Blog of SAKATE

“燐光群”主宰・坂手洋二が150字ブログを始めました。

「劇王」東北代表決定戦(2014 東北演劇見本市 in 山形)のお知らせ 【拡散希望】

2014-12-26 | Weblog
「劇王」東北代表決定戦が行われます。(2014 東北演劇見本市 in 山形)
12月27日(土)山形市民会館小ホールにて、14時開演。

「劇王」は、劇作家協会東海支部を中心に十年余りのあいだ行われている、短編演劇コンテストです。
2015年2月27.28.3月1日の日程で、「劇王」天下統一大会が神奈川で開催されます。そこに東北から派遣する代表チーム1チームを選定します。

前売1000円、当日1500円、協会員は当日も1000円とします。

審査員は坂手洋二、マキノノゾ ミ、そして映画監督の林海象氏。

山形市民会館は山形駅から徒歩7分程度。
http://www.shanshanshan.jp/access/

劇王東北代表決定戦の後、 観客投票および、審査員票の結果をとりまとめる間、「震災後の演劇」についてのシンポジウムを行います。
震災から3年9ヶ月が過ぎ、演劇と演劇を取り巻く状況はどのような変化をしたのか? 震災直後と何が変わったのか? といったことを探るシンポジウムです。

劇作家協会東北支部・くらもちひろゆきさんを中心とした皆さんがこの企画内容をまとめました。

この企画は、2012年3月11日にアメリカで開催された『震災 SHINSAI: Theaters for Japan』による寄付金から運営費の一部を出していただいています。
日米演劇人の交流もこの場に関与しています。

劇作家協会東北支部の交流がさらに深まる機会だと思います。
もちろん一般のお客様も観て楽しめるイベントです。
是非ご来場くださ い。

宣伝がまだチラシのみで、情報がHPなどに上がっていませんので、広く宣伝していただければ幸いです。

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沖縄を例外とする民主主義の破産

2014-12-16 | Weblog
選挙結果に感想などない。
日本的な。あまりにも現代日本的な出来事ととらえるしかない事象ばかりだ。
ただ沖縄だけが辛うじて民主主義を生かしている。
沖縄県内4小選挙区で米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を容認する自民候補が全敗。沖縄県民は、やはり公約破りの自民国会議員たちを許さなかった。辺野古新基地建設反対の民意は揺るがない。

安倍首相は、沖縄の結果を受け「大変残念だ。真摯に受け止める」。政府内からは米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐる沖縄への対応に懸念を示す声が上がっているという。当然だ。防衛省も「全敗は想定外」だったとしている。
しかし菅義偉官房長官は「真摯に受け止めるが、法令に基づいて(移設計画を)淡々と進めていきたい」と言う。安倍首相は「(辺野古移設が)唯一の解決策であり、その考えに変化はない」「固定化は断固としてあってはならない」「抑止力の維持を考えれば、交渉相手があるので、かつての民主党政権のように『最低でも県外』と言えば、県外になるかというとそんなことはない。(民主党は)無駄に時間を浪費するにすぎなかった」と重ねて発言。さらに「今の普天間は1万戸以上の住宅を防音しなければならないが辺野古に移せばゼロになる」という、なぜ普天間に基地ができたのかという歴史と経緯をまったく無視した理屈にならない認識を示した。「基地負担軽減について具体的に実績を出すべく努力を重ねていきたい」とするが、なぜ「移設先」が沖縄県内でなければならないかは説明できていない。空中給油機を移駐させた岩国基地のように、例えば県外に分散させることも不可能でないことは明らかであるのにだ。

原発再稼働問題を抱える鹿児島3区でも自民候補は落選した。衆院選の自民議席数はそのままそれぞれの地域での「民意」とは言えないのだ。

翁長雄志新沖縄県知事は「辺野古の新基地を造らせないことを県政運営の柱としたい」とし、仲井真弘多前知事の公約違反の埋め立て承認を検証し、取り消しや撤回を視野に入れる考えを示した。彼は高江の集落周辺に移設される北部訓練場のヘリパッド問題についても言及、高江住民の抵抗を言い訳に遅らせられているかのようなSACO合意の着実な実施を求めた。

安倍首相は衆院選の結果について、7月に閣議決定した集団的自衛権の行使容認に「国民の支持をいただいた」と強弁するが、実際の選挙戦では経済のことばかり言ってきたことは明らかだ。「自民単独多数」が果たせなかった今、彼らの憲法改悪に対しての選択肢は維新と連携するかどうかという問題なのだろう。

わざと争点をぼかし、無意味な選挙であるということ自体が宣伝効果となり、与党の望む低投票率を招いた。それにしても総選挙の投票率が52.6%というのは、あまりにも情けない。
そもそも選挙制度自体が歪んでいるのだ。
沖縄では小選挙区では全敗の自民国会議員たち全員が、比例で復活当選を果たしてしまった。いくらなんでも異常すぎる。

今回の衆院選では、選挙区で10万票以上獲得しながら落選した者がいる一方で、2万票余りで比例復活当選した候補者もいる。
人口比例に基づかない区割りで「1票の格差」が最大2・13倍になった今回の衆院選は憲法違反だとして、二つの弁護士グループが15日、選挙の無効=やり直しを求めて広島高裁と仙台高裁秋田支部、広島高裁松江、岡山両支部に提訴した。続けて同じグループが他の高裁・高裁支部に全国一斉提訴をする予定だという。
295の選挙区全てについて無効請求訴訟が起こされるのは初めてらしいが、最大格差が2・43倍だった2012年の前回衆院選をめぐる全国訴訟で、各地の高裁・支部で「違憲・無効」「違憲」の厳しい判決が相次いだように、憲法や防衛問題が問われるこの時期、選挙自体に一点の曇りもあってはいけない。
また一から裁判をしてみたところで結果は「違憲・無効」だろうから、選挙制度自体を改革した上で「選挙のやり直し」をするのが当然だ。

そもそも今回の選挙強行の根拠として語っていたはずの「消費税増税」については、結果が出てからほとんど言及されていない。
政府は、介護保険サービスの公定価格である「介護報酬」を、9年ぶりに来年度から引き下げる方針を固めたという。
バラ撒き政策の安倍政権に「カネがないから」とは言わせない。
そもそも「消費税」は「福祉税」だったはずではないのか。
みんななぜ憤らないのかが不思議だ。

嘘と公約破りだらけのこの国の権力者は、民主主義をあまりにも愚弄している。
民主主義が人民のためのものであるなら、安倍政権が行っていることは、明確に、そうではない。
「国民が愚かだからだ」と言うこともできるのだろう。しかしそれだけではない。
権力が明らかに誘導している。一人一人の人間は、弱者である。追い詰められた者が逆らえるとは限らないのだ、という見方もできる。強権国家は人民をそこに追い詰めようとする。
では、日本以外の国はどうか。日本はまだましではないのか、という人たちがいる。そうであると言えることと言えないことがあるだろう。

