Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

インフルエンザに罹るとがん細胞が死ぬ?

2014-01-30 | Weblog
インフルエンザが流行っているようだ。
俳優諸氏には、本番や稽古で周囲に迷惑を掛けないようにということで毎年予防注射を打つ者がいる。だが、そのシーズンに流行が予想されるインフルエンザは一種類とは限らない。ある意味、きりがない。
私は予防注射を打たない。子どもの頃に学校で強制されて以来、予防で打ったのは海外で危険地区に行くときに義務づけられた黄熱病の予防注射だけである。どこかで、そういう注射が自分には合わないという気がしている。
漢方に詳しい人にそれに類したサジェッションは受けたかも知れないが、誰に言われたからということもなくそうしていた。
最近よく聞くのが、薬や予防注射は製薬会社が儲けることが主眼で、必ずしも効くという保証があるわけではない、むしろ副作用が心配であるということだ。がん細胞は低体温時に繁殖し、死滅するのは39度台だという。つまり、インフルエンザに罹って39度台の高熱が出ると、がん細胞は死んで、身体は浄化されるのだそうだ。そういう意味では薬を使って体温を下げたりせず、覚悟を決めて受け止めた方がいい、という意見があるのだ。
ものは考えようというか。だが、これを信じて自分からインフルエンザに罹ろうとする人が出てきてはまずいだろうとも思う。
真偽はわからぬまま、冬もまっさかり、一年で一番冷え込む時期に突入している。風邪を引かぬように気をつけて過ごしたいとは思う。

さて、たまにはこうして、ふだんの仕事や活動に関係ないこと、どうでもいいことを呟きたくなる。

何か観るべき映画はないかとよく聞かれるのだが、それほど観ているわけではない。
ただ、最近観た映画では、やはりプライアン・デ・パルマの『パッション』が一番だ。高度な特撮も高尚なテーマもなく、三十年前と変わらないといえる手法。だがとにかく引き込まれる。映画館で観るべき。ヒッチコックの『めまい』方向の作品が好きな人には、こたえられまい。
三十年も前だが、川村毅・第三エロチカの『ジェノサイド』という「映画についての劇」で、女優役の深浦加奈子の「デ・パルマが二流だとは思わないわ」という台詞があるのだが、一流とか二流とかを越えて、デ・パルマは「一つのジャンル」なのだ。
深浦はじっさいに映画が好きで、映画の話ばかりしていた。亡くなって五年半になる。テリー・ギリアムの『バロン』を観に行ったときのことなど周期的に思い出す。あの日は新宿三丁目の日本酒を薄めて出すのが有名な飲み屋で飲んだのだった。『バロン』はユマ・サーマンの意味不明に美しすぎる美少女ぶりが印象的な映画でもあった。最近どうしているんだろうテリー・ギリアム。あの頃の演劇人は彼の『未来世紀ブラジル』の話ばかりしていたな。(と思ったら、彼が新作を作っていることがわかった http://www.bleedingcool.com/2014/01/28/official-trailer-for-terry-gilliams-zero-theorem%E2%80%8F/)
ともあれ、私の世代にとって、クローネンバーグとデ・パルマは、とにかく別格だ。
うまく説明できない。そして、とにかく、新作に触れるたび、励まされるのだ。
ヒッチコックの『めまい』も最近どこかの映画館で上映されたらしい。「午前10時の映画祭」というリバイバルシリーズが始まって、かつての名作をスクリーンで見直している人たちがいるらしい。
その手のリバイバルを各映画館が自主的にもやるようになっている。羨ましい気もするが、朝の9時半から新宿バルトでアンゲロプロスの映画を日替わりでやっていると聞いても、なかなか行く気はしない。
アンゲロプロスの映画は全部は観ていないが私が好きなのは『狩人』だ。

映画といえば今月は廣木隆一監督の還暦パーティーの二次会に顔を出した。懐かしい顔、顔。廣木監督は八十年代と少しも変わらない。ように見える。私たち八十年代から九十年代前半の身内は、なんとなく端っこにいたな。
そう、作家の坂東眞砂子さんが亡くなった。舌がんの手術を受けてから、一年持たなかったという。廣木監督の仕事で彼女の『蟲』の脚色シナリオを書いた。結局映画化は実現しなかった。虫の話なので、廣木さんとプロデューサーの成田さんと、野郎三人で「寄生虫博物館」へ取材に行ったりしたことも思いだす。廣木監督のために書いたシナリオは他にもあるが、映画化は実現しなかった。かなり変化球のモノばかりやろうとしたからだろう。
後年、坂東さんは猫を増やさないために子猫を崖から落として殺していることを新聞のコラムで発表し、騒ぎになったこともあった、と聞く。どういう気持ちでそうしたのかは私は知らない。ただ、作品を見る限り、彼女なりに、生きものに対する「畏れ」を、充分に持っていたはずだとは思うのだが。
幾多もの、「まぼろしの映画」がある。

日本での映画の公開本数は昨年が新記録の多さだったという。「小さな映画」の隆盛と、シネコンの増加のせいなのだろうなと思う。
相変わらずシネコンをどうしても映画館のように思えないという感想はあるが、画面が大きくていいと思うこともある。
仕事で岡山へ行くことが増えた。子どもの頃とは違う街になりつつある。駅前に大きなイオンが建つ。市街地初のシネコンも入る。
「でっかいイオンなんて田舎にしか建たないんだぞ、イオンが駅前にある都市なんてあり得ないんだぞ」と、岡山では自虐ネタの対象となるであろう。

岡山といえば、最近、B級グルメブームに乗って、あれこれ取り沙汰されている食べ物がある。デミグラスソースのカツ丼、えびめし、その二つは子どもの頃からあった。日生の「カキオコ」はまだ食べたことがない。
そして、「岡山ラーメン」というジャンルができているようだ。私が子どもの頃には概念としては、なかった。好きなラーメン屋はあった。「新雅」という店だった。この話はすると長くなるのでやめておこう。最後に岡山に行ったときには駅前にできていた「小豆島ラーメン」を食べた。魚介系。替玉が無料だった。というか、昔にはなかった替玉のできる店があるのにも驚かされる最近の岡山ラーメン事情なのだった。

麺類といえば、ぺヤングの焼きそばの真っ赤なパッケージの辛い方、あれはなぜあんなに辛いのだろう。二度目の挑戦で、やはり理不尽な辛さと思った。普通に商品として流通できているのが不思議だ。
「Lee」という辛いカレーのシリーズの「×30倍」の辛さのものでも平気な私だが、ぺヤングの赤い焼きそばには、まいった。ヘンな汗をかく。

汗といえば、券をもらったので成城のスポーツジム併設の「温泉」に入った。湯は真っ茶色であった。久しぶりにサウナというものにも入る。身体にいい感じが少しもしない。

映画の話に戻ると、話題作『ハンナ・アーレント』も観た。ちょっと焦点の定まらない感じがした。勝手にいろいろ感想を持つだけだが、映画としての昂揚をまったく狙わないみたいなところがヨーロッパ的な何かなのだろう。登場人物いくらなんでもタバコ吸い過ぎ。

芝居は本当にあまり観ていなくて、誘ってくださる方もいるのに不義理ばかりしている。
一番最近には、「ろりえ」という劇団の『鬼』を観た(写真)。まだ上演中である。
http://rorie.jp/nextstage.html
この劇団は〈日本の問題〉というイベントにも参加していたが、あのとき参加全作品を観て全演出家とのアフタートークに出た私が、その中でベストだと思った。
新作『鬼』は、おそろしくシンプルで屈折している。突っ込みどころ満載。前半うるさすぎだが理由はあった。がさつだが迷いはない。「ぶれない」ための仕組みが整ったところで、力を抜いて観客のみぞおちを狙う。要は、芝居の中盤に、娘が母親にある言葉を言ってしまったことから起きる喪失について描きたかったのだと思うが、『ハンナ・アーレント』の中で言及される「悪の凡庸さ」のように、その言葉の象徴する「他者を傷つけることの容易さ・薄さ」が、後半の静謐の中にざわざわとした印象を残す。こういう確信犯は、あるようで、なかなかない。
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都知事選のカオス状況

2014-01-28 | Weblog
東京都知事選で立候補した細川護煕元首相陣営の選挙参謀、馬渡龍治事務局長(元衆院議員)が退任するという。この人物は、自民党鳩山邦夫元総務相の元秘書。民主党を離党した木内孝胤元衆院議員らと選挙戦を取り仕切っていた。
報道では、細川陣営では、馬渡氏らのグループと、旧日本新党系グループによる主導権争いが激化していた、とされている。陣営幹部は「態勢強化の一環」と説明するが、関係者は「内紛だ」と語っているそうだ。
いずれにせよ、とかく問題発言の多かった馬渡退任は、細川支援の良識派にとっては朗報だろう。
いっぽう、鳩山元総務相は自身のフェイスブックに、「都知事選で、日頃、私と付き合いのなかった元秘書たち、たとえば前代議士の牧義夫君や元代議士の馬渡龍治君、それに上杉隆君らが細川陣営に加わって私は、ずい分誤解されてまいりました。私自身は舛添要一氏を全面支援し、彼の遊説は、私の現役秘書の小沢洋介君が取り仕切っています。ところが、「やはり」というか「良かった」というべきか、私の元秘書たちは全員、細川陣営からクビにされたというか、追い出されたようです。細川陣営は左翼志向の強いメンバーに占拠され、私の元秘書たちは居場所を失ったそうです。良かった。良かった。これですっきりしたという気持ちです。」と、記している。
細川首相時代に主席秘書官を務めた成田憲彦駿台大学法学部教授を始めとする旧側近グループや旧日本新党の残党が、選対事務所に細川氏を訪ね、木内、上杉両氏をやめさせるよう求めたという噂も流れている。
なんにしても、こうした推移に細川元首相自身の意向が反映されているかどうかは、定かではない。

