佐伯さんの「本音で向き合う。自分を疑って進む」(竹書房)の核心「ビジャレアルの指導改革」で、その中心になったセルヒオ・ナバーロ氏の考えを紹介している。ビジェレアルCFは、3歳児からトップチーム、女子、知的障がい選手まで789名の選手が在籍し、120人の指導者がいる。その指導者を前にセルヒオ氏は、チームプランや指導の話の前に、フットボールと関係のない、スペインの歴史や社会的背景、その変遷などのワークを課したという。佐伯さんを含め120人の指導者は面食らったと述懐する。
セルヒオ氏は、それらが現在の自分たちの指導方法と密接な関係を持っていることに気付いてほしいと語っている。とても示唆に富んだ話だと思った。
『スペインには内戦という痛ましい歴史があったこと。独裁政権に苦しみ、いくつかの戦争を経てようやく民主主義と自由を獲得したこと。そうした時代を経て、国の団結や復興のため、即効性を優先してきた背景があった。
そうした現場では、与えられた指示命令、タスクを確実にこなすことが求められた。それを管理・監督する人間が必要だった。まるでフットボールの選手と指導者の関係性のように映る。
「これが古くからの指導だよね」
もっともだと感じた。その後、近代に入ると欧州統合が行なわれEUが現れた。スペイン人から、ヨーロッパ人としての自覚、さらに世界人へと、グローバリゼーションの渦中に自分たちがいることを自覚させられた。
現代で私たちに求められるのは、多様性、柔軟性、適応性、異なるものを受け入れる包容力だ。なおかつ、より良い人生、より良い社会のため、そして人々が自由を得るために必要となるのは、自ら考え自己決定する力のはずだ。
「それなのに、僕たちは何も疑うこともなく戦時中や戦後の学びの環境をそのまま無意識に継承していたんじゃないかな?時代の変化とともに、求められる人材は変わる。であれば、育て方や指導の仕方も変わって当然だよね」』
そこから、佐伯さんたちは新しい指導のビジョンの糸口を探る作業を行っていったのだが、日本も今、この視点を持つことが大切なのではないかと思った。明治維新から大正デモクラシー、大陸進出、敗戦、復興、高度経済成長、バブル崩壊、平成と150年余りの変遷の中で現在『働き方』についての大きな転換点を迎えているように思う。「今まで通り」ではいかない現実が迫っている。
昨日の「新・心のサプリ」でも海原純子さんが【すぐやめる新入社員】というタイトルで同じような問題提起をなされていた。
「今年入社した新入社員が1カ月もたたないうちに退職し、それも退職代行業者からの連絡で、企業側が驚いたという報道があり、これには衝撃を受けた方も多かったと思う。
昭和生まれの方は、「つらくてもすぐに辞めずに3年はそこで頑張ってみなさい」「雑用でも、自分に向いていないと思っても、まずはやってみるといつか役に立つ」などと言われ、それが常識だったし、何度も職を変えるのは「職を転々とする」と表現されて、忍耐できない人という烙印(らくいん)を押されたものだが今は全く違うようだ。
そんな時代なのか、そんな若者が多くなったら困ると思う方もいらっしゃるかもしれない。が、その判断はちょっと待ってほしい。若者の現状を聞くと、なるほど、と思うこともあるのだ。」と心療内科医として働く人の悩みに関わって来た海原さんは現状を分析する。
そして「自分が努力してもう少し辛抱したら相手も変わるかもしれないという希望的なスパンの長い論理は通用しない世代。無駄と思われることを何とか無駄にしないようにやってきた世代としては驚くことも多いが、合理的な世代との接点が必要だろう。」と指摘する。
答えはすぐには見つからないが、少なくとも自分が抱いている「常識」を疑いつつ考えてみたいと思った。大学生と小学生の孫に接する中で考えさせられることが多い。
セルヒオ氏は、それらが現在の自分たちの指導方法と密接な関係を持っていることに気付いてほしいと語っている。とても示唆に富んだ話だと思った。
『スペインには内戦という痛ましい歴史があったこと。独裁政権に苦しみ、いくつかの戦争を経てようやく民主主義と自由を獲得したこと。そうした時代を経て、国の団結や復興のため、即効性を優先してきた背景があった。
そうした現場では、与えられた指示命令、タスクを確実にこなすことが求められた。それを管理・監督する人間が必要だった。まるでフットボールの選手と指導者の関係性のように映る。
「これが古くからの指導だよね」
もっともだと感じた。その後、近代に入ると欧州統合が行なわれEUが現れた。スペイン人から、ヨーロッパ人としての自覚、さらに世界人へと、グローバリゼーションの渦中に自分たちがいることを自覚させられた。
現代で私たちに求められるのは、多様性、柔軟性、適応性、異なるものを受け入れる包容力だ。なおかつ、より良い人生、より良い社会のため、そして人々が自由を得るために必要となるのは、自ら考え自己決定する力のはずだ。
「それなのに、僕たちは何も疑うこともなく戦時中や戦後の学びの環境をそのまま無意識に継承していたんじゃないかな?時代の変化とともに、求められる人材は変わる。であれば、育て方や指導の仕方も変わって当然だよね」』
そこから、佐伯さんたちは新しい指導のビジョンの糸口を探る作業を行っていったのだが、日本も今、この視点を持つことが大切なのではないかと思った。明治維新から大正デモクラシー、大陸進出、敗戦、復興、高度経済成長、バブル崩壊、平成と150年余りの変遷の中で現在『働き方』についての大きな転換点を迎えているように思う。「今まで通り」ではいかない現実が迫っている。
昨日の「新・心のサプリ」でも海原純子さんが【すぐやめる新入社員】というタイトルで同じような問題提起をなされていた。
「今年入社した新入社員が1カ月もたたないうちに退職し、それも退職代行業者からの連絡で、企業側が驚いたという報道があり、これには衝撃を受けた方も多かったと思う。
昭和生まれの方は、「つらくてもすぐに辞めずに3年はそこで頑張ってみなさい」「雑用でも、自分に向いていないと思っても、まずはやってみるといつか役に立つ」などと言われ、それが常識だったし、何度も職を変えるのは「職を転々とする」と表現されて、忍耐できない人という烙印(らくいん)を押されたものだが今は全く違うようだ。
そんな時代なのか、そんな若者が多くなったら困ると思う方もいらっしゃるかもしれない。が、その判断はちょっと待ってほしい。若者の現状を聞くと、なるほど、と思うこともあるのだ。」と心療内科医として働く人の悩みに関わって来た海原さんは現状を分析する。
そして「自分が努力してもう少し辛抱したら相手も変わるかもしれないという希望的なスパンの長い論理は通用しない世代。無駄と思われることを何とか無駄にしないようにやってきた世代としては驚くことも多いが、合理的な世代との接点が必要だろう。」と指摘する。
答えはすぐには見つからないが、少なくとも自分が抱いている「常識」を疑いつつ考えてみたいと思った。大学生と小学生の孫に接する中で考えさせられることが多い。