12月10日に施行された特定秘密保護法について、法案作成を担当した内閣情報調査室(内調)は法案の制作過程で、海外で学んだ経験や働いた経験がある人は国家機密を漏らす恐れが高まるとして、学歴や職歴の調査が必要だと関係省庁に強調していたことがわかったという。
海外で学んだ経験や働いた経験があると、国を裏切る恐れが出てくるというのだ。
共同通信の情報公開請求で開示されたその内部文書は、内調が2011年11月、内閣法制局との会合で示したメモだという。
海外の学校や国内の外国人学校で教育を受けた経験、外国企業での勤務経験も挙げ、「外国への特別な感情を醸成させる契機となる」「外国から働き掛けを受け、感化されやすい。秘密を自発的に漏えいする恐れが存在する」としている。
国家が国民を信用していないのだ。外国から学び、外国との関わりを深めていくことが、自分の国を否定することに繋がるという、短絡的な決めつけ。ひどいものだ。

写真は、さいきん某所で見かけた、指名手配の連合赤軍関係者の写真ポスター。政府からすれば、彼らは「外国への特別な感情を醸成させた」「外国から働き掛けを受け、感化された」者たちであろう。
だが一方で、彼らはある国々では、日本という国の枠を越えて世界のために立ち上がった者として、評価されてもいる。地域によっては、彼らがいたことで、日本は必ずしも「アメリカべったりの国」ではない、という評価も得ている。そうした「親日」の国もあるのだ。
しかし内閣法制局の方針は、「二度とこういう輩が出ないように」ということであろう。非合法の手段や暴力の肯定否定については議論が出て当然だ。しかし今回の「調査」は、国民に「考える機会」があることさえ避けさせたいというものだ。次元が違う。

「秘密を自発的に漏えいする恐れが存在する」というが、それが「秘密」として価値を持つ時には、「立場」の選択が出てくる。
人間の生命の安全、自由と平等、それらを遮るものなら、そんな「秘密」を守ることには、価値がない。

この国は、国民が世界的な視野で自由と平等について考えること自体を、怖れているとも言えるのだ。
「海外で学んだ経験や働いた経験がある人は国家機密を漏らす恐れが高まる」というのは、本当に異常な観点だ。いったい何を怖がっているのだ。

恐れを抱いているのは自分たちなのに、逆に国民を不安に陥らせ、内向きの保守化を促し、ドメスティックな志向だけに染め上げてしまおうという現政権は、国民が民主主義について考えるという機会さえ封じたいとしている。
今こそ、真に自由を求め、視野を広げようとする人たちを、励まさなければならない。
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東京に戻りました

2014-12-14 | Weblog
劇団本隊より一足先に東京に戻る。
大学の演劇研究会のOB主催の講演ということだったが、思ったほどフォーマルなものでなかったので拍子抜けした。
現役の学生の大半は自分の息子よりも若いのであるが、大人びているのか子どもっぽいのかはわかりにくい。

三田の校舎の前から東京タワーが見えた。名古屋札幌と並ぶ「テレビ塔」の一種であることは言うまでもないが、存在価値が落ちてしまった姿は哀れでもあり、今や時代遅れの国として存在する日本の象徴のようでもある。

ちなみに「ラーメン二郎」発祥の店もこの辺り、校舎近くの交叉点の角にあった。あの冗談の種にされてばかりいた店のチェーン展開がその後ブームを巻き起こすとは、当時は夢にも思わなかったが。

今や東映ビデオの重鎮である劇研の同期・加藤和夫くんと久々に話す。彼は「Vシネマを始めた男」である。既に歴史上の人物となっている。一年しかいなかった演劇研究会の最後に演出した舞台に彼と共に主演してくれた南太郎さんも東映に就職、国際部等で活躍していたが、今年亡くなった。そういえば自由ヶ丘の居酒屋「淡海」の定員一名のバイトも南さん→私→加藤くんと引き継がれたのだった。当時小学生だったこの店の息子さんはその後成長して某劇団の主軸俳優になっている。
南さんが結婚のため引っ越したときにもらった当時としては珍しい小型の2ドアの緑色の冷蔵庫は今まで梅ヶ丘BOXの楽屋で使われていたが、そろそろ寿命のようなのでまもなく破棄する予定である。南さんが入学時に買ったのだとしたらあの冷蔵庫もまもなく37歳だ。とうぜんエコ対応電器ではないから電気消費を考えればもっと早く買い換えるべきだったとも言えるが、なんだかほんとうにさみしい。
一年しかいなかった演劇研究会、卒業後もあまり御縁がなかったが、こうして仲間に入れてもらえているのはありがたい。
そういえば加藤くんはほんとに映画界のいろんな繋がりの要を担う立場になったので、三浦大輔監督の『愛の渦』映画版にも、ちゃんと名前があった。私が岸田賞の選考委員として選んだ作品の映画化に同級生が関わっているというのは、なんだか嬉しい。
この劇研のもう一人のおもろい男としては、後輩に、さいきんはAV監督というより「性の伝道師」(?)として知られている二村ヒトシくんがいる。来年は彼が講演する番になるだろう。
お互い五十も越えたのでこの業界のために少しでも役に立ちたいし、途中から、若い人たちの育成をどうするのか、という話題が半分になった。

今日は選挙である。
選挙に関連して、後の世代のために、とか、若い人たちのために、というフレーズもよく聞かれる。まったくその通りなのだが、若い人たちがシラけている、というのは大人の偏見である。シラける領域にまだいないか、シラける余裕さえないという場合もあるが。
大人はまず、大人本人の責任を果たすべきである。大人こそしたり顔でシラけている場合ではない。
若い人たちから「野心」のようなものが感じられないとしたら、そういうことに向かうだけの、真似したり追いついたりしたくなるような後ろ姿というか、背中を見せてくれている先輩が決して多くはいないからではないかと自らを省みて考えるべきだ。

そんなことを言っている間に私たちも「中間の世代」から老人の領域に向かっている。
先々の不安は、若者にも、私たちにも、ある。

今秋、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による年金運用について、国内株式比率を増やすとの新聞情報が影響して株価が上昇したことがあったが、国民の年金が、株価対策に使われる。年金受給者がリスクを負って、株式保有者が得をする。この状況が異常であることに、何の説明が要るのだろうか。
127兆円の25%である。国債中心の運用が本当に安全だといえるだろうか。これは「マネーゲームを始めた以上、損はしたくないだろう」という脅迫の一種である。勝手に始めたことについて国民に責任を押しつけないでほしい。
厚生労働省は、加入を義務づけている国民年金について、保険料の支払い期間を、5年間延長して65歳まで引き上げようとしている。それに加え、個人の選択で公的年金の支給開始年齢を70歳まで繰り下げられる制度について、75歳程度まで広げようとしている。
さらに国は、年金支給開始年齢を遅らせたのと引き換えに、65歳まで働き続けることを希望する高齢者の延長雇用を義務付けようともしている。高齢者が同じ仕事をしても、その場合、彼らの給与は減るのである。
もちろん若い新入社員の雇用も減る。
国が持っている財産の運用を誤って、結局、若者の可能性を奪い、非正規労働者をさらに苦しい立場に追い込んでいるのである。