都知事選の世論調査各種の結果は、「細川氏が一歩リード」「桝添優勢」などさまざまで、まだまだ動向は判然としないようだ。
赤旗などマスコミが、舛添元厚労相の「政治とカネ」の問題を追及し始めている。舛添氏が「新党改革」時代、法律で禁じられている政党助成金や立法事務費による借金返済を行った「違法な支出」の疑いや、政党交付金が自身に入るように工作した疑惑などが指摘されている。街頭演説の「不人気」ぶりが話題となるなど、この人のイメージの悪さは、隠しようがない。
細川氏も「佐川急便疑惑」に晒されている。一億円借りたという事実を細川氏本人も認めている。「佐川とは父の代からの付き合い」という。返したというが、会見の記者との問答を聞いていても、領収書等が曖昧であることは確かのようだ。陣営から「同様に金を借りた自民党議員の多くは返してもいない」いう言い訳のような矛先をかわすような声が出ているのは、かえって逆効果のような気もするのだが。

細川氏と小泉元首相の街頭演説はかなり注目を集めており、積み重ねると効果を発揮するだろうし、菅原文太氏や宮崎駿監督などが応援に入ったことで、「細川優位」の印象は強くなるだろう。
「脱原発が争点」でいいのかという指摘に対しては、細川支持者たちのヒステリックな反応が目立つ。じっさい、「脱原発」のシングルイシューのみで都知事選を考えてもいいのだ、とする論調は多い。「争点は多様」であるとすると「桝添優位」に繋がるのだという。
都知事選第一声で小泉元首相は「原発を除いて、他の様々な重要な問題は、誰が知事になっても大して違いはない」と言ってのけた。首相時代「原発を主力エネルギーとする」と公言していた小泉氏である。「脱原発」以外の考え方は変わっていないとしたら、原発のない社会を構造的に維持できるかどうかは未知数だ。ただ原発を止めること、「原発なしでも経済の発展は可能である」という主張だけでは、何かが足りない。
細川氏は「小泉氏とよく話し合ったのか」という問いに対し、「脱原発ということで一致しており、その他の問題を話し合ったことはない。話し合ってもお互いすれ違いになるだけだ」と回答したらしい。
他の候補も「脱原発」を謳っているのに、なぜ「脱原発」が細川・小泉でなければならないのかは、誰もきちんと説明できていない。
「脱原発」は世界の趨勢、その一点だけで惑わされ、「脱原発」で小泉陣営を応援し、後で後悔するのは嫌だ、という人も多い。
もちろん、このような批判は私以外の者もするだろう。
で、細川陣営が持ち出してきているのが、「東京電力解体」というアイデアのようである。東電という占有会社から利権を剥奪し、海外も含めたより安い価格で電力を供給する会社に、代わって電力を供給させようというのだ。
二人の首相経験者が束になって初めて「東電解体」という大事業が可能なのだ、というストーリーを打ち出そうということではないか。宇都宮候補との違いを際立たせ、原子力発電抜きでも経済が成り立つと主張することで、保守層にもアピールしようということだろう。

東電福島第1原発、海側敷地にある観測用井戸の水から、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が、過去最高値の1リットル当たり310万ベクレル検出された。上昇傾向は留まるところを知らない。これが現実である。
残念ながら、核廃棄物の処理について、放射能汚染について、きちんとビジョンを示した候補者は、今のところ見受けられない。
震災で生じた瓦礫を燃やさず処理する「森の防潮堤プロジェクト」に取り組んでいる細川氏は、自然との共存にも関心があるのだろう。彼は「東京の水が一時的に飲めなくなった」と言っていたというが、それがいつだったか正確に言ってほしいし、であれば、すぐさま対策を聞かせてほしい。どうもこの人はややこしいことは小泉頼みで具体性に欠ける気がする。

以下、雨宮処凛氏の意見(雨宮氏本人のブログより)。
「(小泉氏が)視察すべきはフィンランドの最終処分場などではなく、劣化ウラン弾がブチ込まれたイラクではないのか。今もさまざまな病気に苦しむ子どもたちがいる病院をまずは視察し、自分が支持した戦争の果てに起きている残酷すぎる現実を直視すべきではないのか、と。」「劣化ウラン弾は、「核のゴミ」の、最悪の処分方法が具現化した兵器だ。最終処分場でそこまで「脱原発」に目覚めたならば、もうひとつの「最悪の処分方法」に、なぜ目を向けないのだろう。私たちが、あのことを「忘れた」とでも思っているのだろうか。だとしたら、舐められているにもほどがある。」
賛成である。なんといっても小泉はイラク戦争に賛成した、初めて自衛隊を戦地に送った首相なのだ。
「劣化ウラン弾」が「核のゴミ」の処分方法でもあるということは、多くの人たちにはぴんと来ないようだが、そうした「核兵器」は、「威力の強い武器」+「核のゴミの有効な処理方法」として、開発されているのである。
どれだけの人が死に、苦しみ、奇形の子供が産まれたか。
公開中の映画『ファルージャ』も観てほしい。
http://fallujah-movie.com/index.html
高遠菜穗子さんのレポートにも胸が痛む。
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-2906.html

報道によれば、核物質や原子力施設を防護・保全する「核セキュリティー」を重視するオバマ米政権が、日本政府に対し、あらためて、冷戦時代に米国などが研究用として日本に提供した核物質プルトニウムの返還を求めた。
このプルトニウムは茨城県東海村の高速炉臨界実験装置(FCA)で使う核燃料用の約300キロ。高濃度で軍事利用に適した「兵器級プルトニウム」が大半を占め、単純計算で核兵器40~50発分程度に相当するという。
日本側ではこれまで「高速炉の研究に必要」と返還に反対する声も強かったが、米国の度重なる要求に折れて昨年から日米間で返還の可能性を探る協議が本格化しているらしい。
処理方法のまったく見つけられない核物質など、とっとと持って帰ってもらいたいが、これも日本の「右傾化」へのアメリカからの牽制なのであろう。
少なくとも「原発を止める」と言っている候補者たちには、核廃棄物をどうするかということに言及してほしい。有効な方法が出て来ないことじたいは、無理もない。全世界的に、「策がない」のだ。だが、そのことを謙虚に認めて、だからこそ模索し、独自の提言をすべきではないか。

陣営からは細川氏が憲法改正・集団的自衛権への反対も断言していると伝わってきているが、都知事の立場でどんなに訴えたところで、はっきりと「秘密保護法反対」にシフトしない限り、「脱原発」は維持できないだろうという意見もある。都知事の立場で明確にTPP会議の進行を覆してくれるかどうかもわからない。
宇都宮元日弁連会長以外の「有力候補」たちは、「国家戦略特区」を東京に導入しようとしている。
「特区」という言い方が一部にはなんだかいいことのように響いているらしいが、政府や財界が求めている雇用や医療、保育、教育の「規制緩和」で、「解雇特区」と悪口を言われるように、かえって雇用と社会保障が不安定になる。労働時間が規制されず、残業代も外される場合が増えてくる。正社員と派遣社員の待遇の差をなくすというが、「派遣」の矛盾を解消する意欲はないようだ。「特区」推進陣営を推す労働組合がどう考えているか想像すると、シュールでさえある。
日本橋にかかる首都高速道路を景観の改善と老朽化対策のため、撤去するという細川提言も、なんだか唐突である。東京の古いごみごみとした部分を整備する、ということも考えているようだ。木造建物の密集した地帯を潰し、滞っていた「都市計画」を推進する動きは、「オリンピック開催」を大義名分の理由付けに推進されるだろうし、「貧困層」が住みづらくなることは間違いがない。
個人的には下北沢の「再開発」「整備」が進められることをとくに怖れる。

私は細川氏が、昨秋に提言していた「オリンピック辞退」を公約にしてくれていたら、それをかなり評価しただろうと思う。今の細川氏は「オリンピック開催は東北地方を重視する」と言うが、本当にそんなことが望まれているのかどうか。外国人選手がそれを歓迎するだろうか。
宇都宮氏のいう「五輪スリム化」も、五輪辞退の可能性も否定しないところにまで踏み込んでくれているものではない。

若手の起業家・家入一真氏も、出馬。シェアハウスなど「居場所のいない子」らの居場所造りをも仕事にしている人で、政策は「居場所がある街・東京」「遊べる街・東京」「政治に参加したくなる街・東京」だそうだ。
パンフレットの謳い文句のような空疎さで、中身と根拠がない舛添の公約と五十歩百歩のように思えてならない。
「街頭演説できないが24時間ネットで生放送」というが、あまりにもぴんと来ない。「僕らの公約」みたいなハッシュタグをつくって、みんなの意見をどんどん入れたいと言うが、その前に本人の公約がちゃんとしていなければ。「政治とか既存のシステムを、ハッキングするつもりで」というが、内容がわからない。
「原発をなくしていくってときに、代替案をってなると、僕には細かいことはわからない」というのも、なんだかなあ。
若者や無関心層にアピールし、「少なくとも投票率が上がることに貢献できる」という人もいるが、ほんとうにそうなのだろうか。

私の近辺の人たちは、今後の選挙戦じたいは細川氏優勢を予想するが、ほとんど存在感の示せていない桝添氏が、それでも、万が一、勝ち残るようなことがあったら、細川陣営としては、「一本化」に賛成しなかった宇都宮氏のせいにするだろう。
内容的には評価しているのに宇都宮氏を応援しない人たちのほとんどが、「共産党のやり方で選挙している」ことを指摘し、知事になっても議会との関係で様々なことが達成困難だろう、という。
心中では宇都宮氏を応援している人たちも、沈黙している場合が多い。周囲に影響力のある立場であっても「宇都宮支援を言い出すタイミングをはかっている」という人たちがいる。
結局、「とにかく安倍政権にダメージを与えたい」という理由で細川氏支持、という人が圧倒的に多い。
それはそれでわかる。しかし選挙とはそういうものなのか。
とても歪んでいる。

