Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

カウラを語り継ぐ人たちとの出会い

2013-01-31 | Weblog
体調含めいろいろあったが、なんとか復活。と思ったら連絡が入る。成蹊カウラ会のOさんから、急遽、カウラ日本兵捕虜脱走事件の当事者Mさんが東京に来ているから会わないかというお話。早速お会いして話していると東京に数日間滞在の予定とわかり、どこか空いている時間があれば俳優たちに会わせたいのでぜひ稽古場にいらしてくださいと切り出すと、「今がいい」とおっしゃるので、そのまま稽古場にお連れする。Mさんは九十歳を越えられているが、単身旅行するのもまったく平気、お元気だ。カウラ事件関係の翻訳と著作で知られる山田真美さん(『生きて虜囚の辱めを受けず カウラ第十二戦争捕虜収容所からの脱走(ハリー・ゴードン 著 山田真美 訳)』『ロスト・オフィサー』等)も、夕方Mさんとのアポがあって、どうせならということで、稽古場に合流してくださる。山田さんは明日からまたカウラに取材に出かけられるという。オープンで厚みのある方だ。想定外の刺激的な出会い。……帰宅すると中園ミホさんから、FBメール。中園さんは大叔父に当たる方がカウラ事件の当事者で、その聞き書きをもとにドラマ『あの日、僕らの命はトイレットペーパーよりも軽かった~カウラ捕虜収容所からの大脱走~(2008年7月、日本テレビ)』を書かれている。で、じつは私とほぼ三十年近く昔の知り合いなのである。ずいぶん長い間お目にかかっていないのだが。私がカウラの劇をやると知って、連絡をくれたのだ。嬉しい。たまたま同じ日、こちらから連絡しなきゃと思っていた山田さん、中園さんとコンタクトが取れて、なんだか思いがけないありがたさである。……ソン・ギウン君が東京に来ている。六回目となる「韓国現代戯曲ドラマリーディング(今回は2月20~24日 シアタートラム)」の稽古がスタート、彼の代表作『朝鮮刑事ホン・ユンシク』も上演されるので、稽古に立ち会っているらしい。一昨日会いたいと連絡くださったが、こちらはタイミング合わず申し訳ない。……わが岡山市が「桃太郎市」に改名の地域宣伝、の報。感想は、ない。ただただ、なさけない。……『カウラの班長会議』イラスト。最後の一つは、花札。オーストラリアに花札があるわけもなく、もちろん捕虜たちによる自家製の札を使った。今日お会いしたMさんはどちらかというと麻雀のほうだったらしい。牌は木製で、精巧に作られていたという。
コメント

「警戒区域」に残された動物を助けたら逮捕

2013-01-30 | Weblog
午前中に戯曲ゼミもこなし、稽古へ。帰宅すれば新たな校正仕事も待っていた。週末の会議に向けて準備も。体調持ち直したはずが、どうもよろしくない。……稽古は、矢内原美邦によるムーブメント指導から、というか、仮説としての振付モード、がんがんやる。滅多に休憩を入れないことでも有名な矢内原指導法(!)である。「とばしすぎてみんな疲れたと思います」と、矢内原の弁。……東電福島第1原発事故に伴う警戒区域に偽造した通行許可証で侵入したとして、HOSHI FAMILYこと星広志さんと息子の礼雄さんの二人が、偽造有印公文書行使と災害対策基本法違反容疑で逮捕。昨年7月、当時警戒区域だった楢葉町の国道6号に設置された検問所で見せた通行許可証が偽造だったという疑い。武蔵野市の自宅で福島県警の刑事4名が逮捕状もないのに「任意同行」を求め、そのまま武蔵野警察署経由で福島の双葉警察署に連行されたという。偽造通行許可証で警戒区域に立ち入ったとして逮捕されたケースは初めてのようだ。災害基本法・原子力災害基本法で正式に逮捕された日本人の最初の事例でもある。基本法では、これまで1年前に外国人のフリージャーナリストが逮捕・起訴・罰金の処分を受けているだけのようだ。星さん親子は、3・11後から、数十回以上にわたり警戒区域内に立ち入り、置き去られ被災した動物たちのレスキュー活動を重ねてきた。かつて何度も地元警察から拘束されたが、内容上、警察も逮捕できず、説教のみで返されてきたらしい。一部マスコミは今回の逮捕について「区域内の動物の写真を使って募金活動をしていたことが発覚」という、悪意ある報道を出してきた。現在、警察は、その警戒区域への立ち入り制限・禁止を強めているようで、それに反対する署名運動も広がっており、その中心にある星さんを逮捕することで「沈静化」をはかっているのではないかという声もある。3・11後、警戒区域内に残された動物たちの多くがボランティアによってレスキューされたが、未だ多くのペットたちが残されている。そうした現実を放置し、被災地の現実を隠そうとする実態の一つであると指摘する声が多い。少しでも多くの命を救い、現実に進行中の事態を決して「風化」させないためにも、星さん親子の即時解放を求めたい。
『見捨てられた命を救え―3・11アニマルレスキューの記録』PART1
http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-916117-96-0.html
『見捨てられた命を救え―3・11後、2年目の警戒区域のアニマルレスキュー』PART2
http://www.hanmoto.com/bd/isbn978-4-907127-01-5.html
コメント (2)