「アベノミクス」という言い方が気持ち悪いが、現行政策の破綻は明らかである。円への評価の暴落、明白な日本への信用の下落、どの情報を見てもそうなっているではないか。一部の企業の給与が上がっているなどというのはそれこそ「格差」の助長であるし焼け石に水でしかない。これだけ無惨な状態だと本来なら重要な消費税増税のことなども霞んでしまっているというだけである。

選挙が「信任」を問うものだという言い方があるが、選挙時であろうとなかろうと、国民は声を上げる権利がある。
「国民が選んでしまったのだから仕方がない」という言い方は、気持ちが悪い。

そもそも選挙報道も含めて、この国の人たちは、ぼけているとしか言いようがない。
戦争の歴史と現在を、震災を、環境の破壊を、忘れたのか。

何より、

原発をなくす。
戦争をしない。
表現の自由を守る。

この三点だけで選挙の争点は明白ではないのか。
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サカテ柱と呼ばれるそいつ

2014-12-13 | Weblog
いよいよ本年の『8分間』ツアー大千秋楽。

今回の劇の美術図面などに奥に三本立っている赤い柱のことを「坂手柱」ないしは「サカテ柱」と記していたりするので、最近のおつきあいの方々の中には「?」となる方もいるようだ。
サカテ柱。
これは。
ブレヒト劇に必要な「ブレヒト幕」と同様に、今後の坂手演劇を語る上でも欠かせず、否、「ブレヒト幕」同様に世界演劇界の財産としてより広く知られてゆくであろうアイテムなのである。
極めて機能的な柱だ。
「ザ・パワー・オブ・イエス」以来、既に十本以上の坂手演出劇に登場している。
どういう機能かは、いまは秘密にしておこう。(色は変わることもある)
というか、しか、このサカテ柱、『8分間』の中ではその優れた機能をまったく発揮していない。
ただの飾りとしておかれている。
手塚治虫におけるヒョウタンツギのように、ただ、意味もなくそこにある。
そう見えても仕方がない。
しかしそれでさえ凄い機能を果たしている。
その辺りのことは、「劇場に於ける暗闇の操作」というお題にもなってくる。
そうしたことは来年に頼まれている舞台美術講座などで念入りにお話しする機会も出てくるだろうと思う。

さて。
昨日は名古屋初日があきました。
竹下景子さんから恒例の天むすが届く。ありがたい。
本番を見られない平塚くんは昼の稽古を覗きに来た。
懐かしい、顔、顔。
終演後は関係の皆さんと乾杯。私のテーブルは劇作家大会豊岡大会(もう半年前だ!)以来の協会東海支部の新勢力・長谷川彩さんや、いつもお世話になっている川村ミチルさん、ジャブジャブサーキットの小関っちら、東海地区を代表するきれいどころに囲まれて飲んだ。ありがたいことである。

で、名古屋界隈の皆さん、都心からお急ぎの皆さん。
『8分間』をお見逃しなく。
12月13日(土)愛知県芸術劇場 小ホール 14:00 開演
詳しい公演情報は以下の通りです。
http://rinkogun.com/happunkan.nagoya.html
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踏切に立つ者の選択

2014-12-12 | Weblog
自民党がNHKと在京民放テレビ局に対し、選挙報道の公平中立などを求める要望書を渡した。街頭インタビューの集め方など、番組の構成について細かに注意を求める内容は異例。安倍総理がTBSの報道番組に出て恣意的にアベノミクス・政府を批判する声を集めたとムキになった事件を受けてのことだろう。
VTRで紹介された一般人の街の声は、「誰が儲かってるんですかね」「景気がよくなったとは思わない」「全然アベノミクスは感じてない」「大企業しか分からないのでは」という、ごく当然の庶民の声だ。
首相はそれに対して「これ全然、声が反映されてません。おかしいじゃありませんか」とキレまくったという。国民の本音を否定するそのような総理大臣が民主的と言えるはずもない。
要望書では「過去にはあるテレビ局が政権交代実現を画策して偏向報道を行い、大きな社会問題になった事例も現実にあった」とも記してあるという。
NHKはもちろん民放各局の「自粛」に拍車がかかったのは確かだ。「朝日新聞バッシング」を推進する独裁的な政府が「公平中立な報道」を求めればそれが「公正中立」とはほど遠い結果を呼ぶのは自明のことである。
案の定、テレビ朝日系列の「朝まで生テレビ」は、「選挙に影響が出る」として民間の発言者の出演を排除した。
「自由な言論」はどこへ行ったのだ。

今月頭、日本外国特派員協会が衆院選前に恒例で開催している各党ごとの記者会見に、自民・公明が出席できないと回答した。両党は「日程が合わない」と理由を説明しているが、もちろん逃げたのである。
政党は選挙を極めてドメスティックな事象と考えているわけだ。世界に向かって胸を張れるだけの主張を持っていないというあらわれだ。

総務省は2日、衆院選公示前日(1日)の全国の選挙人名簿登録者数(有権者数)について、在外投票の有権者も含め、1億424万9182人と発表した。小選挙区の有権者数が最も多いのは、東京1区の49万5724人で、最も少ない宮城5区の23万1668人と比べた「1票の格差」は2.14倍だった。今回の衆院選から格差是正のため小選挙区数が「0増5減」されたが、依然として違憲判断の目安とされる2倍を上回ったままなのだ。
最高裁は2011年3月、最大2.30倍だった09年衆院選を「違憲状態」と認定。国会は12年11月に「0増5減」を決めたが、同12月の前回衆院選には間に合わず、最大格差2.43倍のまま行われた。最高裁は13年11月、12年衆院選も「違憲状態」と判断している。
「一票の格差」が是正されないままの、最高裁の判断を無視した、憲法違反の選挙である。自民、公明、民主3党が合意し、政治家自らが衆院議員の定数削減を「身を切る改革」としていたはずだが、結局は実行しないのだ。
国民は怒っている様子もない。世も末である。野党側にとっては有利な攻撃材料のはずだが、国民の無関心を覆すのは困難のように思われる。