2月1日(土)22時から、主要候補者4氏による「東京都知事選 候補者ネット討論」の開催が決定したという。既に、宇都宮候補以外の敵前逃亡?で、青年会議所による公開討論会が二度にわたって中止になったが、これは成立するのだろうか。テレビでなくてネット、というのが時代である。
何かが見えてきてほしいと思う。

…………………………

写真は、昨年から私の作品のためポスター・チラシに素敵なイラストを描いてくれている、みたはるよさんが参加しているグループ展「3人のちいさなおくりもの」会場より。去年の三公演のポスター。なんと立体造形もする人なのだ。府中に近い方、ぜひ。
http://cococoloco.blogspot.jp/2013/12/blog-post.html
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「会長の職はさておき」な人にはやめてもらおう

2014-01-26 | Weblog
NHK新会長に就任した籾井勝人という人が、1月25日の就任会見でいきなりすごいことを言い始めた。
旧日本軍の慰安婦問題について「会長の職はさておき」と個人的な見解と断った上で、
「戦時中だからいいとか悪いとかいうつもりは毛頭無いが、この問題はどこの国にもあったこと」。
「(戦争していた国すべてに、慰安婦がいたということか、という質問に対して)韓国だけにあったと思っているのか。戦争地域にはどこでもあったと思っている。ドイツやフランスにはなかったと言えるのか。ヨーロッパはどこでもあった。なぜオランダには今も飾り窓があるのか」
オランダの「飾り窓」は戦争と関係があるのか?!
日本軍占領中のインドネシアで南方軍管轄の第16軍幹部候補生隊が、オランダ人女性35人を民間人抑留所からスマランにあった慰安所に拉致し慰安婦として扱ったことで、国際軍事裁判において有罪が宣告された通称「白馬事件」は、日本軍が「強制連行」を行ったことを証明している。そういう日本とオランダのゆかりをこの人はまったく知らないのだろう。
ドイツやフランスについても、きちんと証明する根拠もないだろう。国際的な非難を浴びかねない。
「(証拠があっての発言か、という質問に対して)慰安婦そのものは、今のモラルでは悪い。だが、従軍慰安婦はそのときの現実としてあったこと」
不安になったのか、すんだことは仕方ない、という論理にすり替えて逃げている。
「会長の職はさておき、韓国は日本だけが強制連行をしたみたいなことを言うからややこしい。お金をよこせ、補償しろと言っているわけだが、日韓条約ですべて解決していることをなぜ蒸し返すのか。おかしい。」
これも韓国に対して極めて失礼で悪質だ。
「(会長の職はさておきというが、公式の会見だ、と突っ込まれ)では全部取り消します」「(取り消せない、とさらに突っ込まれ)会長としては答えられないが、それだとノーコメントばかりになるから「さておき」と言って答えた」
愕然とさせられるコミュニケーション能力の欠如である。
この籾井氏は三井物産副社長、日本ユニシス社長などを歴任。NHK会長人事に関しては前会長の松本正之氏を推す声も多かったが、経営委員会から指名されたという。選任に当たっては、NHKの放送内容が「偏向している」と不満を持っていた安倍政権の意向を汲んだ作家・百田尚樹氏ら4人の新委員の意向が反映されているわけだ。
また、籾井氏は「国際放送で領土問題について日本の立場を重視した放送をする」意向を示した。
「(尖閣諸島などの領土問題について)日本の明確な領土ですから、これを国民にきちっと理解してもらう必要がある。今までの放送で十分かどうかは検証したい」
「国際放送は国内とは違う。領土問題については、明確に日本の立場を主張するのは当然のこと。政府が右と言うことを左と言うわけにはいかない」
政府の言いなりに報道するということだ。こんな人間がトップなら、政府の側からすれば、わざわざ秘密保護法なんかいらなかったね、というくらいのことだろう。
靖国神社の参拝と合祀については、「総理が信念で行かれたということで、それはそれでよろしい。いいの悪いのという立場にない。行かれたという事実だけ。ただ、淡々と総理は靖国に参拝しましたでピリオドだろう」ということだが、そういうことを「当たり前」として示そうという立場であるということだ。
放送法はNHKを含めた放送事業者に「政治的公平性」を義務づけており、NHKの会長がこのような発言をするのは極めて異例だと、各社は報道している。
籾井氏は「NHKが右だ左だ真ん中だということを言う必要もなく、放送法に書かれていることを順守していけば大丈夫だと考えています」というが、これらの発言のどこに「政治的公平性」があるのか。ただのデマゴーグである。
さすがのNHK経営委員会からも「外交問題に発展しかねない。選んだ側の責任も問われる。国際放送の役割についても事前に十分説明したのに、正しく理解していない」と失望の声がもれているという。
ともあれ、かっちり海外で紹介されれば、国際的な非難を浴びるのは必至だ。
現状、日本という国が「ヘンな国」「正当な考え方のできない国」であると、ここまで思われていることに、おそろしく鈍感な人間が、報道の責任者になろうとしている。この国の自滅を早めるだけである。

朝。「そもそも民主主義とはなんでしょうか」とテレビで問われ、だいの大人が応えられないという姿が映し出された。咄嗟に応えられない、ではなく、「民主主義」というコトバに違和感の顔、顔……。こんな国になっている。こういう情景がテレビで垂れ流されることでこのことが「常態」であることが保証されてしまっている。不条理が不条理の補完をしている。そんな現実。

二日間東京を離れて、いろいろと仕事をし、様々な人に会った。懐かしい人たちにも会った。以前に撒いた種が実りつつある様子もあった。今後の課題が山積みであることも再認識した。
時は過ぎる。戻して直すことはできない。
とにかく、「人」である。

旅先で訃報を聞いて、帰りに名古屋に寄った。
劇作家協会東海支部の名花にして、バー・プリシラでいつも「とっておき」を用意してくれていた素敵なママであり、いつもパワフルに励ましてくれた、瀬辺千尋さん。
2月の長久手での協会イベントで私との「共演」を楽しみにしてくれていた、と、はせひろいちから聞いた。
パートナーの加藤君から未上演の最後の作品のことも聞いた。
今は言葉もない。
ありがとう。
さようなら。
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都知事選より首相辞任要求が先

2014-01-24 | Weblog
安倍晋三首相は22日の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、外国メディア関係者、世界の経営者らと意見交換。出席者が「近隣諸国との関係悪化の原因」として関心を寄せる靖国神社参拝問題になり、首相は「戦死者が祭られている場所で、不戦の誓いをした。中国や韓国の人々を傷つけるつもりは毛頭ない」と説明したという。
報道によれば、外国メディア記者から「日中が武力衝突に発展する可能性はないのか」と問われた首相は、「今年は第1次世界大戦100年を迎える年だ。当時英独は多くの経済的関係があったにもかかわらず第1次世界大戦に至った」「質問のようなことが起きると、日中双方に大きな損失であるのみならず、世界にとって大きな損失になる」と強調したらしい。
ところが、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は、首相が「武力衝突は論外」と明言しなかったことを報道。「何度もダボス会議に参加してきたが、最も不安にさせられた経験だった」とする記者の感想も加えられた。
英国放送協会(BBC)は「首相は経済的に相互依存する日中は1914年の英独に似ていると認識している」「日本の指導者が現在の日中関係について100年前の英独を思わせた。衝撃的だ」とした。
菅義偉官房長官は「誤解されて報じられた」として、記者会見で首相発言を「正確には(英独が戦った)第1次大戦のようなことにしてはならないという意味で言った」と釈明した。
一方、首相は23日、日本国内の中国語新聞「中文導報」「東方新報」などにメッセージを送り「戦後68年間、ひたすら平和の道を歩んだ」と訴えた。「日中両国は今後さらに手を携え、地域と国際社会全体の発展のために責任を果たしていかないといけない」と呼びかけたという。
……私のブログは備忘録としてニュースをたんたんと引用すること多々なのだが、安倍首相の暴言には決して馴れることはなく、ある程度予測はしているものの、こんなに気持ちが悪く情けないニュースも久しぶりだ。
当事国であるにもかかわらず、日中関係を「第1次世界大戦で戦う前の英独関係」という、「戦争前の状態」に例えて説明することじたいが、まず異常。「1914年の英独に似ていると発言した」ことは事実であり誤報でもなんでもない。「誤解」といったって、文字通りそう言ってしまっているのだから。「経済的に深く結び付く日中両国の衝突があってはならない」というのが真意だというが、じゃあ「経済的に深く結びついていなかったら衝突もあり」という意味になるのだ。
一方で、ダボス会議での演説で安倍首相は、各国首脳に「外国の企業がもっとも仕事のしやすい国になる」などと約束したらしい。片方では卑屈なそうした物言いであり、「アジアでは自分が一番」という屈折した劣等感から解放されておらず。独立国家としてのプライドがないということだろう。

24日、安倍首相は同日午後の衆院本会議で施政方針演説を行った。目先ばかりを追った景気回復・経済成長の大風呂敷は相変わらず。
都知事選を睨んでか「原発依存度を可能な限り低減させる」とも言ったが、何の根拠も具体性もない。
秘密保護法については一言も触れず。「説明不足」だし、修正していくのじゃなかったのか?