四十人の稽古場

2013-01-29 | Weblog
最近、捕虜収容所ものの映画を幾つか再見したりしているのだが、やはり『戦場に掛ける橋』はよくできている。突っ込みたいところも少しはあるが。原題は『The Bridge on The River Kwai 』。テーマ曲は「クワイ川マーチ」として知られている。しかし日本での題名には固有名詞である川の名ではなく「戦場」が選ばれている。考えてみれば、そうした「一般化」が「日本流」なのかもしれない。「戦争」とか「平和」とか大文字で記して、中身が伴わないということだ。具体的に、誰と誰が、いつ、どこで、何を巡って闘ったのか、結果はどうだったのか。それは今、どう現在に繋がっているのか。そうした事象を日本では「見ない」ようにしている。「戦争とはこういうものだ」と、一つ一つ違うはずの「戦争」を一般化して、固有の具体を忘れてゆくのだ。『戦場に掛ける橋』に於いて、クワイ川に架かるその橋をなぜ日本という国が軍隊、捕虜によってその時その地に架けなければならなかったのかという背景を見ず、すべては決着のついた「過去」であるように誤解して、観客の立場としては映画を進行する主格である米英側に身を置いて、物語のうわべの筋だけを追って、当事者としての「自分」のことはかえりみようとしない。「すべては戦争のせいだ」、「戦争のむなしさ」にまとめて他人事のように距離を置く。このあたりがヨーロッパで「歴史の当事者」であることを自覚させられ続けてきたドイツとの違いであろうし、「過去との対面」によって鍛えられてきていない脆弱さが現在のこの国を随所で蝕んでいるのだということを、あらためて思う。……本来日本全体が背負うべき歴史と戦争(安保)の固有性を背負わされた「沖縄」に「当事者性」を学ばなければならないヤマト、という構図は、まったく改善されていない。安倍総理は来月訪米してのオバマ会談に臨む前、今週末に就任後初の沖縄訪問、仲井真知事と会談予定という。今さら「米軍普天間基地の移設問題などを巡って意見を交わす」と言われても、沖縄の民意はとうの昔に明らか。……矢内原美邦によるムーブメント指導から、稽古始まる。四十人が出る劇。いろいろ決定すべきこと山積だが、急がば回れ。人を見て考えるべきところ多々あり。四十人が一度に動いてもとりあえず大丈夫な広い稽古場。なにしろ上演する劇場の「舞台+客席」の倍の面積がある。この先は広い稽古場ばかりではない。どうなることやらだが、まあ、面白いじゃないか。そういうことがやりたいのだ。……先週後半からは体調がすぐれず、おおむね回復と思ったが油断大敵と知る。まだ本調子でないのに、無理はしないといけない。蒲団に寝るのは二日に一度。前夜にいきなり何個かぎりぎりの用事が舞い込み、頭を抱える。どうしてもどこかで人に迷惑をかけてしまうが、できる限りのことはする。……電車内で私を見ていぶかしい顔をする人がいたので「?」と思ったが、それは私のマスクの色が黒いせいだと気づく。しかも平仮名の「へ」か、上下ひっくり返すとチェックマークみたいな白抜きの字が描かれている。見るからに怪しいのだろうが、年明け早々に矢内原美邦にもらったマスクなので、意図はわからないがその「作戦」に従ってみるのみだ。……『カウラの班長会議』メインイラスト。大勢が出る芝居であることを示してもいる。といってもこの絵でさえたったの七人だ。
コメント

