goo blog サービス終了のお知らせ 

sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:ウィ、シェフ!

2023-05-16 | 映画


黄色基調の明るいポスターと、シンプルなタイトルで想像する楽しい料理映画と思ったら
ほんの少しどこか微妙に違うのはフランス映画だからかな。良い方に違いました。

ヒロインは有名シェフのレストランで働いていたけど
自分のレシピを勝手に変えさせられたことに怒って喧嘩してやめてしまい
やっと見つけた再就職先は移民の子供たちの食堂で
それまでの煌びやかで才能を活かせる世界とは全く違って缶詰温めて出せば良いような食堂。
そこで移民の子どもたちに料理を教えることになって…みたいな話ですが、
最初、ヒロインが派手な厚化粧で気が強く怒りっぽく、あまり好感の持てる感じじゃなかったのに
少しずつ彼女の人生や孤独な背景がわかっていくにつれ理解も共感も持てるようになるし、
さらに彼女の最善を尽くすガッツと、人への分け隔てない接し方や優しさを見るにつれ
とても魅力的な人に見えてきて、最後は彼女を好きになって応援するようになるのが
とても気持ちよかったです。

2月に見たフィンランド映画の「コンパートメントNo.6」のヒロインを少し思い出しました。
この映画は脚本が良くて、別の国に舞台が変わっても
ハリウッドでもアジアでもリメイクできそうと思ったけど、
ここでのロシアのフィンランド人の話は地味と言えばだいぶ地味な映画で
なによりヒロインの魅力のない地味さに、最初の方ではうんざりしそうになりました。
ところがその魅力を感じられなかったヒロインが後半にかけて良くなってくるのがすごいのです。
話の流れで笑顔が増えてくることもあるけど、それ以外でもヒロインが魅力的に見えてきて
気がつけば好きになってる。
「ウィ、シェフ!」もそういう映画で、わたしはそういう映画が大好きだな。
人の魅力がわかるようになったり、あるいはその主人公自身が変わって魅力的になっていく映画は
見ていて本当に気持ちがいい。
曇っていたメガネをきれいに磨いたあとに世界を見たような、すっきりした気持ちになります。

わたしは料理映画が好きだけど、(だからこれを見ました)
この映画のテーマは料理より移民問題の方により割かれているように思えるラストで
それもまたよかったです。
移民の子供たちを演じたのは実際の移民の少年たちだそうで、だからこそのこのラストなんだな。
映画としてはどこかこなれてないぎこちない作りのところがあるし、
素晴らしいとは言えないけど、好きな映画。

ところで、原題は「LA BRIGADE」、旅団という意味で、
映画を見る前は「ウィ、シェフ!」なんて安直な邦題だと思ってたけど、
映画を見たら、この言葉が大きな役割を果たしていることがわかって納得できました。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。