問題は、世界平和と安定への一層の貢献をうたうキャッチフレーズとはさかさまの、好戦的「積極的平和主義」を外交、安全保障政策の「基本思想」と位置づけ、集団的自衛権の行使を可能にする憲法解釈の変更について「対応を検討する」と表明したという。
東シナ海上空に防空識別圏を設定し、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海侵犯を重ねる中国を「力による現状変更の試みを決して受け入れることはできない」とした。「課題があるからこそ対話をすべきだ。関係改善に向け努力を重ねていく」と言い、習近平国家主席との首脳会談実現を探る考えも示したというが、ダボス会議の発言が誤解だったとは到底言い訳できない発言をしたものだ。

なんだか都知事選に気を取られているうちに、どんどんひどいことになっている。
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西荻観光手帖

2014-01-22 | Weblog
日韓演劇交流センターの会議に出た。終えて、デザイン・編集でもお世話になっている事務局の奥秋圭さんから「西荻観光手帖」をいただく。
奥秋さんは、西荻に住まい、西荻を愛する5人の有志とともに「西荻案内所」を運営している。西荻の街情報を載せているフリーペーパー『西荻丼』の前編集長でもある。「西荻コンシェルジュ養成講座」というのも予定しているようだ。
「西荻観光手帖」そんな彼の「西荻愛」の詰まったガイド本である。手提げできたり、新しいページを足すこともできるようになっている。持っていて楽しい。
これを手に西荻散歩をしたいものだ。
http://nishiogi.in/140113/

翌日は劇作家協会で朝から会議。夕方で終わらず、紀伊國屋演劇賞授賞式に行けず。
夜には終えて、協会スタッフの皆さまと座高円寺近くの讃岐うどんの店「Sや」へ。皆に隠していたわけではないのだが、演劇関係者にあまり知られていなくて、落ち着く店。何を食べても飲んでもうまいし、お店をやっているご家族が本当に感じのいい人たちである。
なんだか予定が少しも進まないのだが、久しぶりにゆったりとした時間。
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「原発」「戦争」の現実と都知事選

2014-01-21 | Weblog
東電福1原発3号機で18日、建屋内の床を水が勢いよく排水口に流れているのが見つかった。地下水に漏れ出た汚染水のベクレル値は過去最悪を連日更新している。
青森県六ケ所村にある日本原燃の使用済み核燃料再処理工場の敷地に、火山噴火に伴う火砕流が3万2千年前と1万5千年前の2回到達した可能性が高いことがわかった。3万2千年前と1万5千年前だから、一万五千年周期としたら、次はそろそろではないか。火砕流が及ぶ可能性の強い場所に、原発も再処理工場も作られるべきではない。
私たちは放射能汚染の危機の上に立つ。
「原発推進の動きを止める」ことが、この国の緊急にして最大の課題である。
そのことは、わかる。

同時にこの国の右傾化、戦争のできる国になろうとする動きは、これまでにないものになっている。これも様々な方向から包囲されている。
政府は今月7日、日本の領海の範囲を設定する基点となっている約400の離島のうち、所有者不明の約280の島を国有化する方針を決めた。6月をめどに所有者などの調査を終え、国有財産台帳に登録するという。離島を「重要国土」と位置づけて、領土・領海を守る姿勢を明確にするとともに、海洋資源の管理や安全保障体制を強化する狙いだ。この離島国有化は、「日本の国有財産として登録することで、管理を強めていくというメッセージを発信していく」ということだ。
石原都知事が尖閣諸島を都の立場で購入しようとしたことは記憶に新しいが、「国土の防衛」というきな臭い言葉が生々しい響きを伴い、ある種の勢力がむしろ何かの「危機的状況」を待ち望むかのように、周到に用意されようとしている。
政府は、外交・安全保障政策の司令塔として発足した国家安全保障会議(NSC)の事務局となる「国家安全保障局」を設置。府省庁間の調整や企画立案、情報分析を担う。外交・安全保障政策の官邸主導が加速化している。
「戦争のしやすい仕組み」が整えられているのだ。
下村文相は小中学校での「道徳」教科化、政府見解などを書かせる教科書検定基準の改定などの動きに加え、選択科目の高校日本史の必修化、規範意識や社会制度などを高校生に教える新科目として「公共」の導入を目指すことなどを明らかにしている。
国家主義を教育の中で強めていく構えだ。
この国全体が、まるで「戦争」の「準備」をしようとしているかのようだ。

「原発」と「戦争」、この国の未来を見つめるにあたって、二つの問題は切り離せないもののように思われる。

名護市長選で500億円の「名護振興基金」を作る構想を表明していた自民党の石破茂幹事長は、米軍普天間飛行場の同市辺野古への移設反対を訴える稲嶺進氏の再選を受け、「稲嶺市長から言及がない以上、どうするか申し上げることは適切ではない」などと述べ、見直す考えを示した。
稲嶺進市長はもともと市長選で再選されれば市長の権限を使い、辺野古に代替基地を建設する計画の実現を阻止すると表明していた。
その上での勝利だから、民意は明らかだ。
500億円の振興基金構想をちらつかせ、推進派の敗北が決まればゼロベースで見直す石破幹事長のやり方は、「末松ビジョンを実現するためだった。今度の市長さんがどうするかは承知していない」と公言してはばからない菅義偉官房長官同様に、あからさまな選挙への利益誘導の介入であり、国家が自ら臆面もなく選挙違反していたというわけだ。
小野寺防衛相は「地方選挙なので辺野古移設問題に直結するとは考えない」「埋め立て権限は沖縄県が持っている。法令に基づいて対応すれば認める方向に進んでいくのではないか」と、移設作業を選挙結果と切り離して進める方針を示している。
もともと「基地の場所は政府が決める」と発言していた石破幹事長ではある。
政府は選挙結果をまるごと無視、代替施設の設計などに関する入札公告を21日にも実施するという。護岸工事の設計や辺野古沿岸部の海底のボーリング調査などを行う業者を3月中にも選定する方針らしい。
菅官房長官は「市長の権限は限定されているので支障は生じないだろう」と、現行計画に変更はないとの見方を示した。
沖縄県議会は仲井真弘多知事の名護市辺野古沿岸部の埋め立て承認が県外移設を求める公約に違反しているとして、辞職要求の決議を賛成多数で可決した。しかし仲井真知事は「今さらどうこうできない」と開き直っている。

2月からは米海兵隊の新型輸送機MV22オスプレイを使った日米共同統合防災訓練が予定されている。南海トラフ巨大地震を想定し、高知県や福岡県の自衛隊施設にオスプレイが飛来する。
オスプレイの本土訓練は、「沖縄の基地負担軽減策」としてではなく、「新たな戦時体制」に向けて拡大されようとしているのだ。

選挙結果を無視して、どこに民主主義があるのか。しかも「戦争」に向けての動きである。
政府は、民意を無視して「戦争」「基地」を押しつける。
「原発」はどうか。
南相馬市では、「脱原発」の桜井市長が再選された。
では東京は?

東京都知事選挙をめぐって脱原発候補の一本化を目指していた市民団体や環境団体のリーダーたちが、宇都宮健児元日弁連会長でなく、細川護煕元首相を応援することに決めた。
「原発を止めるためには選挙に勝てる候補者でなければならない」「苦渋の選択だが、脱原発候補を当選させるにはこれしか方法がない」というのだ。
「細川一本化」を表明したのは「脱原発都知事を実現する会」。瀬戸内寂聴(作家)、柳田眞(たんぽぽ舎)、村上達也(東海村・前村長)、木村結(東電株主代表訴訟)、吉岡達也(ピースボート)、村田光平(元在駐スイス大使)等、脱原発運動をリードしてきた人々、湯川れい子、広瀬隆、宮台真司、村上達也前東海村村長らも応援している。 代表世話人は鎌田慧(ルポライター)、河合弘之(弁護士・脱原発弁護団全国連絡会)。
「実現する会」は脱原発候補の一本化を目指して今月15日に細川、宇都宮両陣営と交渉したのだという。宇都宮氏側は「オープンな場で討論し、有権者に判断していただきたい」、細川氏側も「いかなる政党、団体からも支援を受けない。ただしそれぞれの立場で脱原発の志を理解し応援してもらえれば幸い」と回答があり交渉は決裂、一本化には至らなかったとしている。
しかしこの「実現する会」は、なぜ細川氏支持を決めたのか。
報道によれば、理由は以下の二つだという。

・細川氏の脱原発政策はいまだ明らかではないが、陣営は「再稼働反対」、「原発ゼロ」「脱原発を優先する」としている。
・宇都宮氏は脱原発を政策としているが、他の政策と並列させており、優先度が低い。

宇都宮氏の「優先度」をどこで判断しているのかわからないが、いまだ明らかではない細川氏の「脱原発政策」のほうが信用できるというのが、私にはまったく理解できない。
そもそも「原発ゼロ」と「脱原発を優先する」は、全然意味が違う。「ゼロ」なら、わかる。しかし「優先する」は? 細川氏は「現政権の原発政策は犯罪的」「都知事選に日本の存亡がかかっている」という強い危機感から立候補を決意したと称しているようだが、いざとなったらどうなのか。「優先する」というのは、他の項目よりも優先するという意味なのかもしれないが、言葉としては不透明だ。「優先度」というコトバ自体が曖昧さを孕んでいる。場合によっては「はっきり決められない場合もある」ということではないのか?