カウラ、沖縄、ヤマト 終わらない戦争

2013-01-28 | Weblog
米新型輸送機オスプレイ配備撤回・米軍普天間飛行場県外移設を訴え、沖縄県内41の全市町村の首長・議長(代理含む)や県議ら要請団約130人が上京、日比谷野音で抗議集会、さらに銀座をデモ。市民四千人が駆けつける。72年の「本土復帰」後では最大規模の上京しての要請という。月曜は官邸を訪れ、「オスプレイ配備は県民に対する差別以外のなにものでもない」と記した建白書を安倍晋三首相に突きつける。沖縄は「拒否」しているのだ。「フタンをケーゲン」だの「リカイをモトメル」といった意味不明な弁はもはや言語として機能しないのだ。首相やら政府やらと呼ばれる人たち、自分らが責任者だと思うなら、逃げてはならない。……出かけられないので、上記集会・デモのネットライブ中継を画面の端につけっぱなしにして自宅で仕事していた。そうはいっても仕事優先で中断していてまた付けると、高江のヘリパッド基地建設反対を支援する円城寺あやとNaccaら〈ゆんたく高江〉メンバーが、村長に「ヘリパッドとオスプレパッドを分けて考える矛盾」を追及している場面に。暖簾に腕押しではあったが、言うべきことは言った。えらい。今度は村長が他の首長やらみんなに言っていただきたい。さて、もう知り合いになったのだから〈ゆんたく高江〉メンバーは今後高江に行く時には必ず村長のところへ挨拶に寄ることにしたらいいのではないかな。……今日の集会は、これまでにないほど「愛国者」の皆さんの妨害があったという。昨年以来、毎週の官邸前デモから連なる新たな市民運動は、国家信奉的集団心理からは遠い緩やかな自立の意識で結束を得ようとしていると感じる。選挙等で結果を出せていないとしてもだ。「国」は人間の集積であって、もともとあるものではない。存在しないものに対する依存心の呪縛を解く勇気を持たねばならない。そのたたかいは、一世紀の長さを費やしてもなお困難かもしれないが、諦めてはならない。……まあ、今、そういうことをダイレクトにとらえる仕事をしているのだ。それにしても、一日じゅうカウラの捕虜収容所ことばかり考えていると、なんとも不思議な気がする。私は一度しか行っていないのだが、だんだんまた、そこに帰ってきたのだ、という気がしてくるからだ。仕事とは関係なく、近い将来、カウラの地にまた行くことになると思う。その前に舞台という装置で、そこにしかない「カウラ」を出現させることにはなるのだが。……今回のカットは三田晴代さんによる珍しや「悪キャラ」の二人。収容所で支給されたこの赤い捕虜服を着て復員した者もいるという。
コメント