安倍首相のやることなすこと狂気か児戯に等しいのは今に始まったことではないが、経済対策として「所得が低い人や省エネ住宅を新築した人」に「商品券などを配り」、「個人消費を直接支援する」というのは、ギャグでしかないのではないか。税金を巻き上げておいてそれをばらまき「善行」を装う。醜悪の極みだ。

景気は悲惨な状況である。消費や設備投資といった内需が低調なうえ、円安効果は輸出額よりも輸入額を増やす方向に働いて外需も伸び悩んでいる。
「消費税増税の問題」にするのは「すり替え」だ。
今年7~9月期の日本経済は、消費増税の影響に直撃された4~6月期に続き、2四半期続けてマイナス成長だった。
特に国内総生産(GDP)の6割を占める個人消費が弱く、円安や消費増税に伴う物価の上昇に収入が追い付いていないことが響いている。
円安で増えるはずの輸出数量は伸び悩んでいる。日本の国際競争力は地に落ちた。
「円安が進めば日本経済は成長する」というアベノミクスの時代錯誤はとうに破綻している。

集団的自衛権を巡る憲法解釈の見直しや自衛隊の海兵隊化、参院選後の安倍首相は露骨に右傾化を強めている。
そしてついに特定秘密保護法が施行され、早速幾つかのブログがプロバイダの「自粛」らしいが、その露骨な影響のもと、閉じられた。

写真は、私が新作『8分間』の舞台のモデルとした某最寄り駅のプラットホームの端だが、そこに踏切が通っている。じつは飛び込みの名所だという。
近辺住民たちは、うららかな午後にこの踏切を通り、あるいはプラットホームに立つとき、「日常」のゆったりした時間に身を浸しているようだが、一歩間違えればその身に「死」の影が通り過ぎる。

無事に通り越せるのか。渡りきれずに頓死するのか。
国民の殆どが無関心になっているとしか思われない「選挙」はおそろしいことにその結果を導く。
少なくとも自民党や憲法改悪勢力にこの国を渡してはならない。
菅原文太さんの遺志は、彼の盟友であった井上ひさしさん始め、ここ数年亡くなられた平和を愛する発言者たちと同様のものだ。
彼らの不本意なはずである「沈黙」に対して、残された者は、恥じない結果を出さねばと深く思う。
生きている我々はできる限りのことをしなくてはならない。
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燐光群新作 出演者オーディション!

2014-12-11 | Weblog
劇団新作のための出演者募集要項をブログでも公開します。

坂手洋二の書き下ろし・演出『現代能楽集 クイズ・ショウ(仮題)』に出演する俳優のオーディションを行います。出演者オーディションが大きな成果をあげた『カウラの班長会議』『現代能楽集 初めてなのに知っていた』に続いての募集です。

<公演について>
○時期 2015年3月20日(金)予定~31日(火)
○会場 下北沢ザ・スズナリ
○稽古 2015年2月初旬開始

<募集者> 男性・女性(若干名)

<応募方法>
※履歴書と作文をA4サイズで作成し、以下にご郵送下さい。
○履歴書 要写真貼付。氏名・身長・体重・年齢(生年月日)・ 住所・電話・メールアドレス(PC/携帯共)を明記のこと。 観たことのある、あるいは読んだことのある、燐光群また は坂手洋二の作品を挙げて下さい。
○作文 「自分について」「演劇について」
○送付先 〒154-0022 世田谷区梅丘1-24-14
  フリート梅丘202 (有)グッドフェローズ
 『クイズ・ショウ』 オーディション係
○締切 12月15日(月)必着

書類審査通過の方は、12/19(金)・12/20(土)・12/21(日)のうち指定する日の実技試験・面接にご参加頂きます。

オーディションに応募する方で、劇団への入団をご希望の方は、その旨を記し、作文「燐光群の作品を観た感想」(800字以内)も同封してください。一般募集に先駆けて、オーディションと並行して入団試験を実施します。

電話でのお問合せはご遠慮下さい。rinkogun@alles.or.jpまたは FAX 03-3426-6594でお受けします。
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名古屋では「8分間」ではなく「5分間」

2014-12-11 | Weblog
『8分間』という劇は、乗客がプラットホームと電車車輌の間に転落した事件をもとにしている。
昨年7月22日午前9時15分頃、さいたま市南区のJR南浦和駅京浜東北線ホームで起きた事件に着想を得ている。
「大宮発磯子行き普通電車から降りようとした30歳代の女性乗客がホームと車両の間に落ち、腰のあたりを挟まれた。車内やホームにいた乗客や駅員ら約40人が協力して車両を押し、隙間を広げて女性を救出。女性は病院に運ばれたが、目立ったけがはないという。」
現場に居合わせた読売新聞記者によると、「事故当時、ホームで「人が挟まれています」というアナウンスが流れ、電車の乗客らが自主的に降車。車両を押していた駅員を手伝った。女性は作業から数分で救出され、乗客らから拍手が起きた」という。
記事の引用を続けると、「JR東日本によると、ホームが直線の場合、車両との隙間は20センチ程度という。事故のあった車両は10両編成の4両目で、車輪を含めた1両の重さは約32トン。車輪のある車台と車体の間にサスペンションがあり、車体を押すとサスペンションが伸縮し、車体だけ傾くという。この影響で京浜東北線に最大8分の遅れが出た」ということだ。
「最大8分の遅れが出た」中での出来事、それで『8分間』というタイトルになった。
はずである。

ところが名古屋では「8分間」ではなく「5分間」なのである。

2013年9月10日夜、名鉄名古屋駅で酔った59歳の男性が電車とホームの間にはさまれた。居合わせた乗客が力を合わせて電車を押し、男性を救い上げた。
7月にも埼玉・南浦和駅で同じようなことがあったが、そのときは40人。この名鉄名古屋の事件では約20人だったという。
記事によれば、「事故が起きたのは午後8時50分頃。岐阜行きの特急がホームに入ってきて止まりかけた時、男性が最後尾車両に接触して、ホームとの間に転落。男性は1メートル程引きずられ、身体が回転してうつぶせで止まった。車掌が駆けつけたが、すき間は20センチほどで引き出せない。ホームには乗客が少なく、5人ほどで押してもすき間は広がらない。そこへ反対ホームに電車が入ってきた。降りた乗客に押していた人たちが声をかけ、20人ほどで押したらすき間がひろがって、ようやく救出された。男性は腰の骨を折っている可能性があるが、命に別状はないという。」とのこと。
テレビ番組「スッキリ!!」は、この事件を再現ドラマまで作って報道したという。
20人みんなが力いっぱい押して1分後、車掌が被害者を引き出した。事故が起こってから5分だったという。

で、驚いたことに昨年6月25日、名鉄金山駅でも58歳の女性がホームから転落した事件があったという。ホームの人たちが引き上げようとしたが間に合わず、電車は女性の上で止まった。女性は線路のすき間に伏せて、左腕を骨折したが助かった。
まるで奇跡だが、そういう事件があったという。
昨年9月の救出劇の当事者は、その事件の記事を見て、「助ける」という意識が働いた人もいたらしい。

