今朝の朝刊は、各紙、生活保護費(生活扶助費)が来年度削減されることになりそうであることを報じている。
もともと財務省の社会保障費カットの圧力もあり厚労省は生活保護にメスをいれようと思っていた。
その布石として昨年来の芸能人による生活保護の不正受給問題があり、これで、世論を生活保護適正化に誘導した。
不正はいけないのであり、不正受給している被保護者は許されるものではない、という世論を形成した。不正受給は悪であるという論理はだれも否定しない。国民生活が苦しい現状においては、むしろ苦しい人々ほど、不正受給には厳しい。額に汗して働くこともせずにぶらぶらパチンコやっていていいのか!という批判が出てきていた。
政権交代を期に今しかないという絶好のチャンスに生活保護費の削減が提案されたのである。
さて、これに対してカットされたら食べていけないとか、いや、背に腹は代えられないから聖域はないのだ、痛み分けだ、というようにさまざまな意見が渦巻いている。
生活扶助の費用は低所得の消費の水準と比べると逆転しているというのが削減の根拠となっている。
たしかに日経や朝日、毎日、各紙が出しているデータをみると
生活扶助 低所得世帯
夫婦+子ども1人:15万7000円 > 14万3000円
夫婦+子ども2人:18万6000円 > 15万9000円
20歳~50歳の単身者:7万8000円 > 7万7000円
母親+子ども1人(18歳未満) 13万9000円 > 13万1000円
注:低所得層の生活費とは年間収入を高い順から並べた下位10%のそれをいう。第1・10分位
と生活扶助を受給しているもののほうが受給していない低所得世帯に比べ「逆転現象」が起きている。
一方
高齢者世帯はどうであろうか。
60歳以上の単身者 7万3000円 < 7万7000円
60歳以上の夫婦 10万6000円 < 10万8000円
生活扶助の方が低く、低所得世帯の方が高い、つまり「逆転」は起きていない。
日本の捕捉率は低く、3割ともいわれているので、実際、生活保護並みの生活をしていながら、生活保護受給に結びついていない世帯が非常に多いということを表しているとも読める。
高齢者の生活費は子どもの有無、子どもの財力によって左右される。子どもが親の食費などをそれなりに補っている場合もあるからである。その一方で、逆に親の年金をあてにしている場合もあるのだが。
また、高齢者の場合、地方の農家などで路地野菜などをやっている場合、自給自足がある程度できる場合もあり、そういう場合は消費として表に出てこない。なかなか読めないものである。
厚労省としては、低所得世帯がこの額でやっているのだから、そのレベルまで削減してもよい、という論理を作ろうとしているのだろう。「逆転はよろしくない」「勤労意欲が失われる」ということなのであろう。
被保護世帯も低所得世帯も生活困窮しているに変わりはない。生活扶助を削減するというのなら、すくなくとも子どもにかかる費用は無料(学校給食、学用品などや医療費)にして子どもの養育が親の負担にならないようにすべきであろう。公共料金なども引き下げすべきだが、東電は値上げしようとしているし、憂慮される。
また、高齢者世帯も同様に介護保険の利用料などは、生保世帯も低所得世帯も無料にし、経済的状況によって介護サービスの利用を抑制するというようなことは避けるべきであろう。ジェネリックなどの利用を促進することも当然必要であろうが。
日本は生活保護にでもならなければ生活がやっていけないシステムである。
その途中でさまざまな支援があれば生活保護にならなくてもすむケースが非常に多い。で、結局生活保護費用が嵩んでしまうという悪循環の構造がある。
生活保護費を削減したいのなら、厚生省はもっと生保にいたるずっと前に適切な生活支援策を打つ必要があるのだ。
ギリギリまでがまんして治療が遅れることのないよう病気も早期発見、生活困窮も早期発見の予防措置が必要だろう。
それには、雇用・年金、教育や住宅、医療・介護など生活のベースが揺るがないようにすべきである。
生活保護の保護費を削減すると、結局、弱者を切り捨ててしまうことにならないか。痛み分けですといっても、実際は富裕層に富は集中する傾向があり、一部の富裕層をのぞいて、ますます国民は貧乏になってしまうのではないか、と危惧するのである。
それにしても、社会保障審議会生活保護基準部会(厚生労働相の諮問機関)の委員のみなさん、あまりに不甲斐ないではないか、と、世間から袋叩きにあいそうである。
政府系の審議会のメンバーになると大変である。専門家のお墨付きを頂きましたというアリバイ作りに利用されるのが関の山。
骨折り損のくたびれ儲け。
どちらにしても低所得層の生活実態の徹底的な調査が必要なのではないかと思う。低所得層に徹底的に生活支援をして生活保護層への移行を抑制することこそ必要な施策なのではないだろうか。
鍵は低所得層なのである。