如月小春さんのカウラ留学

2013-01-27 | Weblog
如月小春さんが高校時代カウラに留学していた話は漠然とは知っていたが、成蹊高校カウラ会の皆さんにお会いして、というか、月に一度の現役留学生とOBとの交流会に押し掛けてお話を聞き、詳細がわかった。成蹊高校がカウラ高校との交換留学制度を設けたのが1970年、その二年後の1972年、初めてカウラに留学した女子生徒が如月さんだったのだ。市長招待によるextraだったという。当時一緒に留学していたMさんはじめ、いろいろな皆さんのお話も聞いた。……如月さんが亡くなられてもう十二年が過ぎた。劇作家大会やアジア女性演劇会議の活動など、常にいきいきと行動されていた姿が思い起こされる。初めて観たのは東大駒場小劇場での『工場物語』。追悼リーディングで自分がその一節を読むことになるとは思わなかった。……成蹊高校カウラ会の四十周年記念の資料集は、たいへん手のかかった労作である。末尾に歴代留学生の名簿と写真があり、そこに高校時代の如月さんがいた。
コメント

井上ひさしさんについての座談会

2013-01-26 | Weblog
体調は良くないが朝から仕事。……午後、座・高円寺ミーティングルームをお借りして、井上ひさしさんについての座談会。別役実さん、平田オリザさん、山口宏子さん(司会)と。中心となった劇作家協会事始めについては、川村毅さんとオリザを連れて斎藤憐さん宅を訪れ、別役さん・小松幹生さんと六人で最初の話し合いをしたのが、ちょうど二十年前の年明けの今頃。井上さんがいないとまとまらないぞ、というのは憐さんの慧眼だった。この座談会の載った本は、書店に並ぶのは3月末、詳細はその頃にまた。……昨年十月、埼玉県立所沢商業高校の硬式野球部顧問の男性教諭(36)が修学旅行先の沖縄のビーチで、同僚の40代の女性教諭を海に投げ入れるよう、野球部員の男子生徒たちに「(女性教諭を)捕まえろ」「海に落とせ」としつこく指示し、このうち4人が女性教諭の手足を持って、浅瀬に投げ入れたという。女性教諭にけがはなかったが恐怖を感じ、旅行後、上司に報告。男性教諭は指示したことを認めていないというが、冤罪でないのなら「停職1カ月の懲戒処分」は甘すぎるだろう。生徒を使った最悪のセクハラ。……沖縄で起きたセクハラといえば、学生の卒業旅行を誘致する広告宣伝の一環として、沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)と県が採用を決めていた「絶対領域広告」が、ひどい。「絶対領域広告」は、ミニスカートやショートパンツの女性が太ももにステッカーを貼り、街中を歩いて宣伝する「新たな広告手法」だそうだ。県観光振興課は「若者向けに訴求力と即効性がある」と考えたそうだが、「品格がない」「税金を使った事業として不適切」と批判が続出、結局「女性の太ももに広告シールを貼る宣伝手法が、沖縄観光のブランドイメージにあっていない」として中止を決めたという。こんなことに「一括交付金」を使うなんて、まるで「もらったお金をどう分配するか」のためにでっちあげた事案のようではないか。「絶対領域広告」案が一度は通過した現実を見ても、昨今、この国は性差別についてあまりにも鈍感ではないかと思わずにいられない。……写真は、『カウラの班長会議』、裁縫する日本兵捕虜の絵(三田晴代)。
コメント

杉並区の寒い一日

2013-01-25 | Weblog
徹夜明け、劇作家協会で朝から会議。劇作家協会の「新しい劇作家のための企画」が進行しているのだ。忙しいのに執筆でへろへろなマキノノゾミも来てくれる。終えて樋口ミユと石原燃と飯を食い、大学生のように小一時間喋る。パン屋でコーヒーを飲みパソコンを広げて仕事。体長悪く帰る。札幌と気温はずいぶん違うが、雪は降らなくても自転車通勤は寒い。帰宅して即寝る。……『カウラの班長会議』のイラスト、もう一点を掲載。
コメント