つまり、いずれにせよ、名古屋界隈は線路に転落しやすい地区なのであるかもしれない。オーストラリアでも同様の救出劇があり、ネットに動画がアップされていたりしたが、どうやら名古屋エリアは「うっかり脱落」件数が多いらしいのだ。
名古屋の皆さん、観劇のお帰りに電車を利用される方は、どうかご注意ください。

写真は、名古屋らしいものをと思って、宿舎の真ん前にある「テレビ塔」を見上げてたものを載せてみる。
名古屋人は「テレビ塔」をその名称のまま「名古屋名物」と思っていて、上京した名古屋人は「東京タワー」を見て、「あ、東京にも「テレビ塔」がある」とのたまう。
時々驚かされる名古屋地域ナショナリズムの一つである。

ともあれ名古屋の皆さんにも『8分間』を観ていただきたい。
12月12日(金)・13日(土)愛知県芸術劇場 小ホール 金曜 19:00 土曜 14:00
詳しい公演情報は以下の通りです。
http://rinkogun.com/happunkan.nagoya.html
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『8分間』岡山公演無事終了と、フードポルノについて。

2014-12-11 | Weblog
『8分間』岡山公演、無事に終了。
いつもより遥かに多くの人のご協力を得られた。
市民劇場さんや演劇on岡山の方々、幾つかの劇団など演劇関係の皆さん、マスコミの方々、文化関係の皆さん、私やさとうこうじのかつての同級生たち、昔なじみの皆さん、ほんとうにお世話になった。
舞台が客席に対して高い位置にあるため、見やすい席として用意したぶんは全客席の半分強で、その客席は完全に埋まった。通路前の観にくい席にご案内せざるを得なかった皆さま、どうかご容赦ください。
客席の反応も暖かく、観客を選ばずどなたにも喜んでいただけたようで、ほんとうにありがたく、お見せする側からしても、とても気持ちのよい上演であった。
終演後にロビートーク、劇場片付けを終えて関係者で打ち上げ。
本当にお疲れ様でした。

岡山らしい写真を、と思って、翌日に来年公演のための劇場下見を終えた後の昼食に寄った、「天神そば」の「肉多めタマゴ入り」の写真を載せる。私はふだんラーメンを食べるときチャーシュー麺など選ばない派なのだが、ちょっと魔がさしたのだ。谷賢一くんのラーメン屋台芝居の影響ではないぞ。
岡山のラーメンというのはさして特色があると思われず、「岡山ラーメン」という概念もとくに意識しないできたが、「すわき後楽中華そば」は、地元で育った身からすると、まあ「そういうのがある」という認識だけだ。ここ数年でいえば私はずっと「やまと」派なのである。「だて」は雑だし、「山藤」は砂糖が入っているんじゃないかというくらいにスープが甘くて嫌だ。
「やまと」では小さなデミカツ丼とのセットを頼んだりするが、子どもの頃滅多に食べる機会はなかったが岡山東山の「もりや」のカツ丼など懐かしいけれど、大人になってしまうと、カツにキャベツの千切り、デミグラスソースがかかっただけの「デミカツ丼」は、そのソースが甘すぎてさすがにいつも食べたいとまでは思わない。
全国のソースカツ丼文化圏については言いたいことが山のようにあるが、三十年に渡っていろいろ書いてきたので、省略。

さて、天ぷらと寿司を写真に撮るやつは食べる資格なし、と深夜番組の林先生も言っていたが、まあ、ラーメン撮影もお勧めできない。冷めるし、麺がのびる。丼が届いた瞬間から箸をつけるまでのどきどきした時間が興ざめしたものになる……、だろう。
「レストラン紹介ブログ」は巷に蔓延しているが、お店の側もぞんざいに点数などつけられるのは嫌だろう。ネット上にアップするため、客がスマートフォンで料理の写真を撮ることに、ミシュランガイド(Michelin Guide)に名を連ねる店のシェフたちなど、いい加減うんざりしているという。
「何にでも時と場所というものがある」「私たちは客に安らげるひと時を提供している。そのためには携帯電話の電源を切ってもらう必要がある」「(料理の写真は皿の上から)驚きを奪い、私の知的財産権を少しだけ侵している」「スマートフォンで撮影される写真の質がいいことなんてほとんどない。それは私たちの仕事を見せる最高のものではない」というシェフたちの意見が紹介されている記事もあった。
ごもっともだ。
このような料理の写真を撮影してブログやSNSに投稿する行為は「フード・ポルノ」と呼ばれているらしい。
ポルノと食べ物は結びつきにくいが、扇情的であることは確かだろう。
食欲と性欲と排泄欲が人間の三大欲望であるらしいし。
で、日本のネット上では『飯テロ』という言葉があるらしい。あえて解説せず。
「人はオンライン上で美味しそうな食べ物の写真を見ると実際に食べ過ぎてしまう」との南カリフォルニア大学の調査結果もあるという。「豪華な食事の写真を見て小腹がすいてしまい、スナック菓子を食べてしまった経験がある」という投稿も見たが、それはちょっと万民に共通しないだろうし、人との心理としてどうなんだろう。

そして、現代の人間は、食べものの話題くらいしか他人との共有項がないのか、という意見もある。

いやいや、今日に関しては、怒りを通り越して、特定秘密保護法について書く気力が湧かないのだ。
「自民三分の二越す勢い」などという新聞記事にがっかりして、何も言いたくなくなってくる。

重要な情報がまったく流通しなくなり、食べ物の写真ばかりが眼に入る、そんな時代が現実になっている。
「フードポルノ」は、人々の「無関心」を増長するのに役立っているというわけだ。
私もたいへん情けないのだが、今日は許せ。
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『8分間』岡山公演は本日。

2014-12-09 | Weblog
『8分間』岡山公演は本日。夜7時、市民文化ホールでの公演。
岡山はなんと点字ブロック発祥の地。岡山の友人にして点字ブロックステッカー普及の使徒・黒瀬一雄さんに頼まれ、『8分間』舞台セットの点字ブロックにステッカーを貼った。
舞台が客席に対して低いので、後ろ半分、傾斜のある客席後方からの観劇をお薦めしている。

http://rinkogun.com/happunkan.okayama.html
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やはり結婚はめでたい

2014-12-08 | Weblog
小山萌子さん、芹沢秀明さんの結婚式のため早朝にいったん帰京。午前の挙式。お似合いの二人、おめでとう。
長身、美男美女の結婚は実に華やか。こういってはなんだが、結婚式・披露宴であらゆる衣裳にまったく着負けしない萌子は、さすが。
萌子の師・永井愛さんの代理のつもりで新婦側来賓スピーチ。
隣席のベニサンの瀬戸さんと久しぶりに話。演劇界はこのままでいいのか、となる。

