Nonsection Radical

撮影と本の空間

8月14日 金曜 ほんの少し前

2015年08月14日 | Weblog
古本屋で買った集英社文庫「シルクロード1」篠山紀信著を眺めている。
このシリーズはもともと大判写真集として1982年に発売され、当時バイトしていた東販の社員割引をつてで利用して1冊だけ買ったが、金銭難でその後は買えなかったもの。
当時の値段は5800円だった。
文庫本は1983年に発行されたが、第1巻は奈良から烏魯木斉(うるむち)までの旅となっている。
多分1980年代初めぐらいから撮影されたのであろうが、そこに写る街並み、人々の姿はすでに現在では消えてしまった。
赤ん坊をおんぶする少女が文庫本の表紙になっているが、いまどき子守をする子供など見たことない。
ほんの少し前の35年前ぐらいにはいたというのに。
そして当時10代前半だったこの少女たちは現在50代前後であるにもかかわらず。
街並みもきっと消えてしまっただろう。
この本を持って現地に行っても、写っている街並みに出会うことはないだろう。
それぐらいほんの少しの時間で人も街も姿を変えるのだ。
記憶さえも薄れていくだろう。

そういう状況の中で、戦後70年という”区切り”の話をしても、そこにどれだけ現実味を感じている人がいるというのだ。
自分が経験した時間でさえ、曖昧で真実味のない記憶しかないと自信がないので言えないのに。




銀座の街並み 1
静岡県静岡市清水区銀座
撮影 2014年12月27日 土曜日 15時25分
コメント
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