『戦争と一人の女』

2013-01-24 | Weblog
井上淳一監督の『戦争と一人の女』、昨年の試写を逃したので、ようやく観る。寺脇研氏が企画プロデュースを手がけたことも話題になっている。坂口安吾の原作『戦争と一人の女』『続戦争と一人の女』は短く、人物との距離感が小説らしくなく、長めのプロットといってもいい。言葉じたいに「名台詞」ともいえる蘊蓄と個性があり、それはほとんど映画の中で活かされている。ただこれだけでは映画としての運びが足りない。そこで終戦直後に世を震撼させた小平義雄という犯罪者がモデルになっているという、中国戦線で片腕を失い帰還した「大平」という男が登場する。脚色は荒井晴彦・中野太。もとの安吾の言葉自体がいかにも荒井イズムに感じられるものが多く、そこも面白いのだが、この「大平」のエピソードで、原作が対比・批評されていく。こうした原作と映画の関係は、シナリオや戯曲を勉強している者にとってわかりやすい「脚色」の例となっている。どんなにプロット的にみえる小説でもそのまま起こしたのでは劇にはならないのだ。「大平」を演じる村上淳さんは拙作『現代能楽集 鵺』で四年前ご一緒しているが、最近は映画の話題作に立て続けに出演している。やはり抑制の効いた永瀬正敏との男二人の対比が面白い。江口のりこの女は、文語的な台詞に苦労している感じはあるが、『野田ともうします』で実証済みのとぼけたおかしみと、生々しい女の実在が、共存している。柄本明氏は今回は声にこだわっている。スタッフに若松孝二監督の弟子筋が多いということだが、「戦時下の性」を描くという意味では、確かに若松孝二的と言えなくもない。「大平」の犯罪が『新日本暴行暗黒史・復讐鬼』を想起させたり、時代に背を向けて性に耽溺するという意味では若松プロデュース『愛のコリーダ』を連想させるとはいえるだろうからだ。井上脚本の『アジアの純真』が『ゆけゆけ二度目の処女』はじめパートカラー時代の若松作品を想起させたがロジックでの破壊力に欠けていたのを思うと、『戦争と一人の女』は、ぐっと駒を進めている。「大平」に台詞で天皇批判させるのを、もったいないと思うか、「らしい」と思うかで、印象は違うはずだし、フェミニズム的には批判も出てくるかもしれないとか、いろんな感想もあるが、とにかく現場の空気は悪くなさそうで、熱意とこだわり、映画ならではの若々しさが、確実に伝わってくる。
コメント

イラスト

2013-01-23 | Weblog
3月公演『カウラの班長会議』のチラシが出来上がった。イラストレーターは、三田晴代さん。初めて組む方である。たぶんこれまで演劇のチラシを手掛けられたことはないのではないか。どうして出会ったかは企業秘密なのでここでは教えないが、この題材とは一瞬ずれていると感じられるような、楽しい絵である。燐光群ホームページから入れますので、ぜひ見てください。合計6つの絵があります。
http://rinkogun.com/Next.html
コメント (1)

