきれいなパッケージの紅茶を開けたら、
予想外に、ものすごく甘い香り。
濃厚でコクのあるシンプルなイングリッシュブレクファストと思ってたのに、
よく見るとシンガポールブレクファストって書いてあった。なるほど。
フレーバーティはちょっと苦手なんだけど、
丁寧なコットン布で包まれたティーバッグがかわいくて、
とりあえずポットで淹れてみた。

濃厚なバニラの香りの下に、すうっとするミントっぽい香りと、
少し他のスパイシーな香りもあって、
なかなか複雑ないいブレンドで、紅茶自体も美味しい。
フレーバーの他に、緑茶もブレンドされてるみたいで、
紅茶とはちがう爽やかな苦味も少し感じます。
息子がいた時は紅茶もよく飲んだけど、
ひとりになってあんまり飲まなくなりました。
ちょうど2杯分の普段用のティーポットで、今はひとりで2杯いただきます。

紅茶みたいなコーヒー

2016-04-01 | お弁当や食べ物
映画館の近くに、音のいいバーがあって、昼間はカフェもやってるようで
信頼できるコーヒー屋さんにも、酒飲みの人にも勧められたので、
映画を2本見る日の、2本の間のあき時間に行ってみた。
頼んだコーヒーは酸味のあるタイプで浅煎りのものだったんだけど、
お店の人が言ってた通り、なんか紅茶みたいな風味があって驚いた。
安めのダージリンというか、高級なアッサムというか、
とにかく紅茶の葉っぱの風味があって、酸味が軽く爽やかでこなれてる。
同じものをお代わりしてしまった。
おいしかったです。

カフェやってて思ったんだけど、コーヒーの酸味が苦手な人って多くて
わたしもそうだったけど(コクのある深煎りのコーヒーのカフェオレが好きだった)
カフェやって、かなりたくさんコーヒーを飲むようになってから、
酸味のあるコーヒーのおいしさもわかるようになってきました。
コクと苦味の強いコーヒーも好きだけど
いい酸味のあるコーヒーも好きです。

いいお店だったので、今度はバーの時間に行ってみます。