「脱原発」を問う選挙で敗北すれば安倍政権が揺らぐというのは、わかる。都知事選の結果で原発再稼働の動きを止められればいいとも、思う。
しかし地方選挙である都知事選で「脱原発」候補者が勝っても、安倍政権は暖簾に腕押しで、知らぬ顔を決め込むかもしれない。
現状、「基地」の問題で名護市長選の結果を無視しているように、だ。

民主党は細川氏支持を打ち出したが、最大の支持基盤・連合東京は、自民・公明とともに舛添要一氏支持を決めた。連合会長が東電労組出身だからだという。
「細川一本化」の人達が言うのは、そんな「原子力ムラ」の擁護者よりは、保守勢力の中の脱原発派の方が信用できるという理屈だ。
前回は宇都宮氏を応援した人たちも細川氏支持に回っている。
「脱原発」の一点に賭ける。それはそれで理解できない考え方ではない。
だがそれが、ほんとうに「脱原発」に絞れているのかどうか。
「脱原発」票が割れ、結果として原発推進派が当選する事態は困る。候補者の一本化を強く求める。それもわかる。
だがどうしてその候補者が、細川氏なのか。
なぜ細川氏なら当選しそうなのか。宇都宮氏を囲いこんでいる印象の共産党への反発なのか。「元首相」のほうが格上なのか。無意識の権威主義におもねて「殿様」だからいいというのか。倒錯したポピュリズムではないのか。……そういう疑念も湧いてくる。

細川氏の背後にいる小泉純一郎氏に多くの批判を持つ人たちも、「一本化」に賛成している。
小泉氏は自民党を離党しているわけではない。
秘密保護法や靖国参拝に反対しているわけではない。村山談話を支持しているわけでもない。
かつて郵政民営化の動きや「自民党をぶっ壊す」という言説は、「反自民党」の人たちの支援も受けて、彼の施策を成功させた。
彼はもっともアメリカの言いなりになった総理大臣である。アーミテージ=ナイの指示にとことん従って、日本国内の反対勢力を黙らせてきた。自民党よりアメリカの言うことを聞いてきたのである。
しかし彼は自民党である。自民党の青年部リーダーである息子は未来の総理大臣と目されている。
そもそも安倍首相も小泉氏の門下生である。
「脱原発」の人々が、自民党の人間の力を借りて自民党に勝つ、その理屈は本当に通るのか。
国会選挙が当分行われない現状の中で都知事選は「千載一遇のチャンス」、それはわかる。しかし「保守勢力の分裂」に乗じるつもりが、いいようにされてしまうのではないかという疑念が、湧かないのか。
自民党はなぜ裏切り者の桝添を担いだ? オリンピックを睨んだら最強であるはずの、比例区だから議員を辞めても選挙をしなくてすむことが有利な橋本聖子とかではなく。他にも候補適任者はいたはずだ。

細川氏の選対責任者だという馬渡龍治氏は、自民党内の中軸の存在ではないが、自民党である。私はこの人の存在を知らなかった。鳩山邦夫議員の秘書を長く務め、派閥としては麻生太郎も支持する平成研究会。ウィキペディアによれば、衆議院選挙に初当選したのは2005年9月の総選挙。愛知3区から出馬、地区では民主党の近藤昭一前職に敗れるが比例東海ブロックで復活。当選したのはその一回だけである。
「反原発」候補の選対に入るからといって、馬渡氏は自民党の中でもリベラルというわけではなさそうだ。選択的夫婦別姓制度導入に反対、外国人参政権に反対、人権擁護法案に反対、国籍法改正に反対、慰安婦に対する日本政府の謝罪を求めるアメリカ合衆国下院121号決議に反対、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の選択議定書の批准に慎重姿勢を示しているという。反原発の発言をしているという情報はない。
また、北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟の元幹事であり、「安倍派」の創生「日本」、価値観外交を推進する議員の会、小泉チルドレンの83会、伝統と創造の会、正しい日本を創る会、男系による皇位継承の維持を主張している日本会議国会議員懇談会、自民党拉致問題対策特命委員会、『国籍法改正案を検証する会合』に賛同する議員の会、等に属していた。
チャンネル桜の動画などにも出ているという馬渡氏はブログなどで、「日本軍が慰安婦にした事実はない」「集団的自衛権の行使はあたりまえ」「オスプレイは必要」「憲法を改正し自衛隊は「日本軍」とすべき」「村山談話を否定」「憲法改正は自民党の使命」「不法に日本に滞在している中国や韓国の女がぞろぞろでてくる。当局がすべて捕まえて、強制送還すべき」と言い、安倍内閣の支持率上昇を喜び、「新しい歴史教科書」を支持しているようだ。

安倍政権打倒を目指す陣営の選対が、どうしてタカ派の安倍シンパなのだ。
細川氏が勝ってもべつだん安倍首相は困りはしないという可能性も強いのだ。出来レースの可能性は強い。
細川氏が都知事に就任しても「時間がかかる」として、「即ゼロ」に持ち込めない可能性もある。
原発のリスクは双方向で高い。じつは自民党の一部には、原発を止めるという選択肢も「あり」なのかもしれない。原発を止めることに気を散らされているうちに、彼らの真の狙いである憲法改悪に向けての動きを許してしまうことになっては、かなわない。
原発を止めるのは正しい。
しかし代償に、平和国家としては世界的信用を失いつつあるこの国に止めを刺すような右傾化を許すことになるかもしれないというのが、私の危惧するところである。

細川氏はあす22日に公約を発表するという。
それまでに、「脱原発都知事を実現する会」の皆さんは、私の心配が杞憂に終わるだけの、はっきりとした言質、決して自民党的ではない公約を、引き出せるのだろうか。
原発の「即ゼロ」公約を、確実にできるだろうか。
確かに緊急の問題である「脱原発」だが、それに目を眩まされることなく、自分たちが擁立する候補者に対して、しっかりとした要求をし、確実な約束を引き出すことを、期待する。
「勝手連」だからそこまで責任がとれないと言うだろうか?
そんなことでは困る。「苦汁の決断」に酔っている場合ではない。

「原発」と「戦争」、二つの問題を切り離さないことが肝腎だ。
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『スノーピアサー』など

2014-01-20 | Weblog
先週、仕事がらみで久しぶりに映画の試写に行った。
韓国のポン・ジュノ監督がチェコなどで撮影した国際合作『スノーピアサー』。フランスのコミックが原作という。
未来の氷河期の地球を「ノアの方舟」とも人間社会の縮図とも見える列車が疾走する。わずかに残った人類の階級闘争(?)を描く。一種の密室ドラマであるが、場面はめまぐるしく、飽きさせない。劇画調とはいっても、いろいろなこだわりと哲学を見せる。ネタバレはしない方がいいのでこれ以上内容には触れない。
カメラマンなどは韓国の身内であり、おそらくはハリウッド型ではない撮影システムで、監督はのびのびと自由に作ることができたのではないか。
文化について、国内の普及、人材養成、そして国際進出に於いても、日本は韓国に遅れを取っているな、とあらためて思う。靖国公式参拝を許し「従軍慰安婦」の存在したことを認めないような日本の「国際感覚」では、なおさら追いつけまい。
やはり世界が滅亡に向かう設定の深作欣二監督『復活の日』は三十数年前だが、映画というジャンルじたいが、ずいぶん変わったのだなあと思う。
やはり自分は密室物が好きなのだろう。列車の車輌ごとの変化や、シチュエーションの飛躍する方法など、拙作『屋根裏』との類似点を勝手に見出す部分もあり、私はよりいっそう楽しめた。

正月休みに映画は他にも観ていて、IMAXの3Dで観るべきと言われたので、豊島園で『ゼロ・グラビティ』を観た。視界まるごとが立体感覚で、なるほど疑似体験型のアトラクションとして、この水準のものを映画館で見せられる時代になったのだなあと思う。
『キャプテン・フィリップス』というのも観たが、『ゼロ・グラビティ』同様に、脚本がただ出来事の羅列の連続で、「こうしてそうしてこうなった」というだけのように思われた。二作品とも主人公の孤独なあり方を際立たせることに焦点があるための単純化だろうか。

『スノーピアサー』も含め、コンピュータグラフィックを駆使した作品は、昔だとアニメ的な書き割りの画だったりいかにも「特撮」とわかるものだったのだが、現在はほぼ「実写」のように見えてしまう。
とても見事だと思う。
だが、この時代は逆に、「実写」もどこかで「コンピュータグラフィックではないか」と思いながら観るようになり、私たちの「写真」に対する信頼はずいぶん変わったのではないかと思う。
つまり、「証拠写真」が成り立たない時代になったのだ。どんな「写真」を見ても、「合成でないか」「ニセモノでないか」と思うようになってしまったのだ。これはけっこう深く考察すべき問題なのでいずれまとまった形で書くと思うが、「写真」の発見から変化した人間の認識が、次の段階に進展しつつあるということでもある。
この時代、相対的には、「生身」であることは歴然としているライヴの表現である「演劇」の優位性が勝ってきているのではないか、とも思うのだった。目の前に生きものとして存在してる俳優に、存在としてはニセモノもへちまもないのである。だが、そのことに寄っかかっていてはいけない。やはり大切なのは、フィジカル面も含めた作り手の「想像力」である。

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稲嶺名護市長、再選確実

2014-01-19 | Weblog
名護市長選の結果が出た。現職の稲嶺進現市長が再選。たった今、公式な「当確」が出た。一部民放ですぐに当確が出たが、なかなか正式にならなかった。いつもの「速報」と温度が違う(妙に慎重な?)気がするが、そういうものなのか。
米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題が「最大の争点」となっていたことは明白であり、「断固反対」の稲嶺市長が再選されたことの意義は大きい。
前回よりも低いかもと言われていた今回の名護市長選の最終投票率は76・71%。2010年の前回選挙の76・96%を0・25ポイント下回ったがほぼ同数という。
「カネ」をちらつかせ脅迫してきた政府、迎合した仲井真知事らの動きをつっぱねた。報道などでは、「現職として、基地受け入れに伴う再編交付金に頼らない振興を成功させた実績がものを言った」ともされているが、もちろんその通りのところもあるだろうが、「経済」「振興」を物差しにした評価は当たらない。テレビの画面からは「当然のことだ」と胸を張っている人々の空気が伝わってくる。正しいから、勝ったのだ。
郷里を守るということ。それにも増して、戦争は嫌だ、戦争には協力しないという意志の表出だ。