東京は暖かいが

2013-01-22 | Weblog
麻生太郎副総理の、社会保障制度改革国民会議に於ける高齢者などの終末期医療に関する発言。「いいかげん死にたいと思っても『生きられますから』なんて生かされたんじゃかなわない。しかも政府の金で(高額医療を)やってもらっていると思うと寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらわないと」。医療費問題に関連して、患者を「チューブの人間」と表現した上である。彼は議事録から該当部分を削除するよう申し入れ、言い訳のつもりでか「公の場で発言したことは適当でない面もあった」「(自分ならどうかという文脈で)私見のつもり」というが、公の場でなければ言ってもいい、本音はもちろん今もその通りだ、と言っているわけだ。「政府の金で」というのも、どう考えてもおかしい。……大阪市立桜宮高校の体罰理由の自殺問題で、市教委は橋下市長の言いなりに、同校で2月に実施予定だった体育系2科の募集と入試の中止を決めた。試験科目や配点、日程が2科と同じ普通科(同120人)の入試を、3月に実施する従来の普通科(同160人)とは別に実施することも決めた。定員を振り替えるその普通科は府内全域から募集するうえ、スポーツに特色のあるカリキュラムを組むことにしており、体育系2科に近いという。さらに、入学後に体罰の実態調査や教育方針の見直しなどが終われば、2科への編入も検討するとしているので、市教委としては、世論等の動き次第では早期に「体育系2科に戻せる」と考えた上でのぎりぎりの選択かもしれない。しかし「体育系2科に戻せる」という確実な保証はない。橋下市長は会議に先立つ21日午前、同校を訪れ、全校生徒約840人に「クラブで勝つより大事なことがある。立ち止まって考えてほしい」などと入試中止への理解を求めたというが、それを受けて同校運動部の元主将ら同校3年の男子生徒2人と女子生徒6人が会見。「市長は(一方的に話しただけで)私たちの話を十分に聞いてくれなかった」「具体的な理由がなく、(橋下市長は)『生徒、受験生のことを考えて』と何度も繰り返したが、在校生と受験生のことを考えたらもっと違う結果があったんじゃないか」「何の関係もない中学生が巻き込まれることに納得できない」「体育科に魅力を感じて受験したいと思う生徒がほとんど。普通科に回されるのは、在校生の私たちは納得がいかない」とした。また、橋下市長が体罰の背景に「生徒たちも容認していた」「勝利至上主義」などと発言していたのに対し、女子生徒は「容認していないし、勝つことだけが目標ではなく、礼儀など人として一番大切なことを教えてもらっている」と反論。自殺問題について「心の傷は深く、重く受け止めている。傷を癒せるのは先生」として「教諭の総入れ替え」にも反対、「多くの生徒が学校を守りたいと思っている」「このまま自分たちの大切な後輩を残して卒業できない」「今回の結果が覆せるんじゃないかと、強い思いを持ってきた」という。生徒の死の責任が顧問教員だけにあるはずはない。詳細と原因はきちんと解明されるべきであるし、責任も問われねばならないとは思う。だが、一部教員が問題を起こすたびに高校が新入生の募集停止をしなくてはならないほどの「誤った体制」があるとしたら、それはその学校のみで収まらない「覆しがたい強度と構造を持った誤った体制の問題」であると受け止めるべきである。市長が体罰容認発言をしてきた事実がある以上、教育委員会や市も責を負うべきであるし、改革の対象とならねば筋が通らない。そうではない、現状に対応しながら改善していくというなら、今からでも2科としての入試を実施すべきだ。……この世界、殊にこの国に、自分に都合の良い論理のすり替えとごり押しが横行しているという印象が、日々、増している。……アルジェリアでの人質事件、これが欧米主導の「テロとの戦い」文脈でまとめられていくことを警戒する。安倍晋三首相は「企業戦士として世界で戦っていた人が命を落とし、痛恨の極みだ。テロは許されない」と言うが、なぜここで「企業戦士」なのか。「戦士」に評価のニュアンスが入っている以上、一般語としてのみ言っているつもりではないだろう。……期限が切れて更新したパスポートを受け取りに行く。ビザのスタンプ欄は大半のページが真っ黒に埋まっている。いろんな所に行ったのだなあと思う。もうこれからは見ることのない十年前の写真(添付したもの)は、今とどう違うのか。髭が黒いなあとは思う。日本人と思われなかったこともあった。……東京は暖かいが、しばらくは、雪のない道を足下を気にせず平気で歩ける幸せを、大事に感じたいと思う。
コメント

札幌終了

2013-01-21 | Weblog
演劇大学修了。いろいろと消耗した。雪の札幌の夜は今日が最後だ。思うことは多々あるが、この場では言うまい。……今回の北海道の元締めは北九州の泊君が戯曲指導など面倒を見ていたというイトウワカナさんで、彼女は『歯並びのきれいな女の子』という作品で知られている。本人も確かに歯並びはきれいなのだが、この作品の題名の由来は別なのである。これもちょっとここには書けない。北海道の演劇人たちはそれぞれ個性的である。……と、久々に150字ブログになったと思ったら、やはり200字を越えている。
コメント