生活扶助費を削減しても根本的原因は払拭されない。
もともと財務省の社会保障費カットの圧力もあり厚労省は生活保護にメスをいれようと思っていた。
その布石として昨年来の芸能人による生活保護の不正受給問題があり、これで、世論を生活保護適正化に誘導した。
不正はいけないのであり、不正受給している被保護者は許されるものではない、という世論を形成した。不正受給は悪であるという論理はだれも否定しない。国民生活が苦しい現状においては、むしろ苦しい人々ほど、不正受給には厳しい。額に汗して働くこともせずにぶらぶらパチンコやっていていいのか!という批判が出てきていた。
政権交代を期に今しかないという絶好のチャンスに生活保護費の削減が提案されたのである。
さて、これに対してカットされたら食べていけないとか、いや、背に腹は代えられないから聖域はないのだ、痛み分けだ、というようにさまざまな意見が渦巻いている。
生活扶助の費用は低所得の消費の水準と比べると逆転しているというのが削減の根拠となっている。
たしかに日経や朝日、毎日、各紙が出しているデータをみると
生活扶助 低所得世帯
夫婦+子ども1人:15万7000円 > 14万3000円
夫婦+子ども2人:18万6000円 > 15万9000円
20歳~50歳の単身者:7万8000円 > 7万7000円
母親+子ども1人(18歳未満) 13万9000円 > 13万1000円
注:低所得層の生活費とは年間収入を高い順から並べた下位10%のそれをいう。第1・10分位
と生活扶助を受給しているもののほうが受給していない低所得世帯に比べ「逆転現象」が起きている。
一方
高齢者世帯はどうであろうか。
60歳以上の単身者 7万3000円 < 7万7000円
60歳以上の夫婦 10万6000円 < 10万8000円
生活扶助の方が低く、低所得世帯の方が高い、つまり「逆転」は起きていない。
日本の捕捉率は低く、3割ともいわれているので、実際、生活保護並みの生活をしていながら、生活保護受給に結びついていない世帯が非常に多いということを表しているとも読める。
高齢者の生活費は子どもの有無、子どもの財力によって左右される。子どもが親の食費などをそれなりに補っている場合もあるからである。その一方で、逆に親の年金をあてにしている場合もあるのだが。
また、高齢者の場合、地方の農家などで路地野菜などをやっている場合、自給自足がある程度できる場合もあり、そういう場合は消費として表に出てこない。なかなか読めないものである。
厚労省としては、低所得世帯がこの額でやっているのだから、そのレベルまで削減してもよい、という論理を作ろうとしているのだろう。「逆転はよろしくない」「勤労意欲が失われる」ということなのであろう。
被保護世帯も低所得世帯も生活困窮しているに変わりはない。生活扶助を削減するというのなら、すくなくとも子どもにかかる費用は無料(学校給食、学用品などや医療費)にして子どもの養育が親の負担にならないようにすべきであろう。公共料金なども引き下げすべきだが、東電は値上げしようとしているし、憂慮される。
また、高齢者世帯も同様に介護保険の利用料などは、生保世帯も低所得世帯も無料にし、経済的状況によって介護サービスの利用を抑制するというようなことは避けるべきであろう。ジェネリックなどの利用を促進することも当然必要であろうが。
日本は生活保護にでもならなければ生活がやっていけないシステムである。
その途中でさまざまな支援があれば生活保護にならなくてもすむケースが非常に多い。で、結局生活保護費用が嵩んでしまうという悪循環の構造がある。
生活保護費を削減したいのなら、厚生省はもっと生保にいたるずっと前に適切な生活支援策を打つ必要があるのだ。
ギリギリまでがまんして治療が遅れることのないよう病気も早期発見、生活困窮も早期発見の予防措置が必要だろう。
それには、雇用・年金、教育や住宅、医療・介護など生活のベースが揺るがないようにすべきである。
生活保護の保護費を削減すると、結局、弱者を切り捨ててしまうことにならないか。痛み分けですといっても、実際は富裕層に富は集中する傾向があり、一部の富裕層をのぞいて、ますます国民は貧乏になってしまうのではないか、と危惧するのである。
それにしても、社会保障審議会生活保護基準部会(厚生労働相の諮問機関)の委員のみなさん、あまりに不甲斐ないではないか、と、世間から袋叩きにあいそうである。
政府系の審議会のメンバーになると大変である。専門家のお墨付きを頂きましたというアリバイ作りに利用されるのが関の山。
骨折り損のくたびれ儲け。
どちらにしても低所得層の生活実態の徹底的な調査が必要なのではないかと思う。低所得層に徹底的に生活支援をして生活保護層への移行を抑制することこそ必要な施策なのではないだろうか。
鍵は低所得層なのである。
生活扶助費を削減しても根本的原因は払拭されない。