テレビ(BS-TBS)では森本元防衛相が「市長の権限では基地推進を止められない」「自分が沖縄に行った感触では基地反対一色ではない」「基地があることは沖縄の安全のためにもなる」などと間違いだらけの情報操作に努めているが、昨年末の仲井真知事による埋め立て承認を受けた政府の移設推進方針が地元の同意を得られなかったことがはっきりした以上、議席数にものを言わせる乱暴きわまりない安倍政権の現状に対して、名護という風穴から、明確な「ノー」が出されたことを認めさせなければならない。その風穴の向こうには、多くの平和を求める人たちの存在があるのだ。
政府は移設計画に変更はないとし、あらゆる卑怯な手を使ってくるだろうが、地元首長の反対を押し切って着手できると本気で思っているのだろうか。キャンプ・シュワブへの搬入は既に盛大に行われているらしいし、今年度内にも着工に向けた事前調査が予定されているわけだが、漁港の使用や河川の護岸工事など、市長権限で進行を抑えられる部分は小さくない。現在九年間を予定しているという工事の「遅れ」などではなく、断固とした「阻止」に向け、さらに動き続けていくしかない。
それが反原発、反軍国主義にも繋がる。高江のヘリパッド阻止にも追い風になるはずだ。
とにかく、名護市民の皆さん、ありがとう。
さて、これまでの経緯を見れば自分から退く気などないだろうが、事態は確実に仲井間知事の退陣に結びつくべきだと思う。公約破りの自民党県連県議・国会議員も然り。

同日の福島県南相馬市長選は、無所属現職、「脱原発」の桜井勝延氏が再選。
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「東京五輪辞退」公約は歓迎する

2014-01-18 | Weblog
先週、駅売りの夕刊フジに、「細川、五輪辞退」という見出しが躍っていた。(細川でなく「小泉」だったかもしれない)
おお、そうくるのか。一瞬でもそう思った。
23日に告示の迫った東京都知事選挙に出馬表明している細川元首相の「五輪辞退」が話題になったのは、2013年暮れ、池上彰氏のインタビューに対し、「安倍さんはちょっと感覚が悪過ぎる」「2020年東京オリンピックだって、安倍さんが『オリンピックは原発問題があるから辞退する』と言ったら、日本に対する世界の評価は、もう格段に違ったものになっていたと思いますよ。指名を受けても辞退して、そう宣言していたら、『日本はやっぱりすごい国だ』という評価になったと思う。安倍さんには、そう言ってもらいたかった。それが総理のリーダーシップですよ」と発言していたことかららしい(「池上彰が読む 小泉元首相の『原発ゼロ』宣言」(径書房))。

しかし今現在、細川氏の公約概要では、「脱原発」に加え、「2020年東京五輪成功」「五輪に関し、東北地方で関連イベントを開く」とあるという。細川陣営では「福島に馬術会場を設けよう」「東北でマラソンをしたらどうか」等という意見も出ているという。
「東京五輪辞退」はたんなるブラフだったのか。都知事選出馬となると主義を簡単に変えるということなのだろうか。
やはり出馬を決めている宇都宮健児日弁連前会長は「シンプルで環境に配慮した五輪」を掲げている。支援する共産党が五輪推進だからこれは変えられないのだろう。
しかし私は、「五輪辞退」は正しいことだと思うし、それができない陣営ばかりなのであれば、がっかりである。

私は、「原発の在り方」が争点になることじたいは歓迎だが、そのことだけでいいいのかと思う。仮にワンイッシューに絞った場合でさえ、「反原発」陣営「一本化」の最有力とされている細川元首相に、疑問がある。
細川元首相は16日、正式に立候補会見を行う予定だったが、準備が整っていないとして延期となった。
さらに東京青年会議所が二度に渡って企画した公開討論会にも参加を表明せず、いずれも参加に応じたのが宇都宮健児氏だけだったため、開催されなかった。
細川氏の陣営は「総合的な判断」として参加の見送りを伝え、舛添氏も「主要候補の一人の細川さんがそろわないなら討論会は公平でない」として参加を取りやめ、「舛添氏が来るなら出る」としていた田母神氏も出なかった。揃いも揃って、なんという主体性のなさだろう。
細川元首相は記者会見も二回延期した。けっきょく出馬会見は22日午後に行われるという。後出しジャンケンにしても程がある。なんだか頼りないし、宇都宮氏を軽んじてみせて、周囲にもそう思わせようとしているみたいで、信用できない。
そもそもそれだけ政策のかたまっていない者を「反原発」だけで推すというのが、わからない。秘密保護法、沖縄の基地問題、靖国参拝や慰安婦の問題、消費増税、TPP……、問題は山のようにある。それらは原発問題とも複雑に絡み合っている。
細川出馬で「原子力ムラ」が青くなっているとして、これがほんとうに「安倍政権の暴走にストップをかける千載一遇のチャンス」なのかどうか。
だったら政治家どうしのしがらみのない宇都宮氏の方が遥かに信用できるはずではないか。

桝添に勝つ=「自・公の推す原発推進候補が当選する事態を阻止する」ことになるのかどうか、それでほんとうに原発推進を止められるのかどうか。
産経新聞によれば、自民党古賀幹事長は細川出馬と小泉の支援について「支持率低下の時の仕込みで、安倍晋三首相への一つの助け船だ。対立でなく『新師弟関係』だとみている」と述べ、首相の決断を促す環境整備だと理解しているという。それもにわかには信用しがたいが。

14日に判明した細川元首相の「脱原発」に関する公約案は、東京都が原発に依存しない「省エネ都市」を宣言した上で、都が大株主の東京電力に対し、研究が進んでいる太陽光・風力発電に加え、木くずなどを利用したバイオマス発電を中心とした「再生可能エネルギー基地」の建設を要求することが柱だという。「都内で必要とする電力は都内で供給する『地産地消』が最終目標だ」というのはいいが、なんだか悠長に響く。
だいじなことは、以前にも記したが、細川元首相は、肝腎の原発については、「即時ゼロ」ではなく、「徐々に依存度を減らす方針」であり、再生可能エネルギーの利用が本格化するまでは、電力需要に応えるため化石燃料への依存を続けざるを得ないとしている。「再生可能エネルギー基地」をじわじわ建築しているあいだに都知事の首が原発推進(共存?)者にすげ変わっているということも、考えられる。
そして、細川元首相は、東電柏崎刈羽原子力発電所の再稼働については、「反対を明確に打ち出すかどうか慎重に検討している」という。既に今の段階で「原発ゼロ」ではないのだ。なぜみんなそれを支援できるのか。

「東京五輪辞退」を実現させることと「反原発」は、同時に果たされるべきものと思う。そのくらいの根っこのある候補者は、出て来ないのだろうか。

……と、思ってたら、読売新聞によると、
「2020年東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会の会長に就任する森元首相は、18日のテレビ東京の番組で、小泉元首相が訴えている「原発即時ゼロ」について、「6年先の五輪のためにはもっと電気が必要だ。今から(原発)ゼロなら、五輪を返上するしかなくなる。世界に対して迷惑をかける」と批判した。」そうだ。
「原発ゼロなら、五輪返上」はまったく同感。「脱原発候補」は「五輪辞退」は、既定路線ということで、よろしく。
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「500億円名護振興基金」石破発言の虚偽と不成立

2014-01-18 | Weblog
12日に「基地の場所は(地元=名護市の意向ではなく)政府が決めるものだ」と発言した、自民党石破茂幹事長。
今度は16日、名護市に約500億円規模の「名護振興基金」の創設を検討していることを、名護市長選で立候補している末松文信候補の応援演説で明らかにした。政府と一体の地域振興をアピールし、米軍普天間飛行場の移設を進める狙いと報道されている。
石破幹事長は「世界一幸せな島にしたい」と歯の浮くような物言いの後、「(末松氏の政策である)スエマツビジョン実現の財源として、500億円の名護振興基金の実現を図る。一括交付金をベースに国、県、市が分担する形で、基幹病院の整備や交通網の整備などに活用したい」と説明、報道陣から「末松氏が当選した方が移設がスムーズに進む考えか」と問われると「そうでしょうね」と答え、現職の稲嶺進氏が当選した場合も基金を創設するかどうかは、回答を避けたという。
末松候補は、石破氏が掲げた振興基金を遊説で強調。「基金を活用して新しい名護市をつくり、北部全体の活性化を図りたい」と言う。それを特化したポスター、チラシまで用意した(写真)。「スエマツ新市長誕生で「名護振興基金」五百億新設!」とある。
稲嶺候補は「相手陣営の応援で中央から入る大物が口にするのは金、金、金だ。金と権力で名護市や市民をも否定するやり方で(基地建設を)迫っている」記者団に対して「振興策、基金をちらつかせて市民の気を引こうとしている。金権政治そのものだ」と批判している。

一方、菅義偉官房長官は16日夕の会見で「資金の新設について、政府として答える立場にない」「それは県や関係者が調整を図って実現していくということ」「新しくではなく、政府として北部振興事業で2021年度までの8年間、年度ごと50億円を確保すると約束している。沖縄の一括交付金として100億円程度が北部所在の市町村に配分されている」と述べ、既存政策の枠組み変更で対応する考えを示し、与党・政府側でも足並みが揃っていないことを露呈した。
北部振興事業費は名護市を含む北部12市町村が活用する予算であり、石破発言は国として新たな予算の創設や上積みを企図するものではない。名護市に特化した財源とする説明は、おかしい。一括交付金の北部12市町村への配分額もこれまで数十億円にとどまっているという。

そもそも与党幹事長に予算配分の権限があるわけもなく、国会や政府、省庁を飛び越えて、国の予算権限を全て取り仕切ることも許されるはずがない。
伊波洋一元宜野湾市長は、「石破幹事長の「500億円名護振興基金」発言は名護市民をだますだけでなく、今日から配られた末松陣営の選挙違反ビラに手を貸すもので、許すことはできない」と発言。
こうして報道をまとめていくと、石破幹事長は、選挙に勝たせるために告示後になって特定の候補者の勝利を条件に巨額の予算を提示、基金をつくると言っているということになる。じっさい、このような動きは、「公職選挙法」における「利害誘導」に該当しないのか。

「名護振興基金」というものは、存在しない。そもそも公約をひっくり返してばかりの自民党陣営である。どうしてここまで民主主義が機能していないことばかり見せつけてくれるのだろうか。
危険かつ自然を蝕む不必要な基地を作ろうとして、それを「カネ」で解決しようとしている。
仲井真弘多知事による辺野古埋め立て承認の取り消しを求め、辺野古住民ら194人が那覇地裁に提訴した。同時に承認の効力の一時執行停止を申し立てた。
当然だ。
選挙以前に、そもそも前提が間違っているのである。
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都知事選「一本化」ファシズムに大義なし

