Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「東京五輪辞退」公約は歓迎する

2014-01-18 | Weblog
先週、駅売りの夕刊フジに、「細川、五輪辞退」という見出しが躍っていた。(細川でなく「小泉」だったかもしれない)
おお、そうくるのか。一瞬でもそう思った。
23日に告示の迫った東京都知事選挙に出馬表明している細川元首相の「五輪辞退」が話題になったのは、2013年暮れ、池上彰氏のインタビューに対し、「安倍さんはちょっと感覚が悪過ぎる」「2020年東京オリンピックだって、安倍さんが『オリンピックは原発問題があるから辞退する』と言ったら、日本に対する世界の評価は、もう格段に違ったものになっていたと思いますよ。指名を受けても辞退して、そう宣言していたら、『日本はやっぱりすごい国だ』という評価になったと思う。安倍さんには、そう言ってもらいたかった。それが総理のリーダーシップですよ」と発言していたことかららしい(「池上彰が読む 小泉元首相の『原発ゼロ』宣言」(径書房))。

しかし今現在、細川氏の公約概要では、「脱原発」に加え、「2020年東京五輪成功」「五輪に関し、東北地方で関連イベントを開く」とあるという。細川陣営では「福島に馬術会場を設けよう」「東北でマラソンをしたらどうか」等という意見も出ているという。
「東京五輪辞退」はたんなるブラフだったのか。都知事選出馬となると主義を簡単に変えるということなのだろうか。
やはり出馬を決めている宇都宮健児日弁連前会長は「シンプルで環境に配慮した五輪」を掲げている。支援する共産党が五輪推進だからこれは変えられないのだろう。
しかし私は、「五輪辞退」は正しいことだと思うし、それができない陣営ばかりなのであれば、がっかりである。

私は、「原発の在り方」が争点になることじたいは歓迎だが、そのことだけでいいいのかと思う。仮にワンイッシューに絞った場合でさえ、「反原発」陣営「一本化」の最有力とされている細川元首相に、疑問がある。
細川元首相は16日、正式に立候補会見を行う予定だったが、準備が整っていないとして延期となった。
さらに東京青年会議所が二度に渡って企画した公開討論会にも参加を表明せず、いずれも参加に応じたのが宇都宮健児氏だけだったため、開催されなかった。
細川氏の陣営は「総合的な判断」として参加の見送りを伝え、舛添氏も「主要候補の一人の細川さんがそろわないなら討論会は公平でない」として参加を取りやめ、「舛添氏が来るなら出る」としていた田母神氏も出なかった。揃いも揃って、なんという主体性のなさだろう。
細川元首相は記者会見も二回延期した。けっきょく出馬会見は22日午後に行われるという。後出しジャンケンにしても程がある。なんだか頼りないし、宇都宮氏を軽んじてみせて、周囲にもそう思わせようとしているみたいで、信用できない。
そもそもそれだけ政策のかたまっていない者を「反原発」だけで推すというのが、わからない。秘密保護法、沖縄の基地問題、靖国参拝や慰安婦の問題、消費増税、TPP……、問題は山のようにある。それらは原発問題とも複雑に絡み合っている。
細川出馬で「原子力ムラ」が青くなっているとして、これがほんとうに「安倍政権の暴走にストップをかける千載一遇のチャンス」なのかどうか。
だったら政治家どうしのしがらみのない宇都宮氏の方が遥かに信用できるはずではないか。

桝添に勝つ=「自・公の推す原発推進候補が当選する事態を阻止する」ことになるのかどうか、それでほんとうに原発推進を止められるのかどうか。
産経新聞によれば、自民党古賀幹事長は細川出馬と小泉の支援について「支持率低下の時の仕込みで、安倍晋三首相への一つの助け船だ。対立でなく『新師弟関係』だとみている」と述べ、首相の決断を促す環境整備だと理解しているという。それもにわかには信用しがたいが。

14日に判明した細川元首相の「脱原発」に関する公約案は、東京都が原発に依存しない「省エネ都市」を宣言した上で、都が大株主の東京電力に対し、研究が進んでいる太陽光・風力発電に加え、木くずなどを利用したバイオマス発電を中心とした「再生可能エネルギー基地」の建設を要求することが柱だという。「都内で必要とする電力は都内で供給する『地産地消』が最終目標だ」というのはいいが、なんだか悠長に響く。
だいじなことは、以前にも記したが、細川元首相は、肝腎の原発については、「即時ゼロ」ではなく、「徐々に依存度を減らす方針」であり、再生可能エネルギーの利用が本格化するまでは、電力需要に応えるため化石燃料への依存を続けざるを得ないとしている。「再生可能エネルギー基地」をじわじわ建築しているあいだに都知事の首が原発推進(共存?)者にすげ変わっているということも、考えられる。
そして、細川元首相は、東電柏崎刈羽原子力発電所の再稼働については、「反対を明確に打ち出すかどうか慎重に検討している」という。既に今の段階で「原発ゼロ」ではないのだ。なぜみんなそれを支援できるのか。

