老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

マイナス金利策に思う

2016年02月20日 20時19分59秒 | 政治・経済・環境・核兵器など
先般日銀が取り入れた「マイナス金利」政策が大きな波紋を呼んでいます。
日銀並びに政府の財政政策の悪あがきかとも思われますが、期待されたような財政効果は僅か2~3日で霧散してしまい、逆に色々な不安を引き起こし、この国の財政基盤の弱さを浮き彫りにした様です。

私は、経済学部卒とはいえ、専攻は「経済史」なので、財政政策については非常に疎いのですが、最近の我が国の状況から見て、はっきりと言えることが二つあります。

◆まず、この国で金利が上昇することは暫くの間はないでしょう。
なぜなら、先日もこのブログで触れた様に、平成27年度の当初国家予算では、新たに36.9兆円の借入金の追加となっています。見返りとして借入金の返済に23.4兆円が計上されているとは言え、その内、10.1兆円は金利返済分なので、元金返済に充てられるのはわずか13.3兆円だけで、差引今年度末では更に23.6兆円も借金額増加になるというのが我が国の財政の実情です。
すでにこの国の国債などの借金は1,000兆円を超えており、仮に金利が1%上がれば、金利だけで年間10兆円もの資金が必要となりますので、国の施策として金利のアップは絶対に避けたい所でしょう。

◆更に、国民の立場で見ると、個人資産は大半が消費に回せない金なのです。
某副総理の談話では、金利の引き下げにより銀行から産業界への融資増加と共に、個人資産を市場に引っ張り出したい意向の様です。
アホノミックスの成果を示すためにも、財政担当者としてはこれらの資産を市場に引っ張り出して、経済の活性化の起爆剤として期待したいでしょう。

しかし、それは金に困ったことのない裕福な二世議員や、世間を知らない日銀の理論でしょう。
確かに我が国の個人貯蓄は他の国と比べても水準が高い様です。しかし、今までこの国の市場の最大の需要層だった団塊世代は現役を引退し、人口の減少も相俟って、将来の国内市場の縮小も危惧される状態になっているだけでなく、若い世代では正規社員の比率が益々減少して不安定な雇用状態の人が増えている状態です。

上述のような最近の国の財政事情から見て、社会保障は限界になっており、老後の生活はある程度は自己防衛せざるを得ないことを国民は肌で感じており、このなけなしの資産は手放したくはないでしょう。
特にごく近い将来に来るであろう高齢者の医療費負担率のアップは切実な問題で、これに備える為にも資産を何とか維持したいと考えるのは当然でしょう。
仮に資産を使い果たさなくて子供に相続されたとしても、日本では超高齢化により、遺産相続人の平均は60歳以上になっている状態では、この傾向は継続されるでしょう。
即ち、長寿社会では、貯蓄は市場の潜在力にはなると限らないと考えられます。(まさ)