2014-01-16 | Weblog
選挙は候補者を選ぶものだ。
都知事選を「脱原発」で進めたいという人たちの「一本化」への言動が目にあまる。

「反原発」を掲げる細川護熙元総理が、全面支援を表明している小泉純一郎元総理とツーショットで出馬会見を行った。「ウルトラ兄弟が並んだみたいで頼もしい」などという下らない感想も見た。うんざりだ。
その前後から騒がしいのが、「脱原発」の主張が重なる日本弁護士連合会前会長の宇都宮健児氏に「出たら脱原発票が割れるから出るな」という動きだ。

小泉元総理は「原発ゼロは首相が決断すればできる」「安倍晋三首相が反原発を言えば、首相として盤石になるのに」などと発言してきた。
小泉元総理の動きは「古巣」自民党への配慮はまるでない戦闘モード、息子の小泉進次郎内閣府政務官もは都知事選で自民党都連が推薦する舛添要一元厚生労働相について「自民党を除名された方を支援することも、除名された方が支援を受けることも、私にはよく分からない」「(舛添氏は)自民党本部の支援(推薦)ではない」として、間接的に父親のバックアップをしている。親子で「自民党をぶっ壊す」のも、どうぞご自由に、である。
これに対し、安倍首相は外遊先のエチオピアで「東京が原発なしにやっていける姿を見せるという。さまざまなアイデアを出していくのは素晴らしいことだ」と誤魔化し、原子力発電を重要なベース電源とする日本の「エネルギー基本計画」を見直す可能性をも示唆したという。
舛添元厚生労働相も自身が原発推進派と決め付けられるのを怖れてか「私も脱原発を言い続けている。理解できない」と言い訳したが、つい最近も「もんじゅ」稼動を推進する発言をしていたはずである。
すべての候補が「脱原発」なら論争にならないわけで、まことにけっこうだが、そんなこと誰も信じないだろう。

そして昨日の産経新聞によれば、東京都知事選への出馬を表明した細川護煕元首相の「脱原発」に関する「公約案」が「判明」。
東京都が原発に依存しない「省エネ都市」を宣言した上で、都が大株主の東京電力に対し、研究が進んでいる太陽光・風力発電に加え、木くずなどを利用したバイオマス発電を中心とした「再生可能エネルギー基地」の建設を要求することが柱だという。海洋の波力などの活用も調査対象とし、再生可能エネルギーを都が発電業者から直接買い付けることにも言及する見通し。細川陣営幹部は「都内で必要とする電力は都内で供給する『地産地消』が最終目標だ」としている。
そこまではまだわかる。
ところが肝腎の原発については、「即時ゼロ」ではなく、「徐々に依存度を減らす方針だ」という。
また、「再生可能エネルギーの利用が本格化するまでは、電力需要に応えるため石油や石炭などの化石燃料への依存を続けざるを得ない。このため、東電柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)の再稼働については、反対を明確に打ち出すかどうか慎重に検討している」のだそうだ。
細川元首相のどこが「脱原発」だ。
「脱原発」の人たちは一本化する人を間違えているんじゃないのか。

15日、弁護士やジャーナリストらで作る都内の市民団体が、脱原発候補の統一が必要だとして、宇都宮・細川両氏氏に一本化に向けた話し合いを求める文書を送ったという。
「脱原発票が割れ、共倒れしたら意味がない」「脱原発を明確に掲げる候補が2人いては原発推進候補を利することになる。危惧して協議を申し入れた」「小泉純一郎元首相と細川氏が組んだなら、勝てる」「もう敗北はできない」。
宇都宮氏はこれに対して「オープンな環境で討論し、有権者に判断していただきたい」と回答したことを公表。「細川氏がどのような脱原発政策を表明されるのか、具体的内容はいまだ不明」と指摘した。

かと思うと朝日新聞が、「23日告示の東京都知事選で、細川元首相の立候補表明をうけ、脱原発の主張が重なる宇都宮陣営が揺れている。立候補取りやめを求める声が寄せられ、陣営内からも一本化を求める声が出ているためだ」との記事を出した。
宇都宮氏を支援する共産党の志位和夫委員長は「都政を福祉と暮らし優先に転換する点や憲法、消費税問題などで政策が全て一致するとは思えない」「(細川氏が首相を辞任する原因となった佐川急便からの借金問題について)都知事を目指すからには説明責任が問われる」と述べ、一本化に反対する考えを示した。
一本化の肝が「脱原発」だけなら、細川元総理が宇都宮氏支援に回れば良かったという声も聞かれる。しかし細川陣営内では宇都宮氏への評価が低いという。「票を分かつよりも合流した方がイメージ的にマイナスだ」という声さえあるらしい。
社民党は宇都宮氏支持から細川元総理に流れた。多くの人たちの宇都宮氏バッシングは共産党への攻撃でもあるようだ。だが、共産党は宇都宮氏への、一支援団体であるに過ぎない。
昨年末から、宇都宮氏バッシングのさまざまな情報も飛び交っている。だがほとんどが、よく見て聞けば、宇都宮氏本人に問題があるという確証は、ないようだ。

私が言いたいのは原則だけだ。
「脱原発」で勝てる候補なら誰でもいい、というのは、間違っている。ましてやその「脱原発」がまやかしである可能性が強いなら。
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社民党の自殺

2014-01-15 | Weblog
吉田忠智・社民党党首は、朝日新聞によれば、
「細川護熙元首相は、東京電力福島第一原発があれだけの過酷な事故を起こしながら、安倍政権が原発輸出、再稼働を進める状況に大変危機感を持たれて、脱原発を主張したいとの思いで立候補を決意されたと受け止めています。
社民党は、これまでの経緯や政策を踏まえて東京都連合として宇都宮健児さんに推薦を決めたが、脱原発を主張される候補者が一本化されることが望ましいとは思っています。脱原発を主張する候補者が増えることはいいことだと思います。ただ、票が割れると相手を利することになる。ぜひ両者で会って話して、一本化してほしいと思います。」
と、発言したという。

細川氏を支援する小泉元首相は「原発ゼロでも日本は発展できるというグループと、原発なくして日本は発展できないんだというグループとの争いだ」というが、都知事選は「脱原発」だけが争点なのか? そうであっていいのか?
社民党は、自分たちが自信を持って推薦したはずの宇都宮氏を引き続き支持するのか、細川氏との話次第では二人のうちのどっちでもいいと言っているのか、実に曖昧な発言をしたものだ。
これがほんとうなら社民党は政党としては終わっている。

自民党が推す桝添が勝てば、細川陣営の敗北を、一本化に同意しなかった宇都宮氏のせいにして責任逃れをしようとしているようにも、見える。

細川総理就任の頃、私はヨーロッパにいた。日本に関する横文字の報道を見て、日本が新しい時代になるかと密かに期待した。まったく期待はずれだった。
そもそも細川氏は、なぜ総理を辞めたか曖昧であるという点では、安倍、野田と同じだ。

二十年前の「連立政権」の時代、原則論を守り通して意地を張らなかったがために、「政権」に目が眩んで譲歩し続けることが始まったために、民主党の出現、そして現在の混迷があることを、なぜ自覚しないのか。かつて細川率いる一派だった現民主党勢との駆け引きに負けて社会党がなくなったとは、考えていないのか。

自党ビルを失って、裸一貫、弱小政党として一から出直すならまだよかった。もう逃げるところがないのだから、自分の原則を保ち、誇りを持って自立しているべきだった。

社民党と呼ばれる党もあったのだとそのうち過去形でしか語られなくなるだろう。申し訳ないが、自分で終わりを選んだのだ。
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成人の日

2014-01-14 | Weblog
成人の日が1月の第2月曜日とされ、「一月十五日」と固定化されなくなったことには、今も違和感がある。まあ別に不便はしないが。

東電福一原発から40キロほど離れた福島県の沿岸で、食品の基準の124倍に当たる1万2400ベクレルの放射性セシウムを含むクロダイが見つかったという。高濃度汚染水の影響を受けたものが移動したとみられる。確かに生きものなら移動もするだろう。過去に原発の港以外の福島の沿岸で1万ベクレルを超える魚が見つかったのは、事故後すぐの時期に取れたコウナゴと、おととし8月に取れたアイナメの2回だけ。
「極端に高い例が一つあっただけ」という言い方もされているが、スーパーや魚屋で私たちはどうやってその一つ一つを計るというのだ。
もはや、魚類を食べることは激しいリスクを伴っていると言わざるを得ない。

世界銀行(World Bank)と国連(UN)は、最貧国に電力網を整備するため数十億ドル規模の資金援助が必要だとした上で、集まった資金は新エネルギー開発にのみ使用、「原子力をめぐる国家間協力は、非常に政治的な問題だ」として、いずれの国においても原子力発電への投資は行わない考えを表明したという。当然だ。

東京都知事選に出馬する意向を固めた細川元総理は、選挙公約で、東京オリンピックについて、「東北地方も含めた開催」を掲げるという。「反原発」と「成長戦略」を共に唱えるということだが、ただ原発を作らない、稼動させないだけで、後は自民党路線と大差ないのではないか。原発事故の影響を軽く見せようという意味では現政権と変わらないという気がしてくる。

2014年1月13日付の『AERA』でやはり都知事選出馬する舛添元厚生労働相「日本の現状は、明らかに『低負担高福祉』国」「15%の消費税が必要」と発言しているという。
「私は個人的には、日本もヨーロッパ並みの社会保障を実現させたいなら、15%の消費税が必要だと思う。」、「世界と比べて日本の現状は、明らかに『低負担高福祉』国。」「最も重要なことは、お金は天から降ってはきません、ということ。それに尽きる。社会保障サービスを充実させたいなら税金や社会保険料などの負担を増やす。負担が嫌ならサービスは制限される。厳しいけれどそれをきちんと国民に説明して納得してもらう、政治のリーダーシップが必要だ。」
こういう意見の持ち主を知事にしてしまったらどうなるのだ。