「東京五輪辞退」を実現させることと「反原発」は、同時に果たされるべきものと思う。そのくらいの根っこのある候補者は、出て来ないのだろうか。

……と、思ってたら、読売新聞によると、
「2020年東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会の会長に就任する森元首相は、18日のテレビ東京の番組で、小泉元首相が訴えている「原発即時ゼロ」について、「6年先の五輪のためにはもっと電気が必要だ。今から(原発)ゼロなら、五輪を返上するしかなくなる。世界に対して迷惑をかける」と批判した。」そうだ。
「原発ゼロなら、五輪返上」はまったく同感。「脱原発候補」は「五輪辞退」は、既定路線ということで、よろしく。
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「500億円名護振興基金」石破発言の虚偽と不成立

2014-01-18 | Weblog
12日に「基地の場所は(地元=名護市の意向ではなく)政府が決めるものだ」と発言した、自民党石破茂幹事長。
今度は16日、名護市に約500億円規模の「名護振興基金」の創設を検討していることを、名護市長選で立候補している末松文信候補の応援演説で明らかにした。政府と一体の地域振興をアピールし、米軍普天間飛行場の移設を進める狙いと報道されている。
石破幹事長は「世界一幸せな島にしたい」と歯の浮くような物言いの後、「(末松氏の政策である)スエマツビジョン実現の財源として、500億円の名護振興基金の実現を図る。一括交付金をベースに国、県、市が分担する形で、基幹病院の整備や交通網の整備などに活用したい」と説明、報道陣から「末松氏が当選した方が移設がスムーズに進む考えか」と問われると「そうでしょうね」と答え、現職の稲嶺進氏が当選した場合も基金を創設するかどうかは、回答を避けたという。
末松候補は、石破氏が掲げた振興基金を遊説で強調。「基金を活用して新しい名護市をつくり、北部全体の活性化を図りたい」と言う。それを特化したポスター、チラシまで用意した(写真)。「スエマツ新市長誕生で「名護振興基金」五百億新設!」とある。
稲嶺候補は「相手陣営の応援で中央から入る大物が口にするのは金、金、金だ。金と権力で名護市や市民をも否定するやり方で(基地建設を)迫っている」記者団に対して「振興策、基金をちらつかせて市民の気を引こうとしている。金権政治そのものだ」と批判している。

一方、菅義偉官房長官は16日夕の会見で「資金の新設について、政府として答える立場にない」「それは県や関係者が調整を図って実現していくということ」「新しくではなく、政府として北部振興事業で2021年度までの8年間、年度ごと50億円を確保すると約束している。沖縄の一括交付金として100億円程度が北部所在の市町村に配分されている」と述べ、既存政策の枠組み変更で対応する考えを示し、与党・政府側でも足並みが揃っていないことを露呈した。
北部振興事業費は名護市を含む北部12市町村が活用する予算であり、石破発言は国として新たな予算の創設や上積みを企図するものではない。名護市に特化した財源とする説明は、おかしい。一括交付金の北部12市町村への配分額もこれまで数十億円にとどまっているという。

そもそも与党幹事長に予算配分の権限があるわけもなく、国会や政府、省庁を飛び越えて、国の予算権限を全て取り仕切ることも許されるはずがない。
伊波洋一元宜野湾市長は、「石破幹事長の「500億円名護振興基金」発言は名護市民をだますだけでなく、今日から配られた末松陣営の選挙違反ビラに手を貸すもので、許すことはできない」と発言。
こうして報道をまとめていくと、石破幹事長は、選挙に勝たせるために告示後になって特定の候補者の勝利を条件に巨額の予算を提示、基金をつくると言っているということになる。じっさい、このような動きは、「公職選挙法」における「利害誘導」に該当しないのか。

「名護振興基金」というものは、存在しない。そもそも公約をひっくり返してばかりの自民党陣営である。どうしてここまで民主主義が機能していないことばかり見せつけてくれるのだろうか。
危険かつ自然を蝕む不必要な基地を作ろうとして、それを「カネ」で解決しようとしている。
仲井真弘多知事による辺野古埋め立て承認の取り消しを求め、辺野古住民ら194人が那覇地裁に提訴した。同時に承認の効力の一時執行停止を申し立てた。
当然だ。
選挙以前に、そもそも前提が間違っているのである。
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