sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:ワイン・コーリング

2022-03-19 | 映画


ワインを飲みながらワインにまつわる映画を見るのは楽しい。
アマゾンプライムで何となく見始めたドキュメンタリーがすごく良くて、
少ししてまた見ました、ワイン飲みながら。
自然派ワインを作るフランスの人たちの話ですが、ワイン作りも、それに携わる人たちも興味深い。

牛の角にフンを詰め発酵させて作る天然肥料!の話で、
牛はいつも俯いて草を食べてるけど角は常に太陽を指して興味深い酵素を作ると聞いて
風にサラサラと崩れる土や見えない沢山の沢山のバクテリアのことを思い
詩のようだなと思ったりした。
牛は素敵な動物だしね。

「ワイン造りは年に一度、一生に40年で40回として平均20〜25回は失敗して、成功は5〜6回、
あとはまあまあ」って、すごい仕事だなぁ。業を感じるなぁ。

人一人分の幅のキャタピラー?が動かなくてあちこちネジをしめなら進んで、
電話で散布に成功したと聞いてやったー!と踊ってる人を見て、
そのこじんまりとした格闘に愉快になって声を出して一緒に笑いました。
派手じゃないのにこんなに笑えるのはいいドキュメンタリー。

「テロワールと結びついた本物のワインが作りたいだけ。
現状への反発じゃない。環境の再構築がしたいだけ。」
ビオワインは賛否両論だけど、きっと美味しいものは美味しいんだろう。
世界に余裕があって良いものにお金を払う人が沢山いるといいなぁと思う。

少年時代にワイン農家と知り合い将来を決めた男の妻は大柄で
身振り手振り口調、体全部を使って熱心に情熱的にたくさん喋る。
ワインは樽からボトルに入れらるとき、XXLサイズから Sサイズの服に詰め込まれる、
くつろごうとするけどきつくて身動きできない、
グラスに注ぐと外に飛び出すけどまだ縮こまってる、
ボタンを外し息をつかせる、15分もすれば開いて本当の味になる、という話を
テーブルから立ち上がって、すっかり息苦しいワインになりきって熱演。
小柄で子供の頃にはロマとあだ名されてた男と
一回り大きながっしりした体全部を使って情熱的にワインを語る女の組み合わせがとてもいい。
夢と理想と希望があれば、人に笑われても頑張れるし助け合える。
「常に言葉を交わし協力し合う」
情熱があって正直で頑固で真面目で人生を楽しんでる人たち。

有機栽培の樹齢100年の葡萄のワインが土壌を反映していないといわれて
カテゴリはテーブルワインだけど国の認証は気にしない、信頼と価値を自分で確立すると言う。
「世界を変えようなんて思ってない、何も主張してない、我々のワインや生き方が最高だとも言わない、
自分たちの小宇宙で居心地良く暮らしてるだけ。誰の邪魔もしないよ」
そして、「飲もうか」で映画は終わった。
そのあと、ナレーション(シャンソン)が流れるんだけど
知ってるか?自由、平等、孤独、不安、博愛、弱さを、知ってるか?フランスを、という歌詞で
ここに「弱さ」というのが入ってるところがいいな。
フラジリテ。英語のfragileね。
わたしが中々強くなれないのはつい弱さの方に惹かれるからだと思う。
弱さ、壊れやすさ、傷つきやすさなんてない方がそりゃ生きやすいし自分も周りも楽だけど、
弱さの分からない強さなんてやっぱりほしくないのよね。
その上で、もっと強くなりたいものですが、まだまだですかねぇ。

わたしにもう少し味がわかればなぁ。味がわからないなんて世界の神秘が遠くて悲しい。
こんなに食いしん坊なのに。こんなに酒飲みなのに。
今からでもフランスに行って2年くらい住めばいいのにと自分に思うんだけど、猫がいるか…
50歳くらいまでは人間の子どもを育てて動けなかった。
猫を飼う前に動けばよかったけど、生活が大変な時でそれどころではなかった。
でもドキュメンタリーとか見ると、自分はここに行けば苦しくなく生きていけるんじゃないかと思う。
昔ひと月ほどパリにいた時の、あの、自分が自分でいる孤独の心地よさが懐かしいな。
でもその頃よりずっと大人なんだから、どこにいてもそういう自分でいられるようにならなくては。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