札幌の日々は続く

2013-01-20 | Weblog
宿の食堂で朝飯を食べていたら、隣席の人が自分の食後らしく席で携帯電話で話し始めている。小声のつもりだろうがうるさい。ずっと話されてしまったのでうんざりだったが、聞こえてきた内容は、彼は今年になって膵臓がんであることが発覚したらしく、しかも家庭不和で子供のことで悩み、札幌まで来たが仕事も行き詰まっており、弁護士を通して内容証明を送った相手から受け取り拒否され、と、さんざんな現状を淡々と喋り続ける。そんなにたいへんなら仕方ないとも思うが、私に聞かせてくれなくてもいい。……一日十二時間の講座。やれやれ。講師陣はクールダウンしたくてか、ちらりと飲みに行く。タニノクロウ氏と立ち話はしたことはあるが、ちゃんと話したことはないので、いろいろ面白い話を聞く。この人は精神科医なので、どうも自分でも気づかない心の中を読まれているかも。ひょっとしたら朝食時に隣席でぼそぼそ喋る人くらいの情報は読まれてしまったのではないか。……福島第一原発2号機下部。8日に一気に100°C下がってまた上がっている。8日に温度計をリセットしたらしいという情報もあるらしい。2月になったら東電が定例報告会でその理由を発表するという。なぜ平気なのだ日本国民。大本営発表を待つだけでいいのか。……アルジェリアでの動乱を受けて日本の総理大臣は訪問先のインドネシアから帰国。よくわからん。アルジェリアへ行けよ。
コメント

札幌の地下 / 第16回鶴屋南北賞

2013-01-19 | Weblog
札幌といえばラーメン。札幌ラーメンは、味噌ラーメン。という刷り込みがもともとあるのだが、なぜか今日は旭川から出店している醤油ラーメンを食べてしまう。何かが違う。考えてみればこれまで延べの回数では札幌にずいぶん来ていたはずだと思うが、味噌ラーメンを食べたのは、確実に思い出せるのはたった二回だけだ。やはり私はラーメン人間ではなかったのだ。滅多に外食などしない子供の頃、岡山の田んぼのど真ん中の県道沿いのバス停前に唐突に「サッポロラーメン」の店ができて、擂り鉢みたいな丼に入っていた濃い味噌ラーメンへの驚きは、今も思い出せるのだが。そう、子供の目からしても、味噌スープの中にいると麺の黄色が際立っていた。……今日は札幌の地下を歩く。ススキノから札幌駅まで二駅ぶんの長さが地下で繋がっている。大通から駅までは「地下街」ではない。純然たる「地下通路」なのだ。けっこう幅は広い。雪の下を人々が黙々と行き交う。札幌は奥深い。……橋下市長の「入試中止」について、続報。橋下氏は入試中止を求めた理由について「暴力を容認する雰囲気の中で(教育して)卒業生を輩出するのは子どもたちのためにならない。卒業生が教育現場に戻れば同じような考えで指導するかもしれない」と言った。「同校の卒業生がいずれ教職に就けば暴力を容認する」と決めつけたのだ。卒業生たちの気持ちを考えてみろ! こんなひどい発言が許されるのか。……さて、今年度の、第16回鶴屋南北賞が決定した。受賞作は、川村毅「4 four」と、東憲司「泳ぐ機関車」。劇作家協会が関わる戯曲賞としては、新人戯曲賞とこの賞の二つがあるわけだが、この南北賞の複数受賞は、今回が初めてである。お二人とも古い知り合いだし、二作品とも観ている。おめでとうございます。
コメント

雪の札幌

2013-01-18 | Weblog
札幌に来ている。演出者協会の「演劇大学」で、講師を勤める。五日間の拘束。それにしても雪の中を暮らす人々は、タフである。もちろん寒い。北海道出身者の道産子魂は、冬の暮らしで培われるのだな、とあらためて感心する。……昨日記した橋下市長の入試中止について、ネット上で山田孝延さんが「橋下市長の行為は、体罰教員の発想と同じ」「橋下市長は、「入試中止」とすることにより、市の教育委員会、教員全体への効果を意図している。構造的に同じです」「個人と集団(家族、組織等)の責任範囲をあやふやにして、連帯責任を追及する、前近代的な人権意識だと思います」との書き込み。なるほど。……札幌にいるといっても、当然ながら観光的なことは何もしていない。初日に皆と生ラムのジンギスカンを食べただけだ(「めんよう亭」、写真)。寒いので帽子を買おうと思っていると話したら、「千年王国」の橋口女史が、なぜか持っていた男物のラコステ帽を即座にくれた。
コメント

