四輪クドウの独り言

見えたまま、聴こえたまま、感じたまま…

「地方創生の正体=なぜ、地域政策は失敗するか=」を読んでの感想と認識新たに…

2016-01-25 22:27:21 | 日記

●天皇・皇后両陛下が、明日5日間の日程でフィリッピンへ国賓として招かれ出発されるということを、ニュースで報じていました。確か80歳を超えられていると思います。今、日本で最も先の大戦(戦争)に向き合っていらっしゃると思います。昭和天皇の時代に起きた戦争であり、今上天皇に直接の責任があるのではありませんが、戦争による犠牲者を悼み弔い、平和を願うお姿には頭が下がります。ご高齢を顧みず、公務をされる陛下。同列に論じられませんが、70歳を過ぎたぐらいで年寄じみてはいかんと、自らに気合を入れました。

●先日、八重洲のブックセンターで購入した「地方創生の正体=なぜ、地域政策は失敗するか=」(筑摩書房/山下祐介・金井利之)を読んでいます。帯に~国策の病理が地方消滅を招く~と衝撃的な内容を思わせます。3分の一読みましたが、私が議員になる前から、いや議員になってからの「疑問」が確信になりつつあります。国や県のいうことを聞いて(財源付政策・補助金など)、そのまま実行すると、必ず「はしご」(制度・事業の中止・変更)を外される。または組織が「疲弊」(後年度負担)し、住民はおいてけぼりにされる。まじめなほど、被害が大きいように思っていました。

●本は、のっけから、そのことに対する、近い回答がありました。まずは、2015年5月に、金井利之氏(東京大学大学院法学政治学研究科教授/都市行政学が専門分野)が、全国の市町村長有志に「現在の地方創生の動き=「地方創生」で自治体は困り果てる=」と題して講演されたという書き出しです。詳しくは本を買って読んでいただくとして、チホウソウセイについて金井氏は、国が進めるチホウソウセイを「カギカッコつきの地方創生」と表現し、一般的な地域活性化、地域振興としての地方創生は、カギカッコのない地方創生と区別すると。ここから(この表現の区別)して興味がわいてきます。

●さて本文です。小見出しだけでというと、まずは「山に登ったら何が見えるか」という問いです。震災復興も終わっていない。アベノミクスの効果も出ていないこの時期、2014年8月の第二次安倍内閣が、突然打ち出したのが「地方創生」である。消滅可能性都市という衝撃的なレポートがあったにせよ、唐突であった。あれよあれよという間に、「まち・ひと・しごと創生」が動き出し、人口ビジョンと総合戦略が閣議決定され、12月の選挙で、地方重視を打ち出し、与党の勝利で終わりましたと。補正予算が組まれ、交付金が決まりました。しかし、国には、地方を再生する政策はありません。

●そこで出てきたのが、地方からアイディアを出させ、すぐれた者を優遇する、競争(ドックレース)をさせたのです。その通りです。日本の人口が減少しているとき、地方が人口増やす政策創れば交付金出すから、実践しなさいと。負け組合戦(1勝99敗)をさせようというのが「地方創生」です。ある市長が「地方創生」を山登りに譬(たと)えたそうです。山下氏は、“The Bear Went Over The Mountain”(熊さんが山に登ったよ)という子供向けの歌を紹介しています。この歌の最後は「山に登ったら熊さんは何が見えた」。熊さんに見えたのは「山の反対側だった」と。アングロサクソンの人たちは、子供に「山に登っても何か素晴らしいものが見えるのではなく、ただ山の反対側が見えるだけ」だと。

●司馬遼太郎の小説に「坂の上の雲」があるが、上ることを自己目的にしても、登ってみたら次は下り坂になる。それも雨曇りの中である…かも。アングロサクソンの人は、山に登るときの心構えを、登っても反対側が見えるだけだから、次々に現状に合わせて目標を設定し行動しようという。全国の自治体は、「地方創生」とお題が国から与えられると、われ先に登ろうとする。しかし、登った先に何が見えるか。地域が活性化し、老人の多い街に若者が増えると期待するかもしれません。アングロサクソンの人なら、登ってもだれかが、良いものをくれると思わないから、自分たちできること、自分にしかできないこと、それも可能性のあることに、さらにその先の目標も設定するでしょう。いや登らないこともあるでしょう。

●我々は、「地方創生」や「人口減少」について考えていくとき、国から(上から)新手の政策課題が示されるたびに、折に触れてこの歌(熊さんが山に登ったよ)を思い出してほしい。と語っています。国の言う通りにやってきて、「今がある」ということを、改めて肝に銘じました。さあ、まただまされるか…市長も議会も、職員も、そして市民も真価が問われるようです。残りは次の機会に…

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