そして美術の島次郎さん・衣裳の宮本宣子さんにいろいろとうかがっていて必見と思い、シスカンパニー『鼬』を観る。世田谷パブリックシアターの空間を知り尽くした島さんの空間造形はさすが。そして俳優陣を堂々とみせる着物の魅力。日本戯曲の掘り起こしをメジャーなプロダクションがやってくれる意義は大きい。それにしても演出長塚くんは「闇」が好きなのね。

高倉健さんの追悼特集で雑誌「自然と人間」の対談というかロングインタビューを受ける。菅原文太さんについても言及することを提案。結果的にそうなる。
田中千世子さんのリードがうまく、健さん文太さんの象徴する「戦後」について、改めていろいろと考える。

井上ひさしさんと文太さんは高校の同窓生、文太さんプロデュースで「吉里吉里人」映画化の話もあった。『仁義なき戦い』『現代やくざ・人切り与太』、そして『太陽を盗んだ男』、いずれも鮮烈だった。
文太さんはほんのひと月前、辺野古に於ける沖縄県知事選の翁長候補応援スピーチで、県民を裏切った仲井真知事に対して「弾はまだ残っとるがよう」と告げた。文太さんの死はただでさえショックだが、沖縄の反基地闘争の心強い支援者の死は、辛い。

生と死。喜びと悲しみと交錯するのが現実だということか。達観するのでなく、受けとめていくしかない。

他にも幾つか用件を済ませ、日帰り東京滞在で岡山へ移動。自宅には寄らず。まあそういうものだ。
岡山で本隊に復帰合流、劇場入り前だが、溜まった原稿や書類に追われる。
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9日火曜日は『8分間』岡山公演

2014-12-08 | Weblog
いよいよ9日火曜日は『8分間』岡山公演だ。
岡山の皆さま、どうぞお楽しみに。
伊丹公演も終了。岡山に着きました。

http://rinkogun.com/happunkan.okayama.html

東京公演が終わって3日間あいていたが、終始バタバタしていた。どの日も早朝から仕事ややりとりをしていたが、すぐに午後になって出かけなくてはならなくなってしまう。自分の時間がとれないではないか。
とはいえ、いろいろ動いた。

ゴールデン街のバー「ガルガンチュア」(もともとは「ガルガンチュア立花」、立花隆さんがオーナーだったらしい)のママにして、かつて中上健次氏が都はるみと並べて認めた(熊野でのコンサートをプロデュースした)、ロシアの歌をロシア語で歌う数少ない歌手・「たんこさん」こと石橋幸さん。彼女の、毎年恒例紀伊國屋ホールコンサート「僕の呼ぶ声 ~ロシア・アウトカーストの唄たち~」に、なんとか馳せ参じた。演奏は他に後藤ミホコ(acc)、石塚俊明(per)、小沢あき(g)、河崎純(b)、服部将典 (b)。みごとにバランスの取れた至福のコンサート。歌の力というものをまざまざと思い知らされる。たんこさんは大病を乗り越え、いま一番輝いている。
たんこ=石橋幸さんは女優でもあり、『カムアウト』再演(1991)と『汚名』(1991)に出てもらった。『汚名』はソビエトに繋がる話でもあり、タルコフスキー『ストーカー』へのオマージュでもあった。
石塚俊明さんも大昔に生活向上委員会の原田依幸さんが音楽を作ってくれた『ビヨンド・トーキョー』(1986)でも演奏してくれた。
音楽と演劇はもっと近いもののはずだ。また何か企みたい。

また別の日。トニー・ブルールと、彼と結婚した元劇団員・小室紀子とその愛娘、来日中の三人と、吉祥寺PARCO七階にあるキッズ対応のできる店を古元が見つけだし、そこで打ち合わせ。トニーが自分の論文のため必要という私へのインタビューも。トニーとももう十五年以上のつきあい。気心が知れているという以上に考え方も共通するところが多い。演劇のこと、身体のこと、等々。『8分間』の話でも盛り上がる。今後に向けていろいろと作戦を練る。

来年のオペラの衣装打ち合わせ。宮本宣子さんと話題は盛り上がる。

そんな中、大慌てで結婚式出席用の服を買う。
葬式にも使えるものでなく、結婚式にしか着られないものにする。そういう気分なのだ。

新国立劇場『星ノ数ホド(Constellations)』にぎりぎりで駆け込む。英国の若手劇作家ニック・ペイン作。小田島恒志さんが『8分間』と似ていると言っていたのだ。確かに似ているが狙いは違う。シンクロニシティというか、世界的同時性と思う人がいても構わないが。鈴木杏ちゃんが言うように、やはり世界は多元宇宙的なのだ! 上演するのに勇気の要る台本であることも似ている。一皮むけた鈴木杏ちゃんの生き生きとした魅力、浦井健治という人も作品ごとに違う個性が出る人で、どこか「ずれている」感じに魅力がある。この二人にしかできないものがちゃんと出ている。演出はますます大活躍の小川絵梨子さんだが、終演後「今日は坂手さんがいると思って怖かった」って、そりゃないだろう。彼女のアメリカ時代からの知り合いではあるのだが。

梅ヶ丘BOXで上演予定の釘本光さん作・演出の稽古も覗く。『普天間』の大月ひろ美、劇作家大会で大活躍だった宇原くんも出ている。

てがみ座・長田育恵新作『汽水域』も観る。あれがフィリピンだろうかという疑問が残る。照明の暗さが作品に貢献しているとも思えない。寓話とリアリズムをどう書き分けるか。新ジャンルへの挑戦はリスクを伴う。
それにしても長田さんは来年に向かっても仕事量が夥しい。超売れっ子である。3年前、劇作家協会で新たに運営委員になってもらった三十代の面々が、みんな大車輪で活躍しているのは、本当に嬉しい。そのぶん協会の仕事はなかなかしてもらえなくなっているのだが!

伊丹の前に岡山に一日だけ入り、「8分間」公演のテレビ取材のため、大島葉子さんとテレビを3局巡る。演劇と関係ない衆院選特集番組のインタビューも受ける。言いたいこと言ったがどこまで放送されるのだろう。

関西随一の映画コレクターズショップのオーナー・吉富さん主催で、「映画女優・大島葉子さんを囲む会」も開催される。残像舎・小川孝雄さんとじっくり喋れて嬉しい。

岡山の中学時代の友人黒瀬一雄さんから、プラットホームにもある点字ブロックの発祥の地が岡山であることから、『8分間』のセットに「点字ブロックシール」を貼ることを提案される。
で、伊丹公演からセットの点字ブロックに「点字ブロックシール」を貼っている。客席からは見えないかもしれないが……。

などなど。
ここ数日の公演以外の動きの一部でした。
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伊丹AI・HALLに『8分間』プラットホーム出現。

2014-12-05 | Weblog
伊丹AI・HALLに『8分間』プラットホーム出現。
座高円寺と同じサイズのセットが組み上がった。
お客様に観ていただけるのが楽しみです。

まもなく伊丹公演初日です!



燐光群『8分間』

12月5日(金)~7日(日)
金曜 19:00 土曜 14:00/19:00 日曜 14:00

伊丹 AI・HALL
・JP伊丹駅西へ徒歩1分・阪急伊丹駅東へ徒歩10分  伊丹市伊丹2-4-1 072-782-2000

全席自由(日時指定・整理番号付き)前売開始○10月26日(日)
一般前売 3,300円 ペア前売6,000円 当日 3,600円
U-25(25歳以下)2,500円
高校生以下 1,500円(※U-25・高校生以下は、前売・当日券料金 受付にて要証明書提示)

受付開始○開演の40分前 開場○開演の30分前
ご予約順に番号をお取りする整理番号付きチケットです。開場時にチケット記載の番号順に
お入り頂きます。
開演直前・直後は(一時的に)ご入場を制限させて頂く場合がございます。
未就学児のご入場はご遠慮下さい。

★燐光群オンラインチケット(一般・ペア前売のみ)
http://rinkogun.com 
24時間いつでもホームページ上でご予約頂き、セブンイレブンでチケットをお受け取り頂けます。お支払いは現金(セブンイレブン)、またはクレジットカードとなります(手数料はお客様負担)。※会員登録(無料)が必要です。

★ご予約・お問合せ
アイホール 072-782-2000(火曜休館)http://www.aihall.com
燐光群/(有)グッドフェローズ 03-3426-6294
ticket-rinkogun@ee.alles.or.jp
①<お名前/電話番号/希望日時/チケットの種類と枚数>をお伝え下さい。
こちらからのお返事を以てご予約とさせて頂きます。
②当日、開演の10分前までに受付にお越し下さい。代金と引換でチケットをお渡しします。
※キャンセル・日時変更はできません。

http://rinkogun.com/happunkan.itami.html
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「がん末期のログブック 患者になったジャーナリストが書き込んだ500日」高橋ユリカ著

2014-12-02 | Weblog
「がん末期のログブック 患者になったジャーナリストが書き込んだ500日」高橋ユリカ著 (プリメド社)

ジャーナリストである著者が、がん治療・療養の様子をFacebookに投稿し続けた内容をまとめた二年間にわたる記録。リアルタイムの病床からの実況中継は「闘病」という言葉にまとめきれない。「闘う」ことが見合わないことを本人がいちばんよく知っている。彼女は35歳で初めて大腸がんになってから、ガンと向き合うのは三度目になる。
「あ、あれこれ書いているうちにウツな気文が治ってきましたあ!」「ガンってナウシカのオームみたいなイメージ、そう私はナウシカ」などと明るく自分を鼓舞する。自他共に認める食いしんぼ、食欲が栄養摂取を支える。時として85歳の母親に介護され、検査映像を息子に見せ「かつて、君がいた場所(子宮)が、ガンに占拠されているって許せないよね」と話す。
彼女にとっては「書くこと」が病床の自分自身を支える防波堤だった。最後は痛み止めの服用を制御し冷静さを保ちながら、iPadに指二本で記し続けた。
テニス、ヨガに勤しみ、体重の増減に一喜一憂。闘病の最中に街で買い物をすることの喜びを綴る。デザイナーとして国際的に成功した息子の活躍を見るためパリに行く夢も果たせなかったが、夫と息子は協力して彼女を京都旅行に連れて行く。
生活の場として描写される下北沢界隈は、私にとっても親しい場所だ。彼女は不毛な再開発に反対し、人間本位の街づくりを考える先鋒に立っていた。私も助言を求められ、共に考える仲間であった。
彼女は『川辺川ダムはいらない』という本を著したように、熊本のダム建設についても問い続けた。私は、劇団民藝に大滝秀治さん主演の戯曲を委嘱され、ダム開発の歴史を背景にした『帰還』を書いた。友人である彼女がこの問題の第一人者であることは僥倖であった。執筆のための取材は、彼女の用意してくれた克明なデータと、紹介してくれた各地のキーパーソンの手厚い協力抜きには、成り立たなかった。
思い出すのは彼女が自転車で颯爽と下北沢の街を疾走する姿である。二十三年にわたってガンと向きあい、身をもって伝えようとした終末治療当時者の真実に、胸うたれ、読み進めながら何度もページから目を離した。著者の魅力に溢れた本書は、がんに向き合う人たちのみならず、決して思い通りにはならぬ人生に向きあう、すべての人たちを励ますだろう。

※この記事は山陽新聞社さんのご厚意で特別にお許しをいただき、同紙の「あの人からの紹介状」に掲載された記事を転載したものです。
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高橋ユリカさんをしのぶ会

2014-12-01 | Weblog
二十年以上前からお世話になってきたが最近お目にかかる機会の減っていたステーションの田村光男さんの訃報に茫然。昨年の正月だったか、青年劇場の人たちと新宿の居酒屋にいたら、偶然同じ店にいた田村さんが寄ってきてくれて、加わった。あれ以来また連絡を取り合うようになっていたのだが。

