3.11以後の日本

混迷する日本のゆくえを多面的に考える

イギリス労働党の強硬左派への転回 国鉄、高所得層への課税強化

2015-09-13 15:02:49 | 現代社会論
2015.9.12、の日経新聞から

英国の最大野党・労働党は、臨時党大会を開き、強硬左派の下院議員ジェレミー・コービン氏(66)が新党首に選ばれたと発表した。同氏は反緊縮や格差是正を訴え、党員らの6割近い支持を得た。1990年代以来中道路線を取ってきた同党の大きな転換となる。キャメロン首相率いる保守党の市場経済を重んじる経済政策や欧州連合(EU)離脱の是非を巡る交渉にも影響は及びそうだ。

 選出後の演説でコービン氏は「金融危機を利用して、人々に過大な負担を与えた」と現政権の緊縮策を批判。今の英国が一部の富裕層ばかりを遇しているとし、「人々はグロテスクなまでの不平等にうんざりしている。よりよい社会を作ろう」と呼びかけ、党員らから大喝采を浴びた。

 コービン氏は選挙戦で、鉄道再国有化や高所得者層への課税強化、核兵器廃絶などを主張。これに対して、90年代にブレア労働党政権下で市場経済とのバランスを重視する「ニュー・レイバー」を掲げてきた労働党幹部らは猛反発した。ブレア元首相自ら「コービン氏が党首になれば労働党は破滅する」と訴えたが、中道路線で保守党との違いがなくなったと感じる人々や生活苦に直面する若年層の不満を集め、人気はかえって高まった。

 コービン氏は1983年に下院初当選の大ベテランで、トレードマークは自転車とノーネクタイ。キャメロン首相など40代の若いエリート層出身のリーダーが目立つ最近の英国にあって、庶民出身の“泥臭いリーダー”像を体現する。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

大きな政府のイギリスに回帰するのか。
鉄道の国有化、高所得者層への課税強化。
ブレアは中道路線をとってきたし、キャメロンも結局そういう路線だった。
しかし、いわゆる格差は拡大の一方で、「グロテスクまでの不平等」にうんざりしている国民。

歴史は繰り返すのだろうか。
市場化によって経済危機を乗り越えようとしたが、もう限界で、次なる手は大いなる福祉国家、イギリスの誇りである福祉国家である。

いいなあ。

こういう展開は誰も予想していなかったのかも。
市場経済を重視するのは右も左もそうだったのだから、古くて新しい考え方。
これだけ、格差が拡大すれば、不満もたまり、税金で国民生活の基本は保証するというやり方はすぐれた歴史的英知かもしれないと思われる。

日本も、市場化してお客様は神様などと言わずに最低生活は国家が保障する、医療、福祉、教育、住宅、雇用はとにかく心配いらないという社会の在り方を追求するのはかえって新しいやり方かもしれないのである。
使いきれないほど儲けている人がいる、金持ちだが幸せでない人もいるのだし、そういうお金は税金として取り立てて、教育福祉医療などの社会保障に回しましょう。

子どもの頃、社会で習ったイギリス福祉国家、しかし、その後、アメリカと一緒に弱者切り捨てで経済を立て直してきた。この期に至って、にっちもさっちもいかなくなり、やはりかつての福祉国家の枠組みを新しい形でリフォーム、現代の生活にマッチしたやり方で作り替えれば、けっこうやれると思ったのではないか。
コービン氏は66歳、団塊の世代より少し下の世代。ちょっと期待してしまう。キャメロンなんて40代の若造でしかもエリート。人生も生活もわかっちゃいない。あんな奴に何がわかるっていうんだというところだろうね。
グロテスクなまでの不平等、はやりそうなセリフである。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

北関東を襲った大雨

2015-09-13 11:39:29 | 日記
2015年9月、北関東を大雨が襲いまさかだが、鬼怒川の堤防が決壊、多くの家が水害にあった。
関東平野は広いばかりでなく、平らなのだ。
歴史的にみれば、この地域はしばしば川が氾濫してきた。
ちょっと前に板倉町というところに行ったときに、農家の家に水塚(ミズカ)というのがあり、母屋の裏手の高台に穀物の貯蔵庫と舟が常設されているのをみた。河川の氾濫の時は、家族はその高台の家の2階に避難し、水が引くまで、しばらく滞在していたのだそうだ。昭和22年のキャサリーン台風の時は2メートルを超える水が押し寄せたとのことである。こういった歴史的教訓から我々は多くを学ぶことができる。

余談だが、水害の年は稲は全滅だが、しかし、水害によって土地が肥えその翌年は豊作ということを繰り返してきたという。


高度成長期経て、新幹線の開通で北関東の状況も大きく変わった。ベットタウンとなるところも出てきた。護岸工事をして、堤防をつくり、川のそばも宅地化され一戸建てがどんどんできた。日本の護岸工事の技術は高いからみな信頼して家を建てたのだろうが、やはり、このところのクレージーな気候変動にはかなわず、あえなく決壊。

国土交通省の役人は図面上で災害のシュミレーションをしていたのだろうね。が、実地で考えられたものでなければ有効でないに決まっている。
自治体職員もわがことと思って仕事に向かわなければ緊張感はない。テキトーに情報を流したのでもないだろうが、町ごとにきめ細かく住民の安全をまもるための最善の情報の発信の仕方をもっと工夫すべきである。いくら役所の宣伝カーが拡声器で避難を呼びかけても雨の音でかき消されてしまうだろうし、結局は、住民は動かなかったのだ。
情報収集は住民が各自におこなうしかなかったのだろう。
頼りない情報と勘で行動するしかなかったとしたら災害情報の発信方法に問題があったのであり、自治体の失策である。

これからは、堤防が決壊した、大地震が来た、化学工場が爆発した・・・、いくつものありえないかもしれない過酷な状況を想定して、避難訓練、住民も自治体職員も含めて何度もやるしかないだろう。

それにしても、助けられた人が、犬も一緒にというのが結構あって、ちょっと違和感があった。

非常時、家族同然の犬猫も一緒に逃げるのは人情だろうが、救助のヘリコプターに犬もいっしょというのはどうか。
ペート一匹よりもう一人を助けることのほうが先決である。非常時なのである、その程度の常識は持っていてほしいのである。

災害時はペットは解き放ち自力で生きさせること、そういう約束をしたほうがよいのではないか。
一人でも多く救助するときに犬猫はやはり違うのではないだろうか。その一匹のために人間が救助できないということのないようにと思う。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする