Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

本年はありがとうございました

2013-12-31 | Weblog
新作のためのオーディションも、某市のとんぼがえりボランティア仕事も、劇作家大会への打ち合わせ・調整も、その他の各種団体の会議も、とにかく今年ぶんは終えた。自分でできる仕事も雑務はまだごっそり残っているが。

年末に観たり聴いたりできたのは、ごく僅かである。

ドリアン助川、大島葉子、月乃光司らによる[アルルカン・ヴォイス・シアター 『フォト・スラム』]、「フォト・スラム」とは、「写真つき朗読」という意味のようである。
明川哲也名でも活動する「叫ぶ詩人の会」ドリアン助川氏は、早稲田で芝居をしていたのである。大島葉子・明川哲也のお二人は映画『朱花の月』(河瀬直美監督)でも共演している。この映画はカンヌ映画祭に出たので今回の宣伝文句として大島さんに「カンヌ女優」とついているが、そういう意味では明川哲也も「カンヌ男優」ではないか。
「朗読」は「リーディング」よりもハードルが高いような気がする。「リーディング」は、間口を広げて「こういう人もいるかもしれない」という着地点も考えられるが、「朗読」は、語り手が「わかっていて、やっている」、確信犯であることが要求されるからだ。
一部に「最後の映画女優」と言われている大島さんは、バンド活動もやっていただけあって美声である。舞台でも観たい。

谷賢一君のDULL-COLORED POP『アクアリウム』、シアター風姿花伝には初めて行った。クリスマスイヴに観る芝居であったが、劇中でも終演後にもクリスマスパーティーが行われていた。この公演は私の親しい人たちも含めて迎える態勢があって、来年三月に岡山公演がある。
芝居の内容もそうなのであるが、谷君たちは「キレる十四歳」世代ということなのだが、私だって「危ない」と言われた「M世代」なのである。私は世代論をあまり信じていない。
『カウラの班長会議』に出てくれた東谷英人はあの時はしっかりと「若者」だったが、この座組では「おじさん」的な頼られる立場になっているのだった。

劇団の恒例、稽古場忘年会。
この日は各所で忘年会が重なっていることもあって、今年はお客が少ない感じかと思ったら、波状攻撃のようにいろいろな方が来てくださった。深夜の盛り上がりは最近にないくらいの感じだった。
途中、誰かが後ろから黙って私に両手で目隠しをするので振り返ると、渡辺美佐子さんだった。相変わらずいたずら者であった。今年は演劇ではご一緒できなかったし、来年も難しいのだが、再来年にはまた何かご一緒しましょうということになる。
青年劇場『普天間』の人たちが自劇団の打ち上げを抜け出して来てくれる。「チョコレートケーキ」の日澤君が、「トラッシュマスターズ」の忘年会からハシゴして来てくれる。と思ったら、この日午前から劇作家協会で会議していた中津留君ら、その「トラッシュ」の面々が、深夜にこちらに流れてくる。村井健さんまで連れてくる。まあそういう会でいいのだ。村井さんと私が喧嘩ばかりしているという噂があるが、事実無根である。お互い口が悪いのは確か。村井さんは四半世紀以上前からお世話になっている恩人だ。「トラッシュ」客演の続いていた山崎氏とも話し込む。
田中チーフシェフによるハヤシライスは忘年会向きの料理であるかどうか議論の対象であったが、明け方の人たちには圧倒的好評であったようだ。

演出者協会の忘年会は、ここ数年、司会をやらずにすむようになったので、楽ちんである。流山児、宮田慶子両氏とのトリオ司会が長かった気がする。午後の理事会からの流れでもあり、久しぶりに宮田さんといろいろ話す。

各所で発表されている今年亡くなられた方々のリストの中に、シナリオライター・中西隆三さんのお名前がある。日活アクションから「大巨獣ガッパ」、アニメ「フランダースの犬」「小公女セーラ」、ファンタジーまで手掛けられた職人だった。三十年前にお世話になった。私とはちょうど三十年の年齢差なのだ。
最近しばしば斎藤憐さんのことも思い出す。亡くなられて二年以上が過ぎてしまった。
伝えられたことにどう応えられるのか。私は何を伝えられるのか。

写真は、どうでもいいが、我が家のトイレットペーパーホルダーのデザイン。
花瓶に四本、花がささっているだけのことだが、私にはこれが火のついたダイナマイトが四本並んでいるようにも、見えるのだ。
何はなくとも平常心!
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「約束」は虚しく「承認」は重い

2013-12-29 | Weblog
あえて「普天間飛行場の5年以内の運用停止」に絞って、記す。
琉球新報の最新ニュースを読んで、あらためて暗澹とした。
仲井真弘多知事が米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に必要な埋め立てを承認したことを受け、基地問題を所管する県知事公室は、知事が17日に安倍晋三首相に求めた「普天間飛行場の5年以内の運用停止」の実現に向け、来年1月以降に安倍政権に再度要請行動などを展開していく方向で検討に入り、「実現に向けて働き掛けを強めていく方針を固めた」というのだ。
報道では、県は安倍首相の発言を事実上の「約束」と捉えているとしている。なのに「実現に向けて」とは、どういうことだ。確かに、仲井真知事と安倍首相は彼らの最後の会談に於いて、「5年以内の運用停止」について「認識を共有している」とは言っているが、具体的には何も示していない。
きちんと「約束」できているのだったら、「会談内容などを精査した上で、基地対策課や地域安全政策課を中心に県としての見解をあらためてまとめる予定」という、その「精査」「見解をあらためてまとめる」「実現に向けて働き掛けを強めていく」の必要など、ないはずではないか。
「約束」とは相互にするものだ。対等な相手との「約束」なら、政府の側からも「果たさねばならない」と考えるべきである。明らかにおかしい。しかし、「そういうものだ」として報道されている。
安倍総理との間には「裏取引」さえできていない。知事は普天間の「5年以内の運用停止」について「安倍晋三首相の確約を得ている」としていたが、ただの口約束としか思えない。何の担保も確証もない。
仲井真知事は、辺野古移設について「時間がかかり困難だ」とし、「普天間を5年以内に運用停止」するには「県外移設しかない」としてきたはずだ。その選挙のさいから示してきた「公約」を、「破っていない」とし、本当に普天間基地の「5年以内の運用停止」が実現したとしよう。つまり、その場合、五年以内に「どこかに移し、普天間基地がなくなる」という結果が約束されているわけだ。
だが、今からどこかに新基地が建設されたとして、とくにそれが海を埋め立てて住民が反対しているなら、その基地は五年以内に完成するはずがない。つまり、五年以内に、国内か海外どこかの基地に、普天間基地の機能が移るというわけだ。
仲井真知事と安倍首相の「約束」がそうだとして(その移転先が了承するかどうかそれが正しいことかどうかの問題はさておき)、そんなことが可能なら、そのままそこに普天間基地の機能を置き続ければいいわけであって、辺野古に新たな基地を作る必要はない、ということになる。
どこをどう見ても、「普天間飛行場の5年以内の運用停止」の「5年以内」が、「辺野古に新基地が完成してから5年以内」とは読めない以上、そう考えるしかない。
つまり、「新たな基地を作ることなく、普天間基地の閉鎖は可能である」ということだ。ならば、はじめからそうすればよかっただけのことだ。
「普天間飛行場の5年以内の運用停止」が「承認」の「条件付け」でもなく、リンクもしていないのであったら、そう考えるしかない。子どもにもわかる理屈だ。
知事のいう「県外移設の公約と、辺野古移設は併存する」という理屈が通るなら、辺野古に対しては、ただ「沖縄県内に高機能の新基地を作ることを認めた」というだけのことになる。
そのことを「約束」して、沖縄は何を得られるのか。「カネと引き替えに」という表現も散見されるが、空港や大学の費用も盛り込んだ振興策関連予算は「大盤振る舞い」などでない。
仲井真知事は埋め立て「承認」の理由として「現段階で取り得る環境保全措置が講じられ(公有水面埋立法の)基準に適合している」と言ったが、専門家や有識者で構成される環境監視等委員会(仮称)を設置することも、「認めさせるため」の処置であることが明白な以上、実効性は期待できないし、現段階でアセスの結論を覆す根拠はどこにも示されてない。
知事は会見で「普天間の現状を見ろ」と何度もすごんだが、名護市民に対しては何も言わない。名護も沖縄県なのにだ。

名護市の稲嶺市長は、知事承認後の会見で「こういう形になるとは、夢にも思わなかった。辺野古に(新基地を)造ることは、絶対に認めるわけにはいかない」「はっきりと名護の民意は(容認とは)違うんだと示すことが、やるべきこと」と言った。
自衛隊までも動員した政府による2004年の辺野古沖のボーリング調査では、名護の市民が体を張って止めた。
政府が今年、急いで「特別秘密保護法」を決議し、「刑事特別法」を成立させたのは、そうした「困難」を取り除くためである。安倍・仲井真会談を受けて政府は、「辺野古での普天間基地代替施設建設に対する妨害を排除するため」に、米軍施設・区域への侵入を禁じる「刑事特別法」を適用する方針を固めたとしている。建設場所のキャンプ・シュワブ沿岸部は「立ち入り制限海域」であり、同法の適用を可能とし、海上保安庁と沖縄県警を積極投入して、妨害を厳正に取り締まると宣言したわけだ。
シュワブ沿岸部に2本の滑走路をV字形に建設する計画に変わったのは、それまでの一本案の沖合でのボーリング調査への会場での妨害の激しさを考慮した結果であるとされている。米軍の排他的使用のため常時制限されるシュワブ周辺海域から作業を進めていくと、海域に侵入した時点で刑事特別法の適用で即座に検挙できる。「威力業務妨害」を持ち出すよりも、「立ち入り」だけで取り締まれる「刑事特別法」の方が都合がいいということなのだ。
「刑事特別法」については今年9月、普天間飛行場への「無許可侵入」の適用例がある。政府は沖縄県警に道路交通法の適用で積極的に摘発させる方針だともいう。これが広げられていくと、高江でのオスプレイパット建設への反対運動にも関わってくる。
知事の「約束」の「普天間飛行場の5年以内の運用停止」に向かう部分は、これまで通り裏切られる可能性が高い。だが「沖縄県民を取り締まる」ことに向けた「承認」は、既に一人歩きを始めている。
「約束」は空疎であるにも関わらず、「承認」は逃れられない既成事実として存在する。
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自分に酔っている二人

2013-12-27 | Weblog
安倍晋三首相の靖国神社参拝の記事が新聞の一面を占めている。これは米軍普天間飛行場(宜野湾市)を名護市辺野古に移設するための沿岸部の埋め立て申請を沖縄県の仲井真弘多知事が承認するに至る「暴政」を隠すためなのかという気までしてくる。もちろんそれは錯覚で、靖国参拝じたいが「暴政」である。「暴政」を隠すのに「暴政」を、というはずもなく、ただただ「暴政」の連打である。
もう説明する気もしないが、仲井真弘多知事も安倍晋三首相も、歴史の中で見れば、立派な犯罪者である。
世界を敵に回してまで靖国参拝したい安倍、県民を欺いてまでも辺野古に基地を作らせて恥じない仲井真、両名はなぜそんなことをして平気なのか。
誰もが気づいているように、彼らは自分に酔っている。彼らの「暴政」「暴言」の連打は、自己陶酔の産物である。彼らが自分たちの「狂気」に気づかないのは、むしろそのことに快感を覚えているからである。
酔っぱらいに運命を任せて良いはずはない。
必要なのは、怒りと虚しさに押し潰されることなく、冷静に対応することだ。
ただ、そうであるならば私たちは、冷静な人間だからこそ、実力行使が必要だと気づくべきなのである。
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師走の3日間

2013-12-21 | Weblog
午前から夕方までびっしり会議をする日々が数日ごとに続いている。そんな会議の後にけっこう遠くまで移動して観ておくべき舞台を見たりする。そんな中、久しぶりに梅ヶ丘の事務所に泊り、翌日は午前からオーディション、数組。終えて来年に向けての打ち合わせ。来年初めてお仕事する人にも会ったりする。
日曜も午前から芝居を観る。「笑いの内閣」の『ツレがウヨになりまして』、ネトウヨの話、前作『ノルテ』から進歩してないが、そういうものだと思っているのだろう。ITI主催のリーディング〈紛争地地域から生まれた演劇〉ヤルマー・ホルヘ・ジョーフリ=アイヒホルン(ボリヴィア/ドイツ、アフガニスタン人権民主主義連盟[AHRDO]創立メンバー)作の『修復可能』。アフガニスタンの現在に繋がる「戦争」の姿。ヤルマーをITIに紹介したのは私である。この時期に東京にいない可能性があったのだが、予定がいろいろ変わり、なんとか観ることができた。ヤルマーと再会を喜ぶ。
いろいろなことでお世話になっているTさんの店、荻窪Switchの11周年記念に顔を出す。
翌日もオーディション。夕方からのいろいろな予定はやめて、雑務に取り組む。
あっという間に時間が進む。師走である。

沖縄関係、防衛関係、うんざりするニュースが続く。
忙しくしていると嫌なニュースが目に触れずにすむからその方がいいという人もいるが、それじゃいけないのだ、やはり。
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いろいろ観てはいます

2013-12-20 | Weblog
仕事が捗らないのは、このあんまりなご時世ゆえの気鬱もあるが、とにかく目の前の物事に追われるし、なんだかんだとすることも多く、あまりにも早く時間が過ぎていくからだ。
そんな中、幾つかは人のつくったものも観たりはしている。

シナリオライターの小川智子さんに勧められ、斎藤久志監督『なにもこわいことはない』。
デジタル撮影になって自主映画も、というより、自主映画だからこそなのかもしれないが、フィックスでここまで細かく映せるのだという、その見据える力に、根性が入っている。映画としての感想は「消費の悲しさ」とまとめるべきで、どこかに映画評でも書かせてもらえるならじっくり書いてもいいが、ここでは書かない。
ちなみに私は一時、映画評を多く書いていた。「ミュージックマガジン」が一番多かった。たまに「映画芸術」も書いた。難しい映画について書けと言われたら挑戦状だと思って書いた。難解きわまりないラース・フォン・トリアー監督の初期作『ヨーロッパ』にきちんと長い評を書いてどきどきしたのは今でも憶えている。
斉藤氏と私は自主映画でどこか接点があるはずだが思い出せない。彼はシナリオライターとしても活躍していて、二十年前に斉藤氏がシナリオを書いたこれはれっきとした劇場映画『湾岸バッド・ボーイ・ブルー』、リハーサルをしていたのは、我が梅ヶ丘BOX。富岡忠文監督が私と旧知だったためである。この映画がほぼデビューのヒロイン役・瀬戸朝香さんも通ってきていた。懐かしい。

そして、やっと観ることができた瀬々敬久監督『ヘヴンズ ストーリー』。DVDになっていないのである。公開から三年経つが、映画館で観てもらいたいのだという。で、私はスクリーンで観ることができた。よかった。今となっては35ミリフィルムの立ち上がりのざらざら感が嬉しい。上映時間278分。四時間四十分ってことだ。
とにかく、やりたいことをちゃんとやったという、すがすがしさに満ちている。撮影一年半という。
そして、作り手の「感情」に、うたれる。後半「クリスマスプレゼント」という章のハイパー・センチメンタリズムのつるべ落としときたら! これはこの構えでないとできない。
上映前の客席近くに『現代能楽集 鵺』でご一緒した村上淳くんがいて、お互いに驚いたのだが、彼はこの映画の中心の役の一人なのだった。この映画の彼はとてもいい。
瀬々監督、アフタートークのゲストに来ていた林海象監督、撮影の鍋島淳裕さんらと飲みに行き、面白くてためになる、たいへん豊かな一夜となる。
ついでにいえば瀬々監督と私もすごく古い知り合いなのだが、要は西永福時代にご近所だったのである。まあこの話も長くなるのでやめとく。

映画の話題が増えるのはやはり『ここには映画館があった』という劇をやったため、映画関係の知人の皆さんの多くと再会が相次いだせいである。新たに知り合った方々も多い。
プロデューサーの笹岡幸三郎さんが「燐光群の舞台、坂手洋二 作・演出「ここには映画館があった」の影響で、かつての映画がやたらに観たくなりました。」というのを毎回の枕詞に、フェイスブック上で連続して最近観た新旧の映画の感想・紹介をしておられると知り、なんだか、気恥ずかしくも、ありがたく思う。

そんなこんなでかえって私の本業であるところの芝居を見に行く元気が湧かぬまま、いろいろと見逃してしまい、不義理ばかりしている。

それでも何とか観に行ったのが、劇団チョコレートケーキ『治天ノ君』。
作・古川健。演出・日澤雄介。自劇団の『熱狂』でヒトラー、ミナモザ『彼らの敵』でバッシングを受ける元「人質」のカメラマン、独特のウエットアイズが印象的な今年の新人賞ものである新進俳優・西尾友樹が、大正天皇を演じる。「トラッシュマスターズ」に次いで勢いのある劇団が出てきたと言われている。
しかし、私に天皇のことを言わせると、どうなるか。翌日観て「ヒトラーが天皇になったってだけじゃないか」と言っていたらしい流山児祥氏と私のどちらが口が悪いかはともかく、山本太郎が平成天皇に手紙を渡すのと同じ誤謬があることは、指摘しておかざるを得ない。フィクションである演劇で天皇に「人物の魅力」を付与しようとすることが、いかなる意味を持つか。演劇だから面白くしようとした、では困るのだ。舞台そのものが「反動」の恐ろしさを感じていない。もっとコメディにするか、天皇という「機関」について見据えていくかだ。
演出の日澤君と飲みに行き、またいろいろと言い過ぎてしまい、初日なのに申し訳なかったと思う。日澤君は沈着冷静なナイスガイだが以前に梅ヶ丘BOXで酔っぱらっていたときもあるので、ついつい気を許してずばずば言ってしまったのだ。
とはいえ、一瞬の隙もなく魅せる(まあ綻びは多々あるが印象としてそう見せる構えで作っている)、あれこれ言いたくなるだけの内容を持っている。新たに注目される劇団としての実力と上演の成果は間違いなく衆目の認めるところのはずだ。
初日ゆえに演劇界の劇場・制作の皆々様がこぞって観に来ている。よろしかろう。新進劇団の躍進期の気持ちの良さである。そのお裾分けで観客も元気をもらえる。
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祭りの終わった後

2013-12-20 | Weblog
フェスティバル/トーキョー(F/T)は、来年度から新体制へ移行するという。相馬千秋プログラム・ディレクターは6年間同職を務めてきたが3月末をもって退任、かわってこのフェスティバルの育ての親である市村作知雄実行委員長がディレクターに就任。夏に第一子を出産した相馬ディレクターは今月、今年度フェスティバル閉幕のメッセージで「今後も産休はとらず、引き続き仕事と育児の両立を目指し頑張って参りますので、引き続きどうぞよろしくお願い致します!」としていたこともあり、「意外だ」という声が多い。もちろん、本人の意志で次のステップを目指しているのかもしれない。
フェスティバル/トーキョーじたいへの評価は人それぞれであろうが、新体制の告知には「今後はより一層、各地のフェスティバルや劇場との連携を深め、より開かれたフェスティバルを目指して組織体制をさらに強化して参ります」とある。
「各地のフェスティバルや劇場との連携」「より開かれた」、それがどのような方向に向かうのかは定かではないが、東京オリンピックに伴う都の文化事業やアーツカウンシル制度の整備などに伴い、東京都絡みの文化事業は見直されるということなのかもしれない。

一方、第二回めの開催だった瀬戸内国際芸術祭も先に閉幕したが、浜田恵造香川県知事らは「次回開催へ期待の声が多い」として3年後をめどに第三回の開催を決めようとしている。だが、県議会経済委員会で「総合ディレクター(北川フラム)が全事業の采配をふるう仕組みは変えるべき」など、問題提起が続出したという。
県は第2回芸術祭の総来場者数を約107万人と発表したが、1人が複数の会場を回った場合もカウントしたことを踏まえ、後に公表した経済波及効果では、「約30万人」と推計し直して試算している。議会では「(重複カウントの)延べ人数を総来場者数とするのは疑問だ」という声が上がり、まるで「成果を捏造した」という疑惑を強調したように聞こえる。「実質責任者を今後、参考人として招致し、見解をただす方向で調整している」とも報道されており、何やら穏やかでない。
知事は課題として「エリア拡大に伴う財源やボランティアの確保」に加えて、「地元との連携や観光地への誘客」を挙げている。「改善」というより、「地元重視」にしてほしいとする地域の声に押されている感じだ。

そこにきて沖縄市が、来年度、もはやすっかり定着した感のある「キジムナーフェスタ」(国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ)を「開催しない方針」と聞いて驚いた。
同フェスタ関連予算は市議会9月定例会で設置された決算委員会から本会議に差し戻されており、「総合プロデューサーと運営協力団体の代表者が同一人物で資金の流れが不透明」「その人物が代表を務める団体が同フェスタの商標権も持っていること」などを問題視しているという。
そのプロデューサーはもちろん下山久氏のことであって、氏は自ら立ち上げたこのフェスティバルでの功績により2012年度芸術選奨・文部科学大臣賞(芸術振興)を受賞している。運営に不透明なところがあるというならきちんと検証はすべきだろうが、もともと「キジムナーフェスタ」を下山氏が始めたときは、今の沖縄市でやっているものとは違う形だったと記憶している。本当に地道な努力をされたのだと思う。世界中から合理的な方法で多くのカンパニーを招くシステムは下山氏ならではのものであるし、沖縄以外からの協力を取り付けてきたのも彼の功績だ。
その後の協力態勢を健全に保ってこられなかったとしたら、それは市の責任もある。東門美津子市長は「ここで一度立ち止まってしっかり総括と検証をして、フェスタのさらなる発展に向かうために次年度の開催を見送りたい」と話しているというが、それが議会で議員の質問に窮し、ただトラブルを回避したように見えてしまうように報道されていることについては、そうでないのであれば、あらためて説明してもらいたい。
いずれにせよ、開催しないことを選ばせようとする人たちは、これほど評価の高いフェスティバルを中止にすることがどのような影響を与えるかということに、考えが及ばないのだろうか。

東京、瀬戸内、沖縄と、自分に関わりのあるところだけに、複雑だ。
市村作知雄氏とはひと昔以上前、トヨタのアートマネージメント講座の仕事で、沖縄でご一緒したのを思い出した。定食屋に入り、沖縄らしい料理ということになり、「ポーク玉子」を勧めたことなど思い出した。
そして東京と沖縄は、今まさにというか、昨日も今日も、首長を巡っていろいろな展開があっただけに、「文化」というカテゴリーがそれぞれの土地にとってどういうものなのかが微妙にコミットしているようにも感じられて、複雑だ。
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信じがたい二日間

2013-12-18 | Weblog
自民党系の県内議員たちの裏切りによる逆風吹き荒れる中、「県外移設」を謳いながら、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設へ向けた埋め立て承認申請の判断を迫られている、仲井真弘多知事。
安倍晋三首相ら全閣僚が出席して首相官邸で開かれた「沖縄政策協議会」で、知事は普天間の「5年以内の運用停止と早期返還」「牧港補給地区の7年以内全面返還」「日米地位協定改定」「オスプレイ12機程度の分散県外配備」、さらに「沖縄振興予算について概算要求約3408億円の総額確保」「那覇空港第2滑走路の増設や沖縄科学技術大学院大学(OIST)の拡充」「鉄軌道の導入決定と早期着工、基地跡地利用の予算確保」を要求。
産経新聞などで「埋め立て承認へ事実上の条件を提示した形」と報道されているが、そうは言っていない。確かにその会議の中で口頭でさえ県外要請をしなかった知事だが、協議会終了後、記者団に「今でも、普天間は県外移設の思いだ」と語り、県幹部は「(知事が踏み込んだ基地負担軽減策を示したことについて)具体的な負担軽減の担保がないと、県民の理解を得ることは難しい」と、どちら側に立っているかよくわからない言い訳。
知事は「政府からの基地負担軽減策の具体的な回答を待って判断を下す」意向で、回答がない場合、年末にも想定される判断の「先送り」も検討しているという。
しかしこの「先送り」という報道の言葉がいやだ。「どうせ転ぶだろう」と思われているみたいだからだ。
仲井真知事は同日から東京都内の病院に精密検査のため入院。座骨神経痛のため腰から足にかけて痛みやしびれが出ていることからの入院という。仲井真知事は可否判断を年内に示す方針を明言しており、年内に退院しないとすれば、沖縄県民への説明責任を果たしていないことになる。県民に顔向けできない発言を東京でするつもりではないかと、勘ぐる人たちもいる。
逆に言えば、今回はオスプレイについても「配備中止」という従来の表現を使っていない知事は、「オスプレイの県外への分散配備」などが表面上進めば、それを言い訳に「承認」に傾く可能性も出てくるということか。
「不承認」となれば来年1月の名護市長選挙にとっても追い風だが、逆に「承認」の場合は、政府の思惑では、名護市の意志を無視して、埋め立て・基地建設という運びになる。
ここで知事が転ぶことは、「沖縄が承認した」という言質を取られることになる。未来は何十年もそのことによって縛られるだろう。あってはならない。

16日午後3時半ごろ、神奈川県三浦市で、在日米海軍の原子力空母「ジョージ・ワシントン」に艦載されている「MH60S」ヘリコプターが「不時着」との報道。じっさいは、横転して、乗組員2人が重傷。「爆弾のような音がした。この建物に落ちなくて良かった」と住民が言うのだから「墜落」だろう。
県警は翌十七日、在日米海軍と合同で現場検証、捜査員が業務上過失傷害容疑で米軍関係者とともに機体の損傷などを調べたが、検証はわずか九十分間で終了。日米地位協定で乗組員の事情聴取には米軍側の許可が必要な上、米軍側は「厚木基地離発着」としか答えず、飛行経路の詳しい情報提供に応じない。県警は機体の差し押さえを米軍に求める方針だが、米軍が同意するはずもない。
ガイドラインでは事故の発生場所や機種、武器や放射性物質などの搭載の有無の情報を米軍側が把握次第、日本の警察などに提供することになっているが、まったく無視。
二〇〇四年沖国大ヘリ墜落事故の教訓は何も生かされていない。

米国務省のハーフ副報道官は同じ17日、在日米軍基地の管理、運用などを定めた日米地位協定の改定を沖縄県が求めているのに対し「米政府が見直し交渉に同意したことはないし、今後も検討しない」「両国は常にお互いの懸念を共有しようと努めている。これは、既存の枠組みで対応するのが最善だ」と述べ、改定交渉の可能性を強く否定したという。地位協定があるため、米軍基地内で事件や事故が起こった時、政府や自治体は立ち入り調査ができない。国内法令の米軍人への適用も除外されている。
前述の沖縄政策協議会でも、沖縄県から日本政府に日米地位協定の改定の要請が出ていたが、まったく無視された形だ。

安倍首相は、その沖縄政策協議会後の会見で、基地負担軽減や沖縄振興について「沖縄には多くの米軍専用施設が存在し、県民に多くの負担をかけている。一方、沖縄は大きな優位性と潜在力を有し、沖縄振興を総合的積極的に推進しているところだ」「沖縄県と緊密に連携を図りながら、最大限、実現に努力する」と、またも空約束、口先だけの「最大限」「努力」を繰り返した。
石破自民党幹事長は沖縄の米普天間基地移転問題に関して「中国の尖閣諸島地域における活動や防空識別圏設定などを勘案して、あの地域における抑止力は日本の平和と安全そして独立のために相当程度維持しておかなければならない」「平時には日本本土で展開する、しかし有事には沖縄で対応する。沖縄の負担軽減と抑止力維持の両方を考えなければならない」と強調している。
彼らの中には「沖縄県外」という選択肢はないのだ。 それをわかっていて知事が転ぶことは、「戦争」を許容することになるのだ。

普天間移設問題で、沖縄の新聞各社連合の世論調査では、仲井真知事が申請を「承認するべきだ」とした人は22%にとどまり、「承認するべきではない」と答えた人が64%に上ったという。仲井真知事の支持率は57%。知事支持層に限っても「承認するべきではない」が63%。
沖縄県内での内閣支持率は28%。朝日新聞社の7日の全国緊急世論調査では46%あり、かなり少ない。
普天間が固定化されるという政権の姿勢には「納得しない」が71%。自民支持層でも4割、公明支持層では8割に上ったという。

一方、新たな防衛大綱に基づく次年度から5年間の中期防衛力整備計画(中期防)では、総額24兆6700億円。
東シナ海での中国の活動活発化を踏まえ、南西諸島の離島防衛に重点を置き、新型輸送機MV22オスプレイなど、機動性に優れた装備を充実させるという。
オスプレイについては5年間で17機を導入し「離島が外敵に占拠された時に奪還作戦を行う陸上自衛隊の水陸機動団が使用する」という。海兵隊のお荷物、事故多発の問題機であるオスプレイ、そうした資料を彼らは見ても読んでもいないのか。
また、グローバルホークなど、高々度を飛行する無人偵察機を3機導入し、東シナ海での警戒監視能力を高めるという。
どうしてこの国はそんなに戦争をしようとするのか。

米軍ヘリが落ち、「県外移設」が消されようとしている。米側には日米地位協定の見直しを断られ、赤字国家が戦争の準備に莫大な費用を注ぎ込む。たった二日の間に、この問題だけでこれだけのことが起きている。とても平気ではいられない。
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チェルフィッチュ『地面と床』

2013-12-17 | Weblog
神奈川芸術劇場でチェルフィッチュ・岡田利規の最新作『地面と床』を観る。たいへん刺激的な舞台だ。
「能」の仕組みを入れた現代劇ということでは、極めて果敢な挑戦が為されているし、彼らのこれまでの方法論をそこに向かわせた結果は、うまくいっていると思う。
言語の死、あるいは「伝わらない」ことが「死」に等しいこと、そして、幽霊と「幽霊のような人間」に差異はあるか否か、禅問答というかトートロジーなのだが、私たちが「言語」であり「存在認識」を持ったことで「亡霊」として存在せざるを得ない、という観点は、私がふだん考えていることでもあるので、共感するところ多である。
海外公演経験を多く積んできたことから「字幕」を積極的に、批評的に使用していることも、彼らならではだろう。
美術(二村周作)は、上手にあるモノを置いたことで、「能」の仕組みを自分たちなりに消化することを保証している。
そして、ユーモアである。何度も大笑いした。周りが静かなのが不思議だった。
「音楽劇」ということだが、ずっと「録音された音楽」がかかりっぱなしであるということが、若干、主旨とは矛盾する気もする。もちろんそれも確信犯なのであろう。
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第19回 劇作家協会新人戯曲賞 受賞作 決定!

2013-12-16 | Weblog
第19回 劇作家協会新人戯曲賞 受賞作 は、刈馬 カオス『クラッシュ・ワルツ』に決定。
最終選考委員は、川村毅、鴻上尚史、坂手洋二、鈴江俊郎、佃典彦、マキノノゾミ、渡辺えり。司会進行は小松幹生さん。
2時間半の喧々諤々の末、決定。
今年はどうも議論が噛み合わない気がしていたが、公開審査始まって以来の百五十人以上のお客様には、かなり楽しんでいただけたようだ。受賞作を選ぶことがメインなので議論ばかりが面白くても仕方がないのだが!
受賞の刈馬さんは劇作家大会でもお世話になってきた旧知の間柄だが、東海支部の所属であり、この協会、名古屋・岐阜を中心とする東海勢のいきおいはなかなかすごいものがある。
終えて、協会の忘年会。
執筆地獄の最中にあるマキノ氏とも久々に飲む。
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第19回劇作家協会新人戯曲賞 公開審査会 は、本日!

2013-12-15 | Weblog
リーディング・フェスタ2013 戯曲に乾杯!
─── 書くのは休んで、今日は語ろう。───
ドラマリーディング+第19回劇作家協会新人戯曲賞公開審査会

2013年12月15日(日) 18:30~21:00
会場: 座・高円寺2 (座・高円寺 地下2階のホール)
入場料 1,000円

第19回劇作家協会新人戯曲賞 最終候補作品 (応募戯曲到着順)
『獏、降る』      服部 紘二 (東京都)
『ト音』        春陽 漁介 (東京都)
『クラッシュ・ワルツ』 刈馬 カオス (愛知県)
『東京アレルギー』   山田 百次 (神奈川県)
『血の家』       森 馨由 (長崎県)

劇作家協会新人戯曲賞の最終審査は一般公開。応募総数215本の中から、一次・二次の選考を経て選ばれた最終候補作5本を巡る、スリリングな討議をお見せします。
作風の異なる7人の審査員が、新人たちの5作品と対峙する。過去・今・これからの演劇を見据えつつ、それぞれの作品が持つ魅力を語り、あるいは魅力を活かしきれない理由を探る。事前の談義は一切なし。この場で語られることだけで受賞作が決定する公開討議は、極めて厳正な審査であるとともに、本気の応酬が笑いをも生む知的エンターテイメント。

審査員 川村毅 鴻上尚史 坂手洋二 鈴江俊郎 佃典彦 マキノノゾミ 渡辺えり

*最終候補作品全文掲載の 『優秀新人戯曲集2014』は、12月はじめにブロンズ新社より刊行予定(本体1600円+税)

http://www.jpwa.org/main/readingfesta2013
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「勝つ人がいるってことは、負ける人がいる」

2013-12-14 | Weblog
もう取り返しのつかないところに来ているのではないか。
東電福1原発の海側敷地にある観測用井戸の水から、ストロンチウム90などのベータ線を出す放射性物質が、過去最高値となる1リットル当たり180万ベクレル検出されたという。
こうして何度「過去最高値」が更新されてゆくのだろう。
というか、現在と未来に連なる時間の中で、常に、「目下更新中」なのである。

たぶん修復不能の急降下中にある猪瀬都知事が、五輪・パラリンピック招致に成功した経緯などをまとめた新刊を出すという。タイトルは「勝ち抜く力」(PHPビジネス新書)。何とも哀れな話だ。
こんな失墜の事例ばかりだから、若者たちも誰も政治家になりたいとは思わない。政治を手掛けるのは利権を持った二世三世か成り上がりたい者ばかりだというイメージになっている。イメージというか、もうまるごとその通りだ。

勝とうとするから、負ける。
「勝つ」というイメージで何かを始めた者は、結局「負け」によってしか、その物語を終わらせられない。これは一種の「物語原型」の鉄則だ。
「いい仕事」は「勝ち負け」じゃない。
「勝ち負け」で自分を鼓舞すると、結果はどうあれ、何かで埋め合わせをしなければならなくなる。

以下、拙作『屋根裏』、「家庭訪問」の場面より。


        先生が腕を捲ると、手首の上にリストカットの跡。

先生 見て。退職か自殺のどちらかしかないのよ。こんなに傷だらけになっちゃったら、夏も長袖しか着られないじゃない。もう何も信じられない。私も部屋でじっとしていたい。ひきこもらせてよ。
少女 先生のひきこもりなんて、ヘンだよ。
先生 ヘン。
少女 ……ヘン。
先生 言いたいことわかる。私、なにやっても「わざとらしい」って言われる。自分でもそう思う。喋ってても無理してるのばればれ。子供にも見抜かれてる。だからよ。だから「結婚式ごっこ」参加しなかったら、私がいじめられたはず。
少女 もうやめよう。「結婚式ごっこ」されたからって、生きジゴクになっちゃったわけじゃないもの。
先生 結婚しなきゃいけないのは私なの。結婚して退職して、終わりにしたい。
少女 すぐやめればいいじゃない。
先生 負けたくないもの。
少女 勝ち負けなの。
先生 じゃああなたどうして勉強するの。人生に勝つためでしょ。
少女 ……それじゃしようがないね。勝つ人がいるってことは、負ける人がいる。

        先生、横になって、泣く。


最初の話題に戻る。

勝とうとしていたかどうかはともかく、敗北を認めるべき時はある。東電福1原発は失敗したのだ。原子力産業は敗北した。それは認めよう。
それは「勝ち負け」を越えた、必要な認識ではないのか。
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締めつけの強まる社会