仕事の事情で時間が合わず、残念ながら中川安奈さんとのお別れの会には行けなかった。

高橋ユリカさんを偲ぶ会にはなんとか出られた(写真)。
彼女は下北沢という街の不毛な再開発に反対してどのような街づくりをするか考える先鋒に立っていた。「演劇の街」と言われることの多いこの街の未来について考える仲間であった。「小田急線上部利用の完成を見る」という彼女の目標は、生前には果たせなかった。
彼女はダム建設についての研究家でもあった。私は世田谷区長になる前の保坂展人氏と八ッ場ダムに行ったりしていた。彼女の紹介してくれた人脈と著書『川辺川ダムはいらない』をもとに私はダムについての劇『帰還』を書くことができた。恩人である。『帰還』が遺作になった大滝秀治さんも、大滝さんの最後の演技について熱く語っていた高倉健さんも亡くなった。
偲ぶ会で、まだ店頭に並ぶ前のユリカさんの著書『がん末期のログブック 患者になったジャーナリストが書き込んだ500日』(プリメド社)を初めて手にとり、この本を依頼されていた新聞の書評の対象とすることを決める。
本書は、書名と副題にあるように、ユリカさんが、がん治療・療養の様子をFacebookの特設枠に最期まで投稿し続けた内容をまとめた二年間にわたる闘病記録である。「落ち込んで、泣いて、怒って、凹んで、立ち直って、受容してゆく」、揺れ動くリアルタイムの病床からの壮絶な実況中継。だが時にたんたんと客観的に、他人事のようにも書いている。ネット文だから「顔文字」も多い。それをプリントアウトしたときの厚みは5センチ以上という。「書くこと」が病気と向き合い自分自身を支える装置だったのだろう。出版社側はこの物書きとしての「対象の距離感」を尊重し、あえて編集で手を加えることを最小限にとどめ、「学術書」として世に出すことにした。もとのフェイスブックと同じ横書きである。
最期の二ヶ月近くの間に、この書以外にも自分の書いてきたものを中心に本にまとめることを決意、もう一冊は下北沢についてである。「執筆するならすぐ始めなさい」と主治医に背中を押されたという。
彼女は最近大学院にも通ったりしていた。ほんとうに勉強と書くことに憑かれた人だった。
ガンとの「共存」という言葉がよく出てくる。もともと編集者であった彼女は35歳で初めて大腸がんになってから、『病院からはなれて自由になる』など、ガンや終末治療(ターミナルケア)についての本を幾つか書いた。ガンと向き合うのは今度が三度目だった。
国際的なデザイナーとなった息子さんの挨拶は立派だった。夫の高橋氏のやさしさにも胸うたれた。小林教授の思いも熱かったが、歌の選曲はまあ時代だなあと思った。あの頃の、つまりこの世代の青春期のヒット曲は、よく聴くとけっこう男尊女卑だったりするのだな。
本に出てくる家族揃っての最後の夜桜見物も感動的だ。彼女は親族や関係者の愛に包まれ、より恵まれた治療環境に転じていく。がん患者としては治療については経済的にも環境的にも恵まれていたのではないかと感じる読者もいるかもしれない。だが「ターミナルケアの段階に入ったと自覚した瞬間には武者震いする」と正直に記すとおり、病魔は著者を確実に蝕んでゆく。
彼女が最後に入所し亡くなった診療所は私も知っているところで、かつて『スペースターミナルケア』という「緩和ケア」をテーマにした俳優座への書き下ろし戯曲を書く際、先生方にお世話になった。この診療所は別の時にも人づてに終末治療の環境に悩む人を紹介したりしたのだった。

あれやこれや思い出ばかりが巡る。
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『8分間』東京・座高円寺公演終了。

2014-12-01 | Weblog
『8分間』東京・座高円寺公演終了。
俳優たちは出ずっぱりの劇。しかも似た設定の場面が十回続くわけだから混乱しやすい。初日からしばらくは緊張感の維持で乗り切ったが、観客と出会うことでよりいっそう内容が腹に落ちてくると、また別な集中力が必要になってくる。後半戦、より内容を深め、この不条理だがエンターテイメントである作品をさらなる高みへと連れてゆくべく精進する日々であった。
幕が開いてから、自劇団の上演以外のことも幾つか。散髪。原稿。来年の公演のための打ち合わせや大学での講義等も挟みつつ、観劇もした。

ほんとうに閉館間近となってしまったらしい青山円形劇場で谷賢一作・演出の新作『トーキョー・スラム・エンジェルズ』を観た。谷くんに私から感想聞いていなくて怖いと言われたので嫌われてもいいから言ってしまうと、まず題名が良くない。序盤、山本亨と南果歩のお二人を観ているととりあえず期待させられるが、声に特色のある二人だが、二人とも最初から最後まで声が変わらない。何も変化しない。そういう世界観なのだろう。ストーリー的には今時ネットや本ですぐに得られる以上の情報はない。ドラマなら独自の展開がほしいと思う私が古いのだろうか。マネー取引について興味を引けるよう噛み砕いて言葉にしているのは確かだが、がんばっている牛乳瓶の蓋の話であるが、感心しているのはよほどものを知らない人であろう。男優たちにも見所はあるし円形劇場を活かした気の利いたしつらえもあるが、何か本当のドラマが始まる前に終わってしまったという印象である。これでは壮大な予告編なのだ。言っていることはわかるはずだ。谷くんはもっと才気を出し惜しみせず舞台に叩きつけてほしい。沖縄に職を得た野村くんが忙しければ私がドラマターグをやるぞ。
余談だが私はラーメンを食べたくはならなかった。チャーシューメンにブライオリティを感じているらしい気配もちょっと違うなと思う。私はラーメン通ではないが、麺に集中できなくなるからチャーシュー過多を邪魔に思う人も多いのだ。

KAATで日韓合作『カルメギ』を観る。昨年韓国でいっぱい賞を取って話題になった。脚本・演出協力のソン・ギウン氏は私の『屋根裏』等の共訳者で、日韓演劇交流センター・協会でも仲間である。私が韓国で演出したときも世話になった。日本占領下の朝鮮史をライフワークとする彼らしい日韓史のレンズを通した『かもめ』で、多田淳之介演出も才気爆発、若い韓国俳優たちの瞬発力も鮮烈で、見応えがあった。美術・照明も秀逸。ただ私はボレロの流しっぱなしに違和感があった。ボレロ以外の音楽の使い方は素晴らしいのだが。そもそも私はボレロやカノンを流しっぱなしにする劇に感心したことがない。その意味ではこの劇は例外中の例外だ。でもやはりボレロを使ってほしくなかった。ボレロのせいでどうしても『かもめ』のダイジェスト版に見えてしまう面もある。

自分の東京千秋楽を留守にして能登演劇堂へ行って観たのが『黄昏にロマンス ~ロディオンとリダの場合~』。渡辺美佐子さんと平幹二郎さんの二人芝居。こちらはその全国ツアー千秋楽。稽古中に夫である大山勝美さんを亡くされた美佐子さんがツアーを最後まで走りきった。歌も踊りもある! ロシア戯曲なので洋服を何回も取り替える。華やかで明るい劇であった。しかし後半に戦争の影が姿を見せる。戦中派のお二人だからそれを当然のように体現できる。こんな柔らかさを感じさせる平さんも珍しいし、お互いのいいところをちゃんと出せるコンビだったということだろう。常田景子さんの翻訳もこなれている。
能登行きでは、羽田で演出の西川信廣さんとばったり。能登空港で照明の塚本さんとも合流。能登では可児市文化芸術振興財団の衛紀生さんと久しぶりにお話しする。かつて何度か燐光群の舞台監督をしていただいた村松明彦さんとも再会。
のと鉄道・七尾線を乗り継ぎ金沢へ。金沢市民芸術村の演出講座をやったときお世話になった黒田百合さんたちと来年以降に向けていろいろな話をする。あの講座がもう十年以上前になるとは。中央市場横の居酒屋が素晴らしく、日本海の旬の魚たちにも感謝。

写真は、高円寺駅のプラットホーム。座高円寺の広告が舞台上と同じようなH鋼の柱に。
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