老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

言葉の語源など その(124) ~「堪忍」と「忍耐」~ 

2024年08月29日 19時23分07秒 | 面白い言葉や語源など
(大型の台風10号は午前中に鹿児島に上陸したようですが、経験したことのないような遅い速度なので、関西は土~月曜にかけての襲来になりそうです。遠く離れた地域でも既に大雨の被害が出ているようですが、大阪市内ではまだ時々小雨が降る程度です。しかし、先ほどより少し風が強くなったようにも思います)

 先日の大阪弁の項で、<「かんにん」=ごめん>と書き込みました。
確かに、大阪では謝ったりする場合に、「かんにん!」とか「かんにん、かんにん」或いは「かんにんしてや」「かんにんやで」というような言い方をよくします。(京都では「かんにんどっせ!」です)

 この「かんにん」は、漢字では「堪忍」で、「ならぬ堪忍、するが堪忍」「堪忍袋の緒が切れた」というような熟語もありますが、<goo辞書>によると、
1 怒りを抑えて、人の過ちを許すこと。勘弁
2 肉体的な痛みや苦しい境遇などをじっとこらえること。我慢すること。忍耐
という意味なので、単に「謝る」と言うだけでなく「こっちのミスやけど許してや」とか「腹立つやろけど、辛抱してや」というような意味を込めての謝罪の言葉のようです。

 更に調べてみると、この「堪忍」は元々は仏教に由来する言葉の様で、<生活の中の仏教用語>によれば、
・仏教では世界を彼岸と此岸とに分けている。彼岸は彼方にある理想世界、此岸は現実世界である。私たちが生活するこの此岸の世界を「娑婆」という。インドの言葉でサハーと発音する語を漢字で娑婆と表記したのであるが、その意味は〔堪え忍ぶ〕ということである。そこから〔こらえる〕〔辛抱する〕〔ガマンする〕という意味合いの日本語の「堪忍」が生まれた。

・「涅槃経」という仏典では「娑婆の名、翻じて堪忍と為す」と説く。「娑婆」の原意である〔堪え忍ぶ〕を端的に表したのが「堪忍」である。娑婆のことを「堪忍土」ともいい、四苦八苦の尽きない世界であるから「苦海」ともいわれる。 ところが、凡夫は「ならぬ堪忍、するが堪忍」と教えられても所詮は無理である。凡夫にできるのは、精々過ちを棚に上げて「堪忍して下さい」と許しを請うのが関の山である。
という説明がありました。


こんなことを書いていると、<goo辞書>の「忍耐」に同じという説明が気になりました。
つい先日が所謂終戦記念日で、『堪え難きを耐え、忍び難きを忍び・・・』という言葉を幾度か聞いたからでしょうか・・・

<Weblio辞書>などに拠ると「忍耐」は“苦しさ、辛さ、悲しさなどを耐え忍ぶこと”とありますが、「忍耐力」という言葉もありますので、単に<耐え忍ぶ>というだけでなく、<困難に直面しても諦めずに、目標達成に向けて持続的に努力する>というニュアンスも含まれている言葉かも知れないと思い至りました。(まさ)