2013-12-13 | Weblog
自民党石破幹事長が表明した、特定秘密保護法に指定された情報を報道機関が報じることについての「疑念」。さらにその詳細がわかった。
石破氏は「処罰対象にならない」と断った上で、「外へ出すと、国の安全に大きな影響があると分かっているのに報道する。(その結果)大勢の人が死んだとなれば『それはどうだろう』となる」。
つまり、「報道したことで人が死ぬ」と恫喝しているのだ。
「報道機関に抑制を求めたものではないのか」という質問に対しては、「抑制は求めない。それをどのようにご判断になるかということだ」と言っている。現状では間接的な表現に留めているが、明らかに報道機関に自己規制を求めたものである。
私たちが憲法を遵守するなら、万が一自衛隊が海外の作戦に参加させられたさい、他国の人民を抑圧する行為に加担しないように見張る責任がある。それはきちんと報じられ、国内世論での討議となるべきだ。しかしそれが「作戦の存在を明らかにしてしまう」=「作戦が露見したせいで自衛隊員の生命に危機を及ぼす」と言いつのられた場合、「秘密」にしないで報道したことが責任問題にされるぞと脅しをかけられているのだ。マスコミはなぜ反発しないのか。

方清子(パンチョンジャ)さんが共同代表を務める市民団体「日本軍『慰安婦』問題・関西ネットワーク」が、大阪市浪速区の大阪人権博物館(リバティおおさか)を使用する仮予約をしていたが、集会の名称を記した申請書を提出した時、職員から「このままでは許可を出せません」と断られたという。「リバティ」「人権」を名乗る施設でだ。何という皮肉!
市民団体が主催した集会や講演が、「政治的」という理由で会場使用を断られる事例が大阪市内で相次いでいるという。
特定秘密保護法以前の段階で「表現の自由」を遮る事態が多発している。しかも職員の「自粛」という形でだ。どうかしている。

埼玉県越谷市議会・辻浩司市議は特定秘密保護法案の慎重審議を求める意見書案を同市議会に提出しようとしたが、議会運営委員会の自民・公明の委員、「緊急性なし」と反対。辻市議の「なぜ緊急性がないと考えるのか」という問いへの答はなく「緊急性なし」を説明できなかった。しかし委員会は全会一致を見られなかったとして提出を了承せず、辻議員は「自民、公明の不当な反対で阻止された」と、短文投稿サイト「ツイッター」に投稿。激怒した自公両会派が辻市議に「反省を求める」決議案を提出。自公の対応に市民からは批判の声も上がったが、「反省を求める」決議案は賛成多数で可決されたという。
「特定秘密保護法」下では「反対意見の言えない社会」に向かうということだ。

今月成立した改正生活保護法では、生活保護受給者の親子や兄弟に扶養義務があると定められており、生活保護の申請者の親族が扶養できるとみられるのに応じない場合、自治体が親族に説明を求めることができる。
大阪市は生活保護受給者11万8千世帯を対象に親族の勤務先などを調べ、市職員156人が含まれていることを確認した。そのうえで生活保護費の受給者の親族に市職員がいる場合、受給者への仕送りを職員に求めていく方針を発表。金額についても独自の目安を定めた。仕送りをしていたのは現在13人だったという。
金額の目安は、職員の親が受給者の場合、最高で月6万1千円。職員と離婚した元妻の母子家庭が受給者の場合、年収630万円の職員なら月額6万~10万円、年収1千万円なら10万~14万円。年収などに応じて最大月20万円の援助基準額を設けた。細かく決まっている。担当者は「あくまでも仕送りが可能な場合の目安であって、仕送りを生活保護の受給条件にはしない」と説明しているが、「仕送り額を引いた生活保護費を支給する」と定められているため、応じない職員が「市の財政緊縮に協力しない」として批判されるのは必至。厚生労働省さえ「強制と受け取られかねず、家庭環境なども考慮する必要がある」と指摘している。
来年7月の改正生活保護法施行後、市は職員以外の親族にも今回の目安に基づいて仕送りを「打診」するという。一般の大阪市民もまた「市の財政を不当に圧迫している」と非難を受けることになるわけか。

厚生労働省は、低迷する国民年金保険料の納付率向上に向け、国民年金保険料を指定された期限までに納付しない滞納者全員に対し、財産差し押さえを予告する督促状を送る方針を固めたという。納付率(2012年度59.0%)は4年連続で目標の60%を下回っているため、もはやなりふり構わないということか。
督促状が届くと同時に延滞金が課されることになる。督促期限までに納付すれば財産差し押さえは行わないというが延滞金は最大年利14.6%という。雪だるま式に「国に対する借金」が増えていくということだ。納付期限後に督促状を受け取り、その指定期限後も払わない人が対象で、12年度は約3万4000人。しかし一度も年金を払っていない人などは督促状ももらっていないわけで、その「不公平」を是正するために通常の納付期限を過ぎた人全員に延滞金を求めるのが同省の検討案ということになる。
なぜ年金の未納が減らないのか? それは現在の日本の「貧困」の現状の中にあるわけで、未納の理由は「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」が71.4%と群を抜いてトップ。徴収強化策よりも「貧困」「格差」の解消のほうが重要だということがわかっていないのだろう。
年金は実質「課税」と同じである。過去の未納分をさかのぼって払える期限を2年から10年に延長する時限措置の恒久化も、「十年分搾り取ろう」ということなのだ。低所得の人に日本年金機構が職権で保険料を免除する制度も検討するというが、生活保護同様の「矛盾」と「足切り」の混乱が出てくる。

東電福島第一原発事故から9カ月間の緊急作業時に働いた約2万人のうち、白血病の労災認定基準「年5ミリシーベルト以上」の被曝(ひばく)をした人が約1万人にのぼることが、東京電力が7月に確定した集計からわかったという。
白血病は年5ミリ以上被曝した人が作業開始から1年過ぎた後に発病すれば認定される。2011年に働いた1万9592人の累積被曝線量は平均12・18ミリで、約5割にあたる9640人が5ミリ超の被曝をしているらしい。彼らは白血病を発病すれば労災認定されるが、作業員の多くは労災基準を知らないという。今年6月末には5ミリ超の被曝をした人は累積で1万3667人に増加している。