政府は来年度、八ッ場ダム本体工事に着手するとしている。新たな工事入札も始まる。ダムサイト予定地の吾妻渓谷では、今年度中に本体準備工事が再開されるという。とんでもないことだ。
以前に保坂展人さんがDVD『八ッ場ダムはなぜ止まらないのか』を作るお手伝いをしたが、工事決行による自然破壊、環境汚染は明白である。
八ッ場ダムの問題は、下流で恩恵に浴するところの東京都にも深く関わっているし、都には工事に対する資金面も含めた付帯責任がある。
ダムには「発電ダム」もあるわけだが、基本的にコストに見合わないという判断が世界の趨勢だ。自然破壊のほうが深刻だということが浸透している。
「八ッ場あしたの会」では八ッ場ダム本体工事の中止を求める署名を始めている。
http://yamba-net.org/shomei/

成人の日。息子は杉並公会堂の成人式に出かけた。今年からの新機軸として、中学校区で区内を午前と午後の二回に分け、式典の後のステージの催しを二十分に縮め、その後公会堂の全館を解放して、中学校ごとに友達との久々の出会いの場を提供するという仕組み。必然的に、式後にはそれぞれ中学の同窓会が行われたようだ。なかなかよい配慮である。息子らの同窓会は区外の吉祥寺に移動してだったみたいだけれどね。
成人式は区であり都の事業である。
「座高円寺」はもともと「高円寺会館」という小規模公民館だった。建て替えに際して演劇専用ホールに特化した案が出て現在の形が実現したのだ。私自身は成人式は行かなかったしその日を意識さえしなかったはずだが、私の世代で「高円寺会館で成人式だった」という人に、何人か会ったことがある。
そのうちの一人、沖縄県名護市の某公共施設の設計者に、「公共施設は建て押す時に見直しできるはずなのですよ」と話したこともある。何年か前、たまたま知り合い、名護商店街アーケードの公共テーブル(?)で飲んだのだ。市役所の人も同席していて、名護市が新基地建設について推進派と反対派で親族も職場も巻き込んだ対立による苦汁の日々の中にあることを、至近で垣間見た夜だった。

久しぶりに整骨院に行くと、やはり成人式の話題が耳に入る。成人式で新成人の若者が暴れるニュースはもはやお約束のようになっているらしい。新成人の学生比率が高いことを聞いた、施術を受けていたお年寄りの一人が、自分の成人式は、仕事を始めて六年後だったと話しているのが、聞こえてきた。学徒動員で工場で働かされ、戦後そのままその工場に就職したのだという。「時代が違うからねえ」と何度も繰り返していた。
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「修復不能原発が至近にある暮らし」に馴れない

2014-01-12 | Weblog
東日本大震災から三度目の正月となったわけだが、「修復不能原発が至近にある暮らし」に「馴らされてはいけない」と、あらためて思う必要はなかった。年明けの頃、不穏な情報が飛びかったのである。
海外メディアによると、ロシア大統領府が「12月31日に福島第一原発の地下で核爆発が起きているので要注意」という政府令をロシア政府国務大臣らに発令、非常事態として福島原発に関する全ての情報を最重要指定とする事態があったという。ロシア側の根拠としては、「12月31日に福島第一原発の地下で核爆発が起きた」ことが挙げられていたらしい。テヘラン経由の情報なんていうのもあった。
東京電力の発表では、福島第1原発で汚染水約300トンが漏れた汚染水貯留タンク近くの観測用井戸で昨年12月28日の汚染水からは放射性物質のトリチウムが一リットルあたり2万ベクレル検出されていたが、翌29日に採取した水からは、1リットル当たり34万ベクレルと上昇。31日には20倍以上の45万ベクレルに達した。さらに30日から1月4日に採取された水は同37万~45万ベクレルで推移している。
東電自身は「一部海外メディアにおいて、「福島第一原子力発電所3号機で湯気が発生し、放射性物質が放出されて危機的な状況にある」、「12月31日に福島第一原子力発電所の地下において核爆発が2回発生した」との報道がされておりますが、そのような事実はなく、プラントの状況に変化はありません」としている。
湯気らしきものの原因は、「シールドプラグの下部に滞留していた雨水などの湿分」という。
地下水観測孔におけるトリチウム値上昇については、「過去にタンクから漏えいした汚染水が周辺土壌に染み込んでいること」「年末に一時的に地下水汲み上げ量を減少させたこと」の影響としている。今回の高濃度トリチウム検出が特別なことではないことを証明するためか、「観測孔においては、過去にも同程度のトリチウムが検出されており、2013年10月17日には過去最高となる790,000Bq/Lが検出されております」とも発表しているのだが、それだっていまだに理由がわからないわけだろうから、慰められる(?)わけでもなく、ただただ呆れてしまう。
「核爆発」の根拠とされた2013年12月31日に起きた地震についても、「震源は茨城県北部であり、福島第一原子力発電所ではない」、だから一部報道にある「12月31日に地下核爆発によるマグニチュード5.1および3.6の揺れを観測」は誤り、としている。
いずれにせよ、特定秘密保護法で「原子力に関することは軍事に関すること」と日本政府が判断したら、そうした情報は国内では不可能になるやもしれぬ。ロシアからでもイランからでも、情報はどんどん出していただきたい。

東電福一原発では、汚染水対策の新たな処理設備「ALPS」の根幹設備で、取り除いた放射性物質の保管容器を運ぶクレーンが故障し、汚染水の処理が中断されていたこともわかっている。
また、東電が、福一原発の港湾内の海水と地下水に含まれる放射性ストロンチウムの計測値を半年分公表していなかったこともわかった。他のデータとつじつまが合わず、原因の究明ができていなかったためであり、「隠す意図はなかった」というが、釈明にも何にもなっていない。
さらに、東電が、汚染水タンクから発生するエックス線の影響を軽視し、対策を講じないままタンクを増設し続けていることもわかった。国が昨年8月に認可原発敷地境界の線量「年1ミリ・シーベルト未満にする」に対し、年末の段階で、一部で年8ミリ・シーベルトの水準を超えたという。
東電福一原発関連については、情報は小出しにされているが、とにかく修復の見込みに関しては、どうにも八方塞がりのようである。福島1~4号機の廃炉費用に東電はこれまで9579億円を投じているというが、今後も被害は無限大に広がり続け、費用も底なしにかかっていくことだろう。

そんな中、福島県は、2020年の東京五輪・パラリンピックに合わせた事前合宿の県内誘致や記念行事に対応するため、今月中にも庁内にも「東京オリンピック・パラリンピック関連事業推進本部」を新設するという。
確かに、東京五輪は、「東日本大震災と東電福1原発事故からの復興貢献」を開催目標の一つに掲げている。
県は市町村や東京五輪の組織委員会などと連携し、関連事業の県内誘致活動を本格化させる方針で、「本県復興の姿を効果的に発信できる体制を整える」というが、「復興の姿」を発信することは、ほんとうに可能なのだろうか。

二月の東京都知事選挙に関しても、2020年の東京五輪・パラリンピックの「夢」とは裏腹に、福1原発事故との関わりは、避けて通れない大きな問題である。
「反原発」を謳い細川護煕元首相が小泉パパの支援を出て出馬という話だが、「東京オリンピック特需を当て込んでいる」とも見えるわけで、ほんとうは担ぎたくないマスゾエを出す鷹揚な自民党も水面下で手を結んでいる出来レースではないかと疑う向きもあるだろう。いずれにしても「脱原発」支持者たちは、ただその一転を謳っているからといって、彼らに簡単に騙されてしまうものなのだろうか。

安倍首相の「原発セールス」で、売り込んだ原発の放射性廃棄物の最終処分は日本が全部引き受けることになっていることや、海外で日本の売った原発が事故を起こした場合にその費用はすべて日本国民の税金から支払う約束になっていることも、ようやく皆が気づき始めている。
放射性廃棄物を回収することは、軍事利用の可能性のあるプルトニウムを取引先の国に残さないためという対外的な言い訳もあるようだが、決して「原発セールス」で日本は少しでも核燃料を手放すことができるというわけではないのだ。原発事故のリスクを日本がしょいこむことによってしか、「原発ビジネス」は成立しがたくなっている。

個人的には、「反原発」「脱原発」を掲げる人たちには、今現在、既に存在している放射性廃棄物・核燃料を、どう処分するつもりかということについても、明確に答えていただきたいと思う。
答は「今はわからないが」でもいい。少なくともそのことを考えているべきである。この問題は、強靱な国際協力の中でしか解決しないような気がするが、その端緒を付けることでも、いい。
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東京オリンピック見直しを都知事選で

2014-01-11 | Weblog
沖縄県議会は、仲井真弘多知事が米軍普天間飛行場移設をめぐる名護市辺野古の埋め立てを承認したことは県外移設の公約に違反するとして抗議、辞任を求める決議を賛成多数で可決した、とのこと。
沖縄で知事の辞任要求決議が可決されたのは初めてという。
法的拘束力はないが、知事が辞任要求に応じなければ、次年度予算案を通さないという形で追いつめることはできる。
このことが名護市長選の追い風になることは間違いない。やはりどう考えたって辺野古移転はおかしい、というところに立ち戻れるだろうからだ。
もちろん予断は許さないが。

知事の独断をきちんと「見直し」できる議会は健全だ。

東京都知事選挙だが、同様に、民主主義が機能することをみせつけるような結果であってほしい。
私としては「都市博中止」を公約にした青島幸男氏のように、「東京オリンピック中止」、せめて「見直し」を公約にする候補者がいたらと思うのだが。

支援を受けている共産党がオリンピックを認めてしまったため、いち早く出馬表明した宇都宮氏もオリンピックを認めることは大前提にしている。つくづく残念なことだ。
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