sigh of relief

くたくたな1日を今日も生き延びて
冷たいシャンパンとチーズと生ハム、
届いた本と手紙に気持ちが緩む、
感じ。

映画:あのこは貴族

2021-08-18 | 映画


私立大学で中高から上がった子たち(貴族)と、
田舎から勉強して受験して入学した子たちとの差がこれでもかと描かれてるけど
自分の学生時代を思い出して考えた。
わたしは中学から私立の女子校でそのまま女子大まで行ったけど、
外から大学に入ってきた子たちとの階層(生活レベル)の違いを感じたことはそんなになかった。
中高でもそれぞれの家のクラスの違いできっちりグループが分かれるようなこともなかったと思う。
長屋育ちの自分とは別人種みたいな有名な大きなお家からの子たちも、
ごく平均的なサラリーマンのおうちの子もいて、
でも付き合う相手がそういうことで分かれるということはなかったと思う。
大学でも、最初は外から来た人とら馴染みにくいし
中高から一緒にいた友達と変わらず一緒にいることも多いけど、
あの頃は一年もすると地方から来た子の方が一見街の子になりきってたりした。

中高では友達の家で、見たこともない良いおうちの生活というのを知って
びっくりしたことはたくさんあった。
初めて知る料理をたくさんご馳走になったし
金銭感覚の違いや長年の蓄積による文化度の差にも驚いたり、と
そういう、ある程度の格差はあったかもしれないけど映画に描かれるような断絶はなくて、
行き来もあったし、大学という小さな社会の中では結構混じり合ってた気がするけどなぁ。

だから映画みたいに、別の階層に対して無知で、いちいち驚くというのはよくわからない。
実体験以外にも英語も小説もテレビドラマでもいろんな階層の人たちを見られるし
あんな風にカルチャーショックを受けたりはしないんじゃないかと思う。
それは時代の差なのかな。右肩上がりからバブルに突入した時代は
格差があってもみんな同じように上を向いていたから、なのかな?
今はそうじゃないのかもしれませんね。
というように、映画はその辺の格差のはっきりしすぎる描写に違和感はあるけど、
その先で登場人物にステレオタイプな感情を与えはしないところに好感を持った。
階層の違う主人公ふたりの友情の話かと思ったら全然違って
二人の人生に接点はあるんだけど、基本的にそれぞれ別の人生、別の関係が描かれています。
何不自由なく育ち見合いして結婚することになんの疑問も持たなかった子と
地方から出てきて学費が続かず夜の仕事をはじめ友達と事業を始める子。
それぞれが、それぞれの場所で育む女友達との関係がしみじみと良い。
べたべたしない包容力が温かいなぁ。

力強く生きていく地方女子は大好きな水原希子ちゃんだし、
頑なそうな感じがあまり好きじゃなかった門脇麦もすごくよかった。
門脇麦のお嬢さんって、変に貧乏くさいんじゃないかと思ったけど
この子、顔がかわいいときとすごい不細工な時があって、その
もっさりとしてあまり物を考えたことのないお嬢さんっぽさが怖いくらいでよかった。

水原希子ちゃんが同じような境遇の女友達と自転車に二人乗りするシーンは
涙が出る名シーンで、これは見た女友達がみんな泣いてるシーンなので本当にいい。
孤独も不安もエネルギーも過去も未来も今も連帯も愛も友情も
自転車で疾走するシーンってなんていろんなものがうまく流れていくんだろうな。

シスターフッド映画に見る女の友情って、いいものが多い。
女は虐げられていることが多いから、女の友情は、どうしても助け合いになる。
自分の自立に必死なのに人も助ける女はかっこいいし、
助けることで自分も助けられてるんだよね、素敵だ。
お嬢さんとたくましいアウトロー女性との組み合わせでは
「フライドグリーントマト」が名作で大好きな映画だったけどもう20年くらい見てない。
また見てみたいな。