日比谷野音集会と国会請願、銀座デモを主催した超党派の人たちが、秘密保護法案を廃案へ持って行く運動を始めている。党派や労働団体の枠を超え、市民誰もが参加できるという。
そうした動きに対して自民党・西田昌司議員は「国会の前で太鼓を叩いて抗議しているお祭り騒ぎの人たちは、いろんな団体から駆り出され、日当が出ている」と発言。
個人の立場で手弁当で参加する市民のひたむきな運動を愚弄する、許し難いデマ発言である。
普天間ゲート前や高江で反基地の運動をしている人たちにも「日当が出ている」とデマが出たことがあるが、本当に汚い虚偽宣伝である。

日米の有識者でつくる「沖縄クエスチョン行動委員会」が12日、ワシントンで記者会見し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題に関する報告書を発表。名護市辺野古沿岸部を埋め立てて代替施設を造る現行の日米合意は現実的ではないとして、同市にある既存の米軍キャンプ・シュワブ内に小型のヘリポートを建設する計画に修正するよう求めたという。座長を務めるジョージ・ワシントン大のマイク・モチヅキ教授は「仲井真弘多沖縄県知事が辺野古埋め立てを許可したとしても、基地建設は草の根の抵抗運動で泥沼化する」と指摘。「抑止力を保つのに海兵隊の大規模駐留は必要ない」として、安倍晋三首相に計画見直しを求めている。
これも一見もっともらしいが、市民の反対のしようのない基地の中での工事でオスプレイ対応のヘリポート基地が作られることは、高江はじめ北部演習場の訓練を推進することになり、なんら米軍活動の抑制にはなっていない。
普天間基地の無条件返還とオスプレイ廃絶を、引き続け求めたい。
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『普天間』ツアー終盤

2013-12-13 | Weblog
九月から九州ブロック・関西ツアーを経て、今は神奈川県下を巡演している青年劇場『普天間』を、エポック中原で観る。昨年末の沖縄公演以来一年ぶりに本番を観たわけだ。作者の手を離れて生き続ける舞台。スタッフ・キャストの集中力の持続には頭が下がる。そして、照明家の和田東史子さんが言うとおり、「物語って、育つんだなぁ」と思う。
今年の公演は14日の川崎、15日の横須賀を残すのみ。

ネルソン・マンデラ氏の追悼式で世界の重鎮たちの前で出鱈目な手話を行った男がいる。本人曰く「スタジアムに天使が降りてきた」のだという。何とおめでたい人だろう。いいじゃないか。どう魔が差したのかはともかく、人を殺したわけではないのだから。

自民党石破幹事長は記者会見で、特定秘密保護法に基づき指定された特定秘密の報道について、「わが国のみならず多くの国の国民の生命、財産に大きな影響を与えると知りながら、(特定秘密を)報じるのは何の目的かという問題だ」「常識的に考えて何らかの方法で抑制されることになる」「秘密の入手は罰せられないが、発表(報道)は罰せられるのはおかしいと言われると、少し違う」と述べ、秘密の内容次第で報道した者が処罰される可能性を示唆したという。
会見後の取材では、「特定秘密を漏えいした公務員は罰せられるが、報道した当事者(記者)は処罰対象にならない」「(死者が出たり国益を損ねたと批判されたりする)リスクを承知で報道するのは、報道機関の責任でなされることだ」と、トーンダウン。
政府は「共謀罪」の検討にも入っている。市民の日常のやり取りが捜査対象となる恐れがある。共謀罪は「犯罪行為」が実行される前に、複数の人間が合議すること自体を処罰の対象とする。
特定秘密を漏えいした者と報道した者が「共謀」のレッテルを貼られる可能性がないと、ほんとうに言い切れるのか。
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一週間ぶりに東京

2013-12-11 | Weblog
自・公は国家安全保障戦略(NSS)に「愛国心」を明記する方針という。「国を愛する心を育む」。無意味だ、育まなければ育たない「愛国心」など。

維新の会の東国原議員は議員辞職。猪瀬がやめそうなので都知事選に出る腹なのは明白。何を思い上がっているのだろう。

安倍政権は原発ゼロの政府方針を撤回。
2014年度から5年間の防衛力整備の在り方を示した中期防衛力整備計画では、水陸両用部隊を新たに編成、無人偵察機グローバルホークや新型輸送機オスプレイを新たに導入する方針という。
また、「共謀罪」創設を盛り込んだ組織犯罪処罰法改正案を提出するという。

秘密保護法案の正体が警察庁長官が秘密を指定する実質「治安維持法」であることは紛れもない。
共同通信の全国緊急世論調査で、成立したばかりの特定秘密法を今後どうするかについて、「修正」が54・1%、「廃止」が28・2%で計82・3%に上っていることなど、意に介さないらしい。

東京の日々。
帰京の夜、大荷物転がして早稲田へ。『Aftershock』東京バージョン(作・演出/樋口ミユ)を観る。昨年上演された大阪バージョンには燐光群の橋本浩明が出ている。ここ数年の樋口作品の変化は興味深い。

「日本レコード大賞」、「あまちゃん」で【 作曲賞 】に大友良英、Sachiko Mのお二人とのこと。めでたい。大友氏は受賞報告にSachiko Mのことを「潮騒のメモリーは(中略)何よりも彼女の功績です」と記している。二人の出会いに関わった者として、心から嬉しい。

帰京して一夜明けたがやることが山積み、唸るしかない。
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『ここには映画館があった』公演終了

2013-12-10 | Weblog
岡山公演も無事終了。
ツアーもすべて終え、『ここには映画館があった』全公演が終わった。

皆さま、お疲れさまでした。

ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。

午前中から始まる会議に間に合うよう朝の新幹線で帰る。
近くの席では上司らしい男が、部下のような女性にずっと話し続けていて(ほぼ自慢)、疲れる。

で、劇作家協会での長い会議もようやく、たった今、終了。
決めなくてはならないことが山のようにある。

こうしてあっさり戻った日常の時は、また続いていくのだろう。
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