「アメリ」的な、映画かと思ったら、全然甘口じゃない。
ふんわりした孤独と甘い空想の先に理解や愛が現れるにかと思ったけど、まったく違う。
ほろ苦をはるかに超えて、苦くて苦くてつらい映画だった。
映画の邦題や、宣伝コピー、チラシでの説明などに
納得がいかないことはすごく多いけど、これは怒りで震えるレベル。
たとえばマチルドの母親を「情緒不安定な」「ちょっと変わり者のママの突飛な行動」
とか書いてあったけど、全く全くそんな甘いもんじゃない!
母親は完全に病んでいる、自分がどこにいて何をしてるかもわかってない
虚ろで育児放棄の母親ですよ。小学生の子どもをひとりっきりにして
街をさまよい時間も場所も忘れ、呆然と歩き回るし話も通じない。
精神病者の母親をそれでも愛する孤独な女の子の話がいけないわけじゃない。
それを甘やかな雰囲気で包んで、ママはちょっぴり情緒不安定だけど愛のある日々、
みたいな全く違う方向の嘘で、宣伝することに腹がたつ。
お話は・・・マチルドは精神障害が深刻になってきた母親と二人暮しの9歳の女の子。
学校にも友達はいなくて、孤独な毎日で、その分も母を大事に思って生きるしかない。
ある日、母親が、家に迷い込んだというフクロウを捕まえてプレゼントしてくれるけど
そのフクロウはマチルドだけに口をきき、マチルドの孤独は癒されて・・・
ネグレクトで、愛も全然もらえない、たった9歳の女の子のつらい話なのよ。
尽くしても尽くしても母親は上の空。それでも母をかばう女の子。
そういえばこのつらさは「パンズラビリンス」の子供の孤独に似てるなと思い出す。
でもどんな母でもそれしか縋るものがないから、娘は必死で母の元にいようとして、
決して自分の不幸や孤独を認めようとしないのが、またつらい。
フクロウに「君は不幸なんだ!」と図星を指されても認めず、違うと言い張るのは
自己防衛でもあると思うと、もうほんとに切なく悲しい。
この、友達になるフクロウはすっごくかわいくて、賢くてほっとするけど。
フクロウって猫に似てるなぁと思ってうちの猫の表情を何度も思い出した。
ラストに出てくる成長したマチルドは、スズメの映画「バードピープル」の
アナイス・ドゥムースティエ。マチルドのその後にぴったり。彼女だけでなく、
両親もマチルドも、キャスティングはとてもいいし、それぞれ素晴らしいです。
キャスティングだけでなく、映画としてもいいんですよ。
詩情あふれると書かれてるのは本当で、全篇からあふれています。
水の中のオフィーリアのイメージも、マチルドの家も、色の使い方も美しい。
孤独なマチルドと人体模型のエピソードも、ドキドキして怪しくて怖くて
でも共感してしまうところもあってとてもいいし、
フクロウはもう最高に素敵。よく演じましたねぇ。感心。
音楽もいいですね。これも予告編で聞けます。耳に残る。
原題は「Demain et tous les autres jours(明日もそのあとの他の全ての日々も)」
これは上の予告編の最後にマチルドがフクロウに明日も話せる?と聞いた時の答え。
そういう方向の宣伝で見に行ったなら、もっと楽しめたいい映画だったのに。
そして、監督が母親役を演じてて、実際自分の母親がこのような人だったそうで、
そういう情報があれば、もっと素直に映画に入り込めたのに、とも思う。

これは映画館でキャンペーンで売ってたイチゴ味のココア。
甘い飲み物飲まないけど、こういうタイアップものは気分が上がるから好き。
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