「体罰」批判と「入試中止」は繋がらない

2013-01-17 | Weblog
自殺した大阪市立桜宮高校のバスケ部キャプテンへの顧問教諭による「体罰」問題は、妙な方向に脱線していった。「体罰ではなくて虐待だ」と非難が高まる中、大阪市教育委員会は、同校同部とそれ以外にも体罰が継続的に行われていたバレーボール部の、無期限活動停止を決めた。義家弘介文部科学政務官は「練習試合の最中、コートの中で体罰が行われていて、全く問題にならなかったことが異常。街でいきなり、気にくわないからって平手打ち4発、5発やったら、110番入りますよ!」「社会と学校が、あまりにもかけ離れている」「体罰ではなく、日常的、継続的に行われた暴力だ」と、主に教育委員会に対して厳しく批判。次に橋下徹市長は「体育科の受け入れ体制が整っていない」として、「入試の中止」を教育委員会に求めた。体育科(募集人数80名)とスポーツ健康科学科(同40名)について入試を中止し、すでに120人募集することになっている普通科に振り替えようというのだ。橋下市長は「体育科をそのまんま入試をやるなんてことやったら、大阪の恥ですよ!」「体育科を目指してきた生徒諸君は、頑張ってきたのはよく分かるが、今こういう事態だから、1回ちょっと、ここは我慢してもらって、しっかりこちらの方も受け入れ体制を確認しますんで」という。入試は1か月後に迫っており、決定権がある教育委員会は「すぐには受け入れがたい」としている。体育科・スポーツ健康学科は国・数・英に加えて3種目で運動能力検査があるのに対して、普通科の試験科目は国・数・英・理・社の5科目。体育科志望の生徒の普通科への「転進」は容易ではない。……橋下の言い方は、個別の顧問のやったことが「大阪の恥」と言うのが、そもそもナンセンス。なんで「大阪の恥」なんや? そもそも橋下=石原は体罰容認だったはず。当然の如く、世論は「受験生に罪はない」「中止すべきでない」が大勢。それは常識であり良識だろう。学校や学科の存在そのものに罪があるはずはないからだ。ましてや、体育・スポーツ健康学に進みたい子供たちの「学ぶ権利」がないがしろにされていることこそ、問題だ。「悪いところがあったからいったんなくせ」というのは、解決策を持てない、責任を持って解決する自信がないと白状しているようなものだ。「自殺」という結果を便利に使われたのでは、死者が浮かばれない。自殺した生徒は「入試中止」「教員総入れ替え」を望んでいただろうか。死者の思いはわからない。「平手打ち4発、5発」と橋下が容認する「もみあげを引っ張る」ことの、どちらが生徒を傷つけるかもまた、判定のしようがないはずだ。体罰を認めるシステムそのものに問題があったなら、学校・学科だけの責任ではないはずだし、橋下は自らも、事件後も含めた体罰肯定発言を反省し、辞職すればいい。……やめてすむなら、あらゆる要件は、とことん無責任になる。「是正して運営が健全化した」という以外は「解決」ではない。人間が入れ替わったから禊ぎは済んだ、というわけだ。「教員の総入れ替え」は、権力による恣意的な首切りを認めさせる「前例」でしかない。けっきょく教育機関・教育委員会に責任を押しつけ、保守的な市長の教育方針は今回とは無関係であると強調し、逆に市長の教育行政に対する支配権限を強化しようとしている。こんなごり押しが通れば、次はどんな保守的な「強権発動」が出てくるか、わからない。そしてまた、この件がマスコミに大きく取り上げられることが、橋下大阪市体制のさまざまな矛盾を隠蔽する役割を果たしていることも、否定できない。
コメント