ダメ映画の悪口をよく言うわたしですが、ダメ映画とおバカ映画は別物で、
わたしがおバカ映画という時はその映画を褒めている時です。
おバカ映画というのは悪趣味や過剰さ、馬鹿馬鹿しさ下らなさに笑ったり呆れたり
時に疲れたりしながら、そのちょっとタガの外れた自由と、道を外れた知性に憧れと共に浸れる、
そういう映画。
これはまさにそういう愛すべきおバカ映画でした。めっちゃ下品だけど大好き。
レズビアンの友達同士が変なことに巻き込まれるんだけど、それがまた馬鹿馬鹿しすぎて笑える。
家父長的家族第一主義の共和党保守議員をマット・デイモンがちらっとやってるのは、
よくこんな馬鹿な役引き受けたなぁと、また笑った。
出てくる女性がほぼ全員レズビアンで、女子サッカーチーム全員レズビアンだし、
そこに何の葛藤も屈託もなく、その前に差別もなく、ごく当たり前にレズビアンで
どなたかがレビューで「息をするようにれずビアンである」と書かれていたけどその自然さに、
そんな映画見たことあったかなぁ?と思う。
主役の女性2人が超魅力的で好みで、お堅いレズビアンの子のしかめっつらもいいけど
自由奔放で破天荒な主人公が生き生きと魅力的すぎてわたしも恋してしまう。
マーガレット・クアリー、なんとアンディ・マクダウェルの娘だそうです。
確かに似ているところがあるけど、マーガレット・クアリーの方がずっと好きだわ。
この彼女の元カノ役の凶暴な警官スーキーは「ブックスマート」の主役の子ですね。
この子もいいわー。
彼女らを彩る脇役の男優たちの顔もまたみんないい味で、彼らの笑えるお馬鹿さ加減には
コーエン兄弟の映画の独特の間とユーモアがある。
監督はコーエン兄弟の弟の方、イーサン・コーエンで、これがソロでは初監督作品。
初単独監督でここまでハチャメチャである意味雑な映画を撮るのもすごいな。
ちなみに兄のジョエル・コーエンのソロ監督作品は「マクベス」
え、あの美しいスタイリッシュな黒白の画面と、フランソワ・マクドーマンドがすごかったあれ!?
かたや、超かっこよく撮ったシェイクスピア、かたやお下品下ネタ満載のはちゃめちゃコメディ、
コーエン兄弟のこういうバランス?も好きだなぁ。
友達同士の二人の女性が、おばあさんの家?に行くのに車の配送がてら行くことになるんだけど
手違いでとあるケースが入った車に乗って出かけることになり、
それを取り戻したい男たちに追われ…という話で、下ネタがほとんどという映画なので、
このケースに入ってるものも、その事情も馬鹿馬鹿しくお下品です。笑
そして映画の尺が84分、えらいわー。この軽さにはちょうどいいコンパクトさです。
主役2人ガス気になっちゃって、もっと彼女らの心情や過去など見たかった気もしたけど、
どこまでも明るくふざけた映画にするにはこれくらいがいいのかも。
名作古典映画「お熱いのがお好き」のオマージュだというレビューを見て
なるほどと思ったけど全然気づかずに見ちゃったので、それを確かめるためにもう一度見たい。
『ドライブアウェイ・ドールズ』コーエン夫妻1分解説動画