素浪人旅日記

2009年3月31日に35年の教師生活を終え、無職の身となって歩む毎日の中で、心に浮かぶさまざまなことを綴っていきたい。

名古屋への往復で『ハーバード白熱日本史教室』を読み終わる

2012年12月23日 | 日記
 昨日の落語会は12時開演なので11時には名古屋に到着したいと思った。そこで行きは新幹線を使ったが帰りは時間のしばりがなかったので在来線を乗り継いだ。ちょうど新書版を1冊読むのにちょうど良いぐらいの所要時間であった。

 この本は、高校の理数科を出てあこがれのカナダへ行くために、ブリティッシュ・コロンビア州の州立大学UBC(ブリティッシュ・コロンビア大学)に入学して数学と生命科学を専攻したバリバリ理系の北川さんが同じ大学で日本史専攻で大学院に進み、ハーバード大学で日本史を教えるようになり、ハーバードではマイナーの存在だった日本史を履修者が押し寄せる人気の講座にしたサクセスストーリーなのでテンポ良く読むことができた。

 期待していたハーバード大学の日本史講義1“LADY SAMURAI”日本史講義2“KYOTO"は概論の概論で物足りなかったが新書版ではいたしかたがない。「日本史に女性が全く登場しない!」という素朴な疑問が“LADY SAMURAI”という授業をするようになった始まりなのでどうしてもそのあたりの経過については詳しくふれないわけにはいかなかったのだろう。それと実際の授業は資料読みの地味な活動も多くあるわけでそれを紙上に表現するのは不可能であろう。

 “KYOTO”でのアクティブ・ラーニングについては授業を考えるいい刺激をもらった。

 16人の受講生から始まり3年間で200人以上の受講希望者が出る人気講座に押し上げ、受講生からの評価(キュー)でも高得点を獲得した秘密を質問された彼女の答は実にシンプルであった。

 誰かに物事を教える仕事をうまくこなす秘訣の99パーセントは、準備段階にあると思うのです。準備に力を入れずに、出たとこ勝負ではすぐに限界がきます。ですから、準備を念入りにすることこそがキュー攻略の大きな鍵だと思います。つまり、個人的な秘密の前に、共通して「準備が重要」ということが大前提です。

 すべての事に通じる真実であろう。日本史の内容より物事に取り組む姿勢や事象の捉え方というマクロの部分で示唆